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21章 君に熱視線°!

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苗は思い出すと自分を抱きしめている晴樹の腕をベリッ!!と強引に押し剥がした──



そして言った!!!



「兄さん!!



ちょっと待ってて!!

苗は命掛けで助けてくれた王子様にお礼をしてくるょっ!!」




「え?!」



いきなりのことに唖然とする晴樹と貴志を置いて苗はどこかに走っていく──!












‥はぁっ…王子様っ


苗の王子様っ…


どこだぁっ?苗の王子様は!!




──…っ…!!…

見つけたッ──*゚+。゚*。゚+






「お?

お嬢‥どうしました?

そんなキラキラ目で息をきらして…?」





「王子様っ──!」






「…って、うわぁぁッ!!?

お嬢っ‥‥//っ

なんですかいきなりぃ〰」












本部に響き渡る声に驚き駆けつけた組員達が目にしたものは‥




真っ赤に色づき女子校生に思いっきりハグされた、泣く子も黙る、硬派な恐もて武の茹で上がった顔だった‥‥



「こらっ!テメェらっ

眺めてねぇでお嬢をなんとかしろっ‥///…っ…」






‥すげぇ──…っ…兄貴のあんな顔中々見れねぇぞ‥




組員一同、そんな事を思っていた。




そう‥



苗にとって命掛けで自分を助けてくれた王子様は‥


紛れもなくたった今、真っ赤になってわめき叫ぶ男。


近藤 武‥34歳



男兄弟に囲まれ荒れた父親に愛想をつかし家を出て行った母親の面影さえも記憶にない‥‥‥



男気溢れた武闘派の武は女にはとても‥




ウブだった──








苗に抱きしめながらも武はなんとなく頭に思い描く‥


そぅ、死んだ組長の跡をつぎヤクザになった女子校生──


―《セーラー服と機関銃》―



組の幹部の男と組長になった女子校生との淡い恋のストーリー💓

組長としての少女を守るのか‥
それとも、想い人としての少女を守るのか‥‥



そんなもどかしい恋愛物もチョイスされた大ヒット映画──


密かに武のお気に入りだった──。








「ぉ、お嬢サン‥//…」




武は戸惑いながらも苗の肩に手を置くと──



ベリッ!と突然、苗が剥がれた。


見れば真正面には苗の肩をしっかりと掴むキレ顔の晴樹が何か言いたげに見据えてる。





「このっバカ女!!

何考えてんだよっ!??」


「だって兄さん!!
苗を命掛けで助けてくれたんだょっ!?
お礼はしとかなきゃだょ」


‥〰っ〰…こいつっ…



俺がどんな想いで助けに行ったと思ってんだよ!?


俺がッ‥



クソッ!!






確かに武が苗を助けてくれたことに変わりはない‥


だからこそ晴樹だって武に感謝して心から頭を下げることが出来たのだから──



でも‥それとこれとは別。


晴樹は苗にハグされていた時の武の表情がどうも気に食わない。



‥いやな予感がするっ──



晴樹はなんとなくそう感じていた…



「お礼だったら普通に口で言えばいいだろ!?
なんかある度に毎回抱きついてんじゃねぇ!!ボケがっ──…そんなお礼はっ‥」


‥俺だけにすりゃあいいじゃねぇか!‥たくっ//




最後の想いは言葉にできなかった。。。



晴樹は相変わらずほんのり赤ら顔の武を直視して言った──


「もう、
俺達帰りますから‥

たぶんお会いするのは今日が最初で最後だと思います!

お世話になりました‥。」



「──‥っ…あ、あぁ

気をつけて帰んな‥//」


晴樹は深々と頭を下げ、
そして、苗の手を引き玄関に向かった‥

そして、貴志は去り際に武に声をかける


「じゃ、俺も帰るわ‥
叔父貴は御大と少し話てくっつーから‥武サン頼むわ」



「わかりました」


貴志に言われ武は頷く。

そして、部屋を出るついでに貴志は一言付け加えた──



「あと‥



あの女、親友の大事なもんみたいだから…




手ぇ出さないでいてくれる?」


「──…ッ!?…///」



貴志の言葉に武は静かに焦り、返事も返すことができなかった‥














―バタン!

晴樹達は家まで送ってもらうために鬼頭の組員の車に乗り込む‥



「じゃあ、ジョージ!
タケちゃん!
みんなも!!またねぇ──」



苗は見送ってくれた藤代組のみんなに車から手を振る


そして、組員達はタケちゃんと呼ばれ頬を染める武をいつまでも、ニヤニヤと見つめていた。。。















「はぁ~なんか、いろいろあったねぇ‥」


後部座席に晴樹、苗、貴志の順に座り苗はまるで今までのことが他人事だったかの様に語っていた。



「うゎ、
兄さんどったの!?
その傷?」


「──……」

‥今、気づいたのかょ?


そぅ苗は今、気づいたばかりだった。



「ひゃ〰
痛そぅ〰っ」


腕の傷を見て悲鳴を挙げる苗を晴樹はあえて無視している




下手に構うとまたキレるかもしれない



晴樹は自分を落ちつけるべく策をとっていた‥




苗は相手をしてくれない晴樹から視線を自分の携帯に向ける‥


そして何やら一人で喋り始めた。









「あれ?‥

すごい着信の数だ♪」


苗はなんとなく嬉しかった。


そぅ、せっかくの携帯電話…

持っていれば鳴らない事程寂しいものはない。


φ(..)

携帯を~
開いて確認
時計だけぇ~ 


‥苗造こころの俳句‥




そぅ、携帯番号を知ってる人数がかなり少ない為に苗の携帯はほとんど鳴ることがなく、苗はいつも時計を確認するだけになっていたのだ。



「あ、兄さんもかけたんだ?」


着歴には苗の安否を気遣う晴樹と、夏目の名前が残っていた‥‥‥



誘拐から助けられたのは結構早い時間帯だったが、苗はその後のジョージとのカラオケ大会に夢中になっていた為に携帯の着信音に気づくことができなかった。



そして、メールにも目を通す──










[受信]
〔苗!大丈夫か!?〕


[受信]
〔苗、すぐ助かるからな!!〕


[受信]
〔頑張れよ!!
帰って来るまで待ってるからな!〕

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