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第72召喚 Sランクアーティファクトの存在
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グリムは決して冗談を言った訳ではない。それはアーサーにもすぐに分かった。だが疑わずにはいられない。たった今グリムが発した言葉……。
“Sランク”という言葉に――。
「いや……あの、グリムさん……。確かにランクアップ召喚はアーティファクトのランクを上げる事が出来ますけど、AランクアーティファクトをSランクにって……」
「なんだ、それは出来ないのか?」
アーサーとグリムの会話が僅かに噛み合わない。グリムは“そういう意味ではない”と伝えたいのだが、いつも間にか鼓動が速くなって言葉が上手く口から出せない。
「そうじゃなくて……! えっと、Sランクに上げるって、勿論“アーティファクト”の話ですよね?」
「当たり前だろ。何言ってるんだよ急に」
この会話に“違和感”を抱いたのはアーサーだけではなく、シェリルとモルナも同じ様子。3人が感じている事は全く同じであった。
「アーティファクトにSランクなんてあるの?」
「私も疑問に思いました。アーティファクトはAランクが最も上ではないのでしょうか」
そう。アーサー達3人が戸惑っていたのはまさにそこ。
既存のアーティファクトはF~Aランクまでしか存在していない筈。Aランクが最も上のアーティファクトだと誰もが知っている常識。
……だった。
“今まで”は――。
「なんだ、まだSランクの事知らなかったのかお前達」
グリムもアーサー達がSランクの存在を今知ったのだと理解。それと同時に戸惑うアーサー達を見たマリアが口を開いた。
「この間、私達『精霊の宴会』がフロア90に行ったのは知ってるわよね?」
「はい、勿論知ってます」
「ここ数年、ずっとフロア89で足止めされていたのは私達の実力不足も然ることながら、フロア90に上る為の条件が分からずに難航していたの」
(精霊の宴会でも“実力不足”って……。一体どんな世界なんだよフロア90……)
アーサーは何気なく言ったマリアの言葉に思わず口に出して突っ込みそうになった。だが今の話の論点はそこではない。マリアは1から説明するように話を続けた。
「でもね、貴方達も知っている通り、私達はあらゆる事を試して遂にその条件を見つけ、やっとの思いでフロア90に上がる事が出来たのよ。
そして私達は未だかつて前人未到とされていたフロア90に足を踏み入れた。このまま攻略していき、絶対にこのダンジョン――世界樹の頂上まで辿り着いてみせるとね。だけど……」
そこまで話したマリアが急に伏し目となり表情を曇らせる。
「フロア90はそれまでのフロアとは“別次元”だった――。
私達『精霊の宴会』は誰1人として自分達の実力に奢りなんてなかったし、油断もしていなかったわ。でも結果は“惨敗”。
世界樹の頂上どころか、たった1フロアを攻略するのもギリギリだったの……。全員に命があって戻って来れただけでも奇跡的だったわ」
「「……」」
想定の遥か上を行ったマリアの話。
間違いなく世界最強のギルドである『精霊の宴会』がたった1フロアを攻略するのも命懸け。その事実が当の本人であるマリアから語られた上に、強気なグリムでさえ今のマリアの話にいつの間にか真剣な表情へと変わっていた。
つまり、今の話は微塵の冗談もなければ一切の嘘偽りも真実。
頭では分かっているが、到底すぐには受け入れらえない事実にアーサー達3人も気が付けば沈黙。言葉を発する事すら忘れてしまっていた。
「フフフ。そんな深刻な顔しないでアーサー君。それにシェリルちゃんにモルナちゃんも。確かにフロア90の脅威は凄まじかったけど、でもそれはただ単に私達を絶望させただけじゃないの。
命懸けで前を向いていたお陰かしら? それ相応の“見返り”もあったからね」
「それって……」
そこでアーサーもハッと気付く。
マリアの言った見返り――それが“Sランクアーティスト”である事を。
「ええ、そうよ。それがこのSランクアーティファクト、『イザナギの薙刀(S)』よ」
====================
マリア・シスター
【スキル】ヒーラー(A):Lv80
・回復術(ランク:上級)
・付与術(対象の能力値を+30%上昇させる/上限人数5)
・スキルP:440,000
【サブスキル】
・癒しの祈り(回復率が上昇する)
・付与の領域(付与術の上限人数+2)
・戦闘鼓舞(自らが戦えば戦う程に全能力値アップ)
【アーティファクト】
・スロット1:『イザナギの薙刀(S): Lv1 ※ヒーラー専用』
・スロット2:『エルフの草冠(B):Lv9』
・スロット3:『魔女帝のローブ(A):Lv3』
・スロット4:『エルフの腕輪(B):Lv9』
・スロット5:『守護の魔爪(A):Lv9』
【能力値】
・ATK:26,000『+3800』
・DEF:28,000『+8000』
・SPD:29,000『+3800』
・MP:52,000『+23800』
====================
マリアに見せられた世界初のSランクアーティファクトの存在。
アーサー達はSランクアーティストから醸し出される圧倒的な存在感と強さを直ぐに感じ取る。
「凄い……」
「これがSランクアーティファクト――」
Aランクでさえその存在感は他のランクよりも群を抜いているように感じた。しかし、今目の前にあるSランクは全くの別物。全てのモンスターやあらゆる生命をも超越したまさに“神”のような神秘的な力が溢れ出ていた。
だが本当に更にアーサー達を驚かせたのがその桁外れの能力値――。
「マリアさんはヒーラーだから元々MPが高かったと思いますけど、それでもこの『イザナギの薙刀』の能力値がヤバいですね……。Lv1なのに+20,000にもMPが上がってるじゃないですか……!」
「やっば☆ 鬼つよなんだけど」
アーサー達はSランクアーティファクトのその能力値の高さにただただ驚かされた。だがそれだけでは終わらない。そのSランクアーティファクトの能力値の高さも然ることながら、アーサーはある部分が気になった。
「あのー、マリアさん。この“ヒーラー専用”って表示は何ですか?」
「ああ。それはね――」
“Sランク”という言葉に――。
「いや……あの、グリムさん……。確かにランクアップ召喚はアーティファクトのランクを上げる事が出来ますけど、AランクアーティファクトをSランクにって……」
「なんだ、それは出来ないのか?」
アーサーとグリムの会話が僅かに噛み合わない。グリムは“そういう意味ではない”と伝えたいのだが、いつも間にか鼓動が速くなって言葉が上手く口から出せない。
「そうじゃなくて……! えっと、Sランクに上げるって、勿論“アーティファクト”の話ですよね?」
「当たり前だろ。何言ってるんだよ急に」
この会話に“違和感”を抱いたのはアーサーだけではなく、シェリルとモルナも同じ様子。3人が感じている事は全く同じであった。
「アーティファクトにSランクなんてあるの?」
「私も疑問に思いました。アーティファクトはAランクが最も上ではないのでしょうか」
そう。アーサー達3人が戸惑っていたのはまさにそこ。
既存のアーティファクトはF~Aランクまでしか存在していない筈。Aランクが最も上のアーティファクトだと誰もが知っている常識。
……だった。
“今まで”は――。
「なんだ、まだSランクの事知らなかったのかお前達」
グリムもアーサー達がSランクの存在を今知ったのだと理解。それと同時に戸惑うアーサー達を見たマリアが口を開いた。
「この間、私達『精霊の宴会』がフロア90に行ったのは知ってるわよね?」
「はい、勿論知ってます」
「ここ数年、ずっとフロア89で足止めされていたのは私達の実力不足も然ることながら、フロア90に上る為の条件が分からずに難航していたの」
(精霊の宴会でも“実力不足”って……。一体どんな世界なんだよフロア90……)
アーサーは何気なく言ったマリアの言葉に思わず口に出して突っ込みそうになった。だが今の話の論点はそこではない。マリアは1から説明するように話を続けた。
「でもね、貴方達も知っている通り、私達はあらゆる事を試して遂にその条件を見つけ、やっとの思いでフロア90に上がる事が出来たのよ。
そして私達は未だかつて前人未到とされていたフロア90に足を踏み入れた。このまま攻略していき、絶対にこのダンジョン――世界樹の頂上まで辿り着いてみせるとね。だけど……」
そこまで話したマリアが急に伏し目となり表情を曇らせる。
「フロア90はそれまでのフロアとは“別次元”だった――。
私達『精霊の宴会』は誰1人として自分達の実力に奢りなんてなかったし、油断もしていなかったわ。でも結果は“惨敗”。
世界樹の頂上どころか、たった1フロアを攻略するのもギリギリだったの……。全員に命があって戻って来れただけでも奇跡的だったわ」
「「……」」
想定の遥か上を行ったマリアの話。
間違いなく世界最強のギルドである『精霊の宴会』がたった1フロアを攻略するのも命懸け。その事実が当の本人であるマリアから語られた上に、強気なグリムでさえ今のマリアの話にいつの間にか真剣な表情へと変わっていた。
つまり、今の話は微塵の冗談もなければ一切の嘘偽りも真実。
頭では分かっているが、到底すぐには受け入れらえない事実にアーサー達3人も気が付けば沈黙。言葉を発する事すら忘れてしまっていた。
「フフフ。そんな深刻な顔しないでアーサー君。それにシェリルちゃんにモルナちゃんも。確かにフロア90の脅威は凄まじかったけど、でもそれはただ単に私達を絶望させただけじゃないの。
命懸けで前を向いていたお陰かしら? それ相応の“見返り”もあったからね」
「それって……」
そこでアーサーもハッと気付く。
マリアの言った見返り――それが“Sランクアーティスト”である事を。
「ええ、そうよ。それがこのSランクアーティファクト、『イザナギの薙刀(S)』よ」
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マリア・シスター
【スキル】ヒーラー(A):Lv80
・回復術(ランク:上級)
・付与術(対象の能力値を+30%上昇させる/上限人数5)
・スキルP:440,000
【サブスキル】
・癒しの祈り(回復率が上昇する)
・付与の領域(付与術の上限人数+2)
・戦闘鼓舞(自らが戦えば戦う程に全能力値アップ)
【アーティファクト】
・スロット1:『イザナギの薙刀(S): Lv1 ※ヒーラー専用』
・スロット2:『エルフの草冠(B):Lv9』
・スロット3:『魔女帝のローブ(A):Lv3』
・スロット4:『エルフの腕輪(B):Lv9』
・スロット5:『守護の魔爪(A):Lv9』
【能力値】
・ATK:26,000『+3800』
・DEF:28,000『+8000』
・SPD:29,000『+3800』
・MP:52,000『+23800』
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マリアに見せられた世界初のSランクアーティファクトの存在。
アーサー達はSランクアーティストから醸し出される圧倒的な存在感と強さを直ぐに感じ取る。
「凄い……」
「これがSランクアーティファクト――」
Aランクでさえその存在感は他のランクよりも群を抜いているように感じた。しかし、今目の前にあるSランクは全くの別物。全てのモンスターやあらゆる生命をも超越したまさに“神”のような神秘的な力が溢れ出ていた。
だが本当に更にアーサー達を驚かせたのがその桁外れの能力値――。
「マリアさんはヒーラーだから元々MPが高かったと思いますけど、それでもこの『イザナギの薙刀』の能力値がヤバいですね……。Lv1なのに+20,000にもMPが上がってるじゃないですか……!」
「やっば☆ 鬼つよなんだけど」
アーサー達はSランクアーティファクトのその能力値の高さにただただ驚かされた。だがそれだけでは終わらない。そのSランクアーティファクトの能力値の高さも然ることながら、アーサーはある部分が気になった。
「あのー、マリアさん。この“ヒーラー専用”って表示は何ですか?」
「ああ。それはね――」
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