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第八章【旅の果て】

第百三十四話 デート

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 オーケンの港に着いた。ここは、ビオルナさんの故郷でもあり、リリム魔道学院がある国でもある。
 学院に通ったのは、もう半年以上も前のことだった。教師のエリオネルに攻められたのは、良い思い出になっている。

 アイオライトくんにも会いたいな。

 でも、俺を好きなアイオライトくんに会いたいとは言えなかった。まだ、好きなのかはわからないけど、手紙の感じでは諦めていなさそうだった。

「マリヤ、デート行こうか」

「デート!?行く!」

 久しぶりのお外でデートだ。うれしい。

 にこにこしていると、エリオネルがとても愛しい者を見る目で、俺を見ていた。
 心臓がドキドキいって、体が熱くなる。体がふわりとするような浮遊感に、心まで浮かれた。

「マリヤ、すごく可愛い顔してる」

「そ?嬉しいからかなっ」

「私だけのマリヤで居て?」

「うん……」

 キスしようとして、外だったのを思い出す。

「ごめん、外だった」

「私は構わないよ」

「俺が構う」

 クスクスとエリオネルが笑った。彼の左腕に絡めた腕をギュッとしながら、見上げる。
 優しく笑うエリオネルに、ひどくトキメキを感じた。

「エリオネル、大好き」

「私も大好きだよ」

「ホントに?どこが好き?」

「正義感の強い所、可愛いのに男前な所、あとエッチな所も大好きだよ。いっぱいある」

「ちょ、外で何言ってるの!」

 カッと顔が熱くなる。絶対、面白がってるだろ!

「マリヤは?」

「優しい所とか、嫌なことしない所かなぁ、俺もエリオネルのエッチな所大好き」

 こそっと言うと、エリオネルが色っぽい顔をした。

「あ!エリオネル、そんな顔外でしちゃダメ!」

「どんな顔だった?」

「えっちな顔だった」

 ぷく、と頬を膨らませると、エリオネルが手で顔を覆う。

「マリヤこそ、可愛い顔やめて。我慢できなくなる」

「もうっ、デートするんじゃないの?」

「そうだね」

 そう言うと、エリオネルはまた歩き出した。

「ねぇ、デートも俺が初めてだった?」

「そうだよ。マリヤの初めては私じゃなくて残念だな」

「ごめんじゃん」

「マリヤがモテるのは知ってるから、今が私だけならそれでいい」

「今日はいっぱいサービスしてあげるね」

 囁くと、エリオネルの喉仏が上下に動いて、唾を飲み込んだのがわかる。

「早く帰りたい」

 欲望に忠実なのに笑ってしまった。可愛い。

「デートは?」

「デートもしたい」

「じゃあ、行こっ」

 エリオネルの腕を前に引っ張って、先を促した。彼は抵抗せず、素直についてきてくれる。
 最初に入ったのは、洋服のお店だった。バルカスが頭にチラついたけど、気を取り直してエリオネルを見る。ポイポイと選んで行くエリオネルに面食らった。

「そんなに買ってどうするの?」

「城に戻ったら、もっと必要になると思うけど」

「そうなの?」

「まあ、テーラーを呼んでいくらでも買えばいいけど、こうやって買い物できる機会は減るだろうから、楽しんでるのは否めないよね」

「ふーん、エリオネルが楽しいならいいけど」

「好きな人を着飾らせるのは、やっぱり楽しいよ」

「あ、じゃあ、俺もエリオネルの選ぶ!」

「うん、選んでくれる?」

 二人で着せ替えしながら、服を選ぶ。確かに、エリオネルに服を着てもらうのは楽しかった。

 カッコいいエリオネルは、本当に何着ても似合う。ただ、体格が良いからか、ちょっとパツパツになることが何回かあって、それがエッチで困った。
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