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第四章【学園都市】

第六十九話 夢

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 性急に入ってきたエリオネルは、その後も我慢できないというようにピストンを早めた。

「あ、アッ……、あんっ、ぁ」

 何でこんな世界で男に犯されているのか、不意に不思議になる。
 そうだ、プロポーズされたんだった。
 いつの間にか服を脱いだエリオネルは、惚れ惚れするほど綺麗で、この男が自分に夢中になってることに興奮する。

 もう、戻れない気がした。

 いきなり襲ってきた不安を、快感が押し流す。繋がっていると、安心できて、気持ちがよかった。

「エリオネルっ、好き……あ、ぁ」

「私も好き、だよ」

 本当は愛してるって言いたい。でも、愛してるって何?エリオネルとの愛情には差があるような気がして、言葉を飲み込む。
 その代わりにキスをする。俺の気持ちが全部この人に伝わればいいのに。

 パンパンと肌を打ちつける音と、中を穿たれる快感で、何もかもがどうでもよくなった。

「ぁ、あっ、あ、イく……」

「私も……」

 また一緒にイけるのが嬉しい。中を強く穿たれると、目の前がチカチカして、達した。
 ドクドクと、エリオネルが俺の中に精液を注ぎ込むのを感じる。彼が自分の中で達したことに、すごく充足感を感じた。




 エリオネルはいつも後始末までしてくれる。俺は掻き出されることが嫌ながらも、甲斐甲斐しく世話してくれるエリオネル自体には、とても満足していた。
 最初は気を失うことが多かったので知らなかったが、最初からしてくれていたらしい。
 二回戦をする元気はいつもないので、エリオネルを刺激しないように黙って世話される。

「エリオネル、ありがと」

「マリヤの世話ができるのは、とても光栄だよ」

 ちゅ、と手にキスされて、王子様だな、と思う。あ、本物だったわ。

「エリオネルできないことって何か無いの?」

 エリオネルに腕枕をしてもらいながら問いかける。

「できないこと……、何だろう?」

「料理は?」

「料理?できるよ」

 スパダリじゃん。顔も性格もよくて、お金持ってて身長も高い。え?足りないとこある?
 しかも、一途っぽいし。エリオネルが浮気とか考えられない。

「今度何か作って」

「いいよ」

「あ、でも反対される?」

「1回くらいなら大丈夫だと思う」

「そか、楽しみー!」

 はー。ほんと、幸せ。そのままうとうとすると、夢を見た。




 黒化した森と綺麗な湖がある。湖には、誰かが佇んでいた。
 その人は、黒く長い髪をしており、赤い目をしている。黒髪赤目のせいか、どことなくアキトに似ていた。身長は俺よりも随分と高いので、違う人かもしれない。

 その人に吸い寄せられるように近くに行く。

 すごく綺麗な顔をしていて、見惚れてしまった。
 その人は、優しく俺を撫でたあと、キスしてくる。俺は当たり前のようにそれを受け入れた。

 気持ちいい。なぜか、この人は魔王で、俺はこの人と付き合ってるとわかった。




 朝起きると、夢の余韻が残っていた。変な夢見た。
 エリオネルが居るのに、誰かと付き合ってる夢を見るなんて。それで、魔王って何。

 エリオネルは起きたのか、隣には居なかった。



ーーーーーー



 オーケンを出る前に福音を受けに行くことになった。福音は、本当は魔力測定の時に受けるらしいのだが、エリオネルが止めてくれていたらしい。

 福音を受ける時にわかりやすくするため、ポーションを飲むのをやめている。花の祭りのあった町を出てから7日経っている。

「本当に黒髪だったんだね」

「うん」

「黒髪のマリヤも綺麗だよ」

「そんなこと言うのエリオネルだけじゃない?」

「そんなことない」

 最初から黒髪って言っておいたから、本当かもしれない。思ってたけど、エリオネルはあまり忌避感がないのかも。
 本当に不思議だ。エリオネルと居ると、何でも大丈夫な気がしてくる。

 しかし、教会に着くまで、色んな視線に晒された。素直に渡された帽子を被ってくればよかったと後悔する。

 神殿に着いて、俺を見た冷たい神父さまの視線に、冷や水を浴びせられた気分になった。黒髪蔑視って本当だったんだな、と当たり前ながら思う。

「私の大切な人に、失礼な態度をやめていただけますか」

 エリオネルが注意すると、神父さまは黙って頷いた。

 神父さまについていくと、大きな12体の人型の像がある、神殿の中心に連れて行かれた。
 大きな扉がバターンと閉じられてビックリする。
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