緑の乙女になりたくありません！！

選定編

転生しました。

転生って本当にするんだね……

前世はちょっとアホなフリーターしてた26歳でちょっと仕事忙しくて20連勤した帰り道に転んだ所までは覚えてるんだけどそこから記憶ないってことは打ちどころが悪かったかそのまま車に轢かれたか……
まぁなんにせよ今は10歳の女の子で平凡な？子爵家の次女のマリア・クリフォードになってるのは間違いないことだわ。

「それでは今後についてご説明をこの後させていただきますのでご家族とご本人は隣の控え室でお待ちください。」

ちなみに今は10歳に必ず行わないといけない属性判定の儀で緑属性を持った少女は緑の乙女として選ばれる可能性があるのでこのあと2年ちょっと候補者は神殿預かりになる。
今月の判定の儀では私ともう1人侯爵令嬢が選ばれていた。

「ふん、お前が緑属性だとはな。」
控え室に入った途端父親が鼻で笑っているが美人な姉に比べて私は平凡だから姉びいきな両親からしたら逆に邪魔者が居なくなるくらいにしか考えて無いんだろうね。
虐待とかはなかった？けど基本的に服やおもちゃは姉が飽きたものだけお下がりで今日の儀式に来てきた服も姉が1度袖を通して気に入らなかったものを着ている。
姉の時は儀式用に新調していたはず。
「まぁ、光栄な事ですし良かったわね、もし乙女に選ばれないくとも国が婚約者を必ず見つけてくれるそうだから我が家から持参金を用意せずとも済みますしね。」
母親も母親で随分な物言いだよなぁ。
前世の記憶が戻らなければ卑屈になり続けていたと思うが、前世の人格が混ざった今となってはこの親のことろにいたら金持ちのクズの後妻とかに売り払われそうだしある意味良かったのかもしれない。
「たしかに、これからはリリアーヌだけが我が娘となるのだしそれもそうだな。」
察しの通りリリアーヌは私の姉で4つ上だったのでもし緑属性でも今回の乙女選抜には入らない年齢層だった。
そもそも緑の乙女とは、豊穣の女神に愛された少女の事で12~15歳の女の子で緑属性を持つものに発現し
10年間経つと次の乙女がまた発現するのでお役御免となるのだが、神殿は10歳の儀式の時にその年頃世代になると緑属性の少女を神殿預かりにして乙女候補者の教育を行う。
貴族、平民関係なく乙女は発現するのだが、貴族女子はこの年頃には婚約者が決まってしまうので乙女に選ばれなかった15歳の候補者が結婚出来なかった事が続き反発が大きかったことでそれ以降候補者は乙女が発現してお役御免になったら国が婚約者を見つける事になったのだ。

とにかく虐待こそしていないがお金と愛情はかけて貰えない家族よりも俗世を離れて乙女候補になるのはありなのかもしれない。
でも実際に緑の乙女になるのはめんどくさいしイヤだな。
転生もののテンプレで選ばれたりとかしないよね？

「それでは明日の正午にまたいらしてくださいね。」
説明が終わり今日は急だということで最低限の荷物は持ち込み可能らしいので荷造りとしばらく家族には会えないので名残惜しむ時間として1晩帰宅出来るという事らしいがきっといつも通りなのだろう。

「お嬢様、お身体には気をつけてください。」
そう言ってわたしを抱きしめてくれているのは育ての母と言ってもいい乳母だ。
元々この属性判定の儀をもって乳母は卒業って感じに世間的にもなっており侍女として働く事もあれば家庭に戻る事もあり、姉の乳母は侍女として未だに姉のそばにいるが、私の乳母は今夜までで退職となり明日の朝イチで子爵邸を出て行くことが決まってはいたが、まさか私までこの家を出ていくことになるとは思ってもいなかった。

「ええ、でも逆にお手紙を受け取りやすくなるのだもの、遠慮しないでお手紙をかけるのは嬉しいわ。」
「マリアお嬢様ったら、お手紙お待ちしておりますね。」

荷造りは簡単に着れるワンピースと下着を数着、簡単な裁縫道具に乳母から貰った誕生日プレゼントのリボンやハンカチだけだったのであっという間に終わる。

明日からどんな生活が始まるのか分からないが、疲れていたのかすぐ寝てしまった私は神経図太いかもしれない。