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第五章【機械都市】

第八十四話 スカート

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 バーデンさん、エリオネル好きか~

 ちょっとあの二人距離近いのが気になるけど、勝手に人の想いを伝えるのはダメだしな。頭痛の種ができてしまった。

 部屋に戻ると、順番にお風呂に入る。やっぱり何事もなく、エリオネルの腕の中で寝た。



ーーーーーー



 今はユリアーノさんを待っている。昨日の本は全部読んでしまった。
 図書館には受付の人も居るが、館内の案内はしてくれないって言われた。

「マリヤさん」

「ユリアーノさん!」

 にこっと笑うと、ユリアーノさんの頬が少し赤くなった。

「待たせましたか?」

 なんか、デートの待ち合わせみたいだな、なんて考える。
 今日はユリアーノさん、髪下ろしてるんだ。肩まである髪がサラッと揺れてキラキラしてる。

「そんなに待ってないですよ」

 俺の座っていた隣に、ユリアーノさんが腰掛けた。

「今日はマリヤさんに聞きたいことがあるんですが」

「はい?なんですか?」

「お幾つですか?」

「歳?16歳です」

「16?若いですね」

「ユリアーノさんはお幾つなんですか?」

「私は22です」

「ユリアーノさんも若いですよ」

「明日は、一緒にお昼食べませんか?」

「あ、俺、連れと来てるので、お昼食べるのはちょっと」

「そうですか……、夕食はさすがに無理ですよね?」

「うーん。恋人に誤解されたくないので、やめておきます」

「残念です。恋人さんが羨ましいな」

 ユリアーノさんが残念そうに笑った。イケメンの笑顔は心臓に悪い。

「ユリアーノさんなら、恋人の一人や二人居そうですけど」

「居ません」

 真剣なその表情にドキリとした。

 机に置いた左手に、ユリアーノさんの右手が絡んでくる。

 え?俺、恋人居るって言ったよね?こっちの世界来てから、男にモテすぎじゃね?

「マリヤ」

 びっくりした!パッと手を離したが、絶対遅かった。

「エリオネル……」

「何で、手繋いでる?」

 あー!めっちゃ怒ってるー!

 そりゃそうなるよな。これは俺が悪い。

「恋人さん?」

「そうです」

「すみませんでした。恋人居るって聞いてたのに、手を繋いだのは、俺なんです」

「行ってください」

 あー、怒ってるー。すっごい低い声。めっちゃ怖い。

「わかりました。マリヤさんも、すみませんでした」

 ユリアーノさんは、嵐を起こすだけ起こして居なくなった。

「マリヤ、お仕置き、しようね?」

 お仕置きって何。めっちゃ怖いけど、拒否権なさそう。



 バーデン邸まで無言で帰ってきた。

 お仕置きって何だろうか?痛いやつじゃなかったらいいんだけど……

「これ着て」

 そう言って、エリオネルが紙袋を渡してくる。どっから出したん?

 そこには、制服が入っていた。間違いでなければ、スカートも入っている。

「エリオネル、これっ」

「着て」

 エリオネル、こんな趣味あるんか……

 今ここにあるってことは、前から準備してたってことだよな?

 まあ、拒否権ないから着るけども。衝立に隠れて着替えを済ませる。スカートを履く時、勇気が必要だった。足がスースーして恥ずかしい。

「エリオネル?」

「出ておいで」

 エリオネルの声が幾分か優しくなっていた。

「変だよっ」

「いいから、来て」

「むりっ」

 衝立から出る勇気がない。ひょこっと、エリオネルが衝立の中に入ってきた。

「ちょっ!入ってこないで!」

「何で?出てこれないんでしょう?」

「そうだけど……見ないで!」

「堪能させてもらうために着せたんだけど……」

「堪能って……」

「お仕置きって忘れてない?」

「ごめんなさい」

 そうだった。コレ、お仕置きだったんだった。

「こっち来て、ソファーに手をついて」

「……うん」

 素直にエリオネルの言うことを聞く。ソファーに手をつくと、お尻を突き出す形になってカァッと体が熱った。
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