4 / 39
4.「いらっしゃいませ! 開店です!」
しおりを挟む
ニーナは言い返すことも、怒ることも諦めつつある自分が心底嫌いだった。
クーリッヒ邸から更に王都の中心部に進むと、王城の付近には貴族御用達の華やかな香水店やブティックが建ち並んでいる。
輝かしい軒並みを横目に小型の台車を引くニーナが向かうのは、そこから少しはずれた路地の奥にある広場だ。
この広場では事前に出店料を支払えば誰でも店を開くことができる。
母が寝たきりになった頃から約六年、ニーナは自作の香水をここで販売し、クーリッヒ家の実質的な大黒柱として生活費を稼いでいる。
個人営業のため材料の仕入れから調香、制作、販売まで全て自分でやらなければならない。体力も気力も必要な大変な仕事だが、ニーナは一日の中で香水に携われる、この時間が一番充実していると感じていた。
――この時間だけは自分を好きになれる気がする。
「あっ! ニーナ! こっちこっち!」
「リリィ!」
ニーナは大きく手を振るリリィに駆け寄った。
リリィはニーナと同じ二十歳で普段はある男爵家でメイドをしている。境遇も似ていることからすぐに意気投合し、タイミングが合えば出店料を折半して一緒に店を開いているのだ。明るく元気なリリィと一緒に居ると楽しくて、元気になる。ニーナにとって唯一の、大切な友人だ。
「今日はいい天気だし沢山お客さんくるといいね! 早く準備しちゃお!」
「うん。そうね。じゃぁ、私がテントをはるからリリィは香水の準備をしてくれる?」
「まかせて!」
リリィは得意げに親指を立て、ニーナの引いてきた台車から香水のはいった小瓶を取り出し検品を開始する。幼い子供のように無邪気な友人の姿を微笑ましく思いつつ、その横でニーナもせっせとテントや香水を乗せるテーブルを設置し、開店は着々と進めた。
ほどなくして、ニーナが額の汗を拭い腰に手を当てる。
「――よし、完成ね」
芝生の上に佇む柔らかな白色のテントに、淡い色のレースで彩った入り口。中は狭いがニーナとリリィが各自持参した香水が並べられている。テントは遮光性が強く店内は薄暗いがそれは直射日光を遮る役目と演出を担っている。
ふたりの店主は香水を並べたテーブルの奥に立ち、寝る間を惜しんで調合した最高傑作たちを前にニーナは開店を知らせる第一声を上げた。
「いらっしゃいませ! ニーナとリリィの香水店、開店です! 陰と陽、どちらでもご希望の魔力をお詰めします!」
ニーナの声は口調も手伝って少々遠慮がちに聞こえるが張ると良く通る。その声に呼び止められたかのように止まった人々の足は、次第にぞろぞろと店の前に集まり、ニーナ達の香水をそれぞれ眺め始めた。
老若男女、様々な人が行き交うこの広場で今日はどんな人が香水を手に取ってくれるのか、どんな香りを求めているのか想像するだけで楽しい。
「こんにちは! この香水ください!」
不意に上がった本日最初のお客様の声にニーナは自然と身を屈めて確認した。
テーブルに掴まった小さな手の奥から、背伸びした少年のお客様がひょこっと現れる。
「いらっしゃいませ。この赤いベリーの香水でいいのかな?」
小さなお客様が選んだのはニーナの作った香水だ。
「うん! おかあさんにあげるんだ!」
「プレゼントなのね。素敵ね。魔力は陰と陽どちらにする?」
少年はうーんと唸ったあと、さらに身を乗り出して応えた。
「おかあさん、最近ちょっと元気がないんだ。だから陽がいいな」
「陽ね、わかったわ。なら私が注ぐからちょっと待ってね」
――魔力には属性があり、大きく分けて『陰』と『陽』がある。
陰というと暗いイメージを持つかも知れないが実際の効果は『落ち着き』や『集中力』の増進だ。そして陽は言葉通り『体力回復』や『気分高揚』がある。
効果は香水に込められた魔力量と相性にもよって異なるが、薬ではないためそこまで気にする必要はない。そして、ニーナの属性は少年が希望する陽だった。
ニーナは優しく頷くと、ベリーの香水を胸に抱き深く息を吸った。全神経を集中させ、手の中の瓶へ祈りを捧げる。
「――優しさの盾となり、尊き者をお護りください」
ニーナが囁いた瞬間、手の中の香水が光り、摘みたてのベリーの香りに包まれた。
「わあ……! すごい……!」
店内が薄暗いこともあり、香水瓶の中はまるで暗闇に太陽の光が差し込んだ瞬間を切り取ったようで、少年は目を奪われている様子だ。
(どうか、この小さなお客様のお母様が元気になる手助けになりますように)
ニーナは強く願った。顔も名前も知らないお客様だが、元気のない母を心配する子供の気持ちは痛いほど理解できる。どれだけ不安で、どれだけ歯がゆいのか。
ただ少し疲れているだけでありますように。そしてその疲れを少しでも癒やせますように。
流れ星に願う子供のようにいくつも願いを並べたニーナの手の中でようやく落ち着いた輝きになった香水は星屑を浮かべたように輝いている。
最後の仕上げに赤いリボンを巻くと少年に香水瓶を渡した。
「はい、お待たせしました。落とさないように気をつけてね」
「ありがとう! お代、これで足りる……?」
「ええ、もちろん。寧ろ多いくらいよ。これで十分。またのお越しを」
ニーナは渡されたお代から一部を少年に返すと手を振って見送った。
「ニーナ」
少年の姿が完全に見えなくなり、ニーナが接客中に訪れた客の接客を終えたリリィが、店内がふたりきりになるやいなやにっこりと微笑んだ。
愛らしい笑みだが全く目は笑っていない。
「なーにが寧ろ多いよ! 全然足らないじゃないの! それなのに更に返しちゃうなんて! あんなに沢山魔力込めたんだから通常の倍は貰わないと……! ニーナの香水だし口出すことじゃないかもしれないけど、生活がかかってるんだから安売りしちゃだめだよ!」
リリィの言っていることはもっともだ。
実際、少年から渡されたお代では定価の半分にも満たない。それに、魔力の量も多めに込めたため、本来であれば通常価格より高価なのは当然だった。ニーナが香水を販売しているのは慈善活動ではなく商売だ。父と継母との生活を支える大黒柱であるニーナは相手が誰でどんな事情を抱えているのであろうと正規の価格で販売するのが正しいのだろう。
リリィはそんなニーナの甘さを友人として、同業者として心配してくれている。
「リリィ、ありがとう。でも大丈夫よ。魔力だけは人一倍有り余っているし、お代も先日貴族様の気まぐれで購入頂いたときに三倍の価格にしたし」
ニーナが肩を竦めて笑うと、リリィも少し不服そうにまったく、と笑った。
「でも確かにニーナの魔力量はすごいよね。私なんて一つ詰めただけでもう休みたくなっちゃうもん」
確かにニーナの魔力量は一般的な猫族に比べて膨大だ。通常であれば一人で一瓶詰めればその都度休憩しなければ体が持たない。
だが事実、魔力量の多いニーナは先程魔力を大量に詰めたばかりだというのに全く疲れを感じていなかった。
「うーん……きっとそれが普通なんだと思うわ。高級店では数人がかりで一つの香水に魔力を込めるっていうし」
「ニーナならひとりで出来ちゃいそうね!」
嬉しいはずの友人の言葉にニーナは少しだけ瞼を伏せた。今朝両親に言われた嫌味がまだ胸の奥に残っているのか、今できる精一杯の情熱を注いで調合したはずの香水たちが少し色褪せて見えてしまう。
(事実、何件か面接に行ったこともあったけど、全て『クーリッヒ家の不義の子』扱いで門前払いだったわ)
ニーナとリリィの作った香水は、一般的に出回っている香水より容量が多く、瓶は至ってシンプルで実用的だ。香りも人気が高く、尚且つ香料が安価で手に入りやすいものを中心としている。貴族が贔屓にするような店では香水が手に届かない大衆向けに作られた香水を、王城付近の貴族御用達の香水店と比べるのもおかしなことだが、ニーナが逆立ちしても嗅ぐことすら出来ない材料を使用し最先端の製法を学ぶことができるのが純粋に羨ましい。
ないものねだりをしてしまう自分が情けなくてニーナはあいまいに笑って返した。
そんなニーナの落ち込んだ表情を見かねたリリィがぱんっと手を叩いて明るく切り出す。
「じゃあ、もしそんな高級店に勤める調香師たちに会えるって言ったらどうする?」
「えっ、本当?」
ニーナは友人の言葉に顔をあげて目を輝かせた。
「ほんとほんと。それも王城付近の超高級店のエリートたち!」
「どこかで実演販売のイベントでもするの? 行ってみたい!」
高級店に勤めるエリート調香師の話を聞けるななんて滅多いない。
宝物を発見した子供のようにはしゃぐニーナの手をとったリリィは満面の笑みで目的を告げた。
「よかったあ! 合コンなんだけど人数が足らなくてって誘われたの!」
クーリッヒ邸から更に王都の中心部に進むと、王城の付近には貴族御用達の華やかな香水店やブティックが建ち並んでいる。
輝かしい軒並みを横目に小型の台車を引くニーナが向かうのは、そこから少しはずれた路地の奥にある広場だ。
この広場では事前に出店料を支払えば誰でも店を開くことができる。
母が寝たきりになった頃から約六年、ニーナは自作の香水をここで販売し、クーリッヒ家の実質的な大黒柱として生活費を稼いでいる。
個人営業のため材料の仕入れから調香、制作、販売まで全て自分でやらなければならない。体力も気力も必要な大変な仕事だが、ニーナは一日の中で香水に携われる、この時間が一番充実していると感じていた。
――この時間だけは自分を好きになれる気がする。
「あっ! ニーナ! こっちこっち!」
「リリィ!」
ニーナは大きく手を振るリリィに駆け寄った。
リリィはニーナと同じ二十歳で普段はある男爵家でメイドをしている。境遇も似ていることからすぐに意気投合し、タイミングが合えば出店料を折半して一緒に店を開いているのだ。明るく元気なリリィと一緒に居ると楽しくて、元気になる。ニーナにとって唯一の、大切な友人だ。
「今日はいい天気だし沢山お客さんくるといいね! 早く準備しちゃお!」
「うん。そうね。じゃぁ、私がテントをはるからリリィは香水の準備をしてくれる?」
「まかせて!」
リリィは得意げに親指を立て、ニーナの引いてきた台車から香水のはいった小瓶を取り出し検品を開始する。幼い子供のように無邪気な友人の姿を微笑ましく思いつつ、その横でニーナもせっせとテントや香水を乗せるテーブルを設置し、開店は着々と進めた。
ほどなくして、ニーナが額の汗を拭い腰に手を当てる。
「――よし、完成ね」
芝生の上に佇む柔らかな白色のテントに、淡い色のレースで彩った入り口。中は狭いがニーナとリリィが各自持参した香水が並べられている。テントは遮光性が強く店内は薄暗いがそれは直射日光を遮る役目と演出を担っている。
ふたりの店主は香水を並べたテーブルの奥に立ち、寝る間を惜しんで調合した最高傑作たちを前にニーナは開店を知らせる第一声を上げた。
「いらっしゃいませ! ニーナとリリィの香水店、開店です! 陰と陽、どちらでもご希望の魔力をお詰めします!」
ニーナの声は口調も手伝って少々遠慮がちに聞こえるが張ると良く通る。その声に呼び止められたかのように止まった人々の足は、次第にぞろぞろと店の前に集まり、ニーナ達の香水をそれぞれ眺め始めた。
老若男女、様々な人が行き交うこの広場で今日はどんな人が香水を手に取ってくれるのか、どんな香りを求めているのか想像するだけで楽しい。
「こんにちは! この香水ください!」
不意に上がった本日最初のお客様の声にニーナは自然と身を屈めて確認した。
テーブルに掴まった小さな手の奥から、背伸びした少年のお客様がひょこっと現れる。
「いらっしゃいませ。この赤いベリーの香水でいいのかな?」
小さなお客様が選んだのはニーナの作った香水だ。
「うん! おかあさんにあげるんだ!」
「プレゼントなのね。素敵ね。魔力は陰と陽どちらにする?」
少年はうーんと唸ったあと、さらに身を乗り出して応えた。
「おかあさん、最近ちょっと元気がないんだ。だから陽がいいな」
「陽ね、わかったわ。なら私が注ぐからちょっと待ってね」
――魔力には属性があり、大きく分けて『陰』と『陽』がある。
陰というと暗いイメージを持つかも知れないが実際の効果は『落ち着き』や『集中力』の増進だ。そして陽は言葉通り『体力回復』や『気分高揚』がある。
効果は香水に込められた魔力量と相性にもよって異なるが、薬ではないためそこまで気にする必要はない。そして、ニーナの属性は少年が希望する陽だった。
ニーナは優しく頷くと、ベリーの香水を胸に抱き深く息を吸った。全神経を集中させ、手の中の瓶へ祈りを捧げる。
「――優しさの盾となり、尊き者をお護りください」
ニーナが囁いた瞬間、手の中の香水が光り、摘みたてのベリーの香りに包まれた。
「わあ……! すごい……!」
店内が薄暗いこともあり、香水瓶の中はまるで暗闇に太陽の光が差し込んだ瞬間を切り取ったようで、少年は目を奪われている様子だ。
(どうか、この小さなお客様のお母様が元気になる手助けになりますように)
ニーナは強く願った。顔も名前も知らないお客様だが、元気のない母を心配する子供の気持ちは痛いほど理解できる。どれだけ不安で、どれだけ歯がゆいのか。
ただ少し疲れているだけでありますように。そしてその疲れを少しでも癒やせますように。
流れ星に願う子供のようにいくつも願いを並べたニーナの手の中でようやく落ち着いた輝きになった香水は星屑を浮かべたように輝いている。
最後の仕上げに赤いリボンを巻くと少年に香水瓶を渡した。
「はい、お待たせしました。落とさないように気をつけてね」
「ありがとう! お代、これで足りる……?」
「ええ、もちろん。寧ろ多いくらいよ。これで十分。またのお越しを」
ニーナは渡されたお代から一部を少年に返すと手を振って見送った。
「ニーナ」
少年の姿が完全に見えなくなり、ニーナが接客中に訪れた客の接客を終えたリリィが、店内がふたりきりになるやいなやにっこりと微笑んだ。
愛らしい笑みだが全く目は笑っていない。
「なーにが寧ろ多いよ! 全然足らないじゃないの! それなのに更に返しちゃうなんて! あんなに沢山魔力込めたんだから通常の倍は貰わないと……! ニーナの香水だし口出すことじゃないかもしれないけど、生活がかかってるんだから安売りしちゃだめだよ!」
リリィの言っていることはもっともだ。
実際、少年から渡されたお代では定価の半分にも満たない。それに、魔力の量も多めに込めたため、本来であれば通常価格より高価なのは当然だった。ニーナが香水を販売しているのは慈善活動ではなく商売だ。父と継母との生活を支える大黒柱であるニーナは相手が誰でどんな事情を抱えているのであろうと正規の価格で販売するのが正しいのだろう。
リリィはそんなニーナの甘さを友人として、同業者として心配してくれている。
「リリィ、ありがとう。でも大丈夫よ。魔力だけは人一倍有り余っているし、お代も先日貴族様の気まぐれで購入頂いたときに三倍の価格にしたし」
ニーナが肩を竦めて笑うと、リリィも少し不服そうにまったく、と笑った。
「でも確かにニーナの魔力量はすごいよね。私なんて一つ詰めただけでもう休みたくなっちゃうもん」
確かにニーナの魔力量は一般的な猫族に比べて膨大だ。通常であれば一人で一瓶詰めればその都度休憩しなければ体が持たない。
だが事実、魔力量の多いニーナは先程魔力を大量に詰めたばかりだというのに全く疲れを感じていなかった。
「うーん……きっとそれが普通なんだと思うわ。高級店では数人がかりで一つの香水に魔力を込めるっていうし」
「ニーナならひとりで出来ちゃいそうね!」
嬉しいはずの友人の言葉にニーナは少しだけ瞼を伏せた。今朝両親に言われた嫌味がまだ胸の奥に残っているのか、今できる精一杯の情熱を注いで調合したはずの香水たちが少し色褪せて見えてしまう。
(事実、何件か面接に行ったこともあったけど、全て『クーリッヒ家の不義の子』扱いで門前払いだったわ)
ニーナとリリィの作った香水は、一般的に出回っている香水より容量が多く、瓶は至ってシンプルで実用的だ。香りも人気が高く、尚且つ香料が安価で手に入りやすいものを中心としている。貴族が贔屓にするような店では香水が手に届かない大衆向けに作られた香水を、王城付近の貴族御用達の香水店と比べるのもおかしなことだが、ニーナが逆立ちしても嗅ぐことすら出来ない材料を使用し最先端の製法を学ぶことができるのが純粋に羨ましい。
ないものねだりをしてしまう自分が情けなくてニーナはあいまいに笑って返した。
そんなニーナの落ち込んだ表情を見かねたリリィがぱんっと手を叩いて明るく切り出す。
「じゃあ、もしそんな高級店に勤める調香師たちに会えるって言ったらどうする?」
「えっ、本当?」
ニーナは友人の言葉に顔をあげて目を輝かせた。
「ほんとほんと。それも王城付近の超高級店のエリートたち!」
「どこかで実演販売のイベントでもするの? 行ってみたい!」
高級店に勤めるエリート調香師の話を聞けるななんて滅多いない。
宝物を発見した子供のようにはしゃぐニーナの手をとったリリィは満面の笑みで目的を告げた。
「よかったあ! 合コンなんだけど人数が足らなくてって誘われたの!」
6
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説
黒豹の騎士団長様に美味しく食べられました
Adria
恋愛
子供の時に傷を負った獣人であるリグニスを助けてから、彼は事あるごとにクリスティアーナに会いにきた。だが、人の姿の時は会ってくれない。
そのことに不満を感じ、ついにクリスティアーナは別れを切り出した。すると、豹のままの彼に押し倒されて――
イラスト:日室千種様(@ChiguHimu)
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
オオカミの旦那様、もう一度抱いていただけませんか
梅乃なごみ
恋愛
犬族(オオカミ)の第二王子・グレッグと結婚し3年。
猫族のメアリーは可愛い息子を出産した際に獣人から《ヒト》となった。
耳と尻尾以外がなくなって以来、夫はメアリーに触れず、結婚前と同様キス止まりに。
募った想いを胸にひとりでシていたメアリーの元に現れたのは、遠征中で帰ってくるはずのない夫で……!?
《婚前レスの王子に真実の姿をさらけ出す薬を飲ませたら――オオカミだったんですか?》の番外編です。
この話単体でも読めます。
ひたすららぶらぶいちゃいちゃえっちする話。9割えっちしてます。
全8話の完結投稿です。
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる