私のわがままな異世界転移

とみQ

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ピスタの街編

プロローグ 闇に蠢く

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 暗く、昏い闇の中。
 何も目視できない深い漆黒の闇の中に、それは、いた。

《それデ……うマクいったノカ……》

 何も無い筈の闇の中で、くぐもった声だけが空間に木霊する。
 いや、それが声なのかも本当の所は良くわからない。その存在自体も何処にも認識出来ないのだから。
 在るのはただ、漆黒の闇のみ。
 ただ確かにそれはそこに存在していた。いや、存在していない筈が無い。それほどに、それは猛烈な瘴気のような、威厳のような、どす黒い圧を周囲に放っていたのだから。

 「ククク……はい。四人共に覚醒に至りましたよ。とは言っても皆まだまだ取るに足らない存在デスケドネ」

 表情は無いが、声だけ聞けば実に愉しそうに答える、その場にいるもう一つの存在。
 グリアモール。
 端から見ればただの一人言(独り言)のようにも見えるが、それらは言葉を交わしていた。いや、意思を通い合わせていた。

《……そうカ……》

 それだけ呟くと、闇の中に先程まで満ちていた、確かにそこに在ったモノが、忽然と消え失せてしまった。
 そこに佇む、一人取り残されたグリアモール。

「ククク……。まだまだコレカラダヨ……お楽しみハ」

 そうしてグリアモールもその空間から掻き消えた……。
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