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禁忌の魔導書
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『禁忌の魔導書』
それは、戦争孤児だった私を拾い育ててくれた大切な師匠が俺に遺した一冊の魔導書だ。師匠は亡くなる前日に、その魔導書を私に託した。
その日、俺は師匠のそばで看病をしていた。普段は虚ろに天井を眺めるばかりで、もう迎えを待つのみとなっていたのだが、その日の師匠は突然、何事もないように上体を起こした。白色の掛け布団を腰のあたりまでまくり、師匠は震える指で部屋の本棚の方をさした。
「一番上の段、右から4冊目。少し取ってきてくれ」
「えっ…師匠起きて大丈夫なんですか!?」
「…早く」
「あっ本ですね、少し待っててください」
俺は言われた通りに、その本棚から一冊の本を取り出した。正確には、魔導書だ。長い間放置されていたのか埃が被っていたが、その魔導書に劣化などは見られない。
「どうぞ」
師匠がどうしてこの魔導書を要求したのかは分からない。突然のことにあまり頭が回っていないが、俺は取り敢えず魔導書を渡すことにした。手で持つのは厳しいだろうと思い、膝の上にそっと置く。しかし、師匠がページを開くことはなかった。
「これは、賢者ガロアが遺した禁忌の魔導書だ。これをお前に託そう」
賢者ガロア、師匠はよくその名を口にしていた。遠い昔に実在した伝説の魔法使いであり、この魔法文明の基礎を築いた人物だとされている。そんな偉大な人物の名前と、『禁忌』という単語に惹かれてか、俺は師匠に問う。
「この魔導書にはどんな魔法が記されているんですか?」
「…『反魂』の魔法、死者を蘇らせる魔法だ。この魔法が世に出れば、この世界から死は無くなる。まさに禁忌だ。絶対に使ってはいけないし、使われてもいけないぞ」
すると俺の頭の中で大きな疑問が生まれた。死が無くなる魔法のどこが禁忌なのだろうかと。自分を拾って育ててくれた師匠は今、生と死の狭間に立たされている。大好きな師匠が蘇るならその魔法を使いたいと思うし、世界からも同じ悲しみを無くしたいと思う。
「死が無くなることは悪い事ですか?」
気付けば俺は泣いていた。涙が視界を歪ませ、大粒の涙が頬を伝い一気に床へと落ちる。近いうちに師匠は死んでしまうだろう、その時にどうして蘇らせてはいけないのか、俺には理解ができなかった。
「人生には別れも大切なんだ」
師匠は病で細くなった腕を俺の頭に伸ばすと、すすり泣く俺の頭を優しく撫でた。温かい、生命の温もりを感じる。師匠はまだ生きている。でもそれは長くない。撫でながらも小刻みに震える師匠の手がそれを、何よりも物語っていた。
あれから十年、私は冒険者となり旅をしていた。干魃で苦しむ土地があれば魔法で雨を降らせ、魔物の群れを見つければ退治する。師匠と二人で暮らしていた家は人に譲ってしまったので、帰るところは既になく、目的地のない人助けの旅を続けていた。
ある時、村と村とを繋ぐ四里ばかりの山道を歩いていると一人の行商人に出会った。
「兄ちゃん、この先の村に行くならやめておいた方が良い」
そう言って行商人は来た道を振り返り指を指した。村まではまだ遠く、道の先に目的地の村は見えていなかったが、行商人はそのまま言葉を続ける。
「竜が村の上を通過してな。酷い有り様だよ…」
「…竜か」
竜、全長は百メートルを超える化け物で、神の創造した神獣だとされている。まだ拾われて間もない頃、師匠と二人で見たことがある。
『あれが…』
町外れの山の遥か上空。竜はその姿を現した。空を切り裂く轟音、地上の木々が宙を舞い、竜を包む灼熱の炎の中に消えていく。人知を超えたその異様さに、俺は言葉を失った。
『竜はな、世界に一匹しか存在しないんだ。圧倒的な力を持ち、この世に竜を殺せる生物は存在しない。そして老いることもない。賢者達が人生を賭して追い求めた不老不死そのものだ』
師匠はどこか遠い目で竜を見据えながらそう言った。竜は山を越え、平原の上を通過し、地平線の向こうへと飛んでいく。はたして、竜は何処へ向かっているのだろうか。
『師匠、竜は何処に向かっているんですか?』
『さぁな…ヤツ自身、分かってはいないだろう』
「分かった。でも、私はこの先に用があるんだ。先に進むよ」
「そうか、なら止めないさ」
「あぁ。忠告してくれてありがとう」
数時間後、私はその村に辿り着いた。しかし、そこに建物の姿はなく、沢山の瓦礫の山が出来ていた。瓦礫に圧し潰された死体から漂う死臭にむせ返る。あちこちから子供の泣き声が聞こえる。
「これは…酷いな」
きっと、全ての建物があっという間に吹き飛んでしまったのだろう。そうして村の奥へと進んでいると、呆然と立ち竦む一人の少年を見つけた。少年の家だったのだろうか、少年は瓦礫の山の前に立ち、ずっと一点を見つめている。
「これは、君の家か?」
「妹が、この瓦礫の下にいるんだ」
少年は私の質問に答えることなく、そう言った。少年は積み上がった瓦礫の一部から視線を外さない。
「ここに、君の妹が?」
「…」
少年の妹が瓦礫の下に埋もれている。しかし少年も私も瓦礫を掘り返すことはしなかった。少年の妹の安否は、瓦礫の下から漂う強烈な死臭が物語っていたから。
「突然、何もかもが宙に浮いて、僕は吹き飛ばされて助かったけど…家族はみんなこの瓦礫に潰された」
見れば、少年は全身血だらけだった。手足からは血を滴らせ、後頭部も真っ赤に染まっている。早急に回復の魔法を使わなければ命が危ないだろう。
「あいつが、すべてを吹き飛ばしたんだ。家も家族も、何もかも!」
「あいつのせいで…父さんも母さんも、この瓦礫の下に埋まった!どうして..僕の家族は死なないといけなかったんだ!」
少年が初めて、私の方に顔を向けた。頬には涙痕が残り、長く伸びた前髪に隠れた目からは強い殺意が、怒りに歪んだ少年の表情からは、今すぐにでも竜の首を斬り落としてやりたいと言わんばかりの強い恨みが感じられた。しかし、人は竜に勝てない。少年の敵討ちは決して叶わないのだ。気付けば私は、目の前の孤独な少年に声を掛けていた。
「少年…私に付いてこい。私が導いてやる」
放っておけばそのまま消えさってしまいそうな小さな命、少々無責任な言葉だが、少年を救うには仕方無かった。かくして、俺の旅には一人の少年『アラン』が加わった。
「師匠。三人、捕まえてきました」
アランを拾って三年。師匠から教わった魔法をアランに教えているうちに、アランは大分強くなった。私のことを天才だと師匠は言っていたが、アランはそれ以上であった。
「良くやったな。では少し休憩をしよう、そこに縛り付けておいてくれ」
そして、アランは魔法の才能以外にも、身体能力が異常に高かった。対人戦で魔法を使うとやり過ぎてしまう危険性があり、肉弾戦も圧倒的に強いアランに任せることで、こうして気絶させ連れてきてくれるのだ。
私はアランが山賊を木に縛り付けている間に焚き火をおこし、その場に腰を下ろした。アランも焚き火の側に腰を下ろす。
「もう日が落ちてしまったからな。こいつらを連れて行くのは明日にしよう」
夜の山道を歩くのは魔物の接近に気付けず危険だ。出発するなら明日の朝だろう。
「こいつら、殺さないんですか?」
抑揚のない、無感情な声色でアランはそういった。
「…何故だ」
「こんな屑ども、生かしておく価値がありません」
「アラン、こいつらは屑だが、罰を与えるのは私達ではない。それに人殺しをすれば、私達もこいつらと同様の屑だ」
「…はい」
いずれ、私の持つ魔導書はアランへと渡るだろう。本当にアランに渡していいのだろうか、そんな疑問が私の脳裏をよぎった。
「アラン、もしも人を蘇らせる魔法があるとしたら、お前は使うか?」
「…使いますね。妹に会いたいです。家族を蘇らせて、今度こそは僕が守ります」
「そうか」
暫くの沈黙が訪れた。バチバチと音をたてながら炎が揺れる。先に口を開いたのはアランだった。
「師匠には、生き返らせたい人はいないんですか?」
生き返らせたい人、この魔導書を託されてから考えたこともなかった。考えないようにしていた。
「生き返らせたい…か。病で亡くなってしまった私の師匠に、また会えたらとは思うよ」
「師匠の師匠?」
アランが私の師匠に興味を示す。そういえば、師匠の事は話したことが無かったなと、そう思いながら言葉を続ける。
「私も、師匠に拾ってもらったんだ。戦争孤児でね、家族もみんな殺されてしまったあとに、師匠が私を拾ってくれた。十年、一緒に過ごしたよ」
「師匠の師匠がいたから、僕は師匠に拾ってもらえたんですね。」
「あぁ…そうだな。師匠はとても優しい人だったから、困っている人がいたら誰であっても手を差し伸べていたんだ。私はそんな師匠に憧れたよ」
話しながら、大好きだった師匠のことを思い出す。師匠が亡くなってから、魔導書の魔法を使おうかと考えた事もあった。悩み苦しみ、そして私は師匠を眠らせてあげることにした。
「もっとも、師匠を蘇らせたら私は怒られてしまうがな。アラン、お前はやはり大丈夫だ」
アランは頭の上に大きなはてなを浮かべ首を傾げた。しかし、私はその意味を告げない。アランは私とおなじように、きっと乗り越えてくれるから。
翌日の朝、私達は山賊を無事、街に預けた。私は、山賊にかかっていた懸賞金を受け取ると、アランと共に街を後にする。次は少し危険な魔物の討伐だ。
「アラン、今回の敵は少し手強い。気を引き締めろ」
「はい」
標的はワイバーン。竜から剥がれ落ちた魔力で出来た鱗が形を変えて生まれた魔物だ。所詮は竜もどき、されど竜もどき。決して侮れない敵だ。
私達はワイバーンの巣がある崖の上でワイバーンの帰りを待つ。ワイバーンは空を飛んで帰ってくるだろうが、討伐するには一撃で撃ち落とす必要がある。崖の上でもし掴まれでもしたら崖の下に放り投げられてしまうからだ。人類はまだ空には飛べないのだ。真っ逆さまに落ちて、地面に赤い花を咲かせてしまうだろう。
「グワァァア!!!」
そう、空高くから咆哮が聞こえたのは待機し始めてから直ぐだった。咄嗟に私達は咆哮の聞こえた方向を見る。しかし、ワイバーンの姿は見えない。奴等の目はとても良いのだ。
「一匹だな。私に任せろ」
緊張感はない。ただ静かにワイバーンが降りてくるのを待つ。姿を見せたとき、それが奴の最期なのだ。
「グワァァア!!」
炎に身を包む、あの竜の子どものような見た目をした十メートル程のワイバーンが、空から一直線に向かってきた。
手を敵にかざし、魔力の粒子を集中させる。魔力をより高密度に、乱れなく集中させる。一撃で葬るために、ギリギリまで近付けて、ワイバーンとの距離が十メートルほどまで接近したその瞬間、一気に魔力を放出した。
「グオオォォオォォ」
黄金の光がワイバーンを包み、そのまま天を貫く。空を爆ぜる轟音が辺りに響き、やがて魔力が霧散していく。視界を覆っていた光が完全に霧散した時、目の前にワイバーンの姿は無かった。跡形もなく吹き飛ばしてしまったのだ。
「おぉ…やはり師匠は凄いですね」
横で見ていたアランは少し上擦った声でそういった。
「しかし困ったな、討伐した証になるものが無くなってしまった」
隣に愛弟子がいたからか、少し力みすぎてしまったようだ。結局ワイバーンは一匹のみで、日が暮れた頃に私達は帰り始めた。
帰り道、夕日を眺めながら歩いていると、アランが質問を投げ掛けてきた。
「師匠の師匠ってどれくらい強かったんですか?」
「凄まじく強かったな。少なくとも、今の私では太刀打ちできないほどには」
「え、そんなにですか…」
夕日に照らされ赤く見えていたアランの表情が真っ青に染まる。
「まぁでも、確かにどうしてあそこまで強かったんだろうな、あの人」
思い返してみれば私は師匠について知らないことが多すぎる。私を拾うまで、あの人は何をしていたのだろうか。そうして最大の疑問は『禁忌の魔道書』だ。あの人はどこで手に入れたのだろうか。常に懐に入れてあるその本に、私は手を伸ばす。
「思えば、あの人は何処でこんなものを手に入れたんだろうか」
「こんなもの、ですか?」
アランは懐に入れられた私の手を見つめながらそう言った。失敗した、そう思った。私はすぐに手を引っ込めると「いいや、何でも無いよ」そう答えた。まだ、存在を知られるわけにはいかないのだ。
しかし、その翌日の朝のことだった。違和感を感じたのは起きてすぐのことだ。私は慌てて懐に手をいれる。
「…ない」
「アラン!」
返事は無かった。私は支度もせずに宿を飛び出した。あれの存在を知るにはまだ早すぎるのだ。決して中を見られてはいけない。私は魔力で探知しながら街中を走り回ってアランを探した。
「ぜぇ……アラン」
アランは街からは少し離れた丘の上に座っていた。アランは私の声に反応し、読んでいた魔導書を落として此方を凝視した。
「し、師匠…」
「早く、それを返しなさい。アラン!」
初めて、アランを怒った。アランはピクリと震えた後、魔導書を拾い上げて私の方へ差し出そうとする。しかし、アランは私に渡る直前で引っ込めてしまった。そのままアランはバックステップで私から距離を取る。
「アラン」
「師匠、僕は見ました。このガロアの魔導書には、死者を蘇らせる魔法が載っています!」
「だからだ。早く返しなさい」
そう言うとアランは更に距離をとって言った。
「どうして魔法を使ってくれないんですか!この魔法があれば、僕の家族や師匠の師匠も生き返るんですよ!」
「アラン、死んだ人は帰ってこないんだ。この世の理に逆らってはいけない」
少しずつアランに歩み寄る。アランはそれに合わせ少しずつ距離を取る。
「分かってください、師匠!」
そうして、アランは魔導書をその場で開いた。開かれているのは魔法陣のページ、アランが魔法陣に手を伸ばす。刹那、アランを中心に発生した突風によって私は吹き飛ばされた。
「やめろ…!魔導書を捨てるんだ!」
『反魂』
アランの声が世界に響いた。その声に応じるように、天から神々しい光が降りる。眩い光がアランを包む。アランは両手を天にかざし叫ぶ。
「マリー、帰ってきて!」
アランの呼び掛けに応じてか、光の柱がより一層輝きを増す。そうして次の瞬間、光の中に一つの人影が現れた。人影はゆっくりとアランのもとへ降りていく。
「マリー…ずっと、会いたかった…」
気付けば光の柱は霧散していて、マリーと呼ばれた人影とアランの様子がよく見えるようになっていた。そして私は異様な光景を目にする。アランは光で出来た人影をマリーと呼んでいたのだ。
「おかしい…アラン!離れろーっ!」
私は全力で叫んだ。しかし、少し遅かった。人影がアランの肩を掴んでいた。いつの間にか人影の背中からは黄金に輝く二対の翼が生えていた。
「な、なに!?マリー、痛い!離して!」
人影が物凄い力でアランの体を持ち上げる。持っていかれる、そう思った。私はワイバーンを倒したときのように手をかざし魔力を集中させていく。人影はアランを掴んだまま天へと上昇していく。
ワイバーンのときと違い、今回はアランを避け、人影だけを射抜かなければならない。その為には魔力を限界まで集中させる必要がある。時間が無い。
「くっ…一か八かやるしかない!」
人影の少し上をうちアランだけを避ける。ミスればアランもろとも消し炭だが、賭けるしかない。次の瞬間、私の視界を魔力の光が覆った。空を切り裂く轟音が大地を揺らす。
魔力が霧散するまでの間、私はアランの無事だけを祈っていた。暫くの時が経ち、魔力が完全に霧散すると、私はまず空を確認する。人影の姿は無かった。もちろんアランの姿もない。そして、私は恐る恐るその下の地面を見る。
「アランっ!」
そこにはアランの姿があった。アランが呆然と立ち竦んでいた。私はどんな言葉をかけようかと悩みながらもアランに近付く。
「師匠、マリー…妹が見えました」
先に口を開いたのはアランだった。アランは妹の姿が見えたと言った。しかし、そこに再会の喜び等といった感情は見られない。ただ、呆然とした様子でそう言った。
「あれは、お前の妹なのか?」
「違いました、あれはマリーじゃないです。僕を連れて行くために、妹の皮を被った何かです」
「師匠に助けてもらえなければ、僕は何処まで引っ張られていたのでしょうか…」
「さぁな…少なくとも、地獄よりは恐ろしい場所なはずだ」
きっと、あの人影は神様の使者なんだろう、そう思った。神の理に反する人間を裁きに来たのだ。人が死を克服することは禁忌だから。
「どうしてこんな不完全な魔導書が残されているのかは知らないがな。賢者ガロアでさえ、神に逆らうことは出来なかったわけだ」
それは、戦争孤児だった私を拾い育ててくれた大切な師匠が俺に遺した一冊の魔導書だ。師匠は亡くなる前日に、その魔導書を私に託した。
その日、俺は師匠のそばで看病をしていた。普段は虚ろに天井を眺めるばかりで、もう迎えを待つのみとなっていたのだが、その日の師匠は突然、何事もないように上体を起こした。白色の掛け布団を腰のあたりまでまくり、師匠は震える指で部屋の本棚の方をさした。
「一番上の段、右から4冊目。少し取ってきてくれ」
「えっ…師匠起きて大丈夫なんですか!?」
「…早く」
「あっ本ですね、少し待っててください」
俺は言われた通りに、その本棚から一冊の本を取り出した。正確には、魔導書だ。長い間放置されていたのか埃が被っていたが、その魔導書に劣化などは見られない。
「どうぞ」
師匠がどうしてこの魔導書を要求したのかは分からない。突然のことにあまり頭が回っていないが、俺は取り敢えず魔導書を渡すことにした。手で持つのは厳しいだろうと思い、膝の上にそっと置く。しかし、師匠がページを開くことはなかった。
「これは、賢者ガロアが遺した禁忌の魔導書だ。これをお前に託そう」
賢者ガロア、師匠はよくその名を口にしていた。遠い昔に実在した伝説の魔法使いであり、この魔法文明の基礎を築いた人物だとされている。そんな偉大な人物の名前と、『禁忌』という単語に惹かれてか、俺は師匠に問う。
「この魔導書にはどんな魔法が記されているんですか?」
「…『反魂』の魔法、死者を蘇らせる魔法だ。この魔法が世に出れば、この世界から死は無くなる。まさに禁忌だ。絶対に使ってはいけないし、使われてもいけないぞ」
すると俺の頭の中で大きな疑問が生まれた。死が無くなる魔法のどこが禁忌なのだろうかと。自分を拾って育ててくれた師匠は今、生と死の狭間に立たされている。大好きな師匠が蘇るならその魔法を使いたいと思うし、世界からも同じ悲しみを無くしたいと思う。
「死が無くなることは悪い事ですか?」
気付けば俺は泣いていた。涙が視界を歪ませ、大粒の涙が頬を伝い一気に床へと落ちる。近いうちに師匠は死んでしまうだろう、その時にどうして蘇らせてはいけないのか、俺には理解ができなかった。
「人生には別れも大切なんだ」
師匠は病で細くなった腕を俺の頭に伸ばすと、すすり泣く俺の頭を優しく撫でた。温かい、生命の温もりを感じる。師匠はまだ生きている。でもそれは長くない。撫でながらも小刻みに震える師匠の手がそれを、何よりも物語っていた。
あれから十年、私は冒険者となり旅をしていた。干魃で苦しむ土地があれば魔法で雨を降らせ、魔物の群れを見つければ退治する。師匠と二人で暮らしていた家は人に譲ってしまったので、帰るところは既になく、目的地のない人助けの旅を続けていた。
ある時、村と村とを繋ぐ四里ばかりの山道を歩いていると一人の行商人に出会った。
「兄ちゃん、この先の村に行くならやめておいた方が良い」
そう言って行商人は来た道を振り返り指を指した。村まではまだ遠く、道の先に目的地の村は見えていなかったが、行商人はそのまま言葉を続ける。
「竜が村の上を通過してな。酷い有り様だよ…」
「…竜か」
竜、全長は百メートルを超える化け物で、神の創造した神獣だとされている。まだ拾われて間もない頃、師匠と二人で見たことがある。
『あれが…』
町外れの山の遥か上空。竜はその姿を現した。空を切り裂く轟音、地上の木々が宙を舞い、竜を包む灼熱の炎の中に消えていく。人知を超えたその異様さに、俺は言葉を失った。
『竜はな、世界に一匹しか存在しないんだ。圧倒的な力を持ち、この世に竜を殺せる生物は存在しない。そして老いることもない。賢者達が人生を賭して追い求めた不老不死そのものだ』
師匠はどこか遠い目で竜を見据えながらそう言った。竜は山を越え、平原の上を通過し、地平線の向こうへと飛んでいく。はたして、竜は何処へ向かっているのだろうか。
『師匠、竜は何処に向かっているんですか?』
『さぁな…ヤツ自身、分かってはいないだろう』
「分かった。でも、私はこの先に用があるんだ。先に進むよ」
「そうか、なら止めないさ」
「あぁ。忠告してくれてありがとう」
数時間後、私はその村に辿り着いた。しかし、そこに建物の姿はなく、沢山の瓦礫の山が出来ていた。瓦礫に圧し潰された死体から漂う死臭にむせ返る。あちこちから子供の泣き声が聞こえる。
「これは…酷いな」
きっと、全ての建物があっという間に吹き飛んでしまったのだろう。そうして村の奥へと進んでいると、呆然と立ち竦む一人の少年を見つけた。少年の家だったのだろうか、少年は瓦礫の山の前に立ち、ずっと一点を見つめている。
「これは、君の家か?」
「妹が、この瓦礫の下にいるんだ」
少年は私の質問に答えることなく、そう言った。少年は積み上がった瓦礫の一部から視線を外さない。
「ここに、君の妹が?」
「…」
少年の妹が瓦礫の下に埋もれている。しかし少年も私も瓦礫を掘り返すことはしなかった。少年の妹の安否は、瓦礫の下から漂う強烈な死臭が物語っていたから。
「突然、何もかもが宙に浮いて、僕は吹き飛ばされて助かったけど…家族はみんなこの瓦礫に潰された」
見れば、少年は全身血だらけだった。手足からは血を滴らせ、後頭部も真っ赤に染まっている。早急に回復の魔法を使わなければ命が危ないだろう。
「あいつが、すべてを吹き飛ばしたんだ。家も家族も、何もかも!」
「あいつのせいで…父さんも母さんも、この瓦礫の下に埋まった!どうして..僕の家族は死なないといけなかったんだ!」
少年が初めて、私の方に顔を向けた。頬には涙痕が残り、長く伸びた前髪に隠れた目からは強い殺意が、怒りに歪んだ少年の表情からは、今すぐにでも竜の首を斬り落としてやりたいと言わんばかりの強い恨みが感じられた。しかし、人は竜に勝てない。少年の敵討ちは決して叶わないのだ。気付けば私は、目の前の孤独な少年に声を掛けていた。
「少年…私に付いてこい。私が導いてやる」
放っておけばそのまま消えさってしまいそうな小さな命、少々無責任な言葉だが、少年を救うには仕方無かった。かくして、俺の旅には一人の少年『アラン』が加わった。
「師匠。三人、捕まえてきました」
アランを拾って三年。師匠から教わった魔法をアランに教えているうちに、アランは大分強くなった。私のことを天才だと師匠は言っていたが、アランはそれ以上であった。
「良くやったな。では少し休憩をしよう、そこに縛り付けておいてくれ」
そして、アランは魔法の才能以外にも、身体能力が異常に高かった。対人戦で魔法を使うとやり過ぎてしまう危険性があり、肉弾戦も圧倒的に強いアランに任せることで、こうして気絶させ連れてきてくれるのだ。
私はアランが山賊を木に縛り付けている間に焚き火をおこし、その場に腰を下ろした。アランも焚き火の側に腰を下ろす。
「もう日が落ちてしまったからな。こいつらを連れて行くのは明日にしよう」
夜の山道を歩くのは魔物の接近に気付けず危険だ。出発するなら明日の朝だろう。
「こいつら、殺さないんですか?」
抑揚のない、無感情な声色でアランはそういった。
「…何故だ」
「こんな屑ども、生かしておく価値がありません」
「アラン、こいつらは屑だが、罰を与えるのは私達ではない。それに人殺しをすれば、私達もこいつらと同様の屑だ」
「…はい」
いずれ、私の持つ魔導書はアランへと渡るだろう。本当にアランに渡していいのだろうか、そんな疑問が私の脳裏をよぎった。
「アラン、もしも人を蘇らせる魔法があるとしたら、お前は使うか?」
「…使いますね。妹に会いたいです。家族を蘇らせて、今度こそは僕が守ります」
「そうか」
暫くの沈黙が訪れた。バチバチと音をたてながら炎が揺れる。先に口を開いたのはアランだった。
「師匠には、生き返らせたい人はいないんですか?」
生き返らせたい人、この魔導書を託されてから考えたこともなかった。考えないようにしていた。
「生き返らせたい…か。病で亡くなってしまった私の師匠に、また会えたらとは思うよ」
「師匠の師匠?」
アランが私の師匠に興味を示す。そういえば、師匠の事は話したことが無かったなと、そう思いながら言葉を続ける。
「私も、師匠に拾ってもらったんだ。戦争孤児でね、家族もみんな殺されてしまったあとに、師匠が私を拾ってくれた。十年、一緒に過ごしたよ」
「師匠の師匠がいたから、僕は師匠に拾ってもらえたんですね。」
「あぁ…そうだな。師匠はとても優しい人だったから、困っている人がいたら誰であっても手を差し伸べていたんだ。私はそんな師匠に憧れたよ」
話しながら、大好きだった師匠のことを思い出す。師匠が亡くなってから、魔導書の魔法を使おうかと考えた事もあった。悩み苦しみ、そして私は師匠を眠らせてあげることにした。
「もっとも、師匠を蘇らせたら私は怒られてしまうがな。アラン、お前はやはり大丈夫だ」
アランは頭の上に大きなはてなを浮かべ首を傾げた。しかし、私はその意味を告げない。アランは私とおなじように、きっと乗り越えてくれるから。
翌日の朝、私達は山賊を無事、街に預けた。私は、山賊にかかっていた懸賞金を受け取ると、アランと共に街を後にする。次は少し危険な魔物の討伐だ。
「アラン、今回の敵は少し手強い。気を引き締めろ」
「はい」
標的はワイバーン。竜から剥がれ落ちた魔力で出来た鱗が形を変えて生まれた魔物だ。所詮は竜もどき、されど竜もどき。決して侮れない敵だ。
私達はワイバーンの巣がある崖の上でワイバーンの帰りを待つ。ワイバーンは空を飛んで帰ってくるだろうが、討伐するには一撃で撃ち落とす必要がある。崖の上でもし掴まれでもしたら崖の下に放り投げられてしまうからだ。人類はまだ空には飛べないのだ。真っ逆さまに落ちて、地面に赤い花を咲かせてしまうだろう。
「グワァァア!!!」
そう、空高くから咆哮が聞こえたのは待機し始めてから直ぐだった。咄嗟に私達は咆哮の聞こえた方向を見る。しかし、ワイバーンの姿は見えない。奴等の目はとても良いのだ。
「一匹だな。私に任せろ」
緊張感はない。ただ静かにワイバーンが降りてくるのを待つ。姿を見せたとき、それが奴の最期なのだ。
「グワァァア!!」
炎に身を包む、あの竜の子どものような見た目をした十メートル程のワイバーンが、空から一直線に向かってきた。
手を敵にかざし、魔力の粒子を集中させる。魔力をより高密度に、乱れなく集中させる。一撃で葬るために、ギリギリまで近付けて、ワイバーンとの距離が十メートルほどまで接近したその瞬間、一気に魔力を放出した。
「グオオォォオォォ」
黄金の光がワイバーンを包み、そのまま天を貫く。空を爆ぜる轟音が辺りに響き、やがて魔力が霧散していく。視界を覆っていた光が完全に霧散した時、目の前にワイバーンの姿は無かった。跡形もなく吹き飛ばしてしまったのだ。
「おぉ…やはり師匠は凄いですね」
横で見ていたアランは少し上擦った声でそういった。
「しかし困ったな、討伐した証になるものが無くなってしまった」
隣に愛弟子がいたからか、少し力みすぎてしまったようだ。結局ワイバーンは一匹のみで、日が暮れた頃に私達は帰り始めた。
帰り道、夕日を眺めながら歩いていると、アランが質問を投げ掛けてきた。
「師匠の師匠ってどれくらい強かったんですか?」
「凄まじく強かったな。少なくとも、今の私では太刀打ちできないほどには」
「え、そんなにですか…」
夕日に照らされ赤く見えていたアランの表情が真っ青に染まる。
「まぁでも、確かにどうしてあそこまで強かったんだろうな、あの人」
思い返してみれば私は師匠について知らないことが多すぎる。私を拾うまで、あの人は何をしていたのだろうか。そうして最大の疑問は『禁忌の魔道書』だ。あの人はどこで手に入れたのだろうか。常に懐に入れてあるその本に、私は手を伸ばす。
「思えば、あの人は何処でこんなものを手に入れたんだろうか」
「こんなもの、ですか?」
アランは懐に入れられた私の手を見つめながらそう言った。失敗した、そう思った。私はすぐに手を引っ込めると「いいや、何でも無いよ」そう答えた。まだ、存在を知られるわけにはいかないのだ。
しかし、その翌日の朝のことだった。違和感を感じたのは起きてすぐのことだ。私は慌てて懐に手をいれる。
「…ない」
「アラン!」
返事は無かった。私は支度もせずに宿を飛び出した。あれの存在を知るにはまだ早すぎるのだ。決して中を見られてはいけない。私は魔力で探知しながら街中を走り回ってアランを探した。
「ぜぇ……アラン」
アランは街からは少し離れた丘の上に座っていた。アランは私の声に反応し、読んでいた魔導書を落として此方を凝視した。
「し、師匠…」
「早く、それを返しなさい。アラン!」
初めて、アランを怒った。アランはピクリと震えた後、魔導書を拾い上げて私の方へ差し出そうとする。しかし、アランは私に渡る直前で引っ込めてしまった。そのままアランはバックステップで私から距離を取る。
「アラン」
「師匠、僕は見ました。このガロアの魔導書には、死者を蘇らせる魔法が載っています!」
「だからだ。早く返しなさい」
そう言うとアランは更に距離をとって言った。
「どうして魔法を使ってくれないんですか!この魔法があれば、僕の家族や師匠の師匠も生き返るんですよ!」
「アラン、死んだ人は帰ってこないんだ。この世の理に逆らってはいけない」
少しずつアランに歩み寄る。アランはそれに合わせ少しずつ距離を取る。
「分かってください、師匠!」
そうして、アランは魔導書をその場で開いた。開かれているのは魔法陣のページ、アランが魔法陣に手を伸ばす。刹那、アランを中心に発生した突風によって私は吹き飛ばされた。
「やめろ…!魔導書を捨てるんだ!」
『反魂』
アランの声が世界に響いた。その声に応じるように、天から神々しい光が降りる。眩い光がアランを包む。アランは両手を天にかざし叫ぶ。
「マリー、帰ってきて!」
アランの呼び掛けに応じてか、光の柱がより一層輝きを増す。そうして次の瞬間、光の中に一つの人影が現れた。人影はゆっくりとアランのもとへ降りていく。
「マリー…ずっと、会いたかった…」
気付けば光の柱は霧散していて、マリーと呼ばれた人影とアランの様子がよく見えるようになっていた。そして私は異様な光景を目にする。アランは光で出来た人影をマリーと呼んでいたのだ。
「おかしい…アラン!離れろーっ!」
私は全力で叫んだ。しかし、少し遅かった。人影がアランの肩を掴んでいた。いつの間にか人影の背中からは黄金に輝く二対の翼が生えていた。
「な、なに!?マリー、痛い!離して!」
人影が物凄い力でアランの体を持ち上げる。持っていかれる、そう思った。私はワイバーンを倒したときのように手をかざし魔力を集中させていく。人影はアランを掴んだまま天へと上昇していく。
ワイバーンのときと違い、今回はアランを避け、人影だけを射抜かなければならない。その為には魔力を限界まで集中させる必要がある。時間が無い。
「くっ…一か八かやるしかない!」
人影の少し上をうちアランだけを避ける。ミスればアランもろとも消し炭だが、賭けるしかない。次の瞬間、私の視界を魔力の光が覆った。空を切り裂く轟音が大地を揺らす。
魔力が霧散するまでの間、私はアランの無事だけを祈っていた。暫くの時が経ち、魔力が完全に霧散すると、私はまず空を確認する。人影の姿は無かった。もちろんアランの姿もない。そして、私は恐る恐るその下の地面を見る。
「アランっ!」
そこにはアランの姿があった。アランが呆然と立ち竦んでいた。私はどんな言葉をかけようかと悩みながらもアランに近付く。
「師匠、マリー…妹が見えました」
先に口を開いたのはアランだった。アランは妹の姿が見えたと言った。しかし、そこに再会の喜び等といった感情は見られない。ただ、呆然とした様子でそう言った。
「あれは、お前の妹なのか?」
「違いました、あれはマリーじゃないです。僕を連れて行くために、妹の皮を被った何かです」
「師匠に助けてもらえなければ、僕は何処まで引っ張られていたのでしょうか…」
「さぁな…少なくとも、地獄よりは恐ろしい場所なはずだ」
きっと、あの人影は神様の使者なんだろう、そう思った。神の理に反する人間を裁きに来たのだ。人が死を克服することは禁忌だから。
「どうしてこんな不完全な魔導書が残されているのかは知らないがな。賢者ガロアでさえ、神に逆らうことは出来なかったわけだ」
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