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第四章 ~幽霊屋敷(ゴーストハウス)編~

61 小さな双子

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「おいおい……今の一瞬で何処まで行ったんだよローラの奴」

「そこそこ広いから逸れると手間だな。ランベル、リエンナ。俺がローラ連れてくるからここで待っててくれ!」

「分かりました。お願いしますね!」

ローラを見失ったレイ達。
レイが連れてくると言ったので、ランベルとリエンナは入り口正面の大きな階段で待つ事にした。

すると、屋敷の何処か奥の方から再びローラの叫び声が聞こえた。

「元気だなぁアイツ」

「ランベルさんが余計な事するからですよ」

二人は階段に座りレイとローラを待った。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「――おーい!ローラ!何処だ~!」

ローラを探すレイ。

すると、レイがいる所から少し先の方でローラの叫び声が聞こえてきた。

「あっちか……」

声がする方へ急いで向かう。

「どこにいるんだー!」

「こ、ここッ……!ここよレイ!」

ある部屋の机の蔭へと隠れていたローラ。

「こんな所にいたのか……早く行くぞ。ランベルとリエンナも待ってる」

「ちょ、ちょっと待って……!また“いた”のよ今!」

「また言ってんのか?しつこいぞ流石に」

「だから見間違いとかじゃなくてホントにッ―――ギャァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!!」


屋敷中……いや、それ以上に響き渡る断末魔の様な叫び声―。
遡っていた話がここで元に戻る―。



「――うるさいな!いちいち何なんだよお前!」

「だって今何かそこにいたわよ⁉⁉」

「だから気のせいだって」

「違うっ!!絶対なんかいたってば!」

一階の広いリビングでローラを見つけたレイ。騒ぐローラを無理矢理連れて行く。
これでやっと調査が出来ると、レイ達はランベルとリエンナが待つ階段まで戻って来たのだが、そこにランベル達の姿が見られなかった。
トイレでも行ったのかと、辺りをきょろきょろ見回すレイ。

「そんなに怖いならここで待ってろよ」

「嫌に決まってるでしょ!一人の方が怖いわッ!」

「面倒くさい奴だな~……。それにしても、ランベルとリエンナは“何処行ったんだ”?」

試しに五分、十分と待ったが来る気配がない。

「なんだよ。順番に迷子になりたいのか皆」

「ねぇレイ……。ひょっとして何かに連れて行かれちゃったんじゃない……?」

「お前自分でどんどん怖い方に行ってないか?しかも連れて行かれるってお化けに?そんなのいる訳ないだろ!仮にモンスターとかが出たとしても、ランベルもリエンナも強いんだから大丈夫だ」

「じゃあ何で二人共いないのよ⁉」

「知らないよそんなの。元はと言えばお前がっ――「ギャァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!!!!!」

もう何度目か分からないローラの悲鳴。
鼓膜が破れそうな発狂にレイも我慢の限界がきた。

「……っとにマジでいい加減にしろ!!こんなんじゃ何も進まねッ……⁉」

腰を抜かしその場に座り込むローラに、怒りの喝を入れようとしたレイだが、そのローラが顔面蒼白で口を開けたままレイを……いや。レイの“後ろ”を何か指差していた―。

その気配にレイも気付いたのか、途中で言葉を止め後ろを振り返った。

するとそこには何とも恐ろしい人ならざる者の姿が―。









…………………………あった訳ではなく、レイとローラの視線の先には二人の子供がいた―。


「子供?」

「あ、あ、アンタも見えてるのよね……?あの子達……」

取り敢えず自分だけでなく、レイに二人の子供が見えていた事に少し安心したローラ。
しかし問題はそこではない。

「君達こんな所で何してるんだ?」

この屋敷にはレイ達以外誰もいないはず。
レイがその二人の子供に話しかけた。

「僕達が“視えるの”?お兄ちゃん達」


「出たァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」

まさかの子供の言葉に、一瞬で背筋が凝ったローラは思いっ切り叫んだ。

「見えるに決まってるだろ……あ!ひょっとしてお化けごっこしてるのか」

「そうじゃないでしょ!!こんな所にいるなんて明らか可笑しいわよこの子達!!」

呑気なレイに、ローラが怒りのツッコミを入れる。

確かに、こんな所に人がいるのは可笑しかった。
それもレイ達よりも歳が下の子供が二人。一人は男の子でもう一人は女の子。

想定外の状況に頭を悩ますレイだったが、更に想定外の言葉が女の子から発せられた。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん。一緒に“皆”を探して?」


レイとローラは黙ったまま顔を見合わせるのだった―。

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