ゾンビ世界侵略

四話 任務 工場

　次の日、新たな任務が五人に伝えられた。
「近くに工場がある。その工場は電子機器を取り扱っていた工場で、その部品をできるだけ多く持ち帰ってもらう」
　五人は基地を出た。
　工場までの距離は病院までの距離と同じくらいであった。
　工場に着いた。
　工場はかなり大きい工場であった。
「よし……行くぞ」
　司は息をひそめて言った。
　絶対に離れることがないように、五人、一塊になって行動していく。
　工場はライン工場のようで、動いていないベルトコンベアの上には、段ボールが置いてあった。
「開けるぞ……」
　司は段ボールを開けた。
　段ボールの中には缶詰があった。
「まだ食べられそうだな……缶詰も中心に集めていくぞ」
　浩は段ボールを開けた。
「ひっ」
　そこにはバラバラになったゾンビの遺体が入っていた。
　誰かがふざけてやったのだろうか。
　ウィィィン
　するとベルトコンベアが急に動き出した。
　かと思えば止まった。
　そして再度動き出した。
　ベルトコンベアが出てきている機械の中からガタガタと異音が聞こえる。
　その時だった大量のゾンビが機械の中から出てきた。
「うわぁああ」
　春人は悲鳴を上げた。
　ゾンビが機械に詰まっていたのだ。
　ゾンビは一斉に五人に襲い掛かってきた。
「くっ」
　正樹はゾンビに押され、ベルトコンベアに押し付けられる形となった。
　ほか四人はゾンビの処理に手一杯である。
　すると突然、プロペラが動き出した。
　プロペラは正樹のベルトコンベアの動く先にある。
　プロペラは何のためにあるのか。
　それはベルトコンベアで運んだものを粉砕するため……
　このままでは正樹はプロペラに巻き込まれてしまう。
　正樹はポケットからナイフを取り出した。
「はぁ！」
　ゾンビの首にナイフを刺した。
　ゾンビは動き続けている。
　プロペラとの距離がどんどん小さくなる。
　この危機に司が気付いた。
　司は自分周りのゾンビを倒すと、パネルに駆け寄った。
　機械のパネルを押しても反応しない。
　司はパネルを肘で殴って破壊した。
　パネルは壊れ、機械も動きを止めた。
　機械が止まったと同時に正樹は立ち上がった。
　そして拳銃を取り出し、ゾンビを次々と倒していった。
　まるで先ほど経験したことの動揺をごまかすかのように。
　工場内のゾンビは全滅した。
　結果、機械類は入手できなかったものの、缶詰を入手することに成功した。
　五人は基地に戻った。
　司令に命の危機にあったことを話し、任務は終わった。