あの人たちのその後（旦那様、わたくし家出します！登場人物のサイドストーリー）

元旦那編

幸せな同僚と情けない自分

事務員として働いて早くも数年が経った。
シェーングレン公爵夫人となったリディアが商会をたち上げその商会の支店が今いる港町にも出来た……

事務員仲間のジョーンは今度結婚するらしい。
幸せそうに笑っている彼はなんだか眩しく感じるのと羨ましくさえ思える。彼のように愛する人がいてその彼女を大切にする彼のよう自分も出来たらと自分と比べてしまう。
この数年間色々学んだ。自分は書類の上の数字しか見てなかった事を痛感したし自分の独りよがりだったと反省もした。
もちろんこれがもっと早く理解していたらと思わなくもないが結局自分のしでかしたこと、読んでもらえるか分からないが父親宛に改めて謝罪の手紙を出した。
反省して理解出来たのであれば領地の端っこの土地の管理人をしないか？とさえ誘って貰えたが、自信がなかった。
責任ある立場という状況は自分には向いていないと思うしまた同じ間違いをしたら正直怖い。
リディアへの実際の対応を自分がされていたら餓死してもおかしくない事も今では身をもって理解した。
事務員として働いている港町で海賊騒ぎがあり食料不足で街中で常にお腹を空かせている人間で溢れかえっていた時期にお腹が常に減っていると言うのはこんなにも辛いことなのかと、平民食の味が塩味しかない料理や固いパンになれるまでの苦労なんて吹っ飛ぶ程の事だった。
自分自身もかなり痩せてしまいちょうどその頃に父親からの返信があったが、そんな時に逃げるように親の与えた仕事に行くと言うのは言い出せなかったのもある。
貴族時代なら合理的では無い、利益のある方を取るのがいいと信じていたが、もちろんそれも間違えではないのかもしれないが、築き上げた信頼は一瞬で崩れるという事を今は理解している。


その後王都から騎士団も来て出世していたかつての友人を物陰から見て直ぐに身を隠す。
こんな私にあっても向こうは嬉しくないだろうし私は平民だ。貴族とはもう別世界なのだから。

自分に言い聞かせるようにしてしまうことも情けないがまだきっと自分の後悔と向き合えてないのかもしれない。
この後悔と向き合えた時には親の顔を見に行けたらと思う。

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後悔ばかり……   言い訳ばかり……
でも少し周りが見えて良かったのか？