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第37召喚 イヴからの提案
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そんなこんなで話しを終えたアーサーは今日もフロア周回をする。シェリルは勿論の事ながら、モルナもハンター登録をしていると聞いたアーサーは一先ず彼女もパーティに入れる事に。
バタバタが続いていたアーサーであったが彼のやるべきことは変わらない。バットへのケリがついた今、後はひたすら母親の治療費と生活費を稼ぐのみ。
モルナはまだ人Dランク。
しかしアーサーとシェリルが炎Cランクの為、パーティを組めばモルナも一緒に炎Cランクのフロアに挑める。当たり前だが無茶は出来ない。それにモルナは身体能力の高い獣人族でアーティファクトも一応Dランクだがスキルが『会計士』だった。
会計士は読んで字のごとく、戦闘向きのスキルではない。
寧ろギルドには必要不可欠な“サポート系”のスキル。モルナのどちらかというと派手な見た目の印象とは対照的だなと思っていたアーサーであるが、流石獣人族というべきなのか、モルナは普通に実力も高い上に自らダンジョンに行きたいと言ったのだ。
そして、今日も無事に周回を終わらせたアーサー一行。今日一緒にダンジョンに挑んだアーサーは改めて2人の強さを実感した。
(シェリルは言うまでもなく圧倒的な強さだったな。全く無駄のない流れる様な動きに思わず見とれてしまった。
それにモルナは『会計士』スキルだから僕よりも基礎能力値が低いのにも、やはり獣人族という生まれながらの素質で普通に戦闘力が高かった。戦う会計士なんて聞いた事ないぞ……)
アーサーはそんな事を思いながらいつも通りに召喚で得たアーティファクトや魔鉱石をリリアに換金してもらい、この日はダンジョンを後にした。
**
帰り道。
「さて。エレインも待っているし、早く晩御飯を買って帰ろうか」
「モルナもお腹空いたぁ。早く食べたい!」
「私は先にお風呂に入りたいです」
当たり前の様にそんな会話をするアーサー達。だがアーサーは思っていた。
いつまであの狭い家でこんな生活が続くのだろうと。
「さっさと引っ越してギルドを設立しな――」
「「……!?」」
突如アーサー達に聞こえた声。
それはこの場にいる3人のものではく、明らかに違う“他の誰か”であり、驚いたアーサー達は反射的に声が聞こえた方へ振り返っていた。
するとそこにいたのは。
「え! イヴ……さん!?」
そう。
そこにいたのは他でもない、つい昨日会ったばかりのイヴ・アプルナナバであった――。
突如目の前に現れた事に驚くアーサー。
しかしイヴは驚くアーサー達をまるで無視するかの如く話しを続ける。
「全く。男ってのはどこまで浅はかなんだいアーサー。いいかい? アンタが狙ってる“ワンチャン”は起きないよ。夢の“ラッキーハーレム”展開なんて下らないものを期待しているぐらいなら、男らしく自分の行動でその展開を手繰り寄せな馬鹿者」
「なッ!?」
「ワンチャン……? ラッキーハーレム展開……?」
イヴの発言にいまいちピンときていないシェリルは1人首を傾げている。
「ヒッヒッヒッ。シェリルがその手の類に無知で良かったねぇアーサー」
「い、いや、イヴさんッ! 僕は鼻からそんなつもりはッ……「へぇ~。アーサー様そんな事考えてたんだぁ。好青年そうな顔してイヤらしい~!」
「こ、こらッ、モルナまで! 違うって言ってるだろ!」
意味をしっかりと理解しているモルナはイヴに乗ってアーサーをからかった。
「まぁアーサー様は私の命の恩人だし、モルナはいつでも“その”準備は出来てるわ☆なんなら今夜にでも」
「も……もう止めろモルナ! そんな事より何の用ですかイヴさん!」
思いがけない角度からの攻撃に焦ったアーサーは強引に話を戻したのだった。
「必死だねぇアーサー。ヒッヒッヒッ。まぁそれは一旦置いて、実は昨日話し忘れた事があってねぇ。アンタ、早く“ギルド”を建てな。話はそれからだよ――」
聞き間違いではない。
夕日が沈みかけた薄い空の下で、イヴは確かにギルドを建てろとアーサーに告げた。
「え、ギルドを――?」
バタバタが続いていたアーサーであったが彼のやるべきことは変わらない。バットへのケリがついた今、後はひたすら母親の治療費と生活費を稼ぐのみ。
モルナはまだ人Dランク。
しかしアーサーとシェリルが炎Cランクの為、パーティを組めばモルナも一緒に炎Cランクのフロアに挑める。当たり前だが無茶は出来ない。それにモルナは身体能力の高い獣人族でアーティファクトも一応Dランクだがスキルが『会計士』だった。
会計士は読んで字のごとく、戦闘向きのスキルではない。
寧ろギルドには必要不可欠な“サポート系”のスキル。モルナのどちらかというと派手な見た目の印象とは対照的だなと思っていたアーサーであるが、流石獣人族というべきなのか、モルナは普通に実力も高い上に自らダンジョンに行きたいと言ったのだ。
そして、今日も無事に周回を終わらせたアーサー一行。今日一緒にダンジョンに挑んだアーサーは改めて2人の強さを実感した。
(シェリルは言うまでもなく圧倒的な強さだったな。全く無駄のない流れる様な動きに思わず見とれてしまった。
それにモルナは『会計士』スキルだから僕よりも基礎能力値が低いのにも、やはり獣人族という生まれながらの素質で普通に戦闘力が高かった。戦う会計士なんて聞いた事ないぞ……)
アーサーはそんな事を思いながらいつも通りに召喚で得たアーティファクトや魔鉱石をリリアに換金してもらい、この日はダンジョンを後にした。
**
帰り道。
「さて。エレインも待っているし、早く晩御飯を買って帰ろうか」
「モルナもお腹空いたぁ。早く食べたい!」
「私は先にお風呂に入りたいです」
当たり前の様にそんな会話をするアーサー達。だがアーサーは思っていた。
いつまであの狭い家でこんな生活が続くのだろうと。
「さっさと引っ越してギルドを設立しな――」
「「……!?」」
突如アーサー達に聞こえた声。
それはこの場にいる3人のものではく、明らかに違う“他の誰か”であり、驚いたアーサー達は反射的に声が聞こえた方へ振り返っていた。
するとそこにいたのは。
「え! イヴ……さん!?」
そう。
そこにいたのは他でもない、つい昨日会ったばかりのイヴ・アプルナナバであった――。
突如目の前に現れた事に驚くアーサー。
しかしイヴは驚くアーサー達をまるで無視するかの如く話しを続ける。
「全く。男ってのはどこまで浅はかなんだいアーサー。いいかい? アンタが狙ってる“ワンチャン”は起きないよ。夢の“ラッキーハーレム”展開なんて下らないものを期待しているぐらいなら、男らしく自分の行動でその展開を手繰り寄せな馬鹿者」
「なッ!?」
「ワンチャン……? ラッキーハーレム展開……?」
イヴの発言にいまいちピンときていないシェリルは1人首を傾げている。
「ヒッヒッヒッ。シェリルがその手の類に無知で良かったねぇアーサー」
「い、いや、イヴさんッ! 僕は鼻からそんなつもりはッ……「へぇ~。アーサー様そんな事考えてたんだぁ。好青年そうな顔してイヤらしい~!」
「こ、こらッ、モルナまで! 違うって言ってるだろ!」
意味をしっかりと理解しているモルナはイヴに乗ってアーサーをからかった。
「まぁアーサー様は私の命の恩人だし、モルナはいつでも“その”準備は出来てるわ☆なんなら今夜にでも」
「も……もう止めろモルナ! そんな事より何の用ですかイヴさん!」
思いがけない角度からの攻撃に焦ったアーサーは強引に話を戻したのだった。
「必死だねぇアーサー。ヒッヒッヒッ。まぁそれは一旦置いて、実は昨日話し忘れた事があってねぇ。アンタ、早く“ギルド”を建てな。話はそれからだよ――」
聞き間違いではない。
夕日が沈みかけた薄い空の下で、イヴは確かにギルドを建てろとアーサーに告げた。
「え、ギルドを――?」
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