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私、ピンチです
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「オーナー、ちょっと今いいですか?」
ランチタイムのピークが過ぎて客席にいるのは料理の提供済みのお客様だけなので呼ばれない限りは壁際で待機なので特に問題は無い。
「ええ、どうかしたの?」
「先程商業ギルドから手紙が来まして、面接希望者の数が多いのでどうしますか?と連絡がありました。」
「多いってどれくらい集まったの?」
まだ募集かけて3日目よ?
「既に20人程になるそうで。」
「そんなに?とりあえず募集は締め切ってもらって午前に5人を2組午後に2組で面接をする形にしましょう。」
「かしこまりました。そのように手配してきます。少し店を開けますが大丈夫でしょうか?」
「ええ今なら少し1人でも大丈夫だからお願いするわね。」
「では、行ってまいります。」
店に残っていたお客様も帰りしばらくお客様がいないので厨房でお茶を飲んでいると入口のベルがなり誰かが入ってきた。
「いらっしゃいませ。」
急ぎつつでも慌てているように見えないよう素早く出迎えに向かうとまさかのナイジェルさんだった。
内心めんどくさいわ、と思いつつ。
「お席にご案内いたします。」
一礼してから案内しようとすると、腕を掴まれる。
「マイスィートハニーは今日も美しい。」
「あ、ありがとうございます。ナイジェル様、手を離して頂けますでしょうか?」
「いいや、今日こそは僕とデートをしてくれると約束するまでは離さないよ。それに今は他に客が居ないのだから気にする事はない、恥ずかしがらずとも良いのだよ?」
あまりのキザったらしい喋り方に気分的に胸焼けを起こしそうだわ。
タリアはまだ帰ってくるまで時間がかかるしどうしましょう。
「恥ずかしいとかではなく私はナイジェルさんとはデートをするつもりがありませんので。」
「ふぅん、そんなことを言っていいのかなぁ?僕に逆らわない方がいいよぉ?こんな店くらいパパに頼んで潰すことくらい訳ないんだよ?」
手を掴まれたまま壁際に追い込まれてしまいナイジェルのニヤケ顔が近づいてくる。
「やめてください。離して!!」
「諦めて僕のモノになれって!」
『チリリン…』
入口の扉が開き誰かが入ってくる。
「ッチ、誰もいれるな…」
「離せ」
目をつぶって必死に抵抗していたので誰が入ってきたのかは分からないけれど男の人の低い声と共にナイジェルが喚く。
「イタタタタ…お前僕の邪魔をするな!」
顔を上げると助けてくれたのは旦那様だだた。
私を掴んでいた腕を掴みひねり揚げている。
「女性に乱暴をするなんて最低だな。」
「この街で僕に逆らうなんていい度胸だな、パパに言ってお前なんか!」
「ほぉ?侯爵家の騎士である私になにが出来る?」
「えっ?騎士?!」
「入口で見張っていた奴らは既に拘束済みだぞ。」
騎士様相手に揉み消したり父親頼みのいつもの手?を使えないと悟りナイジェルは真っ青だ。
「えっとそのコレは恋人同士の痴話喧嘩ってヤツで…」
誤魔化そうとしているが無駄だろう。
「そういうことらしいが本当かな?」
優しく私に問いかけてくださる旦那様…
に、残念ながらときめかないわね。
「いいえ、しつこく言い寄られていて困っていました。今日は言うことを聞かないと店を潰すとまで脅されました。」
「お、おい!」
「だそうだぞ?あとは警備隊の方で色々話を聞かせてもらうとする。」
そう言って旦那様は外にいるほかの騎士にナイジェルを引渡しスグに戻ってくる。
私はと言うと腰が抜けてしまいその場で座り込んでしまったわ。
旦那様に情けない姿を晒したくないのに、
「大丈夫か?」
差し伸べてくれた手を借り近くの席に何とか座る。
「ありがとうございました。おかげで助かりました。」
「それはいいのだが、あぁ、赤くなっている。」
そっと手を掴み掴まれていた手首を旦那様が見ると赤くなっていた。
「あ、本当ですね。」
「スグに冷やした方がいいな。」
「あっ、自分で冷やしますのでお気にならないでください。」
「しかし、」
「もうすぐお使いに行っている店員も戻ってきますので大丈夫です。」
「ならいいが、落ち着いてからでいいから警備隊に被害届だけ出しておいてくれ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「じゃ今日は無理はしないように、また今度越させてもらうよ。」
「せっかくいらして頂いたのに申し訳ございません。」
「いいんだ。お大事に。」
うーん、旦那様もそういう気配り出来るのですね。女嫌いは、どこに行ったのでしょう?
それにしてもこういうシチュエーションって助けてくれた男性に小説だとときめく設定ですが相手は旦那様と思うと全くときめきませんでしたわ。
ランチタイムのピークが過ぎて客席にいるのは料理の提供済みのお客様だけなので呼ばれない限りは壁際で待機なので特に問題は無い。
「ええ、どうかしたの?」
「先程商業ギルドから手紙が来まして、面接希望者の数が多いのでどうしますか?と連絡がありました。」
「多いってどれくらい集まったの?」
まだ募集かけて3日目よ?
「既に20人程になるそうで。」
「そんなに?とりあえず募集は締め切ってもらって午前に5人を2組午後に2組で面接をする形にしましょう。」
「かしこまりました。そのように手配してきます。少し店を開けますが大丈夫でしょうか?」
「ええ今なら少し1人でも大丈夫だからお願いするわね。」
「では、行ってまいります。」
店に残っていたお客様も帰りしばらくお客様がいないので厨房でお茶を飲んでいると入口のベルがなり誰かが入ってきた。
「いらっしゃいませ。」
急ぎつつでも慌てているように見えないよう素早く出迎えに向かうとまさかのナイジェルさんだった。
内心めんどくさいわ、と思いつつ。
「お席にご案内いたします。」
一礼してから案内しようとすると、腕を掴まれる。
「マイスィートハニーは今日も美しい。」
「あ、ありがとうございます。ナイジェル様、手を離して頂けますでしょうか?」
「いいや、今日こそは僕とデートをしてくれると約束するまでは離さないよ。それに今は他に客が居ないのだから気にする事はない、恥ずかしがらずとも良いのだよ?」
あまりのキザったらしい喋り方に気分的に胸焼けを起こしそうだわ。
タリアはまだ帰ってくるまで時間がかかるしどうしましょう。
「恥ずかしいとかではなく私はナイジェルさんとはデートをするつもりがありませんので。」
「ふぅん、そんなことを言っていいのかなぁ?僕に逆らわない方がいいよぉ?こんな店くらいパパに頼んで潰すことくらい訳ないんだよ?」
手を掴まれたまま壁際に追い込まれてしまいナイジェルのニヤケ顔が近づいてくる。
「やめてください。離して!!」
「諦めて僕のモノになれって!」
『チリリン…』
入口の扉が開き誰かが入ってくる。
「ッチ、誰もいれるな…」
「離せ」
目をつぶって必死に抵抗していたので誰が入ってきたのかは分からないけれど男の人の低い声と共にナイジェルが喚く。
「イタタタタ…お前僕の邪魔をするな!」
顔を上げると助けてくれたのは旦那様だだた。
私を掴んでいた腕を掴みひねり揚げている。
「女性に乱暴をするなんて最低だな。」
「この街で僕に逆らうなんていい度胸だな、パパに言ってお前なんか!」
「ほぉ?侯爵家の騎士である私になにが出来る?」
「えっ?騎士?!」
「入口で見張っていた奴らは既に拘束済みだぞ。」
騎士様相手に揉み消したり父親頼みのいつもの手?を使えないと悟りナイジェルは真っ青だ。
「えっとそのコレは恋人同士の痴話喧嘩ってヤツで…」
誤魔化そうとしているが無駄だろう。
「そういうことらしいが本当かな?」
優しく私に問いかけてくださる旦那様…
に、残念ながらときめかないわね。
「いいえ、しつこく言い寄られていて困っていました。今日は言うことを聞かないと店を潰すとまで脅されました。」
「お、おい!」
「だそうだぞ?あとは警備隊の方で色々話を聞かせてもらうとする。」
そう言って旦那様は外にいるほかの騎士にナイジェルを引渡しスグに戻ってくる。
私はと言うと腰が抜けてしまいその場で座り込んでしまったわ。
旦那様に情けない姿を晒したくないのに、
「大丈夫か?」
差し伸べてくれた手を借り近くの席に何とか座る。
「ありがとうございました。おかげで助かりました。」
「それはいいのだが、あぁ、赤くなっている。」
そっと手を掴み掴まれていた手首を旦那様が見ると赤くなっていた。
「あ、本当ですね。」
「スグに冷やした方がいいな。」
「あっ、自分で冷やしますのでお気にならないでください。」
「しかし、」
「もうすぐお使いに行っている店員も戻ってきますので大丈夫です。」
「ならいいが、落ち着いてからでいいから警備隊に被害届だけ出しておいてくれ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「じゃ今日は無理はしないように、また今度越させてもらうよ。」
「せっかくいらして頂いたのに申し訳ございません。」
「いいんだ。お大事に。」
うーん、旦那様もそういう気配り出来るのですね。女嫌いは、どこに行ったのでしょう?
それにしてもこういうシチュエーションって助けてくれた男性に小説だとときめく設定ですが相手は旦那様と思うと全くときめきませんでしたわ。
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