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最恐騎士になった人

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 リゲルは自室で倒れてから1週間、目を醒まさなかった。その間、ベッドからメイは祈り続け回復に努めた。不思議なことに、あの夜から、満月は続き色が付いていた。薄っすらとした薄紫の・・・・・・何かの吉兆を知らせるような満月。
 メイは媚薬により身体の酷い疼きなどの治療を終えて、徐々に回復し体調が落ち着いた頃。魔法士長と司祭長に呼ばれ王宮へと足を運んだ。そこには、魔法士長と司祭長だけでなくシェノン殿下の父、つまり、リエル国国王と王妃も控えていた。敢えて謁見の間ではなく、陛下たちの私的な応接間だった。

 「メイ・ドライモス嬢。このような時に申し訳ないが、我々からの話しを聞いてもらえたらと招いた」
 「緊張しないで、というのも無理ないわね」
 「陛下と王妃様もご同席だったのを今しがた知りましたが・・・・・・大切なお話なのだと思います」
 「ふむ・・・・・・シェノンが言うよう、彼女はあのハルには少々勿体ないほどだな?」
 「ゴホンッ、陛下。本題がそれてしまいます」
 「あぁ、すまない。魔法士長・・・・・・学園で君に降りかかっている事態と兄君リゲルの件、そして薄紫に色づいた満月・・・・・・君はどう感じた?」
 「っ・・・・・・恐れながら・・・・・・魔災の前兆と」
 「メイ・ドライモス嬢、そなたは・・・・・・聖女として覚醒しつつある。いや、すでに覚醒していると言っても過言ではない」
 「せ、い、じょ?」

 そこからは、魔法士長と司祭長が時系列を踏まえ説明してくれた。自身の2つの魔力や様々な色の魔力。そして、【心地よい良い力】だと言っていたこと。魔力制御を学ぶ機会が、聖女なのか否かを見定めてきていたこと。当初の魔力鑑定の時点で、【初代聖女】と同等の力を持っていることが先日の学園で襲われた後の治療で分かった。
 この件を知っているのは、シェノン殿下もだという。彼は、学園での生徒会という仕事の一端で彼女を学園内に起きている魔災の一因を探ってきていた。護衛としてハロルドやリゲルが付いていたがものの、ハロルドの魔力制御の乱れに先日のメイへの襲われた件でリゲルが謎の眠りについてしまった事。
 一刻も争うこととなりメイは王宮に呼ばれ、事情を伝えられた。その話しを聞いてから直ぐに、メイは王宮内の教会で聖女としての力の開花と、安定させる鍛錬を行うこととなったが・・・・・・聖女の間に、ハロルドが居た。魔法剣士としての騎士服ではなく、教会で聖女の護士ごしとしての服。この服が、とにかく彼の逞しい胸をはだけた襟にスリットの入った長い丈の薄地の白い上着に、着脱しやすいズボン。聖女の護士は、絹の白い服を着る。彼の身体が、身体の逞しさを強調させるカタチになっており、メイは顔を赤らめて視線が泳いだ。
 アレだけ触れ合いをしていても、口づけを何度もしていても・・・・・・愛の誓いを立てられた後なので、余計に意識していた。
 ゆっくりと歩み寄り、彼はメイに跪いた。
 彼女も聖女の鍛錬を積むための服になっているがソレもとても色香を増すものだった。花の刺繍が施されているが、彼女の身体の線を綺麗に強調し育ち始めて豊かになってきている胸を柔らかに包み込んで胸の下に紐で結んで強調している。その紐が強すぎず弱すぎずの力で、一度結ぶと魔力により力が入り胸の頂きを刺激する。聖女も護士も、力の開花と安定のために触れ合いを前提とし、身も心も互いに触れ合い結びつきが強くなるとそれだけ聖女の力も護士の力も強くなる。
 魔災を防ぎ鎮める力を、学園が夏休みに入りこれから休みの3カ月間2人きりで殆ど過ごす。もちろん、眠りについたままの兄リゲルへの心配もあるが、聖女としての力を開花し安定できればリゲルを目覚めさせる事ができると司祭長は言ってくれた。

 「メイ・・・・・・いえ、ここではメイ様とお呼びします」
 「でも、いつもと同じでわたしは・・・・・・」
 「メイ様、3カ月間よろしくお願い致します。そして、鍛錬後も貴女様を護らせて頂きたい」
 「ハロルド様・・・・・・わたしからもよろしくお願い致します」
 「・・・・・・司祭長からは自分が鍛錬書を一読するよう言われ、全て読みました。メイ様には鍛錬の・・・・・・力の開花のため、ふっ、ふれ、触れ合いをします」

 顔を赤らめ少し詰まる時もありつつも真剣な表情でハロルドは言う。その真っ直ぐな瞳は、恐いというより優しく思えた。あぁ、何故周りの女性たちは彼の顔立ちが恐いといい近づかず本当の優しさに気づこうとしないのだろうか? こんなにも周りの友や愛する家族にも大事に想っている人だというのに。
 ぼんやりと彼を見つめてそう考えていると、ハロルドの大きく節ばった手がメイの頬を包み込み口づけを優しくし始める。甘い吐息が漏れ、彼のズボンの下腹部は滾り始めを象徴した。身体が密着し下半身に雄の滾りを感じさせる。口づけは啄むものから、舌が口の中に滑り込み舌と舌を絡め唾液で水音をたてはじめる。唇の重なるすき間から互いの息が漏れて、甘く激しい息をする。
 唇がゆっくり耳たぶ、首筋へと降りて口づけていきながら大きな手は彼女の胸を包み込み柔らかく時折強く刺激していく。ビクリと身体を震わせながら、甘い声で彼の名を呼ぶのが止まらず、喘いでしまう。下腹部に当たる彼の滾りの熱がさらに増したのを感じながら、彼の熱をあげようと腰が揺れ動き始める。身体の触れ合いが1日目で激しい愛撫で終わると、2日目、3日目と続き・・・・・・メイは、あやは、身体の変化に気が付いた。両手の護りの紋様が今まで以上にハッキリと出始めた。そして、彼女の下腹部にはハロルドが手の甲につけた紋様と同じ紋様が薄く浮かび始めた。
 内心、「淫紋?」って思った。【聖杯の乙女】とはいえ、あやにとってはもうここは自分が住む世界なのだから・・・・・・聖女様の出てくる絵本に、下腹部に護士からの護りの紋様のあった記憶もある。魔災を鎮める時、聖女を護る魔法剣士が2人いたような・・・・・・あの絵本を、司祭長さまにお願いして王宮の図書館か教会の図書館にあれば借りようと思った。

 「司祭長さま、あの・・・・・・」
 「いかがなさいましたか? メイ様?」
 「聖女様の、初代聖女様が魔災を鎮めた絵本がありましたら借りたいのです」
 「絵本? わたしが司祭長を務め始める前から様々な文献を目に通しましたが・・・・・・そのような絵本は聞いたことは・・・・・・調べてみます」
 「・・・・・・はい・・・・・・・」

 絵本がない? どうして? わたしは確かに、レディ・サディラン先生の授業でも何度も繰り返し読んでいたし。司祭長が知らない絵本? どういうこと?
 聖女としての鍛錬、つまりはハロルドとの触れ合いを始めて1カ月経った頃に絵本に関して司祭長から分かったことがあるということで部屋に伺った。その場に、ハロルドも同席をしていた。

 「メイ様に頼まれ探した絵本は、残念ながら存在しませんでした」
 「存在、しな、い?」
 「はい。もちろん、レディ・サディランにも聴き確認致しました。彼女は確かに、メイ様が何か絵本を読んで聖女様の話しをしていたのは記憶してましたが・・・・・・ドライモス家には、その絵本はなかったのです」
 「わ、わたしは・・・・・・」
 「メイ様の記憶違いではないのは分かっております。つまり・・・・・メイ様のもう一人のメイ様と言うべきでしょうか? その方の記憶が、この国の初代聖女様の絵本としてなっていたかと・・・・・・」
 「司祭長様、メイ様はメイ様では? もう一人のと言うのは・・・・・・」
 「ハロルド殿、この状況で申し訳ない。メイ様は2人の魂を1つの身体に宿しておいでなのだ。それ故、魔力制御が難しい時期が長く・・・・・・逆に2人の魂が反発せずに重なり合い1つになり始めている今、ハロルド殿が傍に居て欲しいのだ」
 「俺? 何故? それは、リゲルが・・・・・・」
 「ハロルド様、リゲル兄さまは確かにわたしを支えてくれました・・・・・・でも、わたしが傍に居て欲しいのは違うのです」
 「その先は、お二方でゆっくり話していける時間はありますから・・・・・・その絵本は・・・・・・」

 司祭長の説明をひと通り受け、絵本はあやとしての記憶から生まれたモノであると判明した。魔道具で記憶の欠片を拾い集めたが、絵本は確かに存在したが、実際にはその後、メイが読み終えて本棚にしまうと絵本はゆっくりと影も形もなくなって。メイが本棚から絵本を探し取り出そうとすると具現化していた。
 魔法士長もその現象には驚いていたが、彼の記憶の中にも、彼女が確かに聖女が魔災を鎮める絵本を抱えていたのは覚えていたのだ。

 2カ月目に入ると、ハロルドからの触れ合いは激しさを増した。愛撫は唇だけでなく、彼女の秘部を濡らし刺激していく。喘いで彼にしがみついて、名を呼ぶ。腰が厭らしくも自然と動き、彼の熱を刺激している。ズボンからするりと出した滾った熱で彼女の秘部を布地越しに擦り、雄で刺激する。
 1週間続くと、メイは寝所で彼のあの熱い眼差しを想いだし身体が火照る。同時に、彼への想いが強くなっていっている自分がいる。メイとして、あやとして、彼を好きな気持ちが強くなり彼の傍に居たい。彼と愛し合いたいと。
 その思いも裏腹に、兄リゲルは未だに眠りからは覚めない。彼女が教会の祈りの間から願っても、リゲルの傍で声を掛け願いたいと思った。彼に直接届けなければ、意味をなさないから・・・・・・。意地悪なところがあるけれど、意外と寂しがり屋で、妹のわたしを溺愛しすぎて心配性で嫉妬深くて・・・・・・だけど、憎めない。だから、彼に言いたい。大好きなお兄ちゃんだと。
 最初は、すごく嫌われていたのも分かっていたけど・・・・・・こんなに大事にしてくれた事、護ってきてくれたこと、大事にしてくれている事。全て、彼の愛だと知っていると。

 「っ、はぁ・・・・・・ハロルドさ、まぁ・・・・・・」
 「メイ様・・・・・・はぁはぁ・・・・・・今は、今だけで構わない、俺だけを・・・・・・」
 「っあ、ハロルド様好きっ、好きなのっ・・・・・・あぁっ!!」
 「っ? メイ? 今、俺を好きって・・・・・・言った?」
 「えっ、あ、あのっ・・・・・・わたし、ハロルド様のこと。好きですっ!! お慕いしてます!! こ、こんな状況になって、そのなんというか・・・・・・わたし、ずっとお兄さましか頼る人いないって思いこんでいたけど。だんだん、周りの他のひとにも頼れる人いるってわかるようになって・・・・・・・」
 「~~っ、俺はずっとあなたがリゲルしか見てくれないと思ってしまっていて・・・・・・アイツの想いも分かっていて・・・・・・敵わないと、伝えても叶わないと」
 「お兄さまは大好きですが、ハロルド様への好きとは違う好きです。その、ハロルド様は異性として好きで・・・・・・お兄さまは推しなんです」
 「んっ、推し? とは?」
 「えぇっと・・・・・・話すと長いですが・・・・・・」

 そこからは、自分のあやとしての記憶も話した。『推し』の説明を踏まえて。『推し』に関しては、彼は最初は不思議な顔をしていたが例えてみたりして話したら「リゲルで言うなら、メイが推しということかっ!!」と変な繋がりにたどり着いた。いや、間違っていないような、違うような? お兄さまに関しては、メイへの想いは本気なので推し以上なので、アウルが言う【変態兄貴】確定なのです。が・・・・・・。
 2カ月目が終え、司祭長が聖女の力と護士としての力の覚醒と安定が見受けられたのか、満月に薄紫の色が無くなり、月もいつもの月の動きへと変わったと聴いた。そして、教会の祈りの間で祈りを捧げると柔らかな光が教会から発し、王都に温かな魔力が包み込まれた。魔災の前兆で、抑え込まれた負の感情を吐き出しはじめていた貴族の一部は、我に返ったようになり同時に何かが落ちたように政務に邁進し家族に謝罪し大事にした。王都に住む平民も、何かが抜け落ちたように気持ちが晴れやかになったと口々に言う人が増えた。

 一方で、マノンの開花し増幅した力は落ちることなく学園が夏休みの間をいいことに、学園の教育棟を淫欲の巣窟と化した。男性講師や男性教師らが日に日に彼女の命令に逆らえない、既に崇拝し行動に移している。自身の淫欲にも逆らえない状態から、その欲を常に留めず逆に高めていくために【秘薬】を飲用していた。連れ込んだ女性にも【秘薬】を混ぜ込んだ飲み物をまず飲ませてから逆らえない餌食にし、教育棟で飼うようにした。
 教育棟は、学園の敷地の外れにあるリエル国建国の際に出来た懲罰棟だった。小さな窓に、ベッドがありトイレとシャワーが浴びれるが食事は運ばれる物以外口にできない。飲み物は、常備されていたが【秘薬】が混ぜ込んだモノ。棟は螺旋階段の様になっていて、階段を何段か昇ると小さな踊り場があり棟の外側に1つと部屋の入り口が出てくる。
 貴族子女や王都の平民女性が、ちらほらと数日行方が分からないと思うと戻ってくることが増えた。完全には行方知れずではなく、数日の無断外泊という状況で帰ってこないわけではない。親が問い詰めても、彼女らは友人と過ごして楽しくなってしまい泊りふけってしまったと繰り返す。そのうち、娘の友人も一緒にいなくなるので、遊びに行っていると勘違いしていた。貴族子女は1人ではなく、付きの侍女か侍従が一緒だったからだ。

 教育棟に着いた貴族子女は、侍従との立場が逆転し数日支配され愉悦に浸り淫欲を開花され、侍従に支配される喜びと与えられる快楽に堕ちている。学園の休み明けが近づく中、彼女は屋敷の人気がない場所で「っ、ご主人さっまぁ・・・・・・我慢できないのです・・・・・・ご主人様の大きくて力強くて熱いのが欲しいです」と懇願し始めた。その子女が侍従との支配関係が屋敷内でも逆転し始め、彼女は彼から与えられる快楽の支配が堪らず厭らしい下着の着用の命令も受けた。

 「お嬢様? 本当に、このような・・・・・・破廉恥な下着を・・・・・・」
 「あら、これは破廉恥ではないのよ? 今、王都中で密かな人気で殿方と想いが通じ合える恋の道具アイテムなのよ。あなたも付けると良いわよ? 想い人と気持ちが通じるわ」
 「そ、そういう恋の道具だったのですね。てっきり・・・・・・こう、革状の紐で胸など強調しておりますし。付属の香油も不思議な色だったものですから」
 「これも恋の道具のひとつの飲み物よ、1つ差し上げるわ。たしか、あなた執事長を想っておいででしょ?」
 「っ、あっ、その・・・・・・はい・・・・・・」
 「今、飲めば、きっと大丈夫よ」
 「試しに、い、頂きます・・・・・・んっ、ごくっ。不思議な味で、何だか、っ、身体がポカポカします」
 「ふふっ、うまくいくといいわね?」

 侍女は貴族子女からもらい受けたのが【秘薬】だとは知らなかった。執事長も侍従から【秘薬】を貰い飲んでしまった。わざと2人が組み合わさるよう、貴族子女は屋敷の奥の東屋でお茶をした。侍女は想い人の執事長の横で仕事をしている中、身体の火照りと疼きがとまらない。執事長も侍女に密かに想いを持ち、下腹部の熱い滾りがズボンから強調するような下着を侍従に勧められて履いてしまっていた。滾りがその下着によりギシギシと雄を緩急の締め付けをし、まるで扱かれているような心地と目の前の侍女の胸の頂きの尖りに気づき唇を舌で軽く舐める。
 お茶会が始まってから貴族子女は侍従と姿を消した。いつの間にか2人きりになって、テーブルに残された【秘薬】を執事長は疑いもせずに1瓶飲み干す。そして、侍女に口移しで1瓶呑み込ませた・・・・・・彼女の身体の柔らかさ、待ち望んでいたかのように潤んだ瞳に耐え切れず自身の滾った雄を彼女の秘部に打ち込み緩急激しく打ち付けていき、その間、テーブルにあった大きな籠に入っていた【秘薬】を口にし侍女に口づけしながら供に呑んだ。
 侍女は執事長と呑み干した瓶を籠に入れて持ち、姿を数日消した。

 【秘薬】を開発した雑貨屋は、本来は【聖杯の乙女】では作れない道具アイテムだった。それをマノンは自分の思うがままに創らせた。自分が開花した力を加え、雑貨屋の職人たちに開発の力を開花、増幅させた。雑貨屋は若夫婦が営んでいたが、2人は清い交際の後に結婚した・・・・・・結婚しても、なかなか進展がいかない夫婦関係をマノンは知り、アイテムの開発と同時に彼らの欲を歪ませて出した。
 夫婦の関係は、淫欲に呑み込まれ特に夫は妻に対して執拗な責めと始終感じさせて横に置いてどこまで・・・・・・を楽しみ支配する欲を持った。


 今回の魔災が淫欲に対して強く出始めているのを巡回する騎士たちや王都内の教会などから話しを聞いた王宮騎士団は、対応策としてメイが祈りを込めた魔石の護りを首飾りや手首の飾りにし巡回する騎士たちに持たせた。そして、街中に徐々に祈りを込めた魔石を飾りの一部のように石職人により埋め込めて、王都の街中に護りの紋を作り始めた。
 護りの魔石作りは、とても魔力を込めてつくるためハロルドが護士としてメイの傍に寄り添い、力の安定のためにも毎日触れ合いは欠かせなかったが。既に彼女の気持ちを聞いた彼にとては、彼女と愛を確かめ合う時間となっている。

 最初はうまくいっていたマノンの雑貨屋への【秘薬】の販売も、夏休みの後半になるとかんばしくない。売り上げだけでなく、雑貨屋夫婦が、「マノン様、これ以上は・・・・・・」と言い出したのだ。

 「なんで?! なんでよっ!! 全部、ぜんぶっ、アイツのせいっ!! 赦さない、赦さない!!」

 その禍々しい呪文のように言う、彼女は指の爪をギリギリと噛み。足元から地面へと何かを注いだ。一瞬地面が揺れたと思った雑貨屋夫婦は、彼女が吐き捨てるように言って出ていった後、記憶が混乱した。

――教会 祈りの間――

 護士となって2カ月が過ぎ、メイとの時間はより深く感じられていた。彼女を聖女として支えるだけでなく、1人の女性レディとして愛している事をはっきりと自覚した。故に、困ったことが生じてきている。彼女の匂いを感じただけで、興奮が激しいのだ。下腹部が熱く、滾りが一度始まると彼女と護りの魔石作りで想いと護士としてのエネルギーが強くなり、彼女が喘ぎ泣いて懇願してしまう。

 「っ、はっ、はぁ!! メイ、もっと力を・・・・・・こう、君に・・・・・・あぁ、君の愛らしい表情と声が堪らない!!」
 「ひあぁっ!! はろ、るど、さ、まぁ!! あぁっ、いっ、あぁん♡ ダメぇ!! 力が大き過ぎちゃうぅ!!」
 「くぅっ、はぁ、はっ、ナカにれたいがっ・・・・・・もぅ、少し、君をっ!! あぁ、すごい、こんなにも力がっ、メイ愛してる!! 愛してる、メイ~~!!」



 教会中に響いているとは知らないハロルドの雄たけびが、司祭長の悩みでもあった。

 「王都は少しずつ落ち着き始めてはいますが・・・・・・護士である、ハロルド殿は何かふっきれたかの様に、こう、凄いですなぁ・・・・・・陛下」
 「う~ん、予想以上の魔法剣士としての力の開花だけど・・・・・・私のいる宮殿の執務室にも時折聴こえてくるんだよ・・・・・・ハロルドの愛の雄たけびが・・・・・・」
 「魔法士長に防壁の魔法はしていただいたんですが・・・・・・毎日、魔法をかけ直さないといけない状態でして」
 「ドワーノ君はどうだろう? 彼は時期、魔法士長候補だったね?」
 「明日、魔法士長にも伺ってみます。我々で、何とか彼の雄たけびは、これ以上、響き渡らせないようには努力いたします」
 「最悪、コレで眠っているリゲル君が目覚めたらスゴイ事になりそうだが・・・・・・」

 半分深刻に悩み、半分はハロルドの状況が違う意味で面白がっている国王だったりするのはシェノン殿下の父というのが伺える。司祭長は、「そんな都合良い話しはないでしょうが」と苦笑いをした。しかし、翌日、ドライモス家より『眠っていたリゲルが突然目覚めたと思ったら、「あの不届き者がぁーーーーーー!!」と叫び飛び出していった』と連絡が入った。
 どこでどう見つけたのか、王宮の教会に眠っていたはずのリゲルが現れ、触れ合いの真っ最中だったメイとハロルドの間に入り、回し蹴りでハロルドを壁にぶち込んだ。メイは、あられもない姿で、体中にハロルドの愛撫によるキスマークがはっきりと・・・・・・。

 「俺のメイが、メイがっ、けがされた―――――――!!!!」

 叫び、悲嘆にくれ始めたかと思った男は、壁にぶち込んだ男に「邪魔するなっ、この変態兄貴がっ!!」と言われる。
 それから小一時間、2人は両手で組み合い、力が互いに同等だったのか微動だに動くことなく・・・・・・メイの、「それ以上、喧嘩を続けるのならわたしは知りません!!」のひと言で組み合っていた手を解き、彼女にひたすら頭を下げた。
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