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聴いてしまったホンネ
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「貴方が私の唯一無二の男、あの地味男は適当に相手していればいいのよ。」
妹にせがまれ連れてきた植物園の生け垣の向こう側から聴こえてきた声、しかも聞き覚えがあるとなればその発言をした者を確認したくなるのは自然なことだ。
「お嬢様にはあの地味男はもったいない、私の愛しの人は任せられない。」
「ふふ、でも家の為には結婚は必要だわ。」
「気に入りませんがそれは貴族として生まれたからには必要な事だと分かって居ますがあの男がお嬢様に触れるなんてといつも思ってしまう私は心が狭いでしょうか?」
こんな盗み聞きなて良くないのは分かるが頭から氷水をかけられたような気分でその場を動けない。
「いいえ、でも貴方の言う通りパーティーのエスコートまではまだ我慢出来るけど閨を共になんて吐き気がするわ。」
「閨の日にはアレを泥酔させてお嬢様に似たオンナを抱かせてしまいたいくらいですよ。」
「あら、それいいわね!」
「それで私たちの子が出来てもアレの子供として跡継ぎにしてしまったら消してしまいましょう。」
おいおい、この2人アタマいかれてないか?
確かに俺は伯爵家嫡男だから跡継ぎは必要になるがこんな奴に托卵されるかもしれないと分かっていて結婚などしたくない。
その後も乗っ取り計画を色々妄想してキャッキャウフフしていた2人だがしばらく盛り上がった後その場から立ち去り呆然としていたが、ガゼボで休憩している妹の事を思い出し慌てて戻る。
「おかえりなさい。お兄様」
多分妹はこの事をどこかで知って俺に見せるために植物園に誘い休憩してるから少し散歩して見頃の場所でも探しておけなんて無茶ぶりをしたんだろう。
「あぁ、、、」
どうせ知ってて連れてきたんだったら無理にさっきの事を伝える必要はないな。
なんて言ったって我が妹は恐ろしいくらいの情報通なのだから。
なんなら情報屋が開けるのではと兄は思っていしまうぞ妹よ。
「だらしないこと。」
そしてボソッ辛辣な言葉を投げつけないでくれよ。
妹が男だったら俺は跡継ぎの座をよろこんで譲っていたと思う。
前に俺がそうボヤいたらこの妹は、「めんどくさいからイヤよ。」とバッサリだったが。
とにもかくにも、この婚約を早急に解消したいところだが、実はこの婚約は政略結婚であって簡単には解消出来ないのが困りものだ。
「とりあえず父上と話をしてくるわ。」
屋敷に帰り車から降りてそのまま父上の執務室に向かう。
結論から言ってしまえば父上大激怒だったな。
そもそもこの婚約は経済的支援をして欲しい侯爵家からの頼みであって貧乏子沢山の見栄っ張り侯爵家の4女と婚約したのだが、女学院すら行ってない平民に嫁ぐと思われていた教養の足りない女を押し付けられてほとほと困っていたのは事実。
浮気自体にはショックは意外と無いが騙されていたことには動揺を隠せなかったんだよなー。
ウチは港のある領地ってのもあって商会も経営していて他国からの珍しい品専門店として裕福な家だ。
資金援助目当てだしなかなか婚約解消にはいたれないだろうなー。
と思っていたが、父上が先手を打ってくれていて、先見の明があり商売人として必要な才覚を遺憾無く発揮されていたのにはお手上げだ。
ちなみに父上のように交渉が得意なのが妹の方なので見込みのある下級貴族の次男以下を婿養子として迎え入れ商会で働いてもらう予定になっているので俺が爵位と領地を受け継ぎ商売関係は妹が受け継ぐことになっている。
【侯爵家の落ち度または花嫁が婚姻前に処女出ない場合はそれまで支援した金額の半分を慰謝料とし婚約破棄をする。】
という文言を文章の中に紛れ込ませていたんだよ。
あの二人の様子を見る限り既に処女では無さそうだしコレから調査はするがほぼ間違いなく婚約破棄できそうなので一安心する。
にしても父上は商売人としてのリスクヘッジには余念が無いのは知っていたが、ここまで想定していたのには脱帽だな。
ちなみに処女かどうかは謎魔道具があったりする。
そんなの何に使うんだろって正直思ってたけどさ王都の教会にありお布施を払えば判定してもらえるので貴族の結婚では式の直前に行ってから挙式をするのが常識となっているのだが、花嫁修業をするための女学院にも行かず平民の執事はその事を知らないため2人はバレないと思っているのだろうな。
「それで?侯爵、どういうことでしょうか?」
翌週には当事者を集めて話し合いをする場を設けることが出来たので妹が裏取りまで終わらせていたのだろうな、なんてぼんやり考えつつ父上に全て任せ他人事のようにしているのだが、
「もぉー!グチグチネチネチうるさいわ!!ウチは侯爵家、そちらは伯爵家身分はこちらの方が高いのだから少しくらい融通も効かないのかしら?頭が固い成金は嫌だわ。」
なんとか婚約破棄を避けるべくアタフタしている侯爵サマにイライラしながらずっと俺を睨んでいた婚約者が口を挟む。
「はぁ、確かにウチは伯爵家で身分はそちらの侯爵家の方が上です。しかし、縁戚関係が出来るということで多額の資金援助を婚約が決まった時からしているのはもちろんご存知ですよね?」
婚約者が口を挟むことでしかたなしに俺も口を開くが出来れば父上に任せたままで終わりたかった。
「それがなによ!我が家に貢献出来ることを有難く思いなさいよ!!」
うん、感謝の気持ちすらない清々しい程のクズだ。
「貢献って、正直我が伯爵家にとって侯爵家のと縁戚関係にはなんのメリットも無いのですが?」
「それがなによ!」
「双方にメリットの無い婚約はメリットのある立場の搾取という事になりますが?理解していますか?」
「貴方にもメリットならあるじゃない。この美人な私と結婚出来るのだから。」
うゎー世間知らずすぎるだろう。
確かにそれなりに美人なんだろうが、社交界にはもっと美人は沢山いるしちっとも魅力的では無い我儘娘なんて要らんわ。
「はぁ、例え貴女が美人だとしても私は好みでは無いのでなんのメリットにもなりません。」
不毛な会話すぎるだろ。
「なによ!女々しい男ね!」
もうむちゃくちゃだな。
「はぁ、もういいです。はっきり言いましょう。婚約時の契約書に婚姻前に処女でなくなった場合は慰謝料を払い婚約破棄を受け入れるとあるのですが貴女はその契約を破りました、なので婚約破棄をさせていただきます。」
「なっ!!!」
侯爵は娘が処女喪失してるのを知らなかったのか驚き顔面蒼白になっている。
父上が遠回しに言って侯爵家側から謝れば少し慰謝料を減額する予定ではいたのだが、このバカ娘が全部台無しにしたので契約書通りに請求するつもりだ。
「失礼な人ね!そんなの初夜を迎えるまで分からないことじゃない。」
やっぱり挙式前の検査について知らないらしい。
これには侯爵もびっくりした顔してるけどさ、教えておけよ。
「まさかとは思ったが調べる方法がある事を知らないとはな。」
「え?どういうこと?」
キョトンとしているが、貴族の常識みたいなのもだぞ。
「ちなみに侯爵、検査をさせてもらうがもし本当に処女だった場合はこちらで費用負担してもらうが万が一そう出なかった場合はそちらの負担とさせてもらいます。」
父上ちゃっかりしてるなー、検査代結構高いんだよねたしか。
「そんなのしたって伯爵家がお金積んでそっちに有利な結果にするつもりでしょ!そんなの受けるわけ無いわよ!」
魔道具による検査とは知らないんだろうがここまで来ると逆に笑えてくるな。
侯爵サマは真っ青通り越して真っ白になってる。
「貴女は本当に何も知らないのですね。検査は教会が所有している魔道具で行うため私たちがお金を渡して結果を歪めることなんて出来ないんですよ。そんな事もならっていないんですね。」
主導権が再び父上に戻ったのであとは任せよう。
「え?はぁ?」
まぁ家の妹が裏取りしているので間違いないしめんどくさいから教会いきくないんだよね。
意味が理解できず混乱している娘に侯爵が説明してやっと現状を理解でしきたらしく婚約者もさっきまでの威勢は無くなり顔色が悪くなってきている。
「さて、状況が理解出来たようなので話を戻しましょう。まだ乙女で検査を受けても問題無いと思われるのでしたら後日検査予約を当家でさせていただきますが、如何しますか?」
「え、それ受けたくないんだけど」
「別に構いませんよ?婚姻時には必ず受けて頂きますし、その時点で発覚した際は慰謝料を追加で頂く事を契約書で交わして頂けるのであれば今無理に検査する必要はありませんしね。」
父上、交渉とはいえ早く婚約破棄させて欲しいです。
「あ、そうそう。検査費用は侯爵家に毎月援助している金額とほぼ同額なのでよく考えてくださいね。婚姻時に受けて乙女出ないことが発覚した際はその直後に行われる予定の挙式と披露宴費用もそちらの負担になるので誤魔化せるとは思わないように。」
父上がそこまで言うと婚約者はガックリ項垂れてしまった。
結局あの後不貞行為を認め乙女では無いと白状したので契約書通り今までの援助金の半額を分割(領地の一部を担保にして)で返金する事になったのだが、決められた分割金が半年もしないうちに払えなくなり1年後には我が家の飛び地の領地になったのはまた別の話。
「なんにせよ無事に婚約破棄されて良かったですわね、お兄様?」
「あぁ、何も知らずに搾取されずに済んだのはお前のおかげだよ。ありがとう。」
そうそう、元婚約者は、唯一無二の男と言っていたが結局男は解雇された事によりそのまま破局し、元婚約者は隣の国の20も年の離れたそこそこ裕福な商会長の後妻に収まったそう。
『唯一無二の存在』なんてそうそうないんだからなんだそりゃって思うのは普通だよな?
なんにせよ頭の中お花畑な元婚約者と縁が切れてスッキリしたしめでたしめでたし。
妹にせがまれ連れてきた植物園の生け垣の向こう側から聴こえてきた声、しかも聞き覚えがあるとなればその発言をした者を確認したくなるのは自然なことだ。
「お嬢様にはあの地味男はもったいない、私の愛しの人は任せられない。」
「ふふ、でも家の為には結婚は必要だわ。」
「気に入りませんがそれは貴族として生まれたからには必要な事だと分かって居ますがあの男がお嬢様に触れるなんてといつも思ってしまう私は心が狭いでしょうか?」
こんな盗み聞きなて良くないのは分かるが頭から氷水をかけられたような気分でその場を動けない。
「いいえ、でも貴方の言う通りパーティーのエスコートまではまだ我慢出来るけど閨を共になんて吐き気がするわ。」
「閨の日にはアレを泥酔させてお嬢様に似たオンナを抱かせてしまいたいくらいですよ。」
「あら、それいいわね!」
「それで私たちの子が出来てもアレの子供として跡継ぎにしてしまったら消してしまいましょう。」
おいおい、この2人アタマいかれてないか?
確かに俺は伯爵家嫡男だから跡継ぎは必要になるがこんな奴に托卵されるかもしれないと分かっていて結婚などしたくない。
その後も乗っ取り計画を色々妄想してキャッキャウフフしていた2人だがしばらく盛り上がった後その場から立ち去り呆然としていたが、ガゼボで休憩している妹の事を思い出し慌てて戻る。
「おかえりなさい。お兄様」
多分妹はこの事をどこかで知って俺に見せるために植物園に誘い休憩してるから少し散歩して見頃の場所でも探しておけなんて無茶ぶりをしたんだろう。
「あぁ、、、」
どうせ知ってて連れてきたんだったら無理にさっきの事を伝える必要はないな。
なんて言ったって我が妹は恐ろしいくらいの情報通なのだから。
なんなら情報屋が開けるのではと兄は思っていしまうぞ妹よ。
「だらしないこと。」
そしてボソッ辛辣な言葉を投げつけないでくれよ。
妹が男だったら俺は跡継ぎの座をよろこんで譲っていたと思う。
前に俺がそうボヤいたらこの妹は、「めんどくさいからイヤよ。」とバッサリだったが。
とにもかくにも、この婚約を早急に解消したいところだが、実はこの婚約は政略結婚であって簡単には解消出来ないのが困りものだ。
「とりあえず父上と話をしてくるわ。」
屋敷に帰り車から降りてそのまま父上の執務室に向かう。
結論から言ってしまえば父上大激怒だったな。
そもそもこの婚約は経済的支援をして欲しい侯爵家からの頼みであって貧乏子沢山の見栄っ張り侯爵家の4女と婚約したのだが、女学院すら行ってない平民に嫁ぐと思われていた教養の足りない女を押し付けられてほとほと困っていたのは事実。
浮気自体にはショックは意外と無いが騙されていたことには動揺を隠せなかったんだよなー。
ウチは港のある領地ってのもあって商会も経営していて他国からの珍しい品専門店として裕福な家だ。
資金援助目当てだしなかなか婚約解消にはいたれないだろうなー。
と思っていたが、父上が先手を打ってくれていて、先見の明があり商売人として必要な才覚を遺憾無く発揮されていたのにはお手上げだ。
ちなみに父上のように交渉が得意なのが妹の方なので見込みのある下級貴族の次男以下を婿養子として迎え入れ商会で働いてもらう予定になっているので俺が爵位と領地を受け継ぎ商売関係は妹が受け継ぐことになっている。
【侯爵家の落ち度または花嫁が婚姻前に処女出ない場合はそれまで支援した金額の半分を慰謝料とし婚約破棄をする。】
という文言を文章の中に紛れ込ませていたんだよ。
あの二人の様子を見る限り既に処女では無さそうだしコレから調査はするがほぼ間違いなく婚約破棄できそうなので一安心する。
にしても父上は商売人としてのリスクヘッジには余念が無いのは知っていたが、ここまで想定していたのには脱帽だな。
ちなみに処女かどうかは謎魔道具があったりする。
そんなの何に使うんだろって正直思ってたけどさ王都の教会にありお布施を払えば判定してもらえるので貴族の結婚では式の直前に行ってから挙式をするのが常識となっているのだが、花嫁修業をするための女学院にも行かず平民の執事はその事を知らないため2人はバレないと思っているのだろうな。
「それで?侯爵、どういうことでしょうか?」
翌週には当事者を集めて話し合いをする場を設けることが出来たので妹が裏取りまで終わらせていたのだろうな、なんてぼんやり考えつつ父上に全て任せ他人事のようにしているのだが、
「もぉー!グチグチネチネチうるさいわ!!ウチは侯爵家、そちらは伯爵家身分はこちらの方が高いのだから少しくらい融通も効かないのかしら?頭が固い成金は嫌だわ。」
なんとか婚約破棄を避けるべくアタフタしている侯爵サマにイライラしながらずっと俺を睨んでいた婚約者が口を挟む。
「はぁ、確かにウチは伯爵家で身分はそちらの侯爵家の方が上です。しかし、縁戚関係が出来るということで多額の資金援助を婚約が決まった時からしているのはもちろんご存知ですよね?」
婚約者が口を挟むことでしかたなしに俺も口を開くが出来れば父上に任せたままで終わりたかった。
「それがなによ!我が家に貢献出来ることを有難く思いなさいよ!!」
うん、感謝の気持ちすらない清々しい程のクズだ。
「貢献って、正直我が伯爵家にとって侯爵家のと縁戚関係にはなんのメリットも無いのですが?」
「それがなによ!」
「双方にメリットの無い婚約はメリットのある立場の搾取という事になりますが?理解していますか?」
「貴方にもメリットならあるじゃない。この美人な私と結婚出来るのだから。」
うゎー世間知らずすぎるだろう。
確かにそれなりに美人なんだろうが、社交界にはもっと美人は沢山いるしちっとも魅力的では無い我儘娘なんて要らんわ。
「はぁ、例え貴女が美人だとしても私は好みでは無いのでなんのメリットにもなりません。」
不毛な会話すぎるだろ。
「なによ!女々しい男ね!」
もうむちゃくちゃだな。
「はぁ、もういいです。はっきり言いましょう。婚約時の契約書に婚姻前に処女でなくなった場合は慰謝料を払い婚約破棄を受け入れるとあるのですが貴女はその契約を破りました、なので婚約破棄をさせていただきます。」
「なっ!!!」
侯爵は娘が処女喪失してるのを知らなかったのか驚き顔面蒼白になっている。
父上が遠回しに言って侯爵家側から謝れば少し慰謝料を減額する予定ではいたのだが、このバカ娘が全部台無しにしたので契約書通りに請求するつもりだ。
「失礼な人ね!そんなの初夜を迎えるまで分からないことじゃない。」
やっぱり挙式前の検査について知らないらしい。
これには侯爵もびっくりした顔してるけどさ、教えておけよ。
「まさかとは思ったが調べる方法がある事を知らないとはな。」
「え?どういうこと?」
キョトンとしているが、貴族の常識みたいなのもだぞ。
「ちなみに侯爵、検査をさせてもらうがもし本当に処女だった場合はこちらで費用負担してもらうが万が一そう出なかった場合はそちらの負担とさせてもらいます。」
父上ちゃっかりしてるなー、検査代結構高いんだよねたしか。
「そんなのしたって伯爵家がお金積んでそっちに有利な結果にするつもりでしょ!そんなの受けるわけ無いわよ!」
魔道具による検査とは知らないんだろうがここまで来ると逆に笑えてくるな。
侯爵サマは真っ青通り越して真っ白になってる。
「貴女は本当に何も知らないのですね。検査は教会が所有している魔道具で行うため私たちがお金を渡して結果を歪めることなんて出来ないんですよ。そんな事もならっていないんですね。」
主導権が再び父上に戻ったのであとは任せよう。
「え?はぁ?」
まぁ家の妹が裏取りしているので間違いないしめんどくさいから教会いきくないんだよね。
意味が理解できず混乱している娘に侯爵が説明してやっと現状を理解でしきたらしく婚約者もさっきまでの威勢は無くなり顔色が悪くなってきている。
「さて、状況が理解出来たようなので話を戻しましょう。まだ乙女で検査を受けても問題無いと思われるのでしたら後日検査予約を当家でさせていただきますが、如何しますか?」
「え、それ受けたくないんだけど」
「別に構いませんよ?婚姻時には必ず受けて頂きますし、その時点で発覚した際は慰謝料を追加で頂く事を契約書で交わして頂けるのであれば今無理に検査する必要はありませんしね。」
父上、交渉とはいえ早く婚約破棄させて欲しいです。
「あ、そうそう。検査費用は侯爵家に毎月援助している金額とほぼ同額なのでよく考えてくださいね。婚姻時に受けて乙女出ないことが発覚した際はその直後に行われる予定の挙式と披露宴費用もそちらの負担になるので誤魔化せるとは思わないように。」
父上がそこまで言うと婚約者はガックリ項垂れてしまった。
結局あの後不貞行為を認め乙女では無いと白状したので契約書通り今までの援助金の半額を分割(領地の一部を担保にして)で返金する事になったのだが、決められた分割金が半年もしないうちに払えなくなり1年後には我が家の飛び地の領地になったのはまた別の話。
「なんにせよ無事に婚約破棄されて良かったですわね、お兄様?」
「あぁ、何も知らずに搾取されずに済んだのはお前のおかげだよ。ありがとう。」
そうそう、元婚約者は、唯一無二の男と言っていたが結局男は解雇された事によりそのまま破局し、元婚約者は隣の国の20も年の離れたそこそこ裕福な商会長の後妻に収まったそう。
『唯一無二の存在』なんてそうそうないんだからなんだそりゃって思うのは普通だよな?
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