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第三章 ~パーティ結成編~
55 雪崩
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モゾ……。
モゾモゾ……。
………………………………ンボッ!!
「――いっってぇぇぇぇぇぇぇッ!!絶対頭割れたぁぁぁ!!」
この一瞬で一抹の不安が吹き飛び、ランベル以外の皆は彼がちゃんと無事である事を確認出来た。
当の本人は「頭が割れてる筈だ!」と一人大騒ぎをしているが、割れるどころか切り傷一つ付いていない為もう誰もランベルを気遣っていなかった。
それよりも何故猛スピードで飛んできたのだろう………?
その視線を感じ取ったのか、ランベルが事情を話す。
雪を目隠しに使った事、それを利用して自分も林に逃げ込もうとした事、しかし走った先に一体のイエティマンが立ちはだかっていた事、そしてここで止まったらヤバいと判断し、思いつきで剣を噴射替わりに飛んだらロケットみたいになってこの木に激突したと―。
「まぁ結果オーライだ」と無傷の石頭を抑えながらランベルが言った。
何とかイエティマンの群れから逃げ切ったレイ達は、再びドラゴンを召喚して一気に移動したかったのだが、今のレイではさっきの召喚がキャパオーバーだった為、過度の魔力消費によりいつの間にか疲労困憊していた。
「なんとか群れを抜けたし、ここからなら村も遠くないから歩いて行けるよ」
ブラウンがそう言って話をまとめると、皆ゆっくりと下山して行くのであった。
「――そういえばブラウンさんは何故イエティマンの住処何かに?」
レイがふとブラウンさんに聞いた。
逃げる事で皆精一杯だった為、ローラやランベル、リエンナも同じ疑問を抱いた様子でブラウンを見た。
「ああ、それはね……いつもみたいに魔草を取りに来たんだけど、普段滅多に遭遇しないイエティマンと出くわしてしまったんだ。その時はそのイエティマン一体だったから何とか逃げたんだけどね……その時に足を踏み外して怪我した挙句、動けない状態でまたイエティマンに見つかった。
流石にもう終わりだと思ったよ……。
でも奴は弱った俺を見て、その場で仕留めなくてもいいと思ったのかあの穴蔵まで運んでいった。
俺がいた場所のすぐ後ろの穴には、他の動物やモンスター達の亡骸が大量にあった……それを見て理解したよ。
イエティマンはもうすぐ冬眠に入る。だから“食料”としてここに保管してるんだとね。
何とか逃げようとしたけどあの怪我だったから……そこへ君達が助けに来てくれた。本当にありがとう!感謝してもし切れないよ!」
ブラウンの言葉に、レイ達はブラウンを助けることが出来て本当に良かったと改めて思った。
心配している家族や村の人達に早く会わせてあげたいと、皆の歩くペースが心なしか上がった気がする。
あれからブラウン案内で山を下っていると、道の下の方に村が見えた。
「もう少しだ!」
大した距離ではなかったが、慣れない雪道を歩いてきたおかげで皆少しお疲れモードだった。
レイはまた違う意味で体力の限界だ。
「一時はどうなるかと思ったけど、これで無事依頼も達成出来たな」
「リエンナの治癒魔法が大活躍ね」
「いえ、そんな大した事はしていませんので……」
「いやいや。お嬢ちゃんの魔法がなかったら動けなかったから本当に助かったよ」
ブラウンにお礼を言われたリエンナは戸惑いつつもとても嬉しそうな表情。
「俺もイエティマン巻いたんだけど」
自分の話題が出てこないランベルが即座にアピールを入れる。
「ハッハッハッ!君にも当然感謝してるよ。とても頼もしかったよ、ありがとう」
「へへへッ!まぁ分かってくれてるなら良いんだけどよ。自慢していいぜブラウンさん!なにせ将来騎士団の大団長になる俺に救われたんだからな!」
「ほぉ~。大団長になるとは凄いな!それは子供達にも自慢できるし、今のうちにサインも貰っておこうかな」
ブラウンが大人の対応をしてくれているのは誰が見ても一目瞭然。
しかし褒めちぎられているランベルだけは全てを本気で受け止めている。
「なんて話の分かる人なんだブラウンさんは!……喜んでくれ!ブラウンさんは俺のサインを貰う記念すべき一人目になった!」
「ハハハッ!それは良かった。じゃあ家に着いたら早速サインをッ――⁉」
―――――ゴゴゴゴゴゴゴッ…………!!
突如、遠くの方から地鳴りの様な音が響いた。
「……何だ?」
「どっかで地震でも起きたのかしら」
レイ達が辺りを見回すが特に変化は見られない。
しかしブラウンだけが険しい顔つきになっていた。
「まさかな……」
ブラウンは何故か山脈の上の方を見上げながら静かに呟いた。
そんなブラウンの姿を見ていたレイ達だが、今いち状況が理解出来ずにいる。
「どうした?」と皆が思った次の瞬間、その疑問を一気に払ったのはドーランだった。
<――マズいぞ。お前達早く非難した方がいい>
「――⁉」
ブラウンとドーランだけが何かを察している。
その答えが分かったのは直後の事―。
「逃げろッ!!“雪崩”が来る!!」
ブラウンの言葉とほぼ同時に、山脈の上から大量の雪が流れて来た―。
モゾモゾ……。
………………………………ンボッ!!
「――いっってぇぇぇぇぇぇぇッ!!絶対頭割れたぁぁぁ!!」
この一瞬で一抹の不安が吹き飛び、ランベル以外の皆は彼がちゃんと無事である事を確認出来た。
当の本人は「頭が割れてる筈だ!」と一人大騒ぎをしているが、割れるどころか切り傷一つ付いていない為もう誰もランベルを気遣っていなかった。
それよりも何故猛スピードで飛んできたのだろう………?
その視線を感じ取ったのか、ランベルが事情を話す。
雪を目隠しに使った事、それを利用して自分も林に逃げ込もうとした事、しかし走った先に一体のイエティマンが立ちはだかっていた事、そしてここで止まったらヤバいと判断し、思いつきで剣を噴射替わりに飛んだらロケットみたいになってこの木に激突したと―。
「まぁ結果オーライだ」と無傷の石頭を抑えながらランベルが言った。
何とかイエティマンの群れから逃げ切ったレイ達は、再びドラゴンを召喚して一気に移動したかったのだが、今のレイではさっきの召喚がキャパオーバーだった為、過度の魔力消費によりいつの間にか疲労困憊していた。
「なんとか群れを抜けたし、ここからなら村も遠くないから歩いて行けるよ」
ブラウンがそう言って話をまとめると、皆ゆっくりと下山して行くのであった。
「――そういえばブラウンさんは何故イエティマンの住処何かに?」
レイがふとブラウンさんに聞いた。
逃げる事で皆精一杯だった為、ローラやランベル、リエンナも同じ疑問を抱いた様子でブラウンを見た。
「ああ、それはね……いつもみたいに魔草を取りに来たんだけど、普段滅多に遭遇しないイエティマンと出くわしてしまったんだ。その時はそのイエティマン一体だったから何とか逃げたんだけどね……その時に足を踏み外して怪我した挙句、動けない状態でまたイエティマンに見つかった。
流石にもう終わりだと思ったよ……。
でも奴は弱った俺を見て、その場で仕留めなくてもいいと思ったのかあの穴蔵まで運んでいった。
俺がいた場所のすぐ後ろの穴には、他の動物やモンスター達の亡骸が大量にあった……それを見て理解したよ。
イエティマンはもうすぐ冬眠に入る。だから“食料”としてここに保管してるんだとね。
何とか逃げようとしたけどあの怪我だったから……そこへ君達が助けに来てくれた。本当にありがとう!感謝してもし切れないよ!」
ブラウンの言葉に、レイ達はブラウンを助けることが出来て本当に良かったと改めて思った。
心配している家族や村の人達に早く会わせてあげたいと、皆の歩くペースが心なしか上がった気がする。
あれからブラウン案内で山を下っていると、道の下の方に村が見えた。
「もう少しだ!」
大した距離ではなかったが、慣れない雪道を歩いてきたおかげで皆少しお疲れモードだった。
レイはまた違う意味で体力の限界だ。
「一時はどうなるかと思ったけど、これで無事依頼も達成出来たな」
「リエンナの治癒魔法が大活躍ね」
「いえ、そんな大した事はしていませんので……」
「いやいや。お嬢ちゃんの魔法がなかったら動けなかったから本当に助かったよ」
ブラウンにお礼を言われたリエンナは戸惑いつつもとても嬉しそうな表情。
「俺もイエティマン巻いたんだけど」
自分の話題が出てこないランベルが即座にアピールを入れる。
「ハッハッハッ!君にも当然感謝してるよ。とても頼もしかったよ、ありがとう」
「へへへッ!まぁ分かってくれてるなら良いんだけどよ。自慢していいぜブラウンさん!なにせ将来騎士団の大団長になる俺に救われたんだからな!」
「ほぉ~。大団長になるとは凄いな!それは子供達にも自慢できるし、今のうちにサインも貰っておこうかな」
ブラウンが大人の対応をしてくれているのは誰が見ても一目瞭然。
しかし褒めちぎられているランベルだけは全てを本気で受け止めている。
「なんて話の分かる人なんだブラウンさんは!……喜んでくれ!ブラウンさんは俺のサインを貰う記念すべき一人目になった!」
「ハハハッ!それは良かった。じゃあ家に着いたら早速サインをッ――⁉」
―――――ゴゴゴゴゴゴゴッ…………!!
突如、遠くの方から地鳴りの様な音が響いた。
「……何だ?」
「どっかで地震でも起きたのかしら」
レイ達が辺りを見回すが特に変化は見られない。
しかしブラウンだけが険しい顔つきになっていた。
「まさかな……」
ブラウンは何故か山脈の上の方を見上げながら静かに呟いた。
そんなブラウンの姿を見ていたレイ達だが、今いち状況が理解出来ずにいる。
「どうした?」と皆が思った次の瞬間、その疑問を一気に払ったのはドーランだった。
<――マズいぞ。お前達早く非難した方がいい>
「――⁉」
ブラウンとドーランだけが何かを察している。
その答えが分かったのは直後の事―。
「逃げろッ!!“雪崩”が来る!!」
ブラウンの言葉とほぼ同時に、山脈の上から大量の雪が流れて来た―。
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