上 下
8 / 17
家令だった男編

独白

しおりを挟む
私はかつて侯爵家の家令を務めた地方下級貴族の三男だった。
特待生で貴族の嫡男が通う学院に入り王宮官吏と貴族家の家令補佐と悩み王宮官吏で下っ端として働くよりはと家令補佐となりようやく家令として侯爵領邸を任されるようになったのは嫡男であるサウスリンド様がご結婚なさられたタイミングだった。
高齢だった前家令は引退、その他の使用人も高齢化の為このタイミングで引退もしくは王都の侯爵邸への移動で小うるさい人間がいなくなったのだ。

気が大きくなったのそういう事も重なったからで、さらに奥様はスラムに居そうな人間のようにガリガリのボロボロだった。
どんなに他人(女性)に興味のなかったとしてもこの状態を病弱と信じ込むなんてと思いはしたが、魔が差したのだ。
別邸に住まわせ月々のお手当てが若奥様としてはやや少ないと思う金額を見てコレはと思ってしまったんだ。
今思うといつかはバレることなのも分かっていたのに何故かサウスリンド様ならばバレないだろうと思ってしまった。

別邸ではなく使わなくなった庭師小屋に若奥様を連れていき平民の侍女を付け、数日に1度下男と下女に必要なものを持っていかせた。
数ヶ月たっても文句もなく特に商人を呼び寄せることも無く金を使っていないならう少し減らしてもいいだろうとどんどん減らしていった。
家令としての権力を持ち出すと同じような出身の侍女と付き合うようになり、使っていない別邸で療養に出した(小屋に追いやったとは周りにはいえなかったので)奥様が戻ってきたということにし囲った。

やりすぎたと気付いたのは奥様付きの侍女が退職し、お手当てを受け取りに来る人間が居ないことに気づいた時だった。
『家出します、探さないでください。離婚でも構いません。』
そういう書き置きを見つけた時は焦ったが、よくよく考えると既に別邸には恋人が奥様のふりをしていてそのままでいればお手当ては全額使えるし上手く行けば跡取りの問題も酔わせて恋人とした事にして我が子を侯爵家の跡取りにしてしまう事が出来ると夢にみてしまったんだ。

全てがバレてからはとんでもない夢を見ていたと自分の馬鹿さ加減に呆れる。

バレたきっかけは奥様の母親が王妃様と従姉妹だった、そしてサウスリンド様が第2王子の側近だったからだそうだ。
バレた当初はどうせ死刑かそれに近い刑になるのだからと、サウスリンド様がいかに奥様を気にかけていなかったから私が調子に乗ったんだと本人に突き付けてやったんだが、受けいられれなかったのか怒り取調室を出ていった。

あの人は書類仕事はできるからバレなかったが現場を見ない気にしないのは引き継いでからの様子で分かる。
その後奥様を探されたようだが見つかったとは聞く前に辺境に送られた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
家令の独白でした。
辺境での後悔は次話で

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

貴方の事を愛していました

ハルン
恋愛
幼い頃から側に居る少し年上の彼が大好きだった。 家の繋がりの為だとしても、婚約した時は部屋に戻ってから一人で泣いてしまう程に嬉しかった。 彼は、婚約者として私を大切にしてくれた。 毎週のお茶会も 誕生日以外のプレゼントも 成人してからのパーティーのエスコートも 私をとても大切にしてくれている。 ーーけれど。 大切だからといって、愛しているとは限らない。 いつからだろう。 彼の視線の先に、一人の綺麗な女性の姿がある事に気が付いたのは。 誠実な彼は、この家同士の婚約の意味をきちんと理解している。だから、その女性と二人きりになる事も噂になる様な事は絶対にしなかった。 このままいけば、数ヶ月後には私達は結婚する。 ーーけれど、本当にそれでいいの? だから私は決めたのだ。 「貴方の事を愛してました」 貴方を忘れる事を。

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

生まれ変わっても一緒にはならない

小鳥遊郁
恋愛
カイルとは幼なじみで夫婦になるのだと言われて育った。 十六歳の誕生日にカイルのアパートに訪ねると、カイルは別の女性といた。 カイルにとって私は婚約者ではなく、学費や生活費を援助してもらっている家の娘に過ぎなかった。カイルに無一文でアパートから追い出された私は、家に帰ることもできず寒いアパートの廊下に座り続けた結果、高熱で死んでしまった。 輪廻転生。 私は生まれ変わった。そして十歳の誕生日に、前の人生を思い出す。

一年で死ぬなら

朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。 理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。 そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。 そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。 一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・

【完結】私よりも、病気(睡眠不足)になった幼馴染のことを大事にしている旦那が、嘘をついてまで居候させたいと言い出してきた件

よどら文鳥
恋愛
※あらすじにややネタバレ含みます 「ジューリア。そろそろ我が家にも執事が必要だと思うんだが」 旦那のダルムはそのように言っているが、本当の目的は執事を雇いたいわけではなかった。 彼の幼馴染のフェンフェンを家に招き入れたかっただけだったのだ。 しかし、ダルムのズル賢い喋りによって、『幼馴染は病気にかかってしまい助けてあげたい』という意味で捉えてしまう。 フェンフェンが家にやってきた時は確かに顔色が悪くてすぐにでも倒れそうな状態だった。 だが、彼女がこのような状況になってしまっていたのは理由があって……。 私は全てを知ったので、ダメな旦那とついに離婚をしたいと思うようになってしまった。 さて……誰に相談したら良いだろうか。

その瞳は囚われて

豆狸
恋愛
やめて。 あの子を見ないで、私を見て! そう叫びたいけれど、言えなかった。気づかなかった振りをすれば、ローレン様はこのまま私と結婚してくださるのだもの。

跳ね返り令嬢、腹黒殿下に捕まります!?

さくらもち
恋愛
辺境伯と呼ばれるカロナリア伯爵家の末子で唯一の娘であるナタリアは兄たちに囲まれて育ったせいでかなりのお転婆。 社交界デビューで王都に向かう道中で山賊に襲われ撃退した後に駆けつけたこの国フォロバ王国の王弟殿下アルフォード・フォロバ様。 腹黒な王弟殿下に振り回されつつ、窮屈な王都生活を過ごすナタリアのお話です。 【旦那様、わたくし家出します!】の第2王子が10年後王弟殿下になったお話です。

処理中です...