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11章 続 バカンス

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網の上では黒鮑の地獄焼きが並べられていた‥


「苗ちゃん‥‥
晴樹は学校ではどうだね?」


紳士的な風貌の叔父様が苗に語り掛けてくる


「とってもおハレンチな学園生活を送ってるみたいです。」

「何言ってんだよお前っ」

毎度のことだが苗に悪気はない💧
苗の言動に晴樹は慌てていた

「うむ。ハレンチは我が家の血筋だ‥」


「…こらっ!‥//」

答えた主に晴樹は焦って怒った。

堂々と言って退ける彼は‥

結城財閥―現、代表取締役

結城 智晴‥


そう、晴樹のパパさんだった💧




「苗ちゃんはうちの晴樹をどう思うかね‥?」


‥‥──!!

突然、意味深な質問をする智晴の言葉に海鮮を焼いていた晴樹の手が止まった


「‥‥‥‥

とってもハレンチだと思います💧」


「なっ‥//

お前、他に言い方ねぇのかよ!?」


期待はしていなかった苗の答えに晴樹はキレるッ


「‥ぷッ」


「──!!
何、笑ってんだテメェ〰‥//」

「いぇべつにっ‥」


晴樹は眉をつり上げる


向かい側でホタテを焼きながら笑いを溢した夏目に、晴樹はバーベキューの鉄串を向け威嚇していた💧




ただ、そんな夏目の側には何かとアキがまとわりついている‥

「やぁ~動いてるぅ
キモー‥」

網にのせた黒鮑がグニグニと熱そうに動めく‥
確かに見た目はキモイ‥



「だったら向こう行けよ💧」

‥克也のヤツ何してんだ!??

夏目は辺りを見回し克也を探した。
たしか、ダチはアキを連れの克也に任せる。そう言っていたはずなのに‥


「それ、重いから俺持つよ!」

「え‥ぁ、ありがと‥//」


氷と海鮮類の入った発泡スチロールの箱を持とうとしてる由美に克也は声をかけている。
夏目は克也を見つけ、はっとしていた。


‥くそアイツ何やってんだ!?




克也は由美に狙いを定めたようだった。


夏目はノリエちゃんと焼きそばを炒めているダチにコソコソ詰め寄る。

「お前克也にアキの相手しろって言わなかったのかよ!?」

「えー‥言ったけどさ‥

俺のタイプじゃないって、やっちんに任せろって‥」


「やっちん!?
やっちんじゃアキの相手は‥‥‥💧」


もう一人の連れ、やっちんは機動戦士オタクな為にアキの相手をするには到底無理があったのだ‥

なんせガ○ダムの話しかしない💧

夏目達でさえも話についていくのは至難の技だった


豪華なバーベキューもなんとか穏やかに済み、みんな満足気に引き上げて行く。


「苗!!―――」

「ん?」

夏目はホテルに戻る苗を呼び止めるとコソッと耳打ちした

「後でメールするから‥」


「うん。わかったょ」

夏目はそれだけ言うと苗とロビーで別れ自分達の部屋へ向かった。


晴樹はそのやり取りを黙って見つめている


「あ、もうみんな上に行っちゃった?」


「あぁ、‥お爺が食後のデザート食わしてやるって。おじさん達は部屋戻ったけど陸達は向こうで待ってる」


田中家の年長組はみんなもう部屋に戻ったあとだった

‥ん💧?兄さんまた機嫌悪そう‥


なんとなくテンションの低い晴樹の後を苗はついていく‥



「おお!来た来た。こっちだ‥」

レストランの係りの人に案内され、席に向かうとお爺が笑顔で手招きを繰り返す


その席には智晴も村井も座っていた。

「親父、暇みたいだな💧?仕事はいいのか?」


「あぁ、時間なんて作ろうと思えばいくらでも作れる。無駄をはぶけばな」

智晴は余裕で語る



「今は無駄じゃないのかよ💧?」

「これは私にとって貴重な時間‥癒しの時間だ。


‥‥苗ちゃんパフェは旨いかい?‥//」


「はい!!」


「うんうん、もっと食べていいから」



‥‥苗が癒しかよ💧

満面の笑みで美味そうにマロンパフェを頬張る苗をお爺と智晴は嬉しそうに眺めている


「ところで晴樹‥」

そしてお爺が切り出した


「リディが今度コッチに来るそうなんだが‥」

「リディが?‥‥何しに?」

「お前に会いにだろう‥
当分の間、お前が面倒見てくれ‥」


‥‥俺が!??💧


晴樹は声に出さず表情のみで訴える


「向こうで世話になったんだ‥義理はちゃんと返すもんだぞ。」

「それはわかってるけど」

‥チッ……だからあの時、アパート借りるっつったのに‥


そぅ、
リディ=クライム 14歳

彼女は晴樹がアメリカに留学した際にホームステイしたホストファミリー‥
そして智晴のビジネスパートナー、
リチャード=クライムの愛娘でもあった。


付き合いが面倒臭いからアパートを借りて一人で住むと言った晴樹を

『人付き合いも勉強の内だ』

そう言って智晴は無理矢理ホームステイさせたのだった。



‥リディにかまってたら苗との時間が‥‥



晴樹はパフェを頬張る苗を見つめた


「ん?‥兄さん。

上のマロンもらっていい?」


苗は晴樹のマロンムースにのっている渋皮つきのマロングラッセに目をつけた💧

「‥‥‥‥やるよ💧」


ニコニコしながらマロンを手に入れる苗を眺める‥
晴樹は今後の事を頭に浮かべ大きなため息をついた。









「あ、お帰りなえちん‥
夏目クンからメールきた?」

「メール?」

部屋に戻った苗に由美が尋ねる

「メールしたけど返事が来ないからって克也クン通してあたしに聞いてきたけど‥」

あのあと由美は克也と意気投合しメアド交換までしていたらしい。

「‥あ、メールきてる💧
気づかなかった‥」

相変わらず携帯を持ち慣れない苗だった

「由美と部屋に遊びにおいでって‥‥」

メールを読んで内容を伝える苗に由美も頷く

「あたしには克也クンからメール来てたから‥//
あの二人同じ部屋なんだって‥苗行く?」

「由美、あたしの意見聞いてるようだけど‥めちゃめちゃ行きたいって顔が催促してるだょ‥」

「‥ごめん‥///」

そぅ由美の瞳はこの上なくキラキラしていた

「‥‥いいよ、行こっ」

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