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── 1章 アルト編 ──
001.転生した先は?
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『ちゃんと説明して!!』
わたしは大声で叫んでいた。もちろんそれはケイに向けたもの。
「……説明、ですか?」
だけど返事をしてくれたのは予想していた声と違っていた。飴玉にみたいに甘い声。あれ? 誰だこの声?
意識を声のほうに向けると、革でできてるっぽいジャケット?に、布地のパンツ姿の女の子がいた。ケイよりは大きく見えるけど、それでも多分だいぶ若い。中学生だったら1、2年とかくらいじゃないかな。あと黒と白銀が混じったショートカット髪にスカイブルーの瞳。メッシュってやつ? 派手だな。でもそれが似合っちゃうかなりの美少女。でもだいぶ薄汚れている気がする。そこがちょっと残念かな?
あ、あと短剣をさしてるね。なんかそこだけ物騒で変な感じだ。
女の子はあどけなさの残る顔をコテンと横に倒し、不思議そうにこっちのほうを見つめている。
というか、いきなり大声出してやばい人ムーブかましちゃったんだけど。かなり恥ずかしい。そうだ、弁明しようそうしよう。
『ごめんね? きみにいうつもりじゃなかったの。びっくりさせちゃった?』
「大丈夫です」
『よかった』
よかった~。やばい人判定されなかった。この子が無邪気そうでよかった。
女の子の態度にほっとしてわたしは周りを見渡した。
うん。森の中だね。しかもだいぶ暗いから結構深いところなのかも?
多分ここが飛ばされた異世界なのだろう。で、この女の子が同行者というやつかな?
最後ケイに不穏なことを言われた気がするけど、きっと聞き間違いだね! だって、目の前の女の子と普通に話せてるし。うん。気のせい気のせい!
と、わたしがここまで思考したところで、女の子がつぶやいた。
「来ます」
『来る?』
来る?何が?
その答えはすぐに出た。
うしろの草むらからガサゴソ音がしたかと思うとツノの生えたウサギ、のようなものが飛び出してきたのだ。のようなものと言ったのは牙を生やした大口を開けていたからだ。あと知ってるウサギより2回り以上大きい。まったくかわいらしさはない。
ていうかわたしの方に向かってくる!?
『きゃ!』
そう思ったのも束の間。女の子はいつの間にか取り出していた短剣でツノにジャストミートさせ、勢いが止まったところで半身になって首を切り上げていた。
え、何それ? すご!
あまりの早技、凄技に惚けてるわたし。そんなわたしのことは構わずウサギもどきの頭が飛んでいった方へ駆けていく女の子。あ、ちょっと置いてかないで。
それにしても……
『なんだったんだろう……こいつ』
それは何ともなしに言った言葉だった。しかしそれに反応するようにウサギもどきの胴体部分の横に文字が浮かび上がる。
────────────────────
種族:キラーラビット
状態:死亡
────────────────────
……なるほど。この生き物はキラーラビットっていうのか。やっぱり前世じゃ見たことないね。当たり前だけど。大きさもそうだけどツノの生えたウサギなんてね。いかにも殺人してますって名前のウサギは普通いないって。
いや、そうじゃないよ。何だろこの画面。急に出てきたけど。
しかも情報量少なくない? 死亡とか見ればわかるし。いや名前がわかったのはありがたいといえばありがたいのかもしれないけどさ。
そう考えたら画面が変わった。
────────────────────
種族:キラーラビット
状態:死亡
大型のツノを持ったウサギ型魔物。Fランク。成体の体長は0.6~0.8メートルに及ぶ。ツノは錬金術や調薬に使用される。肉は食用可能。
────────────────────
うん。情報が増えた。へー。魔物なんているんだこの世界。しかも食用可。そういえばずっとご飯食べてないかもしれない。お腹……空いてないな。何でだろう? いやそうじゃないって! ほんとなんなのこの画面……
そこまで考えたとき、女の子がキラーラビットのツノ部分だけを持って帰ってきた。ツノを振って血を払っているところを見ると元々持っていたらしき袋にしまうらしい。
そして今度はキラーラビットの胴体を解体し始めた。大雑把に切り捨てていって中から紫色に光る石を取り出す。
それにしてもさっきの短剣捌きはすごかった。この女の子、何者なんだろう?
────────────────────
名前:アルト
種族:人族
────────────────────
……アルトちゃんって言うみたいだね。
さっきからこの画面、やりたい放題だな。まあ名前がわかるのはありがたいけど。
そんなことより、助けてくれたこの子にお礼を言わないと。もう名前を知ったからアルトちゃん、いや、わたしは助けられた立場なので、敬意をこめてアルト様と呼んだほうがいいかな? よいでしょうか?
『アルト様。助けていただきありがとうございます』
「さっきの人? あれ? 名前って言ってましたっけ? って様はやめてほしいです!!」
普通に断られた。まあそうだよね。いきなり様呼ばわりされたらわたしだって嫌がるわ。
『じゃあそうするね。アルトちゃん──』
「ちゃんもやめてください。アルトでいいです」
あれ、なんかちょっと底冷えする感覚が……。なんか地雷踏んだ? 対人スキルがないわたしにはなぜアルトちゃん、いや、アルトが怒っているようなのか分からない。
『うん、わかった。アルト。あらためてありがとうね。助けてくれて』
「どういたしまして? です?」
アルトはコテンと頭を横にして答える。いやなぜに疑問形? キラーラビットがわたしに突っ込んでくるところを助けてくれたよね? あーそれくらい助けたうちに入らないとかそういう?
「うーん。さっきから言っている『助けた』って何ですか?」
いや、違うらしい。
『助けてくれたよね。キラーラビットから』
「まあ、キラーラビットは倒しましたけど」
あれれ? さっきから話が微妙にずれてる?
「それにしても、えーっと、どこにいるんですか? 先ほどから声は聞こえるんですけど」
『えっ? 目の前にいるよね?』
「えっ? いないですよ?」
『えっ?』
「えっ?」
ん?いま不穏な言葉があったような? わたしの聞き間違いかな?
『……すみません。聞き間違えてたかもしれないからもう一度聞いてもいいかな? わたし、目の前にいるよね?』
「……いないです」
試しに手を動かしてみる。……動かない。というよりも、そもそも神経が通っていない感じ。そして当然のように見えない。まるでもともとそんなものなかったかのように……
『っておーい!!!』
ケイ、ふざけんな! 出てこい!
いや、何となく嫌な予感はしてたんだよ! こっちにきてから体の感覚とか微妙だったし、なんかアルトとは目線がちゃんと合わないなーと思ったし、何も食べてなかったはずなのに全然お腹は空かないし。ケイも不穏なこと言ってたし。でも考えないようにしてたのに。実体ないのにキラーラビットに迫られた気がして『きゃ!』とか言っちゃったのに……
はあ。考えないようにしてた現実を突きつけられちゃったかー。
……そうだ正気に戻れ! 現実を見るんだわたし! さっきのキラーラビットはわたしを狙ったんじゃなくてわたしの後ろにいたアルトを狙っただけだったんだ。そりゃ助けたとは思わんわ。
しかもまたやばいやつムーブかましてる。と言うか現在進行形でかまし続けてる。
アルトを見ている限りじゃ判断つかないけど、絶讃アルトの好感度は下がっていってるに違いない。自分でも自分の状況がよくわかってないけど何とか説明するんだ。わたしの全説明スキルよ。うなれ!!
『あのね? わたしは──』
「あっ! もしかしてあなたは聖霊様ですか?」
えっ。違うけど? えっ。違うよね?
わたしは大声で叫んでいた。もちろんそれはケイに向けたもの。
「……説明、ですか?」
だけど返事をしてくれたのは予想していた声と違っていた。飴玉にみたいに甘い声。あれ? 誰だこの声?
意識を声のほうに向けると、革でできてるっぽいジャケット?に、布地のパンツ姿の女の子がいた。ケイよりは大きく見えるけど、それでも多分だいぶ若い。中学生だったら1、2年とかくらいじゃないかな。あと黒と白銀が混じったショートカット髪にスカイブルーの瞳。メッシュってやつ? 派手だな。でもそれが似合っちゃうかなりの美少女。でもだいぶ薄汚れている気がする。そこがちょっと残念かな?
あ、あと短剣をさしてるね。なんかそこだけ物騒で変な感じだ。
女の子はあどけなさの残る顔をコテンと横に倒し、不思議そうにこっちのほうを見つめている。
というか、いきなり大声出してやばい人ムーブかましちゃったんだけど。かなり恥ずかしい。そうだ、弁明しようそうしよう。
『ごめんね? きみにいうつもりじゃなかったの。びっくりさせちゃった?』
「大丈夫です」
『よかった』
よかった~。やばい人判定されなかった。この子が無邪気そうでよかった。
女の子の態度にほっとしてわたしは周りを見渡した。
うん。森の中だね。しかもだいぶ暗いから結構深いところなのかも?
多分ここが飛ばされた異世界なのだろう。で、この女の子が同行者というやつかな?
最後ケイに不穏なことを言われた気がするけど、きっと聞き間違いだね! だって、目の前の女の子と普通に話せてるし。うん。気のせい気のせい!
と、わたしがここまで思考したところで、女の子がつぶやいた。
「来ます」
『来る?』
来る?何が?
その答えはすぐに出た。
うしろの草むらからガサゴソ音がしたかと思うとツノの生えたウサギ、のようなものが飛び出してきたのだ。のようなものと言ったのは牙を生やした大口を開けていたからだ。あと知ってるウサギより2回り以上大きい。まったくかわいらしさはない。
ていうかわたしの方に向かってくる!?
『きゃ!』
そう思ったのも束の間。女の子はいつの間にか取り出していた短剣でツノにジャストミートさせ、勢いが止まったところで半身になって首を切り上げていた。
え、何それ? すご!
あまりの早技、凄技に惚けてるわたし。そんなわたしのことは構わずウサギもどきの頭が飛んでいった方へ駆けていく女の子。あ、ちょっと置いてかないで。
それにしても……
『なんだったんだろう……こいつ』
それは何ともなしに言った言葉だった。しかしそれに反応するようにウサギもどきの胴体部分の横に文字が浮かび上がる。
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種族:キラーラビット
状態:死亡
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……なるほど。この生き物はキラーラビットっていうのか。やっぱり前世じゃ見たことないね。当たり前だけど。大きさもそうだけどツノの生えたウサギなんてね。いかにも殺人してますって名前のウサギは普通いないって。
いや、そうじゃないよ。何だろこの画面。急に出てきたけど。
しかも情報量少なくない? 死亡とか見ればわかるし。いや名前がわかったのはありがたいといえばありがたいのかもしれないけどさ。
そう考えたら画面が変わった。
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種族:キラーラビット
状態:死亡
大型のツノを持ったウサギ型魔物。Fランク。成体の体長は0.6~0.8メートルに及ぶ。ツノは錬金術や調薬に使用される。肉は食用可能。
────────────────────
うん。情報が増えた。へー。魔物なんているんだこの世界。しかも食用可。そういえばずっとご飯食べてないかもしれない。お腹……空いてないな。何でだろう? いやそうじゃないって! ほんとなんなのこの画面……
そこまで考えたとき、女の子がキラーラビットのツノ部分だけを持って帰ってきた。ツノを振って血を払っているところを見ると元々持っていたらしき袋にしまうらしい。
そして今度はキラーラビットの胴体を解体し始めた。大雑把に切り捨てていって中から紫色に光る石を取り出す。
それにしてもさっきの短剣捌きはすごかった。この女の子、何者なんだろう?
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名前:アルト
種族:人族
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……アルトちゃんって言うみたいだね。
さっきからこの画面、やりたい放題だな。まあ名前がわかるのはありがたいけど。
そんなことより、助けてくれたこの子にお礼を言わないと。もう名前を知ったからアルトちゃん、いや、わたしは助けられた立場なので、敬意をこめてアルト様と呼んだほうがいいかな? よいでしょうか?
『アルト様。助けていただきありがとうございます』
「さっきの人? あれ? 名前って言ってましたっけ? って様はやめてほしいです!!」
普通に断られた。まあそうだよね。いきなり様呼ばわりされたらわたしだって嫌がるわ。
『じゃあそうするね。アルトちゃん──』
「ちゃんもやめてください。アルトでいいです」
あれ、なんかちょっと底冷えする感覚が……。なんか地雷踏んだ? 対人スキルがないわたしにはなぜアルトちゃん、いや、アルトが怒っているようなのか分からない。
『うん、わかった。アルト。あらためてありがとうね。助けてくれて』
「どういたしまして? です?」
アルトはコテンと頭を横にして答える。いやなぜに疑問形? キラーラビットがわたしに突っ込んでくるところを助けてくれたよね? あーそれくらい助けたうちに入らないとかそういう?
「うーん。さっきから言っている『助けた』って何ですか?」
いや、違うらしい。
『助けてくれたよね。キラーラビットから』
「まあ、キラーラビットは倒しましたけど」
あれれ? さっきから話が微妙にずれてる?
「それにしても、えーっと、どこにいるんですか? 先ほどから声は聞こえるんですけど」
『えっ? 目の前にいるよね?』
「えっ? いないですよ?」
『えっ?』
「えっ?」
ん?いま不穏な言葉があったような? わたしの聞き間違いかな?
『……すみません。聞き間違えてたかもしれないからもう一度聞いてもいいかな? わたし、目の前にいるよね?』
「……いないです」
試しに手を動かしてみる。……動かない。というよりも、そもそも神経が通っていない感じ。そして当然のように見えない。まるでもともとそんなものなかったかのように……
『っておーい!!!』
ケイ、ふざけんな! 出てこい!
いや、何となく嫌な予感はしてたんだよ! こっちにきてから体の感覚とか微妙だったし、なんかアルトとは目線がちゃんと合わないなーと思ったし、何も食べてなかったはずなのに全然お腹は空かないし。ケイも不穏なこと言ってたし。でも考えないようにしてたのに。実体ないのにキラーラビットに迫られた気がして『きゃ!』とか言っちゃったのに……
はあ。考えないようにしてた現実を突きつけられちゃったかー。
……そうだ正気に戻れ! 現実を見るんだわたし! さっきのキラーラビットはわたしを狙ったんじゃなくてわたしの後ろにいたアルトを狙っただけだったんだ。そりゃ助けたとは思わんわ。
しかもまたやばいやつムーブかましてる。と言うか現在進行形でかまし続けてる。
アルトを見ている限りじゃ判断つかないけど、絶讃アルトの好感度は下がっていってるに違いない。自分でも自分の状況がよくわかってないけど何とか説明するんだ。わたしの全説明スキルよ。うなれ!!
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