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伍の巻 逢瀬でござる!
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しおりを挟む「輝っ‥
待てよッッ!!」
「なんでお前が追ってくんだよ!!」
カガヤはピタリと足を止めて振り返る
そして息を切らして自分を睨みつけるミツキに言った
「お前、今回の任務わかってんだろ!?
なんで邪魔する!?」
牽制するカガヤをミツキは睨むように真っ直ぐ見据える。
「俺は‥ッ
ユリを城に行かせるつもりはないっ…」
「―――!?
はぁ?‥‥‥
お前、マジで言ってんのか!?
任務に背いたらどうなると思ってんだよ!
完全な裏切り行為じゃねぇか!! バカかよお前っ」
カガヤの言葉にミツキは一歩も引く様子を見せない
「裏切り?
‥‥‥ハッ!‥何言われたって構わない――――
俺はずっと待ってたんだ‥
それを今更、横取りされる訳にはいかない‥」
「――?
何言ってんだよ!!
一族に泥を塗るつもりか?こんなこと長老に知れたらお前追われる身になっちまうんだぜ!?」
‥とに、いったいなんなんだよ魅月の奴‥
カガヤはミツキの言ってることが理解できず、呆れながらミツキを説得していた
何を言っても無駄‥そんな表情のミツキにため息を溢しながらカガヤは言う
・
「とにかく―――
俺は任務を遂行するからな!!
幸い、ユリノは俺に気があるみたいだし‥
お前が邪魔しなきゃとっとと任務は終わるんだよ‥」
「じゃあ阻止するまでだ―――」
「―――!?‥っ」
そう言い放つミツキにカガヤは目を見開く
そしてミツキは構わず続けた
「ユリは俺のだ‥
誰にも触れさせない…」
鋭い目つきで言うミツキにカガヤははぁ――ッとため息をつきながら言った
「バカじゃね?お前‥
女なら他にもいるだろ?
わざわざ任務放棄して危ない目に合う覚悟してまで欲しい女かよ!?
第一、姫サンだぜ」
「あぁ‥‥‥欲しいね‥
ずっと待ってたんだから…
それにユリは今は姫じゃない‥華鳥家とはなんら関係ない風間家の娘で一般人だ‥
今更、血が途絶えるからと都合よく迎えに来たって俺は認めない――
城なんかに連れていけば二度と手が届かなくなるッ
俺は親父の二の舞をふむつもりはない!」
語尾を強めるミツキの言葉にカガヤは疑問を浮かべた
『親父の二の舞‥』
‥どういう意味だ?
不思議そうな顔で見つめるカガヤにミツキは言いながら背を向けた
・
「姫になったら影としてでしか側に居れなくなる…」
「―――!ッ‥」
その言葉にカガヤも一瞬、顔をこわばらせた
「俺はそんなんで満足するつもりはない‥」
そう言ってミツキは姿を消した……。
「……魅月…」
ミツキの消えた後を見つめカガヤは呟く
‥‥そんなこと言ったって俺達一族は影だ‥
ずっと城主に使えてきて今更、裏切るなんてことがあれば―――ッ
『城なんかに連れていけば二度と手に届かなくなるッ』
ミツキの言葉が脳裏をかすめる
‥そんなに欲しけりゃ手に入れてから連れてきゃいいじゃん‥
ヤってでもいいから惚れさせて連れてこいって言われてんだから――
“二度と‥‥”
‥‥そか‥連れてって姫になったら二度と手は出せないわけだ‥‥‥
「……っ…」
それは‥
ちょっと辛いかもしんねぇ…
フッ…なるほどね‥
魅月、お前の言うことも一理あるわなっ♪
カガヤは腕を組み不敵な笑みを浮かべていた‥
◇◇◇
「百合ちゃん!!
知らない男の人について行っちゃいけないって何回言わせるの!」
「ご‥めんなさいパパ‥//」
・
「しかもあんないかがわしい場所について行って…っ…」
「‥//
でも、パパ‥彼は別に知らない人じゃなくて同じ学校で‥」
「―――!!?‥はっ…
百合ちゃんッ‥」
ユリノが説明しようとした途端、パパはショックを隠せない程に驚きワナワナと震えるっ
そして急にシャカシャカと四つん這いで仏間に向かった――
―チンチンチ―――ン!!
パパは仏壇の前に座り込み鈴を連打で打ち鳴らす!!
「ぅぅ‥‥‥芙ーちゃん!!
僕は育て方を間違ったんでしょうくゎ!??‥‥くっ‥男手、ひとつで育ててきた百合ちゃんが口ごたえをするなんてっ!!‥‥うっ‥」
「パパっそんなことは‥っ」
仏壇の芙蓉の写真を抱きしめ涙ながらに訴える陽一郎にユリノはおろおろしていた…
「とにかく‥!!」
パパは涙を流しながらキッとユリノを振り返る
「さっきの男の人達には絶対近づいちゃいけません!!
お菓子をくれるって言っても着いて行っちゃダメですよ!!」
「‥パパ‥
私はもうお菓子で釣られる歳じゃ‥」
「深―――い山奥に連れてかれちゃいますからね!!」
パパはユリノの言葉をひとつも聞いちゃいないようだった。。。
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