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第三章【旅路】
第三十八話 魔物
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天幕に戻る時、幸せそうでよかったな、とビオルナさんに言われた。ニヤニヤしてしまっていただろうか。
「エリオネル、おか」
一緒に天幕に入ったエリオネルに、お帰りと言おうとしたら、口を塞がれてしまった。
積極的なエリオネルにもドキドキしてしまう。
待ち焦がれていたように求められて、良い気分になった。
キスだけでちょっと余裕のないエリオネルが可愛い。
そういう俺もキスをされると頭がぼーっとなってきて、完全に余裕こいていられなくなってきた。
今までで、キスでこんなになったことがなくて、少し怖くなる。
「マリヤ、そんな顔したら我慢ができなくなる」
余裕のない感じのエリオネルに、欲情してますと暗に言われて、体にぶわっと熱が広がった。
じっと見つめると、エリオネルが体を逸らす。
「本当にダメだよ。他の人居るし、一応外だから」
顔がカッと熱くなった。忘れてたけど、ここ外か!!離れてるとはいえ、外に人も居るし何考えてたんだろ。
いや、何も考えられなかったんだと思う。うわー、恥ずかしい!!
「ホントごめん、あの、気持ちよくて、何も考えてなかった」
「うっ……」
前屈みになったエリオネルは、完全にしゃがみ込んでしまった。
あー、悪いことをしてしまったと思いながら、エリオネルが落ち着くのを待つ。
「大丈夫?」
「うん、もう大丈夫だよ」
しばらくして天幕の中にある椅子に座ったエリオネルは、何を調査していたのか、悪魔というのはどういうものか話してくれた。
曰く、この村で悪魔が出た報告はなく、出現したばかりだったのではないかということだった。
悪魔は人のマイナスのエネルギーが溜まって、魔物化したものだそうだ。魔獣も魔物の一種らしい。
ここ何年かは、魔物の出現が異常に多く、もしかしたら何か原因があるのかもしれないということだった。
そして、通常悪魔は国に4体居れば多い方だという。そもそも出現する率が少ないのだそうだ。
ここ、グラム・ヘブンでは今年だけで20体近くの報告が上がっているらしい。多い報告の中でも、突出して今回の2件は距離が近いと地図で教えてくれた。
「だから、途中途中で依頼こなしてるの?」
「そうだよ、国に依頼しても対応が遅くなる所が多いだろうから、旅の進路にあまり影響ない程度しか受けられないけど」
何だか、勇者の冒険のような話だ。各所で起きている事件を解決しながら旅をする。そんな話に少し胸が躍った。
人が良いのも嫌いじゃない、むしろ好ましく思う。
そんなエリオネルに、何か手伝いたいという気持ちが芽生えた。
「そういえば、消滅したってことだったけど、また現れたりしないのかな?消滅して大丈夫なものなの?」
「倒す時は、黒い靄のような物が残るから、消滅してくれた方がいいんじゃないかな?その後出現するかどうかはまだわからない。出現はしなさそうだけど」
「じゃあ、俺が近くに行って消滅するんだったら、助かるってことでいい?」
「もちろんだよ、戦わなくて済むわけだし、助かる所じゃないよ。もし、マリヤが原因で消滅するんだったら、報酬は全部マリヤに渡すね」
「え!?それはダメだよ!旅費も全部出してもらってるのに!普通の分配にして」
「普通って……、マリヤのおかげで依頼終わるんだよ?」
「それでも、先遣隊が出たり事後処理してくれたりするでしょ?俺が一緒に戦ったと思って分配してくれたらいいから」
「そう?わかった」
何だかあまり納得いってない感じだが、とりあえず妥協点はここかなと思う。何もしてないのに分配もらうのも何だかな、とは思うけど。
「エリオネル、おか」
一緒に天幕に入ったエリオネルに、お帰りと言おうとしたら、口を塞がれてしまった。
積極的なエリオネルにもドキドキしてしまう。
待ち焦がれていたように求められて、良い気分になった。
キスだけでちょっと余裕のないエリオネルが可愛い。
そういう俺もキスをされると頭がぼーっとなってきて、完全に余裕こいていられなくなってきた。
今までで、キスでこんなになったことがなくて、少し怖くなる。
「マリヤ、そんな顔したら我慢ができなくなる」
余裕のない感じのエリオネルに、欲情してますと暗に言われて、体にぶわっと熱が広がった。
じっと見つめると、エリオネルが体を逸らす。
「本当にダメだよ。他の人居るし、一応外だから」
顔がカッと熱くなった。忘れてたけど、ここ外か!!離れてるとはいえ、外に人も居るし何考えてたんだろ。
いや、何も考えられなかったんだと思う。うわー、恥ずかしい!!
「ホントごめん、あの、気持ちよくて、何も考えてなかった」
「うっ……」
前屈みになったエリオネルは、完全にしゃがみ込んでしまった。
あー、悪いことをしてしまったと思いながら、エリオネルが落ち着くのを待つ。
「大丈夫?」
「うん、もう大丈夫だよ」
しばらくして天幕の中にある椅子に座ったエリオネルは、何を調査していたのか、悪魔というのはどういうものか話してくれた。
曰く、この村で悪魔が出た報告はなく、出現したばかりだったのではないかということだった。
悪魔は人のマイナスのエネルギーが溜まって、魔物化したものだそうだ。魔獣も魔物の一種らしい。
ここ何年かは、魔物の出現が異常に多く、もしかしたら何か原因があるのかもしれないということだった。
そして、通常悪魔は国に4体居れば多い方だという。そもそも出現する率が少ないのだそうだ。
ここ、グラム・ヘブンでは今年だけで20体近くの報告が上がっているらしい。多い報告の中でも、突出して今回の2件は距離が近いと地図で教えてくれた。
「だから、途中途中で依頼こなしてるの?」
「そうだよ、国に依頼しても対応が遅くなる所が多いだろうから、旅の進路にあまり影響ない程度しか受けられないけど」
何だか、勇者の冒険のような話だ。各所で起きている事件を解決しながら旅をする。そんな話に少し胸が躍った。
人が良いのも嫌いじゃない、むしろ好ましく思う。
そんなエリオネルに、何か手伝いたいという気持ちが芽生えた。
「そういえば、消滅したってことだったけど、また現れたりしないのかな?消滅して大丈夫なものなの?」
「倒す時は、黒い靄のような物が残るから、消滅してくれた方がいいんじゃないかな?その後出現するかどうかはまだわからない。出現はしなさそうだけど」
「じゃあ、俺が近くに行って消滅するんだったら、助かるってことでいい?」
「もちろんだよ、戦わなくて済むわけだし、助かる所じゃないよ。もし、マリヤが原因で消滅するんだったら、報酬は全部マリヤに渡すね」
「え!?それはダメだよ!旅費も全部出してもらってるのに!普通の分配にして」
「普通って……、マリヤのおかげで依頼終わるんだよ?」
「それでも、先遣隊が出たり事後処理してくれたりするでしょ?俺が一緒に戦ったと思って分配してくれたらいいから」
「そう?わかった」
何だかあまり納得いってない感じだが、とりあえず妥協点はここかなと思う。何もしてないのに分配もらうのも何だかな、とは思うけど。
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