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私、待つ気はありません。
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「やぁ!」
と胡散臭いさわやか笑顔で来訪した殿下に向かい合って今後どうしたいのかの打ち合わせをしよう提案されたわ。
「それで?離婚をしたいと言っていたがあの家で3年まって婚姻無効届を出す方法もあったのに家を出て離婚を決断したのは何故かな?」
この国は婚姻の法律が色々あって白い結婚であれば3年後に婚姻無効に出来るので冷遇されても3年耐えれば身綺麗のまま離婚出来て貴族令嬢ならばそうするのでしょうが、私はあの実家に帰る気も無いので離婚を選び勘当されて平民になりたかったの。
一応離婚承諾書にサインしたものは帳簿の一緒に隠しておいたからそれは殿下から渡されているのかしら……
「あの、殿下が見つけられた私の置き手紙の中の離婚承諾書は今どこにありますの?」
旦那様に渡したものは複製だと言っていたので渡していない可能性もあるわよね。
「ここにある。」
ほらやっぱり。
「殿下がお持ちになられていたら離婚できませんわ。」
「今渡しても素直に書くとはおもえないが?」
うぅ、それも一理あるわ。
「ですわね。」
何考えているのかさっぱり分からないわ。
でも私の意思は確認してくださるし、現状は助けてくださってるけれどいつ手のひら返しに合うか分からないから慎重にならないと。
「それで?理由を教えて貰っていないのだが?」
ほら、話を逸らしても誤魔化されてくれないわ。
「婚姻無効だと実家に戻らねばらないので。」
「ああ、そういう事か。」
「はい。ですので離婚して頂きそのまま平民となって実家とは縁を切りたかったのです。」
「この前も話したが、そっちは母上がもう処理済みだ。」
そういえば言っていたわ。
「処理済み?」
「そう、もうマールブルク家は無いぞ。」
え?ない?
「………」
「調べてみたら税申告の偽造もしてたからな。未申告分を直ぐに払うか家の取り潰しを迫ったら屋敷や家財を売り払っても足りないってことで王家の直轄領になった。」
「そう、でしたか……」
正直頭が混乱している。
あの人たちなら自分の利益のためにそういう事はしていても不思議では無いわ。
でも復讐したいとかそういう気持ちは無かったけれど天罰でも下れば良いのにとは思ったことは何度もあるわ。
まさかこんな形であの人たちが平民になり路頭に迷っていると思うと正直いい気味としか思えない。
「マールブルク家にはリディア嬢に頼ろうとしても無駄な事は伝えたそうだが、信じていなかったし虐げた自覚もないから親を助けると信じて疑っていないぞ?」
「あの人たちならきっとそうでしょう。ですが私は離婚するつもりですし、きっと私のことに気づかないと思います。」
「という訳で離婚後のリディア嬢の行先はもう用意してあるから安心しろ。」
え?安心しろって安心出来る要素がどこにあるというのでしょうか?
王族ということで逆らえないのでしょうけど、もうほっておいて欲しいのです。
「母方の祖母の実家であるシェーングレン公爵家が養女として迎え入れると同意してくれている。」
シェーングレン公爵家って王妃様のご実家では!?はしたないので耐えるが、開いた口が塞がらない気分だわ。
「もちろん君に公爵家の血が流れているっていうこともあるからね。特に問題では無いさ。」
何も言えずにいる私を安心させるつもりのセリフなのかもしれませんが安心出来ません!
「あの、殿下?」
「なんだい?」
「何故ここまでして頂けますの?」
聞いてはいけないとずっと思っていたこと。
聞いたら後戻り出来ない気がしていたから。
ここまで来たら腹を括りましょう。
「うん、いい顔つきになったな。リディア嬢はやっぱりシェーングレン家の血を引いているな。」
「え?」
「知らないかもしれないが、シェーングレン家の女性は歴史に名を残す女性を多く排出しているんだ。もちろん結婚後の名前が後世に伝わっているから知らない人が多いが高位貴族ではそれなりに有名でシェーングレン家に産まれた女性は公爵家という肩書きでは無く女傑として望まれる事が多いのだよ。」
そんなこと今言われても困るわ。それに私にその血が流れていてもシェーングレン家の女傑達のようになれるとは思えないの。
「難しく考えなくていい。シェーングレン家は家族を大切にする家だ。少しばかり遠い血筋とはいえ君のことは本当の妹のように思うんだ。」
なんですか急に……
そんなの信じられるわけ無いわ。
「リディア嬢も私に会った時思わなかったかい?不思議とこの人は信じていいんだって。敵じゃないと。」
ちがう、そんなこと思っていない。
そう思いたかった。
でもこの人ならこうするだろう、とか不思議と思ってたかもしれない。
本当にそうなの?
何が本当なのかわからなくなってきてるわ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次話、タリア目線です。
若干伏線回収入りますw
と胡散臭いさわやか笑顔で来訪した殿下に向かい合って今後どうしたいのかの打ち合わせをしよう提案されたわ。
「それで?離婚をしたいと言っていたがあの家で3年まって婚姻無効届を出す方法もあったのに家を出て離婚を決断したのは何故かな?」
この国は婚姻の法律が色々あって白い結婚であれば3年後に婚姻無効に出来るので冷遇されても3年耐えれば身綺麗のまま離婚出来て貴族令嬢ならばそうするのでしょうが、私はあの実家に帰る気も無いので離婚を選び勘当されて平民になりたかったの。
一応離婚承諾書にサインしたものは帳簿の一緒に隠しておいたからそれは殿下から渡されているのかしら……
「あの、殿下が見つけられた私の置き手紙の中の離婚承諾書は今どこにありますの?」
旦那様に渡したものは複製だと言っていたので渡していない可能性もあるわよね。
「ここにある。」
ほらやっぱり。
「殿下がお持ちになられていたら離婚できませんわ。」
「今渡しても素直に書くとはおもえないが?」
うぅ、それも一理あるわ。
「ですわね。」
何考えているのかさっぱり分からないわ。
でも私の意思は確認してくださるし、現状は助けてくださってるけれどいつ手のひら返しに合うか分からないから慎重にならないと。
「それで?理由を教えて貰っていないのだが?」
ほら、話を逸らしても誤魔化されてくれないわ。
「婚姻無効だと実家に戻らねばらないので。」
「ああ、そういう事か。」
「はい。ですので離婚して頂きそのまま平民となって実家とは縁を切りたかったのです。」
「この前も話したが、そっちは母上がもう処理済みだ。」
そういえば言っていたわ。
「処理済み?」
「そう、もうマールブルク家は無いぞ。」
え?ない?
「………」
「調べてみたら税申告の偽造もしてたからな。未申告分を直ぐに払うか家の取り潰しを迫ったら屋敷や家財を売り払っても足りないってことで王家の直轄領になった。」
「そう、でしたか……」
正直頭が混乱している。
あの人たちなら自分の利益のためにそういう事はしていても不思議では無いわ。
でも復讐したいとかそういう気持ちは無かったけれど天罰でも下れば良いのにとは思ったことは何度もあるわ。
まさかこんな形であの人たちが平民になり路頭に迷っていると思うと正直いい気味としか思えない。
「マールブルク家にはリディア嬢に頼ろうとしても無駄な事は伝えたそうだが、信じていなかったし虐げた自覚もないから親を助けると信じて疑っていないぞ?」
「あの人たちならきっとそうでしょう。ですが私は離婚するつもりですし、きっと私のことに気づかないと思います。」
「という訳で離婚後のリディア嬢の行先はもう用意してあるから安心しろ。」
え?安心しろって安心出来る要素がどこにあるというのでしょうか?
王族ということで逆らえないのでしょうけど、もうほっておいて欲しいのです。
「母方の祖母の実家であるシェーングレン公爵家が養女として迎え入れると同意してくれている。」
シェーングレン公爵家って王妃様のご実家では!?はしたないので耐えるが、開いた口が塞がらない気分だわ。
「もちろん君に公爵家の血が流れているっていうこともあるからね。特に問題では無いさ。」
何も言えずにいる私を安心させるつもりのセリフなのかもしれませんが安心出来ません!
「あの、殿下?」
「なんだい?」
「何故ここまでして頂けますの?」
聞いてはいけないとずっと思っていたこと。
聞いたら後戻り出来ない気がしていたから。
ここまで来たら腹を括りましょう。
「うん、いい顔つきになったな。リディア嬢はやっぱりシェーングレン家の血を引いているな。」
「え?」
「知らないかもしれないが、シェーングレン家の女性は歴史に名を残す女性を多く排出しているんだ。もちろん結婚後の名前が後世に伝わっているから知らない人が多いが高位貴族ではそれなりに有名でシェーングレン家に産まれた女性は公爵家という肩書きでは無く女傑として望まれる事が多いのだよ。」
そんなこと今言われても困るわ。それに私にその血が流れていてもシェーングレン家の女傑達のようになれるとは思えないの。
「難しく考えなくていい。シェーングレン家は家族を大切にする家だ。少しばかり遠い血筋とはいえ君のことは本当の妹のように思うんだ。」
なんですか急に……
そんなの信じられるわけ無いわ。
「リディア嬢も私に会った時思わなかったかい?不思議とこの人は信じていいんだって。敵じゃないと。」
ちがう、そんなこと思っていない。
そう思いたかった。
でもこの人ならこうするだろう、とか不思議と思ってたかもしれない。
本当にそうなの?
何が本当なのかわからなくなってきてるわ。
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次話、タリア目線です。
若干伏線回収入りますw
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