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黒の少女
29話
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「オリュンよ。よくぞ戻ってきた。」
「旦那様…」
オリュンの目の前には短く綺麗に整えられた金髪と特徴的な赤い右眼と青い左眼のオッドアイの男性が居た。
彼はアルフェノーツ家の現当主のマルレクレール・アルフェノーツであり、契約上はオリュンの雇い主でもある。
元SS級冒険者であり、その腕でモンスターから民を守る役目も行っているそうだ。
「オリュンちゃんもアリスちゃんも無事で良かったわ~」
「オブリージュ様…」
宝石の様に美しい紫色の腰あたりくらいまでの長い髪の紫色の瞳が特徴的な女性がニコニコと微笑みながら言う。
彼女はアルフェノーツ家の正当血統者のオブリージュ・アルフェノーツであり、アルフェノーツ家の血を受け継ぐ人だ。
魔法学に関して彼女の右に出る者は居ないと言われるほどの秀才であり、主に魔素学者として、いくつもの賞を受賞しており、彼女の技術が世界中のあらゆる設備に使われているそうだ。
「ごほん」とマルレクレールが咳払いをする。
「早速で申し訳ないが、これからアリスとオリュン、お前たちの今後について話させてもらおう。」
オリュンがゴクリと唾を飲むのが分かる。
「オリュン、まずお前はアリスとどうありたいと思う?」
「オリュンは…」
オリュンはしっかりとマルレクレールの目を見て言う。
「オリュンはアリス様に救ってもらった命をアリス様のために捧げたいと思っています。今回の様な事が起きた際、アリス様のお傍で今度こそ生きてお守りしたいと考えています。その為なら、なんだってする所存です。」
少しの間、静寂が場を支配する。
「…お前の言い分は了解した。だが、私はお前に対してとても残酷な決断をしているよ…アリスを守る為、そしてオリュン、お前の事も守る為、お前の解雇を命じる。」
オリュンはショックを受けた顔をしていたが、目を逸らさずにマルレクレールを見る。
「今のお前としては納得出来ないだろう。だが、もしお前がアリスの死転転生で蘇ったと知ったら?自分の周りで誰かが死んだ時、また死転転生を使って、アリス自身の身体を消滅させる事になってしまったら?ただでさえ、アリスの能力は未熟なアリスの身体には負担が大きく、一歩間違えたら世界に影響を与えかねんのだ。そして、その力の影響を受けるのはお前とて変わりはせん。むしろ、一度アリスの力で蘇った事により、重大な影響を受ける可能性すらある。」
マルレクレールは重々しく言う。
「故にお前の解雇を命じる。」
私はオリュンがどれだけアリス様を愛していたかを知っている。
それこそ、自分の命を捨ててまでして守ろうとするほどだ。
昔の彼女からは想像もつかない様な溺愛っぷりは国中に知れ渡るほどのものだった。
私が抗議をしようとするとオリュンが一瞬だけ私を見る。
その顔を見て私は何も言えなくなってしまった。
そんな顔をするなんてずるいわよ…
「わかりました…旦那様…いえ、マルレクレール様、オブリージュ様、今まで本当にお世話になりました。」
オリュンの声が少しだけ震えている。
オリュンは昔から自分の気持ちを隠す癖があり、私以外の誰にも本心を悟らせない様な人だった。
そんな彼女が人前で声を震わせるほどの事だ、とても辛いはずなのに彼女は平気なフリをして必死に涙を堪えていた。
私は彼女から奪われるものを守れなかった。
彼女はそれをしょうがないと言うだろう。
だけど…
「うむ。お前のこれまでの賃金、そして新たな生活に必要なものを買い揃える為の資金も用意しておく。後でオブリージュから受け取るが良い。」
「承知しました」
オリュンは右腕が黒くなりつつあるアリス様を私に渡す。
「ウェン…アリス様の事は任せましたよ…」
「オリュン…」
オリュンはそのまま部屋の扉の前で再び部屋の中を見る。
「では、失礼いたします…」
「うむ。」
オリュンは振り返って部屋を出る。
しばらくして、マルレクレールがぽつりと言う。
「本当にすまない…」
オブリージュが私の腕の中で眠るアリスの右腕に触れながら言う。
「アリスちゃんの中には悪魔王と精霊王のお二人がいらっしゃるの。」
オブリージュはそう言うと不思議な歌を歌う。
するとアリスの右腕が眩く輝き視界が真っ白になる。
しばらくして、視界が元に戻った頃には七色の羽を持つとても美しい容姿の妖精族の男性が現れる。
「やあ。アルフェノーツのお嬢さん、ボクに何かご用かな?」
オブリージュは妖精族に言う。
「シルフ様、アリスちゃんについて、頼みたい事がありまして…頼みを聞いてもらえますか?」
シルフは少しだけ考える素振りを見せて言う。
「良いけど…リリスの力を封印したいんだよね?それって、今までのリリスの妖精の力をボクの力で封じる事になるんだけど、大丈夫かな?」
オブリージュはゆっくりと目を閉じて言う。
「はい…その言葉の意味は十分承知しております…ですが、今はこれしか方法が無いのです…私がもう少し若ければ、無理をしてでも別の方法を模索する事も出来ましたが、老いぼれた身体ではもう無理も出来ないですからね…故に未来のアリスちゃんに託す事にしたのです…今のままでは制御できなくなった力が暴走してアリスちゃんの身体を消滅させかねませんから…」
シルフは真剣な顔で言う。
「わかった。なら、ちゃんと封印しておくよ。オブリージュにはお世話になったし、何よりボクらの娘の為にも必ず成功させてみせよう。」
「ごめんなさいね…凄く酷なお願いしちゃったわね…」
「ハハッ!いつもの事じゃないか!」
シルフはそう言うと古代精霊言語で詠唱を始める。
詠唱が終わった後、シルフが言う。
「オブリージュ、ボクは君に会えてよかったと思っているよ。」
オブリージュは寂しげに手を振る。
「また会えると良いわねぇ…」
「…」
シルフの身体が消える瞬間、声は聞こえなかったが、何かを口に出したようだった。
シルフの身体から生成された印がアリスの負の感情をエネルギーに膨大化してしまった悪魔の力を抑える印となって黒く禍々しいオーラを纏っている右腕に記され、オーラをかき消す。
マルレクレールが言う。
「ウェン、アリスが学園に就学出来る14歳になるまではウェンが面倒を見なさい。お前であれば、アリスをこれ以上危険な目に合わす事はないだろうからな。」
私は少しだけご主人様が何を考えているのかがわからなくなってきた。
正直な話、私なんかよりオリュンやアーフェ様の方が強いのだから、オリュンがダメでもアーフェ様なら私と違って魔法でアリス様を守る事も容易であるはずなのに…
いくら、私が元A級冒険者であるとは言え、アリス様を守るには力不足では無いかと思っていた。
「承知…」
しかし、私の意志とは裏腹に私の口は賛同していた。
守りきれる自信はないし、力も無い…
だが、やると言ってしまったからにはやるしかないのだ。
こんな事なら、もっと鍛錬をしておくべきだったと今更後悔する。
「う…う~ん…」
アリスが意識を取り戻したかのように目を開ける。
「うーん…ウェン、降ろしてください…」
私はアリス様をゆっくりと地面に下ろす。
アリスは軽く身体を伸ばして言う。
「…お爺様、アリスは冒険者学校に行きます。」
マルレクレールはとても驚いた表情をする。
オブリージュがマルレクレールが驚きで放心状態になっている間にアリスに聞く。
「アリスちゃん、それはアリスちゃんが冒険者になる事を意味するのですよ?」
「存じております。」
「冒険者になると言う事は死と隣り合わせで生きるという事になります。」
「覚悟は出来ております。」
アリスは直立不動でオブリージュの目を見る。
そして、マルレクレールの目を見て言う。
「アリスはオリュンが目の前で死ぬのを見ました。ハッキリと鮮明に人の死を見てしまいました。それも大切な人の死を…です。」
アリスは少しだけ沈黙して続ける。
「アリスはオリュンを守れなかった自分が憎いです。アリスが非力なばかりにオリュンを死なせてしまった…アリスにとってかけがいのない家族を死なせてしまった…だから、アリスは強くなる事を決意しました。強くなれば、もうアリスの家族を誰も死なせる事はありません。これ以上失いたくないのです。どんなに危険だと言われても、どんだけしんどいと言われても、どれほど過酷だと言われても、アリスは守るための力を求めます。」
アリスにもう誰も失いたくないと言われるとマルレクレールは渋々ながら言う。
「わかった。お前がそこまで言うなんて滅多にない事だ。私からも最大限の援助をしよう。冒険者学校は学園と違い、12歳から入学が可能だ。そこで見習いとして4年間モンスターについて学んで、最後に卒業試験を合格すれば晴れて冒険者になれる。もちろん、入学試験もある。学力に戦闘力、戦術学も必須だ。そうと決まれば、その為の教育を3日後から手配しておこう。戦闘については私が教えよう。何十年も前とは言え、最高ランクのSS級冒険者だった私が教えるのだ。これ以上の適材は無いだろう。」
こうして、アリスの鍛錬の日々が続いて、4年の歳月が過ぎていた。
「旦那様…」
オリュンの目の前には短く綺麗に整えられた金髪と特徴的な赤い右眼と青い左眼のオッドアイの男性が居た。
彼はアルフェノーツ家の現当主のマルレクレール・アルフェノーツであり、契約上はオリュンの雇い主でもある。
元SS級冒険者であり、その腕でモンスターから民を守る役目も行っているそうだ。
「オリュンちゃんもアリスちゃんも無事で良かったわ~」
「オブリージュ様…」
宝石の様に美しい紫色の腰あたりくらいまでの長い髪の紫色の瞳が特徴的な女性がニコニコと微笑みながら言う。
彼女はアルフェノーツ家の正当血統者のオブリージュ・アルフェノーツであり、アルフェノーツ家の血を受け継ぐ人だ。
魔法学に関して彼女の右に出る者は居ないと言われるほどの秀才であり、主に魔素学者として、いくつもの賞を受賞しており、彼女の技術が世界中のあらゆる設備に使われているそうだ。
「ごほん」とマルレクレールが咳払いをする。
「早速で申し訳ないが、これからアリスとオリュン、お前たちの今後について話させてもらおう。」
オリュンがゴクリと唾を飲むのが分かる。
「オリュン、まずお前はアリスとどうありたいと思う?」
「オリュンは…」
オリュンはしっかりとマルレクレールの目を見て言う。
「オリュンはアリス様に救ってもらった命をアリス様のために捧げたいと思っています。今回の様な事が起きた際、アリス様のお傍で今度こそ生きてお守りしたいと考えています。その為なら、なんだってする所存です。」
少しの間、静寂が場を支配する。
「…お前の言い分は了解した。だが、私はお前に対してとても残酷な決断をしているよ…アリスを守る為、そしてオリュン、お前の事も守る為、お前の解雇を命じる。」
オリュンはショックを受けた顔をしていたが、目を逸らさずにマルレクレールを見る。
「今のお前としては納得出来ないだろう。だが、もしお前がアリスの死転転生で蘇ったと知ったら?自分の周りで誰かが死んだ時、また死転転生を使って、アリス自身の身体を消滅させる事になってしまったら?ただでさえ、アリスの能力は未熟なアリスの身体には負担が大きく、一歩間違えたら世界に影響を与えかねんのだ。そして、その力の影響を受けるのはお前とて変わりはせん。むしろ、一度アリスの力で蘇った事により、重大な影響を受ける可能性すらある。」
マルレクレールは重々しく言う。
「故にお前の解雇を命じる。」
私はオリュンがどれだけアリス様を愛していたかを知っている。
それこそ、自分の命を捨ててまでして守ろうとするほどだ。
昔の彼女からは想像もつかない様な溺愛っぷりは国中に知れ渡るほどのものだった。
私が抗議をしようとするとオリュンが一瞬だけ私を見る。
その顔を見て私は何も言えなくなってしまった。
そんな顔をするなんてずるいわよ…
「わかりました…旦那様…いえ、マルレクレール様、オブリージュ様、今まで本当にお世話になりました。」
オリュンの声が少しだけ震えている。
オリュンは昔から自分の気持ちを隠す癖があり、私以外の誰にも本心を悟らせない様な人だった。
そんな彼女が人前で声を震わせるほどの事だ、とても辛いはずなのに彼女は平気なフリをして必死に涙を堪えていた。
私は彼女から奪われるものを守れなかった。
彼女はそれをしょうがないと言うだろう。
だけど…
「うむ。お前のこれまでの賃金、そして新たな生活に必要なものを買い揃える為の資金も用意しておく。後でオブリージュから受け取るが良い。」
「承知しました」
オリュンは右腕が黒くなりつつあるアリス様を私に渡す。
「ウェン…アリス様の事は任せましたよ…」
「オリュン…」
オリュンはそのまま部屋の扉の前で再び部屋の中を見る。
「では、失礼いたします…」
「うむ。」
オリュンは振り返って部屋を出る。
しばらくして、マルレクレールがぽつりと言う。
「本当にすまない…」
オブリージュが私の腕の中で眠るアリスの右腕に触れながら言う。
「アリスちゃんの中には悪魔王と精霊王のお二人がいらっしゃるの。」
オブリージュはそう言うと不思議な歌を歌う。
するとアリスの右腕が眩く輝き視界が真っ白になる。
しばらくして、視界が元に戻った頃には七色の羽を持つとても美しい容姿の妖精族の男性が現れる。
「やあ。アルフェノーツのお嬢さん、ボクに何かご用かな?」
オブリージュは妖精族に言う。
「シルフ様、アリスちゃんについて、頼みたい事がありまして…頼みを聞いてもらえますか?」
シルフは少しだけ考える素振りを見せて言う。
「良いけど…リリスの力を封印したいんだよね?それって、今までのリリスの妖精の力をボクの力で封じる事になるんだけど、大丈夫かな?」
オブリージュはゆっくりと目を閉じて言う。
「はい…その言葉の意味は十分承知しております…ですが、今はこれしか方法が無いのです…私がもう少し若ければ、無理をしてでも別の方法を模索する事も出来ましたが、老いぼれた身体ではもう無理も出来ないですからね…故に未来のアリスちゃんに託す事にしたのです…今のままでは制御できなくなった力が暴走してアリスちゃんの身体を消滅させかねませんから…」
シルフは真剣な顔で言う。
「わかった。なら、ちゃんと封印しておくよ。オブリージュにはお世話になったし、何よりボクらの娘の為にも必ず成功させてみせよう。」
「ごめんなさいね…凄く酷なお願いしちゃったわね…」
「ハハッ!いつもの事じゃないか!」
シルフはそう言うと古代精霊言語で詠唱を始める。
詠唱が終わった後、シルフが言う。
「オブリージュ、ボクは君に会えてよかったと思っているよ。」
オブリージュは寂しげに手を振る。
「また会えると良いわねぇ…」
「…」
シルフの身体が消える瞬間、声は聞こえなかったが、何かを口に出したようだった。
シルフの身体から生成された印がアリスの負の感情をエネルギーに膨大化してしまった悪魔の力を抑える印となって黒く禍々しいオーラを纏っている右腕に記され、オーラをかき消す。
マルレクレールが言う。
「ウェン、アリスが学園に就学出来る14歳になるまではウェンが面倒を見なさい。お前であれば、アリスをこれ以上危険な目に合わす事はないだろうからな。」
私は少しだけご主人様が何を考えているのかがわからなくなってきた。
正直な話、私なんかよりオリュンやアーフェ様の方が強いのだから、オリュンがダメでもアーフェ様なら私と違って魔法でアリス様を守る事も容易であるはずなのに…
いくら、私が元A級冒険者であるとは言え、アリス様を守るには力不足では無いかと思っていた。
「承知…」
しかし、私の意志とは裏腹に私の口は賛同していた。
守りきれる自信はないし、力も無い…
だが、やると言ってしまったからにはやるしかないのだ。
こんな事なら、もっと鍛錬をしておくべきだったと今更後悔する。
「う…う~ん…」
アリスが意識を取り戻したかのように目を開ける。
「うーん…ウェン、降ろしてください…」
私はアリス様をゆっくりと地面に下ろす。
アリスは軽く身体を伸ばして言う。
「…お爺様、アリスは冒険者学校に行きます。」
マルレクレールはとても驚いた表情をする。
オブリージュがマルレクレールが驚きで放心状態になっている間にアリスに聞く。
「アリスちゃん、それはアリスちゃんが冒険者になる事を意味するのですよ?」
「存じております。」
「冒険者になると言う事は死と隣り合わせで生きるという事になります。」
「覚悟は出来ております。」
アリスは直立不動でオブリージュの目を見る。
そして、マルレクレールの目を見て言う。
「アリスはオリュンが目の前で死ぬのを見ました。ハッキリと鮮明に人の死を見てしまいました。それも大切な人の死を…です。」
アリスは少しだけ沈黙して続ける。
「アリスはオリュンを守れなかった自分が憎いです。アリスが非力なばかりにオリュンを死なせてしまった…アリスにとってかけがいのない家族を死なせてしまった…だから、アリスは強くなる事を決意しました。強くなれば、もうアリスの家族を誰も死なせる事はありません。これ以上失いたくないのです。どんなに危険だと言われても、どんだけしんどいと言われても、どれほど過酷だと言われても、アリスは守るための力を求めます。」
アリスにもう誰も失いたくないと言われるとマルレクレールは渋々ながら言う。
「わかった。お前がそこまで言うなんて滅多にない事だ。私からも最大限の援助をしよう。冒険者学校は学園と違い、12歳から入学が可能だ。そこで見習いとして4年間モンスターについて学んで、最後に卒業試験を合格すれば晴れて冒険者になれる。もちろん、入学試験もある。学力に戦闘力、戦術学も必須だ。そうと決まれば、その為の教育を3日後から手配しておこう。戦闘については私が教えよう。何十年も前とは言え、最高ランクのSS級冒険者だった私が教えるのだ。これ以上の適材は無いだろう。」
こうして、アリスの鍛錬の日々が続いて、4年の歳月が過ぎていた。
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