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マールブルク家編

没落の足音

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父親の場合
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

今になって思う。
なんであそこで嫁に出したんだろうか。
アイツが余計な事をしなければきっと今も貴族でいられたはず。

マールブルク家は片田舎よりの領地持ち伯爵家で嫡男の俺は親の決めた相手と結婚したが、相手は美人だったが頭が固く融通の効かない女で早々に嫌気が差していたが跡取りは正妻の子でなくてはならないし貴族の義務として何とか娘が産まれた。
もちろん可愛いとは思えず義務は果たしたので隣領の男爵令嬢を愛人にし領境の別邸に入り浸っていた。
一応領地の仕事はしていたが彼女を喜ばせるほどの収入は厳しく領民から税を上げて暴動が起こる可能性くらいは歴史で習って知っている。
残る手は脱税と作物の横流しくらいだが、こんな中途半端な田舎の伯爵家の収支が多少変わっても王都の役人は気づかない節穴で助かったのに。

娘を産んでから体調を崩していた元妻が亡くなるのに随分と時間がかかったが無事に愛人を後妻にいれ可愛い愛娘を授かれた。
邪魔なアイツは妻が使用人のように扱っていたがいい気味としか思わなくタダで働くため儲けたくらいにしか思っていなかった。
ある日クスマウェル侯爵家の嫡男が結婚相手を探していると聞きつけアイツを売りつけて思ったより高額で引き取ってくれたのだが、それが間違いだったのだ。
女嫌いという事で普段から病弱で人見知りの激しい娘と言っておいたおかげで結婚後も静かな場所で療養させて貰えたら名ばかりの妻として結婚させますと売り込んだのだが何故か王家が我が家でアイツを使用人扱いしたりした事を気にかけて今までの脱税や横流しに気づかれた。

療養させてもらってるはずのアイツはクスマウェル家から家出をしたため本人に縋りつこうとしても無駄だと伯爵家の家財から爵位まで全て奪っていった。
妻と娘はなんとか実家の男爵家の所有する家に帰ることを許されたが私とは離婚することが条件と言われあっさり出ていった。
愛する女と思っていたのに裏切りやがって!!

金もない住むところもない、全部アイツのせいなんだ……

自分の事を棚に上げ人を恨むことしか出来ない人間はだれにも助けを求める事が出来ずにスラムにたどり着き、唯一の財産だった仕立てのいいが薄汚れた服を奪い取られ抵抗した時に負った傷が元で数日後に路地で誰にも知られることなく息を引き取ったのだった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ほぼ出てこなかった父親、ほとんどざまぁになってないですが、クズの末路としてはありがちな最後でした……

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