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第16話 ナナの疑惑
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― ナナ視点 ―
「こっ、これは一体」
「フッフッフ、これで借金ゼロやね」
「確かにそうですが、こんな大金どうされたのですか?」
「内緒や」
そう言って目の前の男から立ち去る。
『宝馬記念』で大博打を打ち、見事勝利したアタシは借金を返して回り、さっき全てを返し終わった。
めっちゃスッキリや。
世界が違って見える。
しかも、返した後もまだまだお金は残ってる。
でも、オジキが言うには半分は税として治めなアカンらしい。
なんて理不尽なんやろ。
まぁ、考えてもしゃーない。
キッチリ払ったろやないか。
その足で行きつけのP・Pギルドに入る。
このギルドはアタシの知っている中で一番の優良ギルドや。
でも、中々勝たれへんねんなぁ。
勝たれへん理由は分かってんねん。
射幸性が高い機種ばっかり打ってるからや。
今打っているボルテージって機種も射幸性が高い機種。
ウラモノやからな。
警官としてはウラモノの存在を認めるのはどうかと思う。
けど、破綻の未来しか見えてなかったP・Pギルド界の事考えると黙認するしかあらへん。
ウチの組織の上層部も、P・Pギルド界が無くなると天下り先…… あっ、コレはアカンな。 P・Pギルドスタッフの職場を失くす訳にもいかへんから、知らぬ存ぜぬで通しているみたいやし。
そんな事より今はギャンブルを楽しもう。
『宝馬記念』での大博打から運が回ってきたのか、あの日以降、毎日ギャンブルしてるけど全戦全勝や。
この調子で今日も勝てたらえ~んやけど……って、早速当たった。
ウラモノやから、一回当てるのが大変やけど、今日もすぐ当たった。
当てるのが大変な分、当たった後はじゃんじゃん出る。
例外もあるけど、そんなんめったにない……って、言(ゆ)~てる間にまた当たった。
やっぱり、今日もツイてる。
それから約2時間ずっと出っぱなし。
なんか怖わなってきた。
そろそろ止めたほうがえ~かな。
そう思っていた頃、もう何度目か分からんメダル切れを起こした。
補充の為、スタッフを呼ぶ。
スタッフも出されるのがイヤなのか、だんだん補充に来る時間が遅くなってきてる。
多分、今回も中々来~へんやろ。
ちょっと休憩しよか。
そう思い、休憩スペースに向かうと知った顔が居った。
「あら、ムコウマルさん」
「おう、調子良さそうだな」
このムコウマルさんのおかげで、借金を全額返済できたようなもんや。
感謝してもしきれへん。
それに、ずっと探してたんや。
マシュウ先輩に、アポをとってくれって頼まれてたかなら。
この後話がしたいとムコウマルさんに告げたけど、行く所があるらしい。
じゃぁ、今日の夜はと尋ねると断られた。
けど、明日の夜ならば構わへんと言う。
でも、明日アタシは夜勤や。
その事をムコウマルさんに告げると明後日はどうかと聞いてくる。
明後日やったら、夜勤明けのお昼なら大丈夫かな。
「夜勤明けのお昼ぐらいなら大丈夫やな」
「じゃぁ、明後日の昼にタケシの店でメシを食べながらで良いか?」
「うん、え~よ」
そう言ってムコウマルさんはギルドを出て行った。
やった。
アポがとれた。
これで、マシュウ先輩と二人っきりでご飯に行ける。
早速マシュウ先輩に報告や。
今、マシュウ先輩は勤務中やから詰所に行けば居てるやろ。
でも、今はじゃんじゃん出てる最中。
これが落ち着いてからやな。
「マシュウ先輩、ムコウマルさんとアポとれましたよ」
詰所に着くと、ちょうどマシュウ先輩は帰る所やった。
あぶない、あぶない。
結局、あれからずっと出っ放し。
止まる気配が全然せぇへんかったけど、これ以上遅なったらマシュウ先輩が帰ってしまう。
このギルドで良くみかける、顔見知りのおっちゃんに台を譲り、渋々ギルドを出たおかげで、なんとかマシュウ先輩に会え、アポがとれた事を伝える事ができた。
「おぉっ、そうか、ありがとう」
マシュウ先輩は満面の笑みを見せる。
カッコ良くて可愛い。
性格も穏やかで知性的。
異性はもちろん、同姓からも慕われるマシュウ先輩はアタシの理想の男性や。
仕事の事でアタシに色々とアドバイスをしてくれる。
他の人にも同じかと聞いてみれば、そうではないみたいや。
アタシに気があるんやろな。
「それで、いつ?」
「明後日のお昼にオジキの店でご飯食べながらです」
「明後日の昼?」
「はい!」
そんな事より、マシュウ先輩との食事の方が大事や。
先輩も帰る所やったみたいやし、これからじゃアカンかな。
「それでマシュウ先輩、この前約束してた食事の件ですけど、今からとかどうですか?」
「今からは勘弁してくれないか、私にも都合があってな」
「そうですか……」
「それと、明後日私は出張だ、すまないが日を改めてくれないか」
「あっ、出張、そうでしたね」
せやった。
マシュウ先輩は明後日から研修で出張やった。
明後日ムコウマルさんに会ったら別の日の都合を聞いとかんとアカンな。
その前に、マシュウ先輩とのご飯をいつ行くかや。
「マシュウ先輩、じゃぁご飯「会って話ができる目処がついてからにしてくれないか」えっ、あ、はい」
アタシが言い切る前に、マシュウ先輩は言葉を被せてきた。
せやな。
そう言う約束やったし。
でも、なんでマシュウ先輩はここまでムコウマルさんと話がしたいんやろ。
ムコウマルさんが言うには違う世界の未来から来たらしいけど信じられへん。
パスポートを見せてもらったけど、どう見ても偽造っぽくはなかった。
けど、一流の人が造れば本物により近く造れるかも知れへん。
マシュウ先輩はその辺りを怪しんでるんかな。
でも、マシュウ先輩はその事を知らんし。
指名手配犯で、マシュウ先輩が逮捕したがっているってのも考えられへんしな。
指名手配犯やったら、手配書でアタシも知ってるけど、ムコウマルさんの顔はどの手配書にも載ってないし。
それとも、アタシらの組織の密命でムコウマルさんを捕えたいとか?
マシュウ先輩は優秀やから、極秘の任務も受ける事もあるやろ。
極秘やったらアタシが知らんのも頷ける。
せやったら、ムコウマルさんはテロリストとかの類?
まさか。
あの温厚そうなムコウマルさんが。
でも、人は見掛けで判断出来へんしな。
とりあえず、明後日はムコウマルさんの都合を聞いて、後はマシュウ先輩に任せよう。
※注)パチンコ・パチスロ店は18歳未満の方は入場できません(高校生は不可)
「こっ、これは一体」
「フッフッフ、これで借金ゼロやね」
「確かにそうですが、こんな大金どうされたのですか?」
「内緒や」
そう言って目の前の男から立ち去る。
『宝馬記念』で大博打を打ち、見事勝利したアタシは借金を返して回り、さっき全てを返し終わった。
めっちゃスッキリや。
世界が違って見える。
しかも、返した後もまだまだお金は残ってる。
でも、オジキが言うには半分は税として治めなアカンらしい。
なんて理不尽なんやろ。
まぁ、考えてもしゃーない。
キッチリ払ったろやないか。
その足で行きつけのP・Pギルドに入る。
このギルドはアタシの知っている中で一番の優良ギルドや。
でも、中々勝たれへんねんなぁ。
勝たれへん理由は分かってんねん。
射幸性が高い機種ばっかり打ってるからや。
今打っているボルテージって機種も射幸性が高い機種。
ウラモノやからな。
警官としてはウラモノの存在を認めるのはどうかと思う。
けど、破綻の未来しか見えてなかったP・Pギルド界の事考えると黙認するしかあらへん。
ウチの組織の上層部も、P・Pギルド界が無くなると天下り先…… あっ、コレはアカンな。 P・Pギルドスタッフの職場を失くす訳にもいかへんから、知らぬ存ぜぬで通しているみたいやし。
そんな事より今はギャンブルを楽しもう。
『宝馬記念』での大博打から運が回ってきたのか、あの日以降、毎日ギャンブルしてるけど全戦全勝や。
この調子で今日も勝てたらえ~んやけど……って、早速当たった。
ウラモノやから、一回当てるのが大変やけど、今日もすぐ当たった。
当てるのが大変な分、当たった後はじゃんじゃん出る。
例外もあるけど、そんなんめったにない……って、言(ゆ)~てる間にまた当たった。
やっぱり、今日もツイてる。
それから約2時間ずっと出っぱなし。
なんか怖わなってきた。
そろそろ止めたほうがえ~かな。
そう思っていた頃、もう何度目か分からんメダル切れを起こした。
補充の為、スタッフを呼ぶ。
スタッフも出されるのがイヤなのか、だんだん補充に来る時間が遅くなってきてる。
多分、今回も中々来~へんやろ。
ちょっと休憩しよか。
そう思い、休憩スペースに向かうと知った顔が居った。
「あら、ムコウマルさん」
「おう、調子良さそうだな」
このムコウマルさんのおかげで、借金を全額返済できたようなもんや。
感謝してもしきれへん。
それに、ずっと探してたんや。
マシュウ先輩に、アポをとってくれって頼まれてたかなら。
この後話がしたいとムコウマルさんに告げたけど、行く所があるらしい。
じゃぁ、今日の夜はと尋ねると断られた。
けど、明日の夜ならば構わへんと言う。
でも、明日アタシは夜勤や。
その事をムコウマルさんに告げると明後日はどうかと聞いてくる。
明後日やったら、夜勤明けのお昼なら大丈夫かな。
「夜勤明けのお昼ぐらいなら大丈夫やな」
「じゃぁ、明後日の昼にタケシの店でメシを食べながらで良いか?」
「うん、え~よ」
そう言ってムコウマルさんはギルドを出て行った。
やった。
アポがとれた。
これで、マシュウ先輩と二人っきりでご飯に行ける。
早速マシュウ先輩に報告や。
今、マシュウ先輩は勤務中やから詰所に行けば居てるやろ。
でも、今はじゃんじゃん出てる最中。
これが落ち着いてからやな。
「マシュウ先輩、ムコウマルさんとアポとれましたよ」
詰所に着くと、ちょうどマシュウ先輩は帰る所やった。
あぶない、あぶない。
結局、あれからずっと出っ放し。
止まる気配が全然せぇへんかったけど、これ以上遅なったらマシュウ先輩が帰ってしまう。
このギルドで良くみかける、顔見知りのおっちゃんに台を譲り、渋々ギルドを出たおかげで、なんとかマシュウ先輩に会え、アポがとれた事を伝える事ができた。
「おぉっ、そうか、ありがとう」
マシュウ先輩は満面の笑みを見せる。
カッコ良くて可愛い。
性格も穏やかで知性的。
異性はもちろん、同姓からも慕われるマシュウ先輩はアタシの理想の男性や。
仕事の事でアタシに色々とアドバイスをしてくれる。
他の人にも同じかと聞いてみれば、そうではないみたいや。
アタシに気があるんやろな。
「それで、いつ?」
「明後日のお昼にオジキの店でご飯食べながらです」
「明後日の昼?」
「はい!」
そんな事より、マシュウ先輩との食事の方が大事や。
先輩も帰る所やったみたいやし、これからじゃアカンかな。
「それでマシュウ先輩、この前約束してた食事の件ですけど、今からとかどうですか?」
「今からは勘弁してくれないか、私にも都合があってな」
「そうですか……」
「それと、明後日私は出張だ、すまないが日を改めてくれないか」
「あっ、出張、そうでしたね」
せやった。
マシュウ先輩は明後日から研修で出張やった。
明後日ムコウマルさんに会ったら別の日の都合を聞いとかんとアカンな。
その前に、マシュウ先輩とのご飯をいつ行くかや。
「マシュウ先輩、じゃぁご飯「会って話ができる目処がついてからにしてくれないか」えっ、あ、はい」
アタシが言い切る前に、マシュウ先輩は言葉を被せてきた。
せやな。
そう言う約束やったし。
でも、なんでマシュウ先輩はここまでムコウマルさんと話がしたいんやろ。
ムコウマルさんが言うには違う世界の未来から来たらしいけど信じられへん。
パスポートを見せてもらったけど、どう見ても偽造っぽくはなかった。
けど、一流の人が造れば本物により近く造れるかも知れへん。
マシュウ先輩はその辺りを怪しんでるんかな。
でも、マシュウ先輩はその事を知らんし。
指名手配犯で、マシュウ先輩が逮捕したがっているってのも考えられへんしな。
指名手配犯やったら、手配書でアタシも知ってるけど、ムコウマルさんの顔はどの手配書にも載ってないし。
それとも、アタシらの組織の密命でムコウマルさんを捕えたいとか?
マシュウ先輩は優秀やから、極秘の任務も受ける事もあるやろ。
極秘やったらアタシが知らんのも頷ける。
せやったら、ムコウマルさんはテロリストとかの類?
まさか。
あの温厚そうなムコウマルさんが。
でも、人は見掛けで判断出来へんしな。
とりあえず、明後日はムコウマルさんの都合を聞いて、後はマシュウ先輩に任せよう。
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