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人生で一番幸福な日
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後にナターシャ様から、ジーク様ルートの話を詳しく聞いた。
アンナは幼き頃侍女として支えていたヒロインに心酔しており、この方こそ未来の王妃に相応しいと考えていた。
ところが現在自分の働く屋敷の子息、ジーク様が密かにヒロインに想いを寄せていることに気づき阻止するために奮闘するのである。
そして運良く彼の父である宰相閣下に気に入られ、2人が結ばれる事を阻止する為だけにジーク様と婚約をしただのだった。
当然ジーク様とアンナは婚約者でありながら関係は険悪。
ジーク様とヒロインが逢瀬をしていると、必ず邪魔に入るという徹底ぶりだったらしい。
ライバルと聞いたら、普通ジーク様を取り合う恋のライバルって思うじゃん…。
私を取り合うライバルって…なんじゃそりゃ。
その設定、乙女ゲームとしてありなのかしら?
それからミザリー様にも変化はあった。
私にすまなかったと詫びてくれたのだ。
私は私であって母のディアナではないと言われて、目が覚めたのだと言っていた。
貴族としての矜持が高い彼女が、どれほどの勇気をもって謝罪してくれたのかは想像もできない。
そして感謝してくれた。
「ミシェルを護ってくれて有難う。
あの子は私の心の拠り所だったの……。」
ミザリー様は反省をし、ちゃんと私に向き合ってくれたのだ。
誰でも間違いをおかすことはある。
それに気付き、どう償うかが問題なのではないだろうか。
父や屋敷の使用人とも和解をし、今は穏やかに暮らしている。
そして意外なことに、毎日私の部屋にやってきてはオイルやクリームを使ってマッサージをしてくれるのだ。
少しづつ、でも確実に鞭の痕は薄くなってゆく。
それを見て嬉しそうに笑うミザリー様は、虐待していた昔の面影など欠片も感じさせないほど美しかった。
あの事件から1年が過ぎようとしていた。
今日私は花嫁になる。
ジーク様を始め皆が私を甘やかして餌付けをしたせいか、身長は145cmまで伸びた。
バストは憧れのCカップである!
大切なことなのでもう一度言う。
Cカップだ!!
何故育ったのかは内緒にしたい。
だけどそのおかげで、なんとか大人の女性に見えるだろう。
ジーク様がロリコンと陰口を叩かれるのは忍びないので、10cm強のシークレット・ヒールを履いて影口対策をしている。
そんな事しなくていいのにとジーク様は言うが、恋する乙女心(笑)はイロイロ複雑なのだ。
花嫁の控え室に皆が挨拶に来てくれた。
「あぁ、なんと美しい花嫁か……。
今からでも遅くない。
今すぐ婚約破棄して私と結婚しないか?」
「カイン様、ジークに知られたら生きて帰れませんよ?」
「ふふっ、しっかりシバかれてくださいませ。
ナターシャ様ともうすぐ婚約なさるのに、他の女にチョッカイかけるなど言語道断ですよ?」
「何を言う!
クリスティナ嬢が嫁に来るなら、彼女は諸手を挙げて賛成するぞ?」
「そうですわ!
わたくしは第2王子であるケヴィン様と結婚をし、王宮でクリスティナ様と楽しく暮らすのが夢なのです!」
視界の端でアンナがニヤリと笑みを浮かべた。
唆したのはアンナか?
……まだ諦めてなかったのね……。
「ティナ、結婚しても月に一度は必ず帰って来なさい!」
「そうだよ姉様、寧ろジーク様に愛想を尽かして、今すぐにでも帰ってきていいんだ!」
ミザリー様とミシェルが私を抱きしめてくれた。
ミシェルは元々私のことを侍女だと勘違いしていたが、事件の後和解する際に本当は姉だと説明したら相当ショックを受けていた。
どうやら将来お嫁さんにするつもりだったらしい。
可愛いヤツめ!
ミザリー様も今では本当の娘のように私を可愛がってくれる。
そうなのだ。
皆、勿体無いくらいに私に好意を寄せてくれている。
前世では身寄りもなく、孤独なまま生涯を終えてしまったが、今はこんなにも沢山の愛情に囲まれている。
「皆さん、そんなに俺を敵に回したいのですか?」
そしてジーク様。
溢れるほどの愛情を注いでくれる、掛け替えのない人。
ジーク様は私を見つめると、ウットリと微笑んだ。
「……綺麗だ……。」
嬉しい……。
この一年、淑女教育を受け、領地経営を勉強し、ついでに牛乳も沢山飲んで自分を磨いてきたつもりだ。
少しは貴方に似合う女性になれただろうか?
ジーク様が愛おしそうに髪に、眦に、頬に、唇にとキスの雨を降らせてくれる。
あぁ…なんて幸せなんだろう。
「さぁティナ、神に誓いに行こう。
人生で一番幸福な日の始まりだ。」
ジーク様の腕を取る。
こうして私は薄幸だった物語を閉じ、幸多き人生を歩み始める。
大好きな人達と共に…。
※※※
作品はお楽しみいただけたでしょうか?
ミザリー様や父へのざまあ展開がなく、消化不良をおこしているお嬢様には申し訳ございません。
私的にざまあメインではなく、幸せな恋愛をメインに持ってきたかったのでご了承いただければと思います。
変換ミスや誤字、意味間違いのご指摘、本当にありがとうございました。
この作品を通して私も沢山勉強になりました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
アンナは幼き頃侍女として支えていたヒロインに心酔しており、この方こそ未来の王妃に相応しいと考えていた。
ところが現在自分の働く屋敷の子息、ジーク様が密かにヒロインに想いを寄せていることに気づき阻止するために奮闘するのである。
そして運良く彼の父である宰相閣下に気に入られ、2人が結ばれる事を阻止する為だけにジーク様と婚約をしただのだった。
当然ジーク様とアンナは婚約者でありながら関係は険悪。
ジーク様とヒロインが逢瀬をしていると、必ず邪魔に入るという徹底ぶりだったらしい。
ライバルと聞いたら、普通ジーク様を取り合う恋のライバルって思うじゃん…。
私を取り合うライバルって…なんじゃそりゃ。
その設定、乙女ゲームとしてありなのかしら?
それからミザリー様にも変化はあった。
私にすまなかったと詫びてくれたのだ。
私は私であって母のディアナではないと言われて、目が覚めたのだと言っていた。
貴族としての矜持が高い彼女が、どれほどの勇気をもって謝罪してくれたのかは想像もできない。
そして感謝してくれた。
「ミシェルを護ってくれて有難う。
あの子は私の心の拠り所だったの……。」
ミザリー様は反省をし、ちゃんと私に向き合ってくれたのだ。
誰でも間違いをおかすことはある。
それに気付き、どう償うかが問題なのではないだろうか。
父や屋敷の使用人とも和解をし、今は穏やかに暮らしている。
そして意外なことに、毎日私の部屋にやってきてはオイルやクリームを使ってマッサージをしてくれるのだ。
少しづつ、でも確実に鞭の痕は薄くなってゆく。
それを見て嬉しそうに笑うミザリー様は、虐待していた昔の面影など欠片も感じさせないほど美しかった。
あの事件から1年が過ぎようとしていた。
今日私は花嫁になる。
ジーク様を始め皆が私を甘やかして餌付けをしたせいか、身長は145cmまで伸びた。
バストは憧れのCカップである!
大切なことなのでもう一度言う。
Cカップだ!!
何故育ったのかは内緒にしたい。
だけどそのおかげで、なんとか大人の女性に見えるだろう。
ジーク様がロリコンと陰口を叩かれるのは忍びないので、10cm強のシークレット・ヒールを履いて影口対策をしている。
そんな事しなくていいのにとジーク様は言うが、恋する乙女心(笑)はイロイロ複雑なのだ。
花嫁の控え室に皆が挨拶に来てくれた。
「あぁ、なんと美しい花嫁か……。
今からでも遅くない。
今すぐ婚約破棄して私と結婚しないか?」
「カイン様、ジークに知られたら生きて帰れませんよ?」
「ふふっ、しっかりシバかれてくださいませ。
ナターシャ様ともうすぐ婚約なさるのに、他の女にチョッカイかけるなど言語道断ですよ?」
「何を言う!
クリスティナ嬢が嫁に来るなら、彼女は諸手を挙げて賛成するぞ?」
「そうですわ!
わたくしは第2王子であるケヴィン様と結婚をし、王宮でクリスティナ様と楽しく暮らすのが夢なのです!」
視界の端でアンナがニヤリと笑みを浮かべた。
唆したのはアンナか?
……まだ諦めてなかったのね……。
「ティナ、結婚しても月に一度は必ず帰って来なさい!」
「そうだよ姉様、寧ろジーク様に愛想を尽かして、今すぐにでも帰ってきていいんだ!」
ミザリー様とミシェルが私を抱きしめてくれた。
ミシェルは元々私のことを侍女だと勘違いしていたが、事件の後和解する際に本当は姉だと説明したら相当ショックを受けていた。
どうやら将来お嫁さんにするつもりだったらしい。
可愛いヤツめ!
ミザリー様も今では本当の娘のように私を可愛がってくれる。
そうなのだ。
皆、勿体無いくらいに私に好意を寄せてくれている。
前世では身寄りもなく、孤独なまま生涯を終えてしまったが、今はこんなにも沢山の愛情に囲まれている。
「皆さん、そんなに俺を敵に回したいのですか?」
そしてジーク様。
溢れるほどの愛情を注いでくれる、掛け替えのない人。
ジーク様は私を見つめると、ウットリと微笑んだ。
「……綺麗だ……。」
嬉しい……。
この一年、淑女教育を受け、領地経営を勉強し、ついでに牛乳も沢山飲んで自分を磨いてきたつもりだ。
少しは貴方に似合う女性になれただろうか?
ジーク様が愛おしそうに髪に、眦に、頬に、唇にとキスの雨を降らせてくれる。
あぁ…なんて幸せなんだろう。
「さぁティナ、神に誓いに行こう。
人生で一番幸福な日の始まりだ。」
ジーク様の腕を取る。
こうして私は薄幸だった物語を閉じ、幸多き人生を歩み始める。
大好きな人達と共に…。
※※※
作品はお楽しみいただけたでしょうか?
ミザリー様や父へのざまあ展開がなく、消化不良をおこしているお嬢様には申し訳ございません。
私的にざまあメインではなく、幸せな恋愛をメインに持ってきたかったのでご了承いただければと思います。
変換ミスや誤字、意味間違いのご指摘、本当にありがとうございました。
この作品を通して私も沢山勉強になりました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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