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9章 誤解

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夏目はアキが提案した映画、スィーツ店、海辺のツーリング、そしてケンチキ‥
苗との思い出に携わるものはすべて却下していた。



‥忘れる為にデートしてるのに思い出させてどうすんだよっ!


そして、ウルウル目で拗ねた顔をするアキに言った。

「そんなに食いたいなら
俺、ゲーセンで待ってるから食ってこいよ。」

「‥っ」

夏目の返事にアキは顔をこわばらせる

‥チッ、せっかくとびっきりの拗ねフェイスを披露したのにっ


夏目は苗以外の女のコにはとことんクールガイだった‥

ただ、このクールな感じがいいとモテていた為、まさか夏目がおピンクの妄想癖でクローゼットに小指をぶつけたなどとは誰も想像出来ない。

夏目がおかしくなるのは苗が関連している時しかなかったからだ…


「じゃあファミレス行こ」

アキはケンチキを諦めた‥


夏目と腕を組みキャッキャッとわざとらしくはしゃぐアキに夏目はため息が漏れる‥


‥何がそんなに楽しいんだ?

笑っていても周りの視線を気にしているアキの笑顔はやっぱり作りものだと思う‥



笑顔なら‥‥やっぱり苗だよな…


苗の笑顔が懐かしい‥


思い出した瞬間、熱くなった目頭に力を入れて夏目は帽子を目深に被った―――



‥ん?
あれ!?‥‥大ちゃんだ。



街に買い物に来ていた苗は少し先のほうでイチャイチャしている(遠目だとそう見える💧)夏目とアキを見つけた。



『夏目クンコロコロ彼女代えるらしい‥』


由美の言葉を思い出した。


‥じゃあ、新しい彼女サンかな?‥‥フム
不二子ちゃんほどじゃないけど、ナイスなバディだ──


苗はアキを賞讚していた。



苗はキャミソールから伸びたアキの細い二の腕をみて自分の腕を掴む‥


‥うーむ…やっぱりダイエットしなきゃだょ…
だからフラれるんだなっ
ぅしっ、頑張ろっと!


至って前向きな苗は、邪魔しちゃ悪いと通行人に紛れるように夏目達から少し離れた場所を通ろうと気を使うことにした‥


だが夏目が気づかない筈がない‥‥



‥?!‥‥


‥うそ…


マジかよ?…


夏目の鼓動が急に激しく打ちつける


「‥放‥せ」

「ぇ?」


‥なんでこんな時に!?


夏目の呟きにアキは腕を組んだままキョトンとしている

「いーから腕、放せよ!!」

「…!?…きゃっ――」


夏目は勢いよくアキの腕を振り払う!


‥やばい‥
見られたかもしんねぇ!


そんな思いで夏目はこちら側へと歩いてくる苗に目を向けた‥

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