28 / 40
第六幕 覚醒
覚醒―3
しおりを挟む
*
琥珀と寧々は、指定された向島に到着した。すっかり夜になった周辺には、誰もいない。
「あさぎー!」
「あさぎちゃんー! おったら返事してー!」
返ってくるのは、木々の揺れる音だけ。どこにもあさぎはいない。攫ったという者の姿もない。一体どういうことなのか。
「まさか、あの手紙は嘘か」
「あさぎちゃんは、攫われてないてこと? でも、現におらんくなってるんよ」
「ああ、そうだな。周囲をもう一度探そう」
向島と、その周りも探すが、あさぎもいなければ何の痕跡も見つからない。ふいに、どこからか、鐘の音が聞こえてきた。人々が家から出てきて、騒がしくなってきた。
これは火事を知らせる音。
「くそっ、こんな時に」
近くにいた人を捕まえて、琥珀は詳細を聞き出そうとする。三人に何も知らないと返答された後、四人目が、知っていると答えた。
「川向こうで火事だ。こっちまでは来ないだろうよ。何でも芝居小屋が燃えてるらしい」
「芝居小屋が!?」
六区には、いくつも芝居小屋がある。どの芝居小屋が燃えているかまでは分からない。だが、あまりにもタイミングが良すぎる。嫌な予感がよぎる。
「寧々さん!」
「今聞いたわ。あたしたちはたぶん、おびき出されたんよ」
「同感だ。すぐに戻ろう」
「琥珀、捕まっててな」
寧々は、第六感を使ってここから一気に駆けるつもりだ。だが、少し足がふらついている。寧々はあさぎを連れて黄昏座に来て、周囲を調べて、連日本殿を調査している。短期間で何度も第六感を使っている。それは、もう何度も常人以上に走って体力を消耗しているということ。
「寧々さん、無茶は――」
「今、無茶をせんでどうするん。捕まって」
寧々は歯を食いしばって、地面を蹴った。風が凄まじい勢いで琥珀の頬を撫でては後ろに流れていく。
黄昏座が、燃えていた。
黒く塗りつぶされた夜の闇に、真っ赤な火が嫌味なほど綺麗に浮かび上がっていた。まだ火の勢いはそれほど強くはない。だがそれも時間の問題。
「消防組は来ないのか!」
江戸時代に火消しと呼ばれた組織は、消防組と名を改めて明治の火事場に出動するのが常であった。だが、遅い。火事を知らせる鐘が鳴ったというのに、何故。
黄昏座の周りには、野次馬が増え始めていた。
「あたしが、呼んでくる、わ」
「寧々さんは動かなくていい、相当無茶しただろう」
寧々は地面にしゃがみ込んだまま、動けないでいた。体力を相当消耗している。無理もない。
人混みの中から、見知った顔が駆けてくるのが見えた。小さい体で野次馬の中を通り抜けている。
「佐奈さん、火事を聞いてきたのか」
こくんと頷いた。その後すぐに、花音と雪音がこちらにやってきた。家から出られないと聞いていたのだが、ここまで来てくれたらしい。
「よく家から出られたな」
「ええ。芝居小屋が火事と聞いて、居ても立っても居られませんでしたもの。多少、手荒なことはしましたけれど、不可抗力というものですわ」
「多少、ですかね。あれが」
雪音が苦笑いをしながら、言葉を繰り返した、かなり無茶をしてここまで来たのだろう。琥珀は、この場を任せて消防組を呼びに行こうとした。が、雪音が首を振った。
「ここに来る途中で耳に挟みました。消防組が来ないのは、現場が黄昏座と聞いて渋っている者がいるからです」
「消防組の中にも、妖はいるからか。くそっ」
消防組が当てにならないのなら、自分たちでどうにかするしかない。琥珀は水道栓を探して辺りを見回す。人だかりのせいでほとんど見えない。
「わたくしに任せてくださいませ」
花音が黄昏座の上空にだけ、雪を降らせ始めた。降ってすぐに熱で溶けているようだが、少しは火の勢いを弱められる。水道栓、つまり水があれば、雪音の氷でもっと弱めることが出来るはずだ
「水道栓はどこだ!」
「はす向かいの小屋のところにあります」
雪音が人をかき分けて、一旦黄昏座を離れる。
おかしい。これだけ騒ぎになっているのに、あさぎの姿が見えない。
「花音、佐奈さん、あさぎを見なかったか?」
「見ていませんわ。寧々さんが連れて行ったのでは……って、どうして派手に喧嘩した座長と寧々さんが一緒にいるんですの?」
花音は、琥珀があさぎを間者ではないと思っていることを、知らないのだった。説明するには時間がなくて、簡単に答える。
「あさぎは、間者じゃない。あの日の言い争いは、本当の間者から離すためにやったことだ」
「あたしと琥珀に、あさぎを攫ったって手紙が来たんよ。黄昏座から離れたところにおびき出されたんやと思うて、戻ってきてんけど、あさぎちゃんはどこにもおらんの」
「よく分かりませんけれど、あさぎが間者ではなく、攫われたのなら、本当の間者と一緒にいるんじゃありませんの?」
その時、佐奈が耳元で大きな音を聞いたかのように、肩をビクッと震わせた。きょろきょろと人混みを見ていたが、意を決した様子で、眼鏡を外した。
「佐奈さん?」
佐奈を中心に風が起こる。風が弾けると佐奈の腕が獣のように茶色い毛に覆われていて、毛皮のコートが体をすっぽりと覆っている。覚は、古くは猿人の姿をしていたといわれ、その妖姿も獣の色が強い。佐奈本人がこの姿を好ましく思っていないらしく、今まで滅多に妖姿にはならなかった。
今は人々の視線が火事場に集まっていて、小さな佐奈には注目はいかない。
「……っ」
佐奈は、人混み全てを見回した。瞬きをする間も惜しむように、隅々まで目を配っている。ある人物で目が見開かれて、佐奈の目が留まった。そして、佐奈がガクンと膝を付いた。
「大丈夫か」
「……中に……」
「佐奈さん、声を――」
「……あさぎさんと、凪……さんが……」
佐奈が名前以外を話すのを初めて聞いた。声を聞いた。話してはいけないという覚の掟を破ってまで、教えてくれたのだ。だが、感慨に浸る間もなく、その内容に血の気が一気に引いた。
「この中に、いるのか……!」
火が徐々に回り始めている。花音の雪だけではやはり限界がある。雪音は、人が多すぎて水道栓をこちらに引いて来られないと判断したようで、桶に氷を山盛りに積んで戻ってきた。
「座長、これを」
雪音と共に氷を芝居小屋へと投げる。雪よりも体積が大きい分、効果はあるように見えた。花音が、疲労で息を吐きながら佐奈に呼びかけた。
「あさぎと凪さんが一緒にいるということは、間者は、凪さん、ってことですの?」
こくんと佐奈は頷いた。
どうしてもっと早く言わなかった、という言葉を、琥珀は必死に飲み込んだ。今は早くこの火の中から助け出さなければ。
「あさぎ……!」
琥珀と寧々は、指定された向島に到着した。すっかり夜になった周辺には、誰もいない。
「あさぎー!」
「あさぎちゃんー! おったら返事してー!」
返ってくるのは、木々の揺れる音だけ。どこにもあさぎはいない。攫ったという者の姿もない。一体どういうことなのか。
「まさか、あの手紙は嘘か」
「あさぎちゃんは、攫われてないてこと? でも、現におらんくなってるんよ」
「ああ、そうだな。周囲をもう一度探そう」
向島と、その周りも探すが、あさぎもいなければ何の痕跡も見つからない。ふいに、どこからか、鐘の音が聞こえてきた。人々が家から出てきて、騒がしくなってきた。
これは火事を知らせる音。
「くそっ、こんな時に」
近くにいた人を捕まえて、琥珀は詳細を聞き出そうとする。三人に何も知らないと返答された後、四人目が、知っていると答えた。
「川向こうで火事だ。こっちまでは来ないだろうよ。何でも芝居小屋が燃えてるらしい」
「芝居小屋が!?」
六区には、いくつも芝居小屋がある。どの芝居小屋が燃えているかまでは分からない。だが、あまりにもタイミングが良すぎる。嫌な予感がよぎる。
「寧々さん!」
「今聞いたわ。あたしたちはたぶん、おびき出されたんよ」
「同感だ。すぐに戻ろう」
「琥珀、捕まっててな」
寧々は、第六感を使ってここから一気に駆けるつもりだ。だが、少し足がふらついている。寧々はあさぎを連れて黄昏座に来て、周囲を調べて、連日本殿を調査している。短期間で何度も第六感を使っている。それは、もう何度も常人以上に走って体力を消耗しているということ。
「寧々さん、無茶は――」
「今、無茶をせんでどうするん。捕まって」
寧々は歯を食いしばって、地面を蹴った。風が凄まじい勢いで琥珀の頬を撫でては後ろに流れていく。
黄昏座が、燃えていた。
黒く塗りつぶされた夜の闇に、真っ赤な火が嫌味なほど綺麗に浮かび上がっていた。まだ火の勢いはそれほど強くはない。だがそれも時間の問題。
「消防組は来ないのか!」
江戸時代に火消しと呼ばれた組織は、消防組と名を改めて明治の火事場に出動するのが常であった。だが、遅い。火事を知らせる鐘が鳴ったというのに、何故。
黄昏座の周りには、野次馬が増え始めていた。
「あたしが、呼んでくる、わ」
「寧々さんは動かなくていい、相当無茶しただろう」
寧々は地面にしゃがみ込んだまま、動けないでいた。体力を相当消耗している。無理もない。
人混みの中から、見知った顔が駆けてくるのが見えた。小さい体で野次馬の中を通り抜けている。
「佐奈さん、火事を聞いてきたのか」
こくんと頷いた。その後すぐに、花音と雪音がこちらにやってきた。家から出られないと聞いていたのだが、ここまで来てくれたらしい。
「よく家から出られたな」
「ええ。芝居小屋が火事と聞いて、居ても立っても居られませんでしたもの。多少、手荒なことはしましたけれど、不可抗力というものですわ」
「多少、ですかね。あれが」
雪音が苦笑いをしながら、言葉を繰り返した、かなり無茶をしてここまで来たのだろう。琥珀は、この場を任せて消防組を呼びに行こうとした。が、雪音が首を振った。
「ここに来る途中で耳に挟みました。消防組が来ないのは、現場が黄昏座と聞いて渋っている者がいるからです」
「消防組の中にも、妖はいるからか。くそっ」
消防組が当てにならないのなら、自分たちでどうにかするしかない。琥珀は水道栓を探して辺りを見回す。人だかりのせいでほとんど見えない。
「わたくしに任せてくださいませ」
花音が黄昏座の上空にだけ、雪を降らせ始めた。降ってすぐに熱で溶けているようだが、少しは火の勢いを弱められる。水道栓、つまり水があれば、雪音の氷でもっと弱めることが出来るはずだ
「水道栓はどこだ!」
「はす向かいの小屋のところにあります」
雪音が人をかき分けて、一旦黄昏座を離れる。
おかしい。これだけ騒ぎになっているのに、あさぎの姿が見えない。
「花音、佐奈さん、あさぎを見なかったか?」
「見ていませんわ。寧々さんが連れて行ったのでは……って、どうして派手に喧嘩した座長と寧々さんが一緒にいるんですの?」
花音は、琥珀があさぎを間者ではないと思っていることを、知らないのだった。説明するには時間がなくて、簡単に答える。
「あさぎは、間者じゃない。あの日の言い争いは、本当の間者から離すためにやったことだ」
「あたしと琥珀に、あさぎを攫ったって手紙が来たんよ。黄昏座から離れたところにおびき出されたんやと思うて、戻ってきてんけど、あさぎちゃんはどこにもおらんの」
「よく分かりませんけれど、あさぎが間者ではなく、攫われたのなら、本当の間者と一緒にいるんじゃありませんの?」
その時、佐奈が耳元で大きな音を聞いたかのように、肩をビクッと震わせた。きょろきょろと人混みを見ていたが、意を決した様子で、眼鏡を外した。
「佐奈さん?」
佐奈を中心に風が起こる。風が弾けると佐奈の腕が獣のように茶色い毛に覆われていて、毛皮のコートが体をすっぽりと覆っている。覚は、古くは猿人の姿をしていたといわれ、その妖姿も獣の色が強い。佐奈本人がこの姿を好ましく思っていないらしく、今まで滅多に妖姿にはならなかった。
今は人々の視線が火事場に集まっていて、小さな佐奈には注目はいかない。
「……っ」
佐奈は、人混み全てを見回した。瞬きをする間も惜しむように、隅々まで目を配っている。ある人物で目が見開かれて、佐奈の目が留まった。そして、佐奈がガクンと膝を付いた。
「大丈夫か」
「……中に……」
「佐奈さん、声を――」
「……あさぎさんと、凪……さんが……」
佐奈が名前以外を話すのを初めて聞いた。声を聞いた。話してはいけないという覚の掟を破ってまで、教えてくれたのだ。だが、感慨に浸る間もなく、その内容に血の気が一気に引いた。
「この中に、いるのか……!」
火が徐々に回り始めている。花音の雪だけではやはり限界がある。雪音は、人が多すぎて水道栓をこちらに引いて来られないと判断したようで、桶に氷を山盛りに積んで戻ってきた。
「座長、これを」
雪音と共に氷を芝居小屋へと投げる。雪よりも体積が大きい分、効果はあるように見えた。花音が、疲労で息を吐きながら佐奈に呼びかけた。
「あさぎと凪さんが一緒にいるということは、間者は、凪さん、ってことですの?」
こくんと佐奈は頷いた。
どうしてもっと早く言わなかった、という言葉を、琥珀は必死に飲み込んだ。今は早くこの火の中から助け出さなければ。
「あさぎ……!」
0
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる