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間章9
矢萩弓弦31
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ロジーネさんからの情報を精査し、その情報を持ってエッゲリング侯爵と話し合った結果、先代ゼルチュルナー王の次男であり辺境伯でもある第二王子とその側近を五人ほど、暗殺することになった。
最悪、【弓の勇者】の名前を使っても良かったのだけど、そもそも、僕はこの国では無名だし、顔見せのお披露目会をやる予算が侯爵家にはない。
また、やったとしても主役が透明人間では顔見せにならない。
そんなわけで、【弓の勇者】ではなく、謎の弓使いが暗殺を請け負うことになった。
まあ、すぐに出向くわけではない。四男軍で使用している矢を拝借していないので、まずはそちらに行かないとだし、それよりなにより、僕にはやらなければいけないことがあるので、暗殺なんてしてる場合じゃない。
「とはいえ、決まんないなぁ」
テーブルに広げた紙を前に頭を抱える。
一息吐いて、息子の名前候補が書かれた紙を集める。
自分で考えた凡庸な名前から、フィクションでしか見ないようなキラキラした名前まで、バリエーション豊富だ。
「どれも日本的な名前だな」
無難だけど面白味はない。……名前に面白味は必要ないか。
「こちらの世界の中域風にするか。あ、でも、向かう先は東域だから、東域風も有りなのか」
こちらでは珍しい名前でも、東域では普通、の方がいいのか?
「先輩はどうしてるんですか?」
真後ろの違和感に問いかける。
「やっぱりわかっちゃうか」
予想通り、ロジーネさんの声が返った。
「マゴイチ君には命名権がないのよ」
「センスの問題ですか?」
「うん」
首肯しながら紙束を一枚手にし……鼻で嗤われた。
「え? そんなにダメですか?」
「レオノーレさんの息子だからレオ? 安直でしょ」
自分でも「これはないかなぁ」と思った名前を的確に見つけやがった。
ロジーネさんがペラペラと紙束を捲り、時々、失笑する。
「そういえば、ユヅルちゃんのお父さんの名前って、なんてぇの?」
「弓彦です」
爺ちゃんは弓蔵。
誰も弓道をやってないのに、なぜか、代々名前に“弓”が入る一家だ。
「じゃあ、これなんかいいんじゃない?」
ロジーネさんが僕に突き出した紙には、“弓幹”と書かれていた。
「なんて読むのか知らんけど」
知らんのかい。
「“ユガラ”です。弓本体のことです」
「へぇ。……弓道をやってないのになんで知ってるの?」
言いたくないなぁ。
「なんで?」
ヤバい。面白そうな空気が出ていたのだろうか。ロジーネさんにロックオンされた。
「どうして知ってるのかな? 師匠は知りたいなぁ。こっちに来るまで弓に触れたこともなかったのに、どうして“ユガラ”なんて知ってたんだろうなぁ?」
あ、ダメだ。言わなきゃ終わんないヤツだ。
「代々、“弓”の字が入るって聞いて、自分に子供が生まれたらなんて付けるかな、って、弓をちょっと調べただけです」
なので、“弓”の字が入ってないパーツは覚えていない。
あとは、弓柄くらいしか“弓”が入った名前を知らない。
「んー、まあ、いいとは思うけど、三人目以降はどうするの?」
レオノーレさんには、子供を沢山望まれていたから、三人目も考えておいた方がいいのかも。
「レオノーレさんに考えてもらいます」
「一緒に考えたら?」
「こちら風の名前って、よくわからないんです」
こちらの世界にも、良い名前と悪い名前があるんだろう。国や地域でも違いがあると思う。
そういった知識が全くないから、二人目以降はレオノーレさんに丸投げしたい。
「たぶん、一人目は僕に譲ってくれたんですよ。名前の弓の話は、前にしたことがあったので」
いつだったか忘れたけど、運転中に話した記憶がある。
「いや。たぶん、考えるのが面倒だったんだと思う。出産直後は、とにかく休みたいから、ユヅルちゃんに丸投げしたんじゃないかな」
え? そうなの?
「出産直後に頭を使いたくないって」
経験者が語る。
「まだ三日でしょ? 五日くらいすれば考える余裕が出る。今は、疲労と子供への愛おしさで、まともな思考はできないと思うわよ」
「愛おしさで、ですか?」
「うん。キラキラした名前を付けちゃうのは、疲労で思考力が低下してるのに母性が溢れ出てる時だと思うのよ」
経験則だけど、異論は認めるそうだ。
「この子、マジ天使じゃね? って思うんだけど、しばらくしたら、悪魔のような夜泣きに悩まされるから」
「可愛いのは今だけですか?」
「うちの子育て経験者が言うには、可愛いのは永遠らしい。でも、時々見せる悪魔のような一面に精神を削られるんだそうよ」
クリオネ? 天使の面だけ見ていたい。
「世のお母さんは、これを一人でやってるのよね。こっちではお金さえあれば奴隷を買って子守りを分担できるけど、ニホンじゃ理解のない夫に当たると、最悪、独り立ちするまでワンオペでしょ?」
うちは、母親が出ていってからは父親がワンオペで育ててくれたよ。
シュイユエさんも、フイちゃんの産後が大変だったらしい。
シュイユエさんの場合は、奴隷身分での出産だったから、特に大変だっただろう。
「まあ、名前は夫婦でじっくり考えるといいよ。ユヅルちゃんは、センス自体は悪くないみたいだから」
急ぐ必要はないか。
「それよか、血生臭いことを片付けるのが先じゃない?」
「暗殺しようにも、両軍の動きが予想より遅くて……」
四男は元々外交官で、軍事には疎い。疎いのに行軍にアレコレと口を出して、武官の足を引っ張っている。
次男の方は、元々武官で、今は辺境伯。武官時代に培った人脈はあるけれど、辺境伯として周辺の貴族と仲良くしていたわけではないので、行軍しながら周辺貴族を説得しているようだ。しかし、口は達者ではないようで、面倒な交渉をさっさと切り上げて、武力をチラつかせて味方に引き入れている。
そんな状態では、数は揃えど士気は上がらずで、行軍速度も全く上がらない。
「本当は今日辺り、四男軍の矢を貰いに行くはずだったんです」
予定では、両軍共に、東西の隣の領に入ってるはずだった。
「この国の場合、為政者を殺しすぎると商人が力を持ちすぎるわよ」
ただでさえ商人の国と言われているから、それは気を付けている。
内乱のどさくさで国政に食い込もうとする商人がいたら、サクッと事故死してもらうつもりだ。
「暗殺の成否は心配してないけど、その後の内乱の行方がどうなるか、よね。侯爵はどうするって?」
「四男と手を組むのはやめて、次男の息子を即位させる。んで、自分が摂政になる。というのが、侯爵の落としどころです」
息子は、まだ四歳と二歳とのこと。
「四男はどうするの?」
「放置して大丈夫だそうです。今回の件で、弁は立つけど人を纏める力はない、ってバレてしまったから、四男の派閥は空中分解すると思います」
しないなら、ちょっかいかけて内部分裂を誘発させる。
「侯爵が摂政になるための下準備は?」
「それはもう済んでいるそうです。この短期間で次男軍の三分の一を取り込めるのは、凄いですよね」
あんなに優秀な侯爵も、娘のために手を尽くして破産寸前になったんだから、呪いで死んだ王都の有象無象は、案外、優秀だったのかも。
「次男軍で殺すのは他に何人?」
「三人の予定です」
三人の他に、実力を隠していそうなのが二人いる。
なので、未定だが、次男死亡後の彼らの行動で二人追加されるかもしれない。
ロジーネさんは、「そう」と呟いて猫の仮面を被る。
「侯爵との話し合いで、商人に借金がある貴族は始末していいんじゃないか、って意見があったんですけど、差し押さえた財産に領地が含まれてると、王国としてはかなり不味いことになるんですよ」
「交易路を他国に売られたら大損害よね」
「かと言って、生かしておくと、商人に寄生された貴族が国政に関わることになって、今までと同じになってしまうんです」
ロジーネさんが仮面を被ったまま黙る。
なんだろう。なにか見落としがあったか?
「まあ、あとは臨機応変に、かしら」
「結局、いくら準備してもイレギュラーは必ずありますからね」
「うん。追加で五人くらい殺らなきゃいけないと思うけど」
マジっすか。見積もりが甘かった?
「商人二人と貴族三人ってとこかしら。場合によっては、四男派の貴族を一人追加、かな?」
仮面にデータが送られてくる。
んー、ノーマーク。毒にも薬にもなりそうにない……いや、毒寄りの人たちだ。どちらかと言えば毒。けど、悪人になりきれない中途半端な人たちだ。
四男派の貴族の大半は、所謂、鷹派というやつで、半端者は四男派の中では少数派だ。なので、放っておいても大丈夫だと思うんだけど……。
「この人たちが毒になりますか?」
「ユヅルちゃんが三人殺したら、この五人が破産する。追い込まれた五人が手を組む可能性が高い」
あくまでも可能性の話だ。
でも、それを話すのが神様なら? それって、可能性なのかな? 確定した未来の話に聞こえる。
「五人、貴族を入れて六人か。六人の動きを気にかけておきます」
「うん。その程度でいいと思うよ」
その程度で済めばいいな。
*
この話をした三日後、四男軍から矢を拝借して、その翌々日に次男を暗殺した。
次男を暗殺した翌日、次男派の貴族を三人暗殺し、経過を観察する。
十日後に、無毒だと思ってた五人が集まり侯爵領を襲撃する計画を立てていたので、その場で毒殺しておいた。
ロジーネさんの予知の通りになってしまったから、この翌日、四男軍の鷹派貴族も予知通りかと思い様子を見に行く。
やはりと言うか、鳩派を説得している最中だったので、会合帰りの彼を暗殺。間違えて四男軍の矢を使ってしまったが、内部分裂を演出できそうなので、隠蔽せずにそのまま帰った。
その後も十日ほど両軍を監視した。
侯爵にその報告と今後の相談などをして、息子の名前をレオノーレさんと話し合えたのは、さらに二日後。
まあ、話し合おうとしたら、既に「ユガラ」と呼んでいたけど。
そんなわけで、我が家の長男は弓幹に決定した。
最悪、【弓の勇者】の名前を使っても良かったのだけど、そもそも、僕はこの国では無名だし、顔見せのお披露目会をやる予算が侯爵家にはない。
また、やったとしても主役が透明人間では顔見せにならない。
そんなわけで、【弓の勇者】ではなく、謎の弓使いが暗殺を請け負うことになった。
まあ、すぐに出向くわけではない。四男軍で使用している矢を拝借していないので、まずはそちらに行かないとだし、それよりなにより、僕にはやらなければいけないことがあるので、暗殺なんてしてる場合じゃない。
「とはいえ、決まんないなぁ」
テーブルに広げた紙を前に頭を抱える。
一息吐いて、息子の名前候補が書かれた紙を集める。
自分で考えた凡庸な名前から、フィクションでしか見ないようなキラキラした名前まで、バリエーション豊富だ。
「どれも日本的な名前だな」
無難だけど面白味はない。……名前に面白味は必要ないか。
「こちらの世界の中域風にするか。あ、でも、向かう先は東域だから、東域風も有りなのか」
こちらでは珍しい名前でも、東域では普通、の方がいいのか?
「先輩はどうしてるんですか?」
真後ろの違和感に問いかける。
「やっぱりわかっちゃうか」
予想通り、ロジーネさんの声が返った。
「マゴイチ君には命名権がないのよ」
「センスの問題ですか?」
「うん」
首肯しながら紙束を一枚手にし……鼻で嗤われた。
「え? そんなにダメですか?」
「レオノーレさんの息子だからレオ? 安直でしょ」
自分でも「これはないかなぁ」と思った名前を的確に見つけやがった。
ロジーネさんがペラペラと紙束を捲り、時々、失笑する。
「そういえば、ユヅルちゃんのお父さんの名前って、なんてぇの?」
「弓彦です」
爺ちゃんは弓蔵。
誰も弓道をやってないのに、なぜか、代々名前に“弓”が入る一家だ。
「じゃあ、これなんかいいんじゃない?」
ロジーネさんが僕に突き出した紙には、“弓幹”と書かれていた。
「なんて読むのか知らんけど」
知らんのかい。
「“ユガラ”です。弓本体のことです」
「へぇ。……弓道をやってないのになんで知ってるの?」
言いたくないなぁ。
「なんで?」
ヤバい。面白そうな空気が出ていたのだろうか。ロジーネさんにロックオンされた。
「どうして知ってるのかな? 師匠は知りたいなぁ。こっちに来るまで弓に触れたこともなかったのに、どうして“ユガラ”なんて知ってたんだろうなぁ?」
あ、ダメだ。言わなきゃ終わんないヤツだ。
「代々、“弓”の字が入るって聞いて、自分に子供が生まれたらなんて付けるかな、って、弓をちょっと調べただけです」
なので、“弓”の字が入ってないパーツは覚えていない。
あとは、弓柄くらいしか“弓”が入った名前を知らない。
「んー、まあ、いいとは思うけど、三人目以降はどうするの?」
レオノーレさんには、子供を沢山望まれていたから、三人目も考えておいた方がいいのかも。
「レオノーレさんに考えてもらいます」
「一緒に考えたら?」
「こちら風の名前って、よくわからないんです」
こちらの世界にも、良い名前と悪い名前があるんだろう。国や地域でも違いがあると思う。
そういった知識が全くないから、二人目以降はレオノーレさんに丸投げしたい。
「たぶん、一人目は僕に譲ってくれたんですよ。名前の弓の話は、前にしたことがあったので」
いつだったか忘れたけど、運転中に話した記憶がある。
「いや。たぶん、考えるのが面倒だったんだと思う。出産直後は、とにかく休みたいから、ユヅルちゃんに丸投げしたんじゃないかな」
え? そうなの?
「出産直後に頭を使いたくないって」
経験者が語る。
「まだ三日でしょ? 五日くらいすれば考える余裕が出る。今は、疲労と子供への愛おしさで、まともな思考はできないと思うわよ」
「愛おしさで、ですか?」
「うん。キラキラした名前を付けちゃうのは、疲労で思考力が低下してるのに母性が溢れ出てる時だと思うのよ」
経験則だけど、異論は認めるそうだ。
「この子、マジ天使じゃね? って思うんだけど、しばらくしたら、悪魔のような夜泣きに悩まされるから」
「可愛いのは今だけですか?」
「うちの子育て経験者が言うには、可愛いのは永遠らしい。でも、時々見せる悪魔のような一面に精神を削られるんだそうよ」
クリオネ? 天使の面だけ見ていたい。
「世のお母さんは、これを一人でやってるのよね。こっちではお金さえあれば奴隷を買って子守りを分担できるけど、ニホンじゃ理解のない夫に当たると、最悪、独り立ちするまでワンオペでしょ?」
うちは、母親が出ていってからは父親がワンオペで育ててくれたよ。
シュイユエさんも、フイちゃんの産後が大変だったらしい。
シュイユエさんの場合は、奴隷身分での出産だったから、特に大変だっただろう。
「まあ、名前は夫婦でじっくり考えるといいよ。ユヅルちゃんは、センス自体は悪くないみたいだから」
急ぐ必要はないか。
「それよか、血生臭いことを片付けるのが先じゃない?」
「暗殺しようにも、両軍の動きが予想より遅くて……」
四男は元々外交官で、軍事には疎い。疎いのに行軍にアレコレと口を出して、武官の足を引っ張っている。
次男の方は、元々武官で、今は辺境伯。武官時代に培った人脈はあるけれど、辺境伯として周辺の貴族と仲良くしていたわけではないので、行軍しながら周辺貴族を説得しているようだ。しかし、口は達者ではないようで、面倒な交渉をさっさと切り上げて、武力をチラつかせて味方に引き入れている。
そんな状態では、数は揃えど士気は上がらずで、行軍速度も全く上がらない。
「本当は今日辺り、四男軍の矢を貰いに行くはずだったんです」
予定では、両軍共に、東西の隣の領に入ってるはずだった。
「この国の場合、為政者を殺しすぎると商人が力を持ちすぎるわよ」
ただでさえ商人の国と言われているから、それは気を付けている。
内乱のどさくさで国政に食い込もうとする商人がいたら、サクッと事故死してもらうつもりだ。
「暗殺の成否は心配してないけど、その後の内乱の行方がどうなるか、よね。侯爵はどうするって?」
「四男と手を組むのはやめて、次男の息子を即位させる。んで、自分が摂政になる。というのが、侯爵の落としどころです」
息子は、まだ四歳と二歳とのこと。
「四男はどうするの?」
「放置して大丈夫だそうです。今回の件で、弁は立つけど人を纏める力はない、ってバレてしまったから、四男の派閥は空中分解すると思います」
しないなら、ちょっかいかけて内部分裂を誘発させる。
「侯爵が摂政になるための下準備は?」
「それはもう済んでいるそうです。この短期間で次男軍の三分の一を取り込めるのは、凄いですよね」
あんなに優秀な侯爵も、娘のために手を尽くして破産寸前になったんだから、呪いで死んだ王都の有象無象は、案外、優秀だったのかも。
「次男軍で殺すのは他に何人?」
「三人の予定です」
三人の他に、実力を隠していそうなのが二人いる。
なので、未定だが、次男死亡後の彼らの行動で二人追加されるかもしれない。
ロジーネさんは、「そう」と呟いて猫の仮面を被る。
「侯爵との話し合いで、商人に借金がある貴族は始末していいんじゃないか、って意見があったんですけど、差し押さえた財産に領地が含まれてると、王国としてはかなり不味いことになるんですよ」
「交易路を他国に売られたら大損害よね」
「かと言って、生かしておくと、商人に寄生された貴族が国政に関わることになって、今までと同じになってしまうんです」
ロジーネさんが仮面を被ったまま黙る。
なんだろう。なにか見落としがあったか?
「まあ、あとは臨機応変に、かしら」
「結局、いくら準備してもイレギュラーは必ずありますからね」
「うん。追加で五人くらい殺らなきゃいけないと思うけど」
マジっすか。見積もりが甘かった?
「商人二人と貴族三人ってとこかしら。場合によっては、四男派の貴族を一人追加、かな?」
仮面にデータが送られてくる。
んー、ノーマーク。毒にも薬にもなりそうにない……いや、毒寄りの人たちだ。どちらかと言えば毒。けど、悪人になりきれない中途半端な人たちだ。
四男派の貴族の大半は、所謂、鷹派というやつで、半端者は四男派の中では少数派だ。なので、放っておいても大丈夫だと思うんだけど……。
「この人たちが毒になりますか?」
「ユヅルちゃんが三人殺したら、この五人が破産する。追い込まれた五人が手を組む可能性が高い」
あくまでも可能性の話だ。
でも、それを話すのが神様なら? それって、可能性なのかな? 確定した未来の話に聞こえる。
「五人、貴族を入れて六人か。六人の動きを気にかけておきます」
「うん。その程度でいいと思うよ」
その程度で済めばいいな。
*
この話をした三日後、四男軍から矢を拝借して、その翌々日に次男を暗殺した。
次男を暗殺した翌日、次男派の貴族を三人暗殺し、経過を観察する。
十日後に、無毒だと思ってた五人が集まり侯爵領を襲撃する計画を立てていたので、その場で毒殺しておいた。
ロジーネさんの予知の通りになってしまったから、この翌日、四男軍の鷹派貴族も予知通りかと思い様子を見に行く。
やはりと言うか、鳩派を説得している最中だったので、会合帰りの彼を暗殺。間違えて四男軍の矢を使ってしまったが、内部分裂を演出できそうなので、隠蔽せずにそのまま帰った。
その後も十日ほど両軍を監視した。
侯爵にその報告と今後の相談などをして、息子の名前をレオノーレさんと話し合えたのは、さらに二日後。
まあ、話し合おうとしたら、既に「ユガラ」と呼んでいたけど。
そんなわけで、我が家の長男は弓幹に決定した。
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