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魔王都市とルネリス
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私はある場所に向かっていた。
「この辺りだったはず…」
私は地図を見ながら指定された場所に行く。
「やあ。こっちだよ。」
黒ずくめの怪しい男が私を呼ぶ。
「クロネ…」
私はそいつの名を呼ぶ。
そいつの名前はクロネ。
茉莉の幼馴染の犬族だ。
今はフリーの情報屋として世界中を旅しているらしい。
今日は幼馴染として会いに来たと言うが…
「おやおや…そんなに警戒しなくても良いでは無いか。僕たちは幼馴染だろう?」
クロネはニヤリとイタズラっぽく微笑む。
「情報屋は信用するなと言っていたのは貴方の方でしょうに…まあ、良いわ。」
私は続けてクロネに言う。
「行きたい所があるのでしょう?そこでお茶にしましょう。」
クロネはやれやれと肩を竦める。
「茉莉君はせっかちだなぁ…でも、そんなところも僕は好きなんだけどね。」
クロネはそう言って路地裏の奥に入り込む。
私はその後を追いかける。
…
「着いたよ。ここが今回の目的地さ。」
私はクロネに言われるがままに中に入る。
「へぇ…王都の路地裏にこんなオシャレなカフェがあったのねぇ…」
外からはこんなところに店があるなんてわからないほど周りに溶け込んでいたが、内装はその辺の貴族が居てもおかしくないほどに美しく彩られていた。
奥からマスターらしき男性が出てくる。
「いらっしゃいませ。クロネ様と茉莉様でお間違い無いようですね。私はこの喫茶店のマスターをしております。」
男性が礼儀正しくお辞儀をする。
「やあ、マスター!今日も仕事が早いね!いつものはもう出来てるかい?」
クロネがそう言うとマスターは表情一つ変えずに言う。
「もちろんですよ。それと茉莉様にはスイーツをご用意しております。」
「私がスイーツ好きなの知ってたのかしら…」
私がポツリとそう言うとクロネが嬉しそうに言う。
「当然だよ!だって、マスターは僕の師匠だからね!マスターの手にかかれば手に出来ない情報は無いよ!僕なんか足元にも及ばないくらい凄い情報屋なんだ。」
マスターは笑顔を崩さずにクロネに言う。
「クロネ、いくら親しい仲とは言え、タダで情報をあげるような真似はしない様にと教えたのを忘れましたか?」
「まあまあ…これは茉莉に対しての大人しくここに来てくれたお礼って事で許してよ。」
「はぁ…これでは先が思いやられますな。」
そう言っているうちに奥から赤く長い髪の背中に天使の様な黒い羽のある一人のメイドが姿を現す。
「ご主人様、お食事の準備が出来ました。」
「カティーか。それならば、あちらの席にお出ししなさい。」
「かしこまりました。」
カティーと呼ばれたメイドはアメジストの様な瞳でマスターを見ると一切の表情を現すこと無く、淡々と食事を用意する。
「さ、僕たちも席に着こうか。」
クロネがそう言うとマスターがお辞儀をして言う。
「左様ですか。では、ごゆっくりと…」
マスターはカウンターの方でワインや酒樽を見ていた。
私たちはそのまま食事が出された席に座って食事を取る。
「おっと…このままじゃ、食べにくいな…」
クロネがフードを取り、上着を脱ぐ。
女性的な可愛らしい顔立ちが現れる。
エメラルドグリーンに輝く長い髪は手入れが行き届いており、女性らしさを感じさせる。
そして、コバルトブルーに輝く右眼と本来ならその髪に負けず劣らずのエメラルドグリーンの輝きを放つ左眼は特徴的なデザインの眼帯で隠されていた。
物心着く前の小さな頃の怪我が原因らしく、眼帯を外しても目は見えないのだそう。
と言うか、昔は眼帯をつけてなかったので、痛々しく残っている傷跡を知っている。
クロネの身体には小さいながら、女性特有の二つの膨らみもあった。
その見た目と話し方からよく誤解されるがクロネは女性だ。
クロネは昔と変わらない笑顔で食事を取る。
「う~ん!やっぱり、マスターの作るご飯は最高だね!」
クロネがそう言うとマスターは少しだけ嬉しそうに微笑んでいた。
…
「ごちそうさまでした。」
私が手を合わせてそう言うと同時にメイドが食器を片づける。
「おぉ…仕事が早いですね。」
私はメイドの仕事を褒める。
「当然です。仕事は完璧にこなしてこその一流と言うものですから…」
口ではそう言うが、表情は少しだけ嬉しそうだった。
メイドの片づけが終わり、席を離れるとクロネが言う。
「早速だけど、師匠の手を借りながら、僕が集めた情報を提供するね。」
クロネはそう言うと紙を渡す。
「相変わらず、アナログなのね。」
「でも、それが一番外部に漏らしにくい方法なのはわかってるだろう?」
「…それもそうね。」
私はクロネから受け取った紙を見る。
『大当たり!』と文字が現れる。
「…渡す紙を間違えてないかしら?」
私がそう言うとクロネは至って真面目な声で言う。
「んや、それであってるよ。情報屋が間違った情報を渡すわけ無いじゃないか!」
「だとしても、少な過ぎるわよ…まあ、いいわ。おおよそ、私の予想通りだったんでしょうけど…」
私が呆れた様子で言うとクロネは胡散臭い微笑みを貼りつけた顔で言う。
「そういう事♪茉莉君の思ってた通りの場所にヤツらの本拠地があったよ。ちゃんと外からはわからないようにいろいろ細工はされてあったけど、僕の手にかかればちょちょいのちょいさ♪」
「はいはい。凄いですね。」
「うわぁ…すんごい塩対応されたぁ…」
クロネは露骨に落ちこんでみせる。
「そんな事より、中の方はどうだったのよ。」
私はどうでもいいを全面に押し出しながら言う。
「そんな事呼ばわりされた?!」
クロネが何か言ったが、構ってるとキリが無いのでスルーだ。
「ま、いっか…中の方はとてもじゃないが、人が居るとは思えないほど異常な光景があったよ。人柱はもちろん、肉塊にされても生かされ続けてる何かの生物や魔物に人を食わせてたり、人同士でも同じ事をやったりしていたね。そして、何より恐ろしいのが人と魔物を無理矢理くっつけた様な不気味なキメラの存在まで確認された事だ。アイツらの悲痛な叫び声が未だに耳に残ってるよ…」
クロネは思い出すだけでも気持ちが悪くなると言いたげに言う。
「わかったわ。あんたには辛い仕事を頼んだわね。」
「大親友の茉莉君の頼みだからね。他の奴が頼んだとしても僕はここまで情報を持ってこなかったさ。ヤツらの異常さは情報屋の中でも有名だからね。ほんと、とんでもないヤツらだよ…」
クロネがそう言って顔を俯かせるとマスターが香りの良い紅茶を私たちのテーブルに置く。
「クロネ、情報に対して感情を持ち過ぎですよ。情報屋としての基本をお忘れですか?」
「そんなのわかってる!でも、こんなの酷過ぎるじゃん!師匠だって、情報屋じゃなければ同じ様に考えるでしょ?」
クロネはマスターの言葉に怒った様に反論する。
「私も人間ですので、情報屋と言う立場で無ければ憤りも感じますが、私たちは情報屋です。情報に関する余計な感情は少しづつねじ曲がっていき、正しく伝えられません。だから、情報屋は情報に対して感情を持ってはならないのです。しかし、情報屋の仕事は依頼された情報を正しく届ける事。それ以外は求められていないのですよ。」
マスターは淡々とクロネに言う。
「師匠は硬過ぎるよ…もっと柔らかく生きないと人生損するよ。」
クロネはそう言うと喫茶店から出ていく。
「はぁ…あの子には困ったものです…」
マスターはため息をついて言う。
「お見苦しい所をお見せしてしまいましたね。」
マスターが私に言う。
「気にしなくてもいいですよ。情報屋もいろいろあるんだってわかってますから…」
私が手を振りながらそう言うとマスターはどこか遠くを見てるような雰囲気で言う。
「あの子の口は軽いですからな…」
「そうですね。でも、きっちりと線引きはしてると思います。クロネにもクロネなりの信条はあるのかもしれませんね。」
「そうですな…」
マスターはそう言うとカウンターに戻って作業を始める。
「茉莉様、良ければあの子を迎えに行ってもらえませんか?」
「わかりました。」
私は扉を開けてマスターに言う。
「では、行ってきます。」
「お気をつけて…」
私はそのままクロネが向かったであろう場所に行く。
…
王都の外れにある小高い丘、クロネは嫌な事があると決まって、この辺りに逃げていた。
「クロネ、いつまでも拗ねてないで、さっさと出てきなさい。」
私は一番背の高い気に向かって呼びかける。
しかし、返事は返って来ない。
「クロネ~!」
再度呼んでみるも返事は無い。
「登ってみようかしら…」
私は何年かぶりに木登りを始める。
「よっと…ほいっと…おわっと?!」
危うく頭から落っこちそうになる。
「危なかった…」
私はさらに木を登る。
そして、てっぺんまで来る。
「クロネ~…って、寝てるわね。」
クロネは気持ち良さそうにすやすやと寝ていた。
私はクロネの横に寝転ぶ。
「懐かしいなぁ…昔はよくこうして一緒に空を眺めてたっけ…」
あの時もここと同じ様な小高い丘と大きな木があったんだ。
ここよりもうんと大きくて、いつも登ってたっけ…
それで夜まで寝ちゃって大騒ぎになったりもしたっけ…
懐かしいなぁ…
私は隣で寝てるクロネの頬を軽く突く。
「もう食べれない…」
クロネが寝言を言っている。
「何の夢を見てるんだろ…」
私はクロネの幸せそうな寝顔を見つめる。
「アイリスちゃん…どうぞ…えへへ…」
「今度は誰の夢かしら?」
しばらくクロネの寝言は続いた。
…
「んう…」
クロネの目が開く。
「くあぁ~…よく寝た。」
クロネは隣に気配を感じて確認すると…
「あれ?茉莉だ…僕を探しに来たのかな?」
茉莉は嬉しそうに微笑みながら、眠っていた。
(すぅ…すぅ…)
茉莉は小さく寝息を立てていた。
「可愛い寝息立ててるところ申し訳ないけど…」
クロネは茉莉の耳元で言う。
「茉莉君、起きたまえ!」
「ふやん?!」
茉莉は驚いて飛び起きる。
「おはよう茉莉君、元気なお目覚めだね!」
クロネがイタズラっぽく微笑む。
「…」
茉莉から、殺気が溢れていた。
「やべ…」
クロネがそう言った瞬間だった。
「この…」
茉莉が拳を振りかぶる。
「バカチンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
茉莉のゲンコツがクロネの脳天に炸裂する。
「ぎゃあああああああ!!!!」
二人の叫び声は王都付近まで聞こえたそうだ。
…
「貴方と言う人は何を考えているのですか!あんな至近距離で大声を出して!もし驚いて落ちたりでもしたら、どう責任を取るつもりだったのですか!」
私は気がつけば、一時間ほどクロネを叱っていた。
「すみませんでした…」
クロネは正座したまま言う。
「全くもう!全くもう!もうしないでくださいよ。」
「はい。もうしません。」
クロネは反省した様子で言う。
「…ふふっ…」
私は思わず思い出し笑いをする。
クロネは首を傾げていた。
「クロネを叱ったのなんて何年ぶりかしら…」
「ああ、そういう事か。確かに僕も茉莉に叱られたのはずいぶん前のように感じるね。」
クロネは正座から楽な姿勢に変わる。
私もクロネの隣に座り、夕暮れの近い空を見る。
「あの時もこんな木の上での出来事だったよね?」
「そうだね。あの時は僕が飛び降りようとしたんだっけ?」
懐かしむ様にクロネが言う。
「今でもあの時の事は覚えてるわ。すっごいいい笑顔で『茉莉見てて!僕も飛べるから!』なんて言って、鳥の羽を両手に持って飛ぼうとした時はほんとにびっくりしたわね」
「ちょっと待ってよ!それはルカが飛べるって言ってたからであって、僕のせいじゃないよう!」
「こう言う時なんて言うんだったかしら…騙される方が悪いだったかしら?」
私がニヤリと微笑むとクロネがわちゃわちゃと手を振りながら言う。
「あーもう!その時の事は忘れてくれよう!あの頃は尖ってたんだよ!」
「はいはい。そういう事にしときますよ。」
そんな他愛も無い話をして暗くなる前に木から降りる。
「今日は楽しかったわ。」
「僕もだよ!久々に幼馴染としてのんびり話せて楽しかったよ!」
私とクロネはそのままマスターの喫茶店に帰る。
…
「おかえりなさいませ。お食事のご用意は出来ております。」
メイドがそう言って私たちを席へと案内する。
「そうだ!カティーちゃん、アレを持ってきてもらえるかい?」
クロネがそう言うとメイドは一切の感情を感じさせない声で「かしこまりました。」と言って、奥へと入っていく。
「カティーってね、とある帝国がやってた人造人間計画で出来た人造人間の子供なんだってさ。私たち人造人間じゃない人間と比べると短命で感情の表現が苦手なんだけど、魔力とか身体能力は人造人間の方が遥かに高いんだ。元々は戦争の兵士としての役目を請け負っていたから、余計な感情や寿命を削って、個の能力を高めたらしいよ。まあ、その帝国も当時の勇者には敵わなくて、一夜で崩壊したみたいだけどね。」
クロネはとても楽しそうに言う。
「人造人間計画…ねぇ…あれはあれでだいぶ酷いものじゃ無かったっけ?」
「そうだねぇ…でも、とても面白いことをしてくれたのも彼らなんだよね。冒険者同士の能力の継承にも使う継承石も彼らの人造人間計画の技術が使われてるからね。」
「ああ、そうだったわね。」
継承石は特殊な魔力が刻まれた石であり、使う石にもよるが能力の継承…
簡単に言えば、能力を譲渡する事が出来るんだ。
さらに魔力の純度が高い石だと継承だけでなく、能力の複製も出来ると言うとんでもない性能になるとの事である。
その仕組みは人造人間の感応現象と似たものになっている。
彼らも感応現象によって、スキルの継承や共有をし合うんだとか。
メイドが赤い箱を持って戻ってくる。
「お待たせしました。こちらでお間違い無いですね?」
「うん!ありがとね!」
クロネが元気に言う。
「…どういたしまして。」
よく見ないとわからない程度だが、カティーは少しだけ嬉しそうに微笑んで奥へと戻る。
「話の流れ的には件の石かしら?」
私がそう言うとクロネはちょっとつまらなさそうに言う。
「そうだよ。この中にあるのが、継承石だよ~」
クロネが箱を開けると綺麗な青い宝石の様な石が現れる。
「これは茉莉君にあげるよ。ティアドロップ製だけど、魔力相性の問題で僕には使えなかったからね。」
この世界ではティアドロップは鉱石と特殊魔技の二種類のティアドロップが存在する。
鉱石のティアドロップはオリハルコンよりも魔素や魔力を扱う事に適しており、高い魔力保有度を誇る魔法使いにとっては夢の様な青い宝石だ。
その為、魔法が刻まれた石…魔法石のティアドロップはオリハルコンよりも国家予算に匹敵するほどの価格で取引される事もある。
特殊魔技のティアドロップは王の素質を持つ者のみが使用可能な王の波動を雫に変えて地に落とす魔技であり、これによる干渉は如何なる能力を持ってしても妨害する事は不可能だと言われている。
そして、この特殊魔技は素質に強く影響を受ける魔技であり、使用者によって、効果がガラリと変わる為、特殊魔技となっている。
魔技には二種類の魔技があり、誰でも扱える通常魔技と特殊魔技がある。
魔技はこの世界で魔法と呼ばれているものとは違って技能に近いものでありながら、完全に使いこなすには固有能力の様に使えるものが限られていると言う特殊なものなのだ。
私はクロネから継承石を受け取る。
「んで、条件聞く前に受け取ったけど、何をすればいいわけ?」
私がクロネに言うとクロネは特に何も考えてなさそうに言う。
「特に何も要らないよ。これは僕自身が茉莉君の大親友のクロネとして君にあげたかったのさ。まあ、いつものお荷物の押しつけだと思ってくれればいいさ。」
「ふ~ん?そういう事ならお礼は言っとくわ。」
「いいっていいって!見返りを求めるばかりが人間関係でも無いわけだし、僕も茉莉君から貰ったりする事もあるだろう?」
クロネはそう言って楽しげに笑う。
「ふふっ…そうね。」
私たちはそれ以上は話す事は無かったが、カティーが運んできた料理を食べ終わるまで一緒に居た。
~作者からお詫び~
遅くなってマジすんません。
パズ〇ラのコラボ周回し過ぎて書いてませんでした(ちゃんとやれ!)
あ、それだけですね。はい。
では…
「この辺りだったはず…」
私は地図を見ながら指定された場所に行く。
「やあ。こっちだよ。」
黒ずくめの怪しい男が私を呼ぶ。
「クロネ…」
私はそいつの名を呼ぶ。
そいつの名前はクロネ。
茉莉の幼馴染の犬族だ。
今はフリーの情報屋として世界中を旅しているらしい。
今日は幼馴染として会いに来たと言うが…
「おやおや…そんなに警戒しなくても良いでは無いか。僕たちは幼馴染だろう?」
クロネはニヤリとイタズラっぽく微笑む。
「情報屋は信用するなと言っていたのは貴方の方でしょうに…まあ、良いわ。」
私は続けてクロネに言う。
「行きたい所があるのでしょう?そこでお茶にしましょう。」
クロネはやれやれと肩を竦める。
「茉莉君はせっかちだなぁ…でも、そんなところも僕は好きなんだけどね。」
クロネはそう言って路地裏の奥に入り込む。
私はその後を追いかける。
…
「着いたよ。ここが今回の目的地さ。」
私はクロネに言われるがままに中に入る。
「へぇ…王都の路地裏にこんなオシャレなカフェがあったのねぇ…」
外からはこんなところに店があるなんてわからないほど周りに溶け込んでいたが、内装はその辺の貴族が居てもおかしくないほどに美しく彩られていた。
奥からマスターらしき男性が出てくる。
「いらっしゃいませ。クロネ様と茉莉様でお間違い無いようですね。私はこの喫茶店のマスターをしております。」
男性が礼儀正しくお辞儀をする。
「やあ、マスター!今日も仕事が早いね!いつものはもう出来てるかい?」
クロネがそう言うとマスターは表情一つ変えずに言う。
「もちろんですよ。それと茉莉様にはスイーツをご用意しております。」
「私がスイーツ好きなの知ってたのかしら…」
私がポツリとそう言うとクロネが嬉しそうに言う。
「当然だよ!だって、マスターは僕の師匠だからね!マスターの手にかかれば手に出来ない情報は無いよ!僕なんか足元にも及ばないくらい凄い情報屋なんだ。」
マスターは笑顔を崩さずにクロネに言う。
「クロネ、いくら親しい仲とは言え、タダで情報をあげるような真似はしない様にと教えたのを忘れましたか?」
「まあまあ…これは茉莉に対しての大人しくここに来てくれたお礼って事で許してよ。」
「はぁ…これでは先が思いやられますな。」
そう言っているうちに奥から赤く長い髪の背中に天使の様な黒い羽のある一人のメイドが姿を現す。
「ご主人様、お食事の準備が出来ました。」
「カティーか。それならば、あちらの席にお出ししなさい。」
「かしこまりました。」
カティーと呼ばれたメイドはアメジストの様な瞳でマスターを見ると一切の表情を現すこと無く、淡々と食事を用意する。
「さ、僕たちも席に着こうか。」
クロネがそう言うとマスターがお辞儀をして言う。
「左様ですか。では、ごゆっくりと…」
マスターはカウンターの方でワインや酒樽を見ていた。
私たちはそのまま食事が出された席に座って食事を取る。
「おっと…このままじゃ、食べにくいな…」
クロネがフードを取り、上着を脱ぐ。
女性的な可愛らしい顔立ちが現れる。
エメラルドグリーンに輝く長い髪は手入れが行き届いており、女性らしさを感じさせる。
そして、コバルトブルーに輝く右眼と本来ならその髪に負けず劣らずのエメラルドグリーンの輝きを放つ左眼は特徴的なデザインの眼帯で隠されていた。
物心着く前の小さな頃の怪我が原因らしく、眼帯を外しても目は見えないのだそう。
と言うか、昔は眼帯をつけてなかったので、痛々しく残っている傷跡を知っている。
クロネの身体には小さいながら、女性特有の二つの膨らみもあった。
その見た目と話し方からよく誤解されるがクロネは女性だ。
クロネは昔と変わらない笑顔で食事を取る。
「う~ん!やっぱり、マスターの作るご飯は最高だね!」
クロネがそう言うとマスターは少しだけ嬉しそうに微笑んでいた。
…
「ごちそうさまでした。」
私が手を合わせてそう言うと同時にメイドが食器を片づける。
「おぉ…仕事が早いですね。」
私はメイドの仕事を褒める。
「当然です。仕事は完璧にこなしてこその一流と言うものですから…」
口ではそう言うが、表情は少しだけ嬉しそうだった。
メイドの片づけが終わり、席を離れるとクロネが言う。
「早速だけど、師匠の手を借りながら、僕が集めた情報を提供するね。」
クロネはそう言うと紙を渡す。
「相変わらず、アナログなのね。」
「でも、それが一番外部に漏らしにくい方法なのはわかってるだろう?」
「…それもそうね。」
私はクロネから受け取った紙を見る。
『大当たり!』と文字が現れる。
「…渡す紙を間違えてないかしら?」
私がそう言うとクロネは至って真面目な声で言う。
「んや、それであってるよ。情報屋が間違った情報を渡すわけ無いじゃないか!」
「だとしても、少な過ぎるわよ…まあ、いいわ。おおよそ、私の予想通りだったんでしょうけど…」
私が呆れた様子で言うとクロネは胡散臭い微笑みを貼りつけた顔で言う。
「そういう事♪茉莉君の思ってた通りの場所にヤツらの本拠地があったよ。ちゃんと外からはわからないようにいろいろ細工はされてあったけど、僕の手にかかればちょちょいのちょいさ♪」
「はいはい。凄いですね。」
「うわぁ…すんごい塩対応されたぁ…」
クロネは露骨に落ちこんでみせる。
「そんな事より、中の方はどうだったのよ。」
私はどうでもいいを全面に押し出しながら言う。
「そんな事呼ばわりされた?!」
クロネが何か言ったが、構ってるとキリが無いのでスルーだ。
「ま、いっか…中の方はとてもじゃないが、人が居るとは思えないほど異常な光景があったよ。人柱はもちろん、肉塊にされても生かされ続けてる何かの生物や魔物に人を食わせてたり、人同士でも同じ事をやったりしていたね。そして、何より恐ろしいのが人と魔物を無理矢理くっつけた様な不気味なキメラの存在まで確認された事だ。アイツらの悲痛な叫び声が未だに耳に残ってるよ…」
クロネは思い出すだけでも気持ちが悪くなると言いたげに言う。
「わかったわ。あんたには辛い仕事を頼んだわね。」
「大親友の茉莉君の頼みだからね。他の奴が頼んだとしても僕はここまで情報を持ってこなかったさ。ヤツらの異常さは情報屋の中でも有名だからね。ほんと、とんでもないヤツらだよ…」
クロネがそう言って顔を俯かせるとマスターが香りの良い紅茶を私たちのテーブルに置く。
「クロネ、情報に対して感情を持ち過ぎですよ。情報屋としての基本をお忘れですか?」
「そんなのわかってる!でも、こんなの酷過ぎるじゃん!師匠だって、情報屋じゃなければ同じ様に考えるでしょ?」
クロネはマスターの言葉に怒った様に反論する。
「私も人間ですので、情報屋と言う立場で無ければ憤りも感じますが、私たちは情報屋です。情報に関する余計な感情は少しづつねじ曲がっていき、正しく伝えられません。だから、情報屋は情報に対して感情を持ってはならないのです。しかし、情報屋の仕事は依頼された情報を正しく届ける事。それ以外は求められていないのですよ。」
マスターは淡々とクロネに言う。
「師匠は硬過ぎるよ…もっと柔らかく生きないと人生損するよ。」
クロネはそう言うと喫茶店から出ていく。
「はぁ…あの子には困ったものです…」
マスターはため息をついて言う。
「お見苦しい所をお見せしてしまいましたね。」
マスターが私に言う。
「気にしなくてもいいですよ。情報屋もいろいろあるんだってわかってますから…」
私が手を振りながらそう言うとマスターはどこか遠くを見てるような雰囲気で言う。
「あの子の口は軽いですからな…」
「そうですね。でも、きっちりと線引きはしてると思います。クロネにもクロネなりの信条はあるのかもしれませんね。」
「そうですな…」
マスターはそう言うとカウンターに戻って作業を始める。
「茉莉様、良ければあの子を迎えに行ってもらえませんか?」
「わかりました。」
私は扉を開けてマスターに言う。
「では、行ってきます。」
「お気をつけて…」
私はそのままクロネが向かったであろう場所に行く。
…
王都の外れにある小高い丘、クロネは嫌な事があると決まって、この辺りに逃げていた。
「クロネ、いつまでも拗ねてないで、さっさと出てきなさい。」
私は一番背の高い気に向かって呼びかける。
しかし、返事は返って来ない。
「クロネ~!」
再度呼んでみるも返事は無い。
「登ってみようかしら…」
私は何年かぶりに木登りを始める。
「よっと…ほいっと…おわっと?!」
危うく頭から落っこちそうになる。
「危なかった…」
私はさらに木を登る。
そして、てっぺんまで来る。
「クロネ~…って、寝てるわね。」
クロネは気持ち良さそうにすやすやと寝ていた。
私はクロネの横に寝転ぶ。
「懐かしいなぁ…昔はよくこうして一緒に空を眺めてたっけ…」
あの時もここと同じ様な小高い丘と大きな木があったんだ。
ここよりもうんと大きくて、いつも登ってたっけ…
それで夜まで寝ちゃって大騒ぎになったりもしたっけ…
懐かしいなぁ…
私は隣で寝てるクロネの頬を軽く突く。
「もう食べれない…」
クロネが寝言を言っている。
「何の夢を見てるんだろ…」
私はクロネの幸せそうな寝顔を見つめる。
「アイリスちゃん…どうぞ…えへへ…」
「今度は誰の夢かしら?」
しばらくクロネの寝言は続いた。
…
「んう…」
クロネの目が開く。
「くあぁ~…よく寝た。」
クロネは隣に気配を感じて確認すると…
「あれ?茉莉だ…僕を探しに来たのかな?」
茉莉は嬉しそうに微笑みながら、眠っていた。
(すぅ…すぅ…)
茉莉は小さく寝息を立てていた。
「可愛い寝息立ててるところ申し訳ないけど…」
クロネは茉莉の耳元で言う。
「茉莉君、起きたまえ!」
「ふやん?!」
茉莉は驚いて飛び起きる。
「おはよう茉莉君、元気なお目覚めだね!」
クロネがイタズラっぽく微笑む。
「…」
茉莉から、殺気が溢れていた。
「やべ…」
クロネがそう言った瞬間だった。
「この…」
茉莉が拳を振りかぶる。
「バカチンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
茉莉のゲンコツがクロネの脳天に炸裂する。
「ぎゃあああああああ!!!!」
二人の叫び声は王都付近まで聞こえたそうだ。
…
「貴方と言う人は何を考えているのですか!あんな至近距離で大声を出して!もし驚いて落ちたりでもしたら、どう責任を取るつもりだったのですか!」
私は気がつけば、一時間ほどクロネを叱っていた。
「すみませんでした…」
クロネは正座したまま言う。
「全くもう!全くもう!もうしないでくださいよ。」
「はい。もうしません。」
クロネは反省した様子で言う。
「…ふふっ…」
私は思わず思い出し笑いをする。
クロネは首を傾げていた。
「クロネを叱ったのなんて何年ぶりかしら…」
「ああ、そういう事か。確かに僕も茉莉に叱られたのはずいぶん前のように感じるね。」
クロネは正座から楽な姿勢に変わる。
私もクロネの隣に座り、夕暮れの近い空を見る。
「あの時もこんな木の上での出来事だったよね?」
「そうだね。あの時は僕が飛び降りようとしたんだっけ?」
懐かしむ様にクロネが言う。
「今でもあの時の事は覚えてるわ。すっごいいい笑顔で『茉莉見てて!僕も飛べるから!』なんて言って、鳥の羽を両手に持って飛ぼうとした時はほんとにびっくりしたわね」
「ちょっと待ってよ!それはルカが飛べるって言ってたからであって、僕のせいじゃないよう!」
「こう言う時なんて言うんだったかしら…騙される方が悪いだったかしら?」
私がニヤリと微笑むとクロネがわちゃわちゃと手を振りながら言う。
「あーもう!その時の事は忘れてくれよう!あの頃は尖ってたんだよ!」
「はいはい。そういう事にしときますよ。」
そんな他愛も無い話をして暗くなる前に木から降りる。
「今日は楽しかったわ。」
「僕もだよ!久々に幼馴染としてのんびり話せて楽しかったよ!」
私とクロネはそのままマスターの喫茶店に帰る。
…
「おかえりなさいませ。お食事のご用意は出来ております。」
メイドがそう言って私たちを席へと案内する。
「そうだ!カティーちゃん、アレを持ってきてもらえるかい?」
クロネがそう言うとメイドは一切の感情を感じさせない声で「かしこまりました。」と言って、奥へと入っていく。
「カティーってね、とある帝国がやってた人造人間計画で出来た人造人間の子供なんだってさ。私たち人造人間じゃない人間と比べると短命で感情の表現が苦手なんだけど、魔力とか身体能力は人造人間の方が遥かに高いんだ。元々は戦争の兵士としての役目を請け負っていたから、余計な感情や寿命を削って、個の能力を高めたらしいよ。まあ、その帝国も当時の勇者には敵わなくて、一夜で崩壊したみたいだけどね。」
クロネはとても楽しそうに言う。
「人造人間計画…ねぇ…あれはあれでだいぶ酷いものじゃ無かったっけ?」
「そうだねぇ…でも、とても面白いことをしてくれたのも彼らなんだよね。冒険者同士の能力の継承にも使う継承石も彼らの人造人間計画の技術が使われてるからね。」
「ああ、そうだったわね。」
継承石は特殊な魔力が刻まれた石であり、使う石にもよるが能力の継承…
簡単に言えば、能力を譲渡する事が出来るんだ。
さらに魔力の純度が高い石だと継承だけでなく、能力の複製も出来ると言うとんでもない性能になるとの事である。
その仕組みは人造人間の感応現象と似たものになっている。
彼らも感応現象によって、スキルの継承や共有をし合うんだとか。
メイドが赤い箱を持って戻ってくる。
「お待たせしました。こちらでお間違い無いですね?」
「うん!ありがとね!」
クロネが元気に言う。
「…どういたしまして。」
よく見ないとわからない程度だが、カティーは少しだけ嬉しそうに微笑んで奥へと戻る。
「話の流れ的には件の石かしら?」
私がそう言うとクロネはちょっとつまらなさそうに言う。
「そうだよ。この中にあるのが、継承石だよ~」
クロネが箱を開けると綺麗な青い宝石の様な石が現れる。
「これは茉莉君にあげるよ。ティアドロップ製だけど、魔力相性の問題で僕には使えなかったからね。」
この世界ではティアドロップは鉱石と特殊魔技の二種類のティアドロップが存在する。
鉱石のティアドロップはオリハルコンよりも魔素や魔力を扱う事に適しており、高い魔力保有度を誇る魔法使いにとっては夢の様な青い宝石だ。
その為、魔法が刻まれた石…魔法石のティアドロップはオリハルコンよりも国家予算に匹敵するほどの価格で取引される事もある。
特殊魔技のティアドロップは王の素質を持つ者のみが使用可能な王の波動を雫に変えて地に落とす魔技であり、これによる干渉は如何なる能力を持ってしても妨害する事は不可能だと言われている。
そして、この特殊魔技は素質に強く影響を受ける魔技であり、使用者によって、効果がガラリと変わる為、特殊魔技となっている。
魔技には二種類の魔技があり、誰でも扱える通常魔技と特殊魔技がある。
魔技はこの世界で魔法と呼ばれているものとは違って技能に近いものでありながら、完全に使いこなすには固有能力の様に使えるものが限られていると言う特殊なものなのだ。
私はクロネから継承石を受け取る。
「んで、条件聞く前に受け取ったけど、何をすればいいわけ?」
私がクロネに言うとクロネは特に何も考えてなさそうに言う。
「特に何も要らないよ。これは僕自身が茉莉君の大親友のクロネとして君にあげたかったのさ。まあ、いつものお荷物の押しつけだと思ってくれればいいさ。」
「ふ~ん?そういう事ならお礼は言っとくわ。」
「いいっていいって!見返りを求めるばかりが人間関係でも無いわけだし、僕も茉莉君から貰ったりする事もあるだろう?」
クロネはそう言って楽しげに笑う。
「ふふっ…そうね。」
私たちはそれ以上は話す事は無かったが、カティーが運んできた料理を食べ終わるまで一緒に居た。
~作者からお詫び~
遅くなってマジすんません。
パズ〇ラのコラボ周回し過ぎて書いてませんでした(ちゃんとやれ!)
あ、それだけですね。はい。
では…
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