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20章 恋の片道切符二枚組

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「わかった。今、空港に向かってるからまた電話する。」

夏目に対しての怒りが沸々と込み上げ声のトーンが下がっていく…

「じゃ…あ、」

📱「ん?何」

「あ、…//
いや、何でもない…」

言い掛けた言葉を飲み込み晴樹は電話をきった…

晴れて恋人同士になった。別にさらっと伝えてもいいんじゃないか?

そう思いながら、晴樹は言い出せなかった。

「晴樹!!──彼女って誰!?」

「ちょっ、動かすなよ!メール出来ないだろっ」

閉じた携帯を再び開きメールを打つ晴樹にリディは食ってかかる💧

リディの攻撃を遮り必死で打ったメールを送信し、安堵した晴樹。

メール受信を知らせる携帯を確認して晴樹はメールを開く。



「───!っ…」

苗のヤツ‥/////💧


メールを読んだ瞬間、晴樹は帽子を顔に被せ卒倒していた💧

真っ赤な顔をリディに見られないように深く被った帽子のつばを浮かせ、隙間からメールをもう一度確認する…

『浮気するなよ!』

口に出して言えなかった。晴樹のそんなメールに返ってきた苗からの返事…


だいじょび(*^ー^)ノ
兄さんだけだから❤
帰ってきたら思っきしハグハグだょヾ(≧∇≦)/


晴樹の頬は、あり得ない程に揺るんでいた



…ハートはあんまり打つとくどいかな?
まいっか、とりあえず……っとっ!




苗の憧れラブメール。



苗は彼氏が出来たら一度でいいからこんなラブラブメールをしてみたかったのだ💧


そんな苗の単純な思惑も知ってか知らずか、晴樹はしつこいくらいに苗のメールを眺めては口端を緩める💧


今の晴樹は最高に幸せだった…


閉じたくない携帯を閉じ、晴樹は高揚した心を落ち着ける。


…アイツに釘を刺しとかねえと何するか分かんねぇよな💧


オポンチな苗の言葉だけではどうにも不安を拭えない。夏目に一言…とそう思いながら晴樹は携帯を開いた…

…ん、ちょっと待てよ…



携帯を開いたまま晴樹は考え込む。


今、苗とのことを話て競技に支障をきたすのはまずいよな💧



そう、学園側としては是非とも優勝して良い成績を修めて欲しい。

…大会が終わってからにするか💧

自問自答の末、晴樹は携帯をポケットにしまった。



「大ちゃん行け〰!!

ぬぁ〰っ
やったぁ〰〰〰!」


苗の雄叫びが夏目の優勝を知らせる…

余裕のタイムを披露し、夏目は悠々と苗の元へ戻って来ていた。

「やったぞ苗!
約束覚えてるだろ!?」

「…約束?」

興奮する夏目に苗はキョトンとしている。



「苗はどこに行きたいっ?」


あ…💧


『今度の大会で優勝したらデートしてっ』


苗は思い出した。

国体まで待ちきれない夏目の、陰謀を含んだ策略…


「え、映画行こっか…っ…」

…映画くらいなら浮気にならないだよねっ?


苗は自分に言い訳しながら行き先を提案していた……。


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