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第四章 ~幽霊屋敷(ゴーストハウス)編~

67 新・結界魔法

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――シュンッ!シュンッ!シュンッ!シュンッ!シュンッ!シュンッ!

グリムリーパー怒涛の連続攻撃―。

レイ達は必死にその攻撃を躱していた。


「……本当にもうヤバい!いつ食らっても可笑しくねぇ!」

「こっちからも反撃しないとダメだ」

「どうやってよ!攻撃全部当たらないのよ」

「じゃあこのまま食らうの待つのかよ!」

切羽詰まる状況に、レイ達にも焦りが生まれていた。
しかしそんな言い争いに関係なくグリムリーパーはその大鎌を振り回す―。

「こりゃ喋ってる場合じゃッ――⁉⁉」

攻撃を躱そうとした瞬間、レイが床の穴に足を取られた。
度重なる攻撃で、床のあちこちが剥がれ抉られていたのだ。

(やっべ……⁉)

「「――レイッッ!!」」

一瞬の出来事。
床に倒れるレイ目掛け、グリムリーパーは大鎌を振り下ろした。

――パァァァァァァァンッ!!

思い切り大鎌を振り下ろしたグリムリーパーの攻撃は、レイを捉える前にリエンナの結界陣によって“弾かれた”―。

「リエンナ……?」

「大丈夫ですかレイさん!」

少し離れた所にいたリエンナがレイの元へと駆け寄っていく。
レイの頭上には、割れることなく眩い光と共に出現していた結界陣があった。
そこへランベルとローラも駆け寄る。

「サンキュー、助かったぜリエンナ!もしかしてコレ……上手くいったのか?」

空中に現れている結界陣を見てレイがリエンナに聞いた。

「そのようです。まだ完璧に扱える訳ではありませんが……これ以上皆を傷つける事は私が許しませんグリムリーパー!」

いつもの柔らかな雰囲気とは少し違い、そこには力強く頼もしいリエンナの姿があった。

<出来た様だなリエンナ>

「ええ。ありがとうございますドーランさん」

<ならばもう奴に用はない。この勢いのままそろそろ片付けといこう。リエンナ、今度は奴の攻撃をそのまま奴へ跳ね返すんだ。そうすればダメージを負う。だがそれだけでは奴を完全に葬る事は出来ぬ……弱ったところで結界に閉じ込めるんだ。その跳ね返す結界で敵を閉じ込めれば、実体のない奴を消滅させる事が出来る>

「そんな事まで……。分かりました!兎に角やって……いえ。必ず次でグリムリーパーを倒します!」


リエンナvsグリムリーパー 戦闘開始―。


「$ヴ%バ&'ァァ"……!!」

一瞬動揺が見られたグリムリーパーであったが直ぐに立て直し、一か所に集まるリエンナ達目掛けて攻撃態勢に入った。

リエンナ達向かって一気に距離を詰めるグリムリーパー。
凄い速さで目の前まで迫ってきたグリムリーパーは、今まで攻撃とは明らかに違う不気味な魔力を全身に……更に大鎌にまで纏わせ放とうとしていた。

これまでは本気じゃなかったのかと思う程高められた魔力。
グリムリーパーはこの一撃で終わらせようとしている様だ―。

当たれば間違いなく“死”―。

覚悟を決めたリエンナが一番前でグリムリーパーの攻撃を受け止めに入った。

「……ドーランさん!失敗したらカバーお願いしますね!」

<任せておけ>

良くも悪くも開き直ったリエンナは自然と肩の力が抜けていた。

「$ヴ%バ&'ァァ"!!!!!」

グリムリーパーは呻き声と共に、強い魔力を纏った渾身の一振りを放つ―。

水が流れる如く、静かだか強い魔力が流れるように高められ、六芒星を描いた結界陣が光り輝きながら現れた。

「“反射する結界アクアリフレクション”!!」


――まさに一瞬。

グリムリーパーの大鎌がリエンナの結界陣に直撃するとほぼ同時、グリムリーパーから繰り出されたその攻撃は結界陣によってそのままグリムリーパー自身に跳ね返された―。

「$ヴ%バ&'ァァ"⁉⁉⁉」

結界陣の凄まじい光と共に、グリムリーパーは瞬く間に数メートル以上吹っ飛ばされ動かなくなった。

<今だリエンナ>

ドーランの指示でリエンナは休む間を与えることなくグリムリーパーを結界に閉じ込める。

「“掌握する結界アクアエタンドル”!」

両手を前に突き出し、リエンナは結界魔法で倒れたグリムリーパーを結界内に閉じ込めた。
通常のリエンナの持ち技である“エタンドル”は、ただ結界で敵を閉じ込めるだけであるが、今回生み出された新・結界魔法ではドーランの言う通り、結界内に閉じ込めた敵を消滅させる事が出来た。

閉じ込めたグリムリーパーは全く動く気配が見られない。
リエンナが突き出していた両手でパンッ!と叩くと、一瞬強い光を放った結界がそのままグリムリーパー共々消え去ってしまった。

「ふぅ……上手くいったのかしら……?」

<ああ。成功だ。奴の魔力が完全に消えたぞ>

「すげーリエンナ!何だよ今の!」

「倒しちゃったのよね……あのグリムリーパーを……」

終わってみればあっという間の出来事。
今まで目の前にいた不気味なモンスターが消え、そこには静かな時間が流れていた。
張りつめていた緊張の糸が切れた皆はその場に座り込んだ。

「あ~危なかった~。一時はどうなる事かと思ったぜ」

「リエンナありがとう!助かったわ」

「いえ、何とか上手くいったみたいで良かったです。ドーランさんありがとうございました」

<これは主の力だリエンナ>

「そうそう!マジで凄かったぜ!それにしても厄介なモンスターがいるもんだなッ……「――お兄ちゃん達!」

レイの言葉を遮る様に、慌てて部屋に走り込んできたのはルークとネルだった―。
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