上 下
19 / 19
伍の巻 逢瀬でござる!

1

しおりを挟む

「輝っ‥

待てよッッ!!」


「なんでお前が追ってくんだよ!!」


カガヤはピタリと足を止めて振り返る
そして息を切らして自分を睨みつけるミツキに言った


「お前、今回の任務わかってんだろ!?
なんで邪魔する!?」

牽制するカガヤをミツキは睨むように真っ直ぐ見据える。

「俺は‥ッ
ユリを城に行かせるつもりはないっ…」

「―――!?
はぁ?‥‥‥

お前、マジで言ってんのか!?
任務に背いたらどうなると思ってんだよ!
完全な裏切り行為じゃねぇか!! バカかよお前っ」


カガヤの言葉にミツキは一歩も引く様子を見せない


「裏切り?

‥‥‥ハッ!‥何言われたって構わない――――

俺はずっと待ってたんだ‥

それを今更、横取りされる訳にはいかない‥」


「――?
何言ってんだよ!!

一族に泥を塗るつもりか?こんなこと長老に知れたらお前追われる身になっちまうんだぜ!?」


‥とに、いったいなんなんだよ魅月の奴‥


カガヤはミツキの言ってることが理解できず、呆れながらミツキを説得していた

何を言っても無駄‥そんな表情のミツキにため息を溢しながらカガヤは言う



「とにかく―――

俺は任務を遂行するからな!!
幸い、ユリノは俺に気があるみたいだし‥
お前が邪魔しなきゃとっとと任務は終わるんだよ‥」

「じゃあ阻止するまでだ―――」


「―――!?‥っ」


そう言い放つミツキにカガヤは目を見開く
そしてミツキは構わず続けた

「ユリは俺のだ‥

誰にも触れさせない…」


鋭い目つきで言うミツキにカガヤははぁ――ッとため息をつきながら言った

「バカじゃね?お前‥

女なら他にもいるだろ?
わざわざ任務放棄して危ない目に合う覚悟してまで欲しい女かよ!?
第一、姫サンだぜ」


「あぁ‥‥‥欲しいね‥


ずっと待ってたんだから…

それにユリは今は姫じゃない‥華鳥家とはなんら関係ない風間家の娘で一般人だ‥
今更、血が途絶えるからと都合よく迎えに来たって俺は認めない――
城なんかに連れていけば二度と手が届かなくなるッ
俺は親父の二の舞をふむつもりはない!」


語尾を強めるミツキの言葉にカガヤは疑問を浮かべた


『親父の二の舞‥』
‥どういう意味だ?


不思議そうな顔で見つめるカガヤにミツキは言いながら背を向けた


「姫になったら影としてでしか側に居れなくなる…」


「―――!ッ‥」


その言葉にカガヤも一瞬、顔をこわばらせた


「俺はそんなんで満足するつもりはない‥」


そう言ってミツキは姿を消した……。



「……魅月…」


ミツキの消えた後を見つめカガヤは呟く

‥‥そんなこと言ったって俺達一族は影だ‥

ずっと城主に使えてきて今更、裏切るなんてことがあれば―――ッ


『城なんかに連れていけば二度と手に届かなくなるッ』


ミツキの言葉が脳裏をかすめる


‥そんなに欲しけりゃ手に入れてから連れてきゃいいじゃん‥
ヤってでもいいから惚れさせて連れてこいって言われてんだから――



“二度と‥‥”


‥‥そか‥連れてって姫になったら二度と手は出せないわけだ‥‥‥


「……っ…」



それは‥

ちょっと辛いかもしんねぇ…



フッ…なるほどね‥



魅月、お前の言うことも一理あるわなっ♪




カガヤは腕を組み不敵な笑みを浮かべていた‥





◇◇◇



「百合ちゃん!!
知らない男の人について行っちゃいけないって何回言わせるの!」

「ご‥めんなさいパパ‥//」



「しかもあんないかがわしい場所について行って…っ…」


「‥//

でも、パパ‥彼は別に知らない人じゃなくて同じ学校で‥」

「―――!!?‥はっ…

百合ちゃんッ‥」


ユリノが説明しようとした途端、パパはショックを隠せない程に驚きワナワナと震えるっ

そして急にシャカシャカと四つん這いで仏間に向かった――


―チンチンチ―――ン!!


パパは仏壇の前に座り込みりんを連打で打ち鳴らす!!


「ぅぅ‥‥‥芙ーちゃん!!
僕は育て方を間違ったんでしょうくゎ!??‥‥くっ‥男手、ひとつで育ててきた百合ちゃんが口ごたえをするなんてっ!!‥‥うっ‥」


「パパっそんなことは‥っ」



仏壇の芙蓉の写真を抱きしめ涙ながらに訴える陽一郎にユリノはおろおろしていた…


「とにかく‥!!」

パパは涙を流しながらキッとユリノを振り返る


「さっきの男の人達には絶対近づいちゃいけません!!
お菓子をくれるって言っても着いて行っちゃダメですよ!!」


「‥パパ‥
私はもうお菓子で釣られる歳じゃ‥」


「深―――い山奥に連れてかれちゃいますからね!!」



パパはユリノの言葉をひとつも聞いちゃいないようだった。。。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

満員電車でうばわれて、はじまる 

丹戸尾
恋愛
女子高生、茉莉花は毎朝乗る電車で気になる他校の男子生徒がいた。 毎日遠くから見ただけで満足する日々だったが、ある日からその車両で痴漢されるようになってしまった。 優しく嬲る指に翻弄される茉莉花。 いつしか茉莉花は快感の虜となり、痴漢される度に彼のことを思い浮かべて彼に愛撫されることを願うようになっていた。 痴漢の正体が判明し、茉莉花は秀俊という名前だった彼と付き合うようになる。 映画館の暗がりで触れてくる秀俊に茉莉花は煽られて、自ら彼を誘って快楽に酔いしれる。 秀俊に開発されていく茉莉花の身体は、彼と共にインモラルなシチュエーションを愉しむようになっていくのだった。 ※実際の痴漢は犯罪です。フィクションの官能小説として愉しんでください。

【R18】二度抱かれる(短編集)

白波瀬 綾音
恋愛
ワンナイトは好きじゃないよ お好きなセフレを見つけてください ※表紙にAI生成画像を使っています

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R-18】残業後の上司が甘すぎて困る

熊野
恋愛
マイペースでつかみどころのない上司とその部下の話。【R18】

【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。

猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。 『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』 一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。

10のベッドシーン【R18】

日下奈緒
恋愛
男女の数だけベッドシーンがある。 この短編集は、ベッドシーンだけ切り取ったラブストーリーです。

【女性向けR18】性なる教師と溺れる

タチバナ
恋愛
教師が性に溺れる物語。 恋愛要素やエロに至るまでの話多めの女性向け官能小説です。 教師がやらしいことをしても罪に問われづらい世界線の話です。 オムニバス形式になると思います。 全て未発表作品です。 エロのお供になりますと幸いです。 しばらく学校に出入りしていないので学校の設定はでたらめです。 完全架空の学校と先生をどうぞ温かく見守りくださいませ。 完全に趣味&自己満小説です。←重要です。

【R18】カッコウは夜、羽ばたく 〜従姉と従弟の托卵秘事〜

船橋ひろみ
恋愛
【エロシーンには※印がついています】 お急ぎの方や濃厚なエロシーンが見たい方はタイトルに「※」がついている話をどうぞ。読者の皆様のお気に入りのお楽しみシーンを見つけてくださいね。 表紙、挿絵はAIイラストをベースに私が加工しています。著作権は私に帰属します。 【ストーリー】 見覚えのあるレインコート。鎌ヶ谷翔太の胸が高鳴る。 会社を半休で抜け出した平日午後。雨がそぼ降る駅で待ち合わせたのは、従姉の人妻、藤沢あかねだった。 手をつないで歩きだす二人には、翔太は恋人と、あかねは夫との、それぞれ愛の暮らしと違う『もう一つの愛の暮らし』がある。 親族同士の結ばれないが離れがたい、二人だけのひそやかな関係。そして、会うたびにさらけだす『むき出しの欲望』は、お互いをますます離れがたくする。 いつまで二人だけの関係を続けられるか、という不安と、従姉への抑えきれない愛情を抱えながら、翔太はあかねを抱き寄せる…… 托卵人妻と従弟の青年の、抜け出すことができない愛の関係を描いた物語。 ◆登場人物 ・ 鎌ヶ谷翔太(26) パルサーソリューションズ勤務の営業マン ・ 藤沢あかね(29) 三和ケミカル勤務の経営企画員 ・ 八幡栞  (28) パルサーソリューションズ勤務の業務管理部員。翔太の彼女 ・ 藤沢茂  (34) シャインメディカル医療機器勤務の経理マン。あかねの夫。

処理中です...