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番外編
2. 雪祭り
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入学試験も終わって、開校まであとちょっととなったある日、早い時間に帰ってきたお父さんと一緒に近衛団長さんが訪ねてきた。
『近衛団長さん、久しぶりー』
「神獣様、本日は国王の代理として参りました。グノワ王国へのお怒りはいつごろ解けますでしょうか」
ん?グノワ王国って、薬学科の入学試験の時にオレから薬の作り方が聞けるって噂を流した国だよね。
「ルジェ、何かしたのか?」
『ちょっとお仕置きのために季節外れの雪をお城に降らせたけど、5日間で止んだはずだよ?』
「恐れながら、降り続いた雪が今も解けずに残っております」
そこまでは考えてなかった。でもあれから2か月近くたってるし消えてるでしょ、と思ったら消えてなかった。
あれれ?なんで?
『あ、氷の精霊が解けない様にしてるみたいだね』
オレの神力は乗っていないけど、神獣が降らせた大量の雪ってことで氷の精霊が集まって解けないようにしていた。
これはちょっと予想外だけど、オレにはどうしようもないよ。
「いつ頃消えますか?」
『氷の精霊が飽きたら?』
オレがやってるわけじゃないから、オレにも分からないよ。オレが行って消せば消えるけど、そこまでしてあげる必要ないよね。
「ちなみに、雪が解けた後に植物が変質したりはしませんよね?」
『しないよ。今回は気を付けたよ』
ほら、ミディルの森で一度やらかしてるからさ。今回はちゃんと気を付けたんだ。信用ないなあ。
グノワのお城は、入り口だけは雪かきして通れるようにしたけど、1階部分が雪に埋もれちゃってるらしい。
それで、オルデキアの王様が、グノワ国王から何とか神獣様にお怒りを解いてもらうように謝りたいから取次ぎしてもらえないかと泣きつかれたんだって。
そもそもが自業自得だからオルデキアとしては何もする気はないけど、可能ならいつごろになるかは教えてあげて恩を売ろうという作戦らしい。
きっと春になれば氷の精霊も飽きるでしょ。
『せっかく雪がいっぱいあるんだから、雪祭りすればいいのに』
「雪祭りとはなんだ?」
『雪像を作って飾るお祭り』
「特殊な雪で雪かきにも苦労したということでしたので、雪像は無理でしょう」
あら、オレが降らせたのは普通の雪だったんだけど、氷の精霊が頑張っちゃうとそうなるのか。へえ。
まあそのうちいつかきっと多分解けるから、気長に待ってて。
これに懲りて、オレのことあんまり舐めないほうがいいよ。
その年の冬、オルデキアの王都にはいつもはあまり降らない雪が降り、珍しく積もった。
どうせならふかふかになってほしかったんだけど、積もった雪の量が足りない。
でもこれならオレがちょっと増量してもバレないよね。
ということで、庭にはたんまり雪が積もっている。オレだけのものだ。やっほい!
雪の積もった庭を走り回り、ときどきジャンプして頭から雪に突っ込んだりして、楽しいよー!
「わあ、ルジェが走り回ってる」
「リュカ、行こう!」
走り回ってるオレを見つけた弟くんと火の子が、同じように雪の上を走り出す。
雪玉を作って投げたり、さらさらの雪を楽しんでいる。
「まあ、3人とも雪まみれになって」
「ルジェくんは、雪を司るだけあって楽しそうだねえ」
「お風呂の準備をしておきます」
オレたちが転げまわっているのを、お兄さんとお義姉さんが楽しそうに見ている。できる執事さんは先にお風呂を用意してくれている。
ってことは、心行くまで雪で遊んでいいってことだよね!ひゃっほう!
『ウィオ、2つ雪玉作って』
「何に使うんだ?」
作ってもらった雪玉を、前足でつついてコロコロと転がすと、少しずつ雪玉が大きくなっていく。身体が小さいからちょっと大変だけど、大玉転がしみたいだね。
2つを十分に大きくしたところで、ウィオに小さいほうを大きいほうの上にのせてもらって、目と鼻をつけてもらったら、雪だるまの完成だ。
「おじ上、それなんですか?」
「雪男だ」
「リュカ、私たちも作ろう!」
弟くんと火の子が雪だるまを作り始めた。どっちが大きな雪だるまを作れるか競争している。
雪って童心に帰るよね。オレも行こう!
「こら、ルジェ!じゃましちゃダメ!」
『キャン!』
「ルジェ、えいっ」
火の子の雪だるまにちょっかいをかけていたら、弟くんがオレに雪玉を投げてきた。よーし、雪玉から逃げるぞ!
待てーっと雪玉と一緒に追いかけてくるので、ジグザグと複雑に動きながら雪玉をよけて走り回る。楽しい!
執事さんに、そろそろお風呂に入って身体を温めましょうと言われるまで、3人で雪の中を走り回った。
オレは平気だけど、弟くんたちが風邪ひいちゃうと困るから、今日はここまで。
そんなオレたちには加わらず、お姉ちゃんは三角の耳のついた雪だるまを作ってくれていた。
これオレだよね。雪だるまになってもオレは可愛いね!
『近衛団長さん、久しぶりー』
「神獣様、本日は国王の代理として参りました。グノワ王国へのお怒りはいつごろ解けますでしょうか」
ん?グノワ王国って、薬学科の入学試験の時にオレから薬の作り方が聞けるって噂を流した国だよね。
「ルジェ、何かしたのか?」
『ちょっとお仕置きのために季節外れの雪をお城に降らせたけど、5日間で止んだはずだよ?』
「恐れながら、降り続いた雪が今も解けずに残っております」
そこまでは考えてなかった。でもあれから2か月近くたってるし消えてるでしょ、と思ったら消えてなかった。
あれれ?なんで?
『あ、氷の精霊が解けない様にしてるみたいだね』
オレの神力は乗っていないけど、神獣が降らせた大量の雪ってことで氷の精霊が集まって解けないようにしていた。
これはちょっと予想外だけど、オレにはどうしようもないよ。
「いつ頃消えますか?」
『氷の精霊が飽きたら?』
オレがやってるわけじゃないから、オレにも分からないよ。オレが行って消せば消えるけど、そこまでしてあげる必要ないよね。
「ちなみに、雪が解けた後に植物が変質したりはしませんよね?」
『しないよ。今回は気を付けたよ』
ほら、ミディルの森で一度やらかしてるからさ。今回はちゃんと気を付けたんだ。信用ないなあ。
グノワのお城は、入り口だけは雪かきして通れるようにしたけど、1階部分が雪に埋もれちゃってるらしい。
それで、オルデキアの王様が、グノワ国王から何とか神獣様にお怒りを解いてもらうように謝りたいから取次ぎしてもらえないかと泣きつかれたんだって。
そもそもが自業自得だからオルデキアとしては何もする気はないけど、可能ならいつごろになるかは教えてあげて恩を売ろうという作戦らしい。
きっと春になれば氷の精霊も飽きるでしょ。
『せっかく雪がいっぱいあるんだから、雪祭りすればいいのに』
「雪祭りとはなんだ?」
『雪像を作って飾るお祭り』
「特殊な雪で雪かきにも苦労したということでしたので、雪像は無理でしょう」
あら、オレが降らせたのは普通の雪だったんだけど、氷の精霊が頑張っちゃうとそうなるのか。へえ。
まあそのうちいつかきっと多分解けるから、気長に待ってて。
これに懲りて、オレのことあんまり舐めないほうがいいよ。
その年の冬、オルデキアの王都にはいつもはあまり降らない雪が降り、珍しく積もった。
どうせならふかふかになってほしかったんだけど、積もった雪の量が足りない。
でもこれならオレがちょっと増量してもバレないよね。
ということで、庭にはたんまり雪が積もっている。オレだけのものだ。やっほい!
雪の積もった庭を走り回り、ときどきジャンプして頭から雪に突っ込んだりして、楽しいよー!
「わあ、ルジェが走り回ってる」
「リュカ、行こう!」
走り回ってるオレを見つけた弟くんと火の子が、同じように雪の上を走り出す。
雪玉を作って投げたり、さらさらの雪を楽しんでいる。
「まあ、3人とも雪まみれになって」
「ルジェくんは、雪を司るだけあって楽しそうだねえ」
「お風呂の準備をしておきます」
オレたちが転げまわっているのを、お兄さんとお義姉さんが楽しそうに見ている。できる執事さんは先にお風呂を用意してくれている。
ってことは、心行くまで雪で遊んでいいってことだよね!ひゃっほう!
『ウィオ、2つ雪玉作って』
「何に使うんだ?」
作ってもらった雪玉を、前足でつついてコロコロと転がすと、少しずつ雪玉が大きくなっていく。身体が小さいからちょっと大変だけど、大玉転がしみたいだね。
2つを十分に大きくしたところで、ウィオに小さいほうを大きいほうの上にのせてもらって、目と鼻をつけてもらったら、雪だるまの完成だ。
「おじ上、それなんですか?」
「雪男だ」
「リュカ、私たちも作ろう!」
弟くんと火の子が雪だるまを作り始めた。どっちが大きな雪だるまを作れるか競争している。
雪って童心に帰るよね。オレも行こう!
「こら、ルジェ!じゃましちゃダメ!」
『キャン!』
「ルジェ、えいっ」
火の子の雪だるまにちょっかいをかけていたら、弟くんがオレに雪玉を投げてきた。よーし、雪玉から逃げるぞ!
待てーっと雪玉と一緒に追いかけてくるので、ジグザグと複雑に動きながら雪玉をよけて走り回る。楽しい!
執事さんに、そろそろお風呂に入って身体を温めましょうと言われるまで、3人で雪の中を走り回った。
オレは平気だけど、弟くんたちが風邪ひいちゃうと困るから、今日はここまで。
そんなオレたちには加わらず、お姉ちゃんは三角の耳のついた雪だるまを作ってくれていた。
これオレだよね。雪だるまになってもオレは可愛いね!
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