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第五章【機械都市】
第七十二話 キリッシュ
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オーケンを出て、隣国のシリアネイズに来た。その道中、光と金属性を使えることを確認した。
光の精霊は神殿跡で、金の精霊は鉱山で発現した。どちらもすごく綺麗だった。
エリオネルとの仲も順調だ。アリアムさんと話す時間もちょっとだけだけど増えた。
俺の髪と瞳を貰った鏡で見てみたけど、自分じゃないみたいで慣れない。髪は普通の金髪だけど、瞳は宝石みたいにキラキラしていた。
野営をしていると、皆がザワザワし始めたのに気づいた。
「マリヤ、ちょっと様子を見てくるから待ってて」
「うん」
待っていると、何だか言い争うような声が聞こえる。今までこんなことは一回もなくて、非常事態だと思った。
どうしようか考えていると、天幕のカーテンが開いた。
「マリヤ!会いたかった」
天幕に入ってきたのは、エリオネルのお兄さんだった。
「え!お兄さん!?」
「キリッシュと呼んでくれ、マリヤ」
知らんけど、何で片目隠してんだろ、キタローみたい。あまりの距離の詰め方に、半ば意識を手放しながら考えた。
タコみたいに手に吸いつかれながら、結婚してくれってマジだったんだーと他人事のように思う。とりあえず、力めっちゃ強いな?
エリオネルが「兄さんマリヤを離して」と言いながらギリギリ力を入れているが、全然離れない。
後から入ってきたアリアムさんとベントさんと三人がかりでようやく離れた。
「ねぇ、マジで何なの」
「マリヤ!本気なんだ!」
怖すぎて、エリオネルに抱きつくと、エリオネルはぎゅっと抱きしめてくれた。
「俺、エリオネルと結婚するから、帰ってください」
「嘘だ。まだ指輪してないじゃないか」
「う……、首に下げてるんです!」
「指にしてない指輪じゃ、納得できない」
エリオネルのお兄さんだから、あまり無碍にできない。困る。
「婚約者なのか?」
「………」
婚約者ではないからな。嘘はつけない。
「困らせたいわけじゃないんだ。エリオネルと同じように、俺にも機会をくれないか?」
ちょっとエリオネルに似てる顔にドギマギした。今度は優しく手を出してくる。その手に手を乗せることはなかったけど。
悲しそうな顔をした後、キリッシュさんは行き場の無くした手を閉じた。
「具体的にどうしたらいいですか?」
キリッシュさんが嬉しそうな顔でこちらを見る。
「デートしよう!」
「デート!?」
え、恋人の前でデートしようとか、頭湧いてんのかな。
「ムリです」
「してくれるまで諦めない」
するしないでずっと押し問答が続き、疲れた俺がちょっとエリオネルと話し合いたいので席を外してくださいと言うと、キリッシュさんはあっさり引き下がった。
「エリオネル、お兄さんっていつもああなの?」
「いや、初めて見るから驚いてる。どちらかというと冷めた人だったから」
「冷めた人には到底見えなかったけど」
「そうだろうね」
エリオネルが疲れた顔をしている。
「俺はデートしないよ」
「うん。そこは心配してない」
「じゃあ、何?」
「どうやって諦めさせようかと思って」
「あー、確かに。こんなとこまで来るくらいだもんね」
「イチャイチャしてるの見せてたら、居なくなると思うんだけど……」
「やだ」
知ってる人に見せるなんて絶対やだ。
「わかった。どうにかするけど、時間掛かるかも」
時間掛かるかもという言葉に、ただ頷いた。
光の精霊は神殿跡で、金の精霊は鉱山で発現した。どちらもすごく綺麗だった。
エリオネルとの仲も順調だ。アリアムさんと話す時間もちょっとだけだけど増えた。
俺の髪と瞳を貰った鏡で見てみたけど、自分じゃないみたいで慣れない。髪は普通の金髪だけど、瞳は宝石みたいにキラキラしていた。
野営をしていると、皆がザワザワし始めたのに気づいた。
「マリヤ、ちょっと様子を見てくるから待ってて」
「うん」
待っていると、何だか言い争うような声が聞こえる。今までこんなことは一回もなくて、非常事態だと思った。
どうしようか考えていると、天幕のカーテンが開いた。
「マリヤ!会いたかった」
天幕に入ってきたのは、エリオネルのお兄さんだった。
「え!お兄さん!?」
「キリッシュと呼んでくれ、マリヤ」
知らんけど、何で片目隠してんだろ、キタローみたい。あまりの距離の詰め方に、半ば意識を手放しながら考えた。
タコみたいに手に吸いつかれながら、結婚してくれってマジだったんだーと他人事のように思う。とりあえず、力めっちゃ強いな?
エリオネルが「兄さんマリヤを離して」と言いながらギリギリ力を入れているが、全然離れない。
後から入ってきたアリアムさんとベントさんと三人がかりでようやく離れた。
「ねぇ、マジで何なの」
「マリヤ!本気なんだ!」
怖すぎて、エリオネルに抱きつくと、エリオネルはぎゅっと抱きしめてくれた。
「俺、エリオネルと結婚するから、帰ってください」
「嘘だ。まだ指輪してないじゃないか」
「う……、首に下げてるんです!」
「指にしてない指輪じゃ、納得できない」
エリオネルのお兄さんだから、あまり無碍にできない。困る。
「婚約者なのか?」
「………」
婚約者ではないからな。嘘はつけない。
「困らせたいわけじゃないんだ。エリオネルと同じように、俺にも機会をくれないか?」
ちょっとエリオネルに似てる顔にドギマギした。今度は優しく手を出してくる。その手に手を乗せることはなかったけど。
悲しそうな顔をした後、キリッシュさんは行き場の無くした手を閉じた。
「具体的にどうしたらいいですか?」
キリッシュさんが嬉しそうな顔でこちらを見る。
「デートしよう!」
「デート!?」
え、恋人の前でデートしようとか、頭湧いてんのかな。
「ムリです」
「してくれるまで諦めない」
するしないでずっと押し問答が続き、疲れた俺がちょっとエリオネルと話し合いたいので席を外してくださいと言うと、キリッシュさんはあっさり引き下がった。
「エリオネル、お兄さんっていつもああなの?」
「いや、初めて見るから驚いてる。どちらかというと冷めた人だったから」
「冷めた人には到底見えなかったけど」
「そうだろうね」
エリオネルが疲れた顔をしている。
「俺はデートしないよ」
「うん。そこは心配してない」
「じゃあ、何?」
「どうやって諦めさせようかと思って」
「あー、確かに。こんなとこまで来るくらいだもんね」
「イチャイチャしてるの見せてたら、居なくなると思うんだけど……」
「やだ」
知ってる人に見せるなんて絶対やだ。
「わかった。どうにかするけど、時間掛かるかも」
時間掛かるかもという言葉に、ただ頷いた。
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