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12章 死神降臨!

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「‥その後は?…

どっか行った‥って?バイクで‥‥」


『‥‥ぁ、‥スイーツ食べに行った!』


「スイーツ?‥‥


それだけ?」


『うん、それだけ‥』

「それだけにしちゃぁ‥



帰りが遅過ぎないか?」


話す度に晴樹の声のトーンが低くくなり表情に陰りが出てくる‥



‥なんだ?女と喧嘩か?


晴樹の電話の様子に車内は再び静かになっていった‥



『あと散歩した‥お腹いっぱいだったから、腹ごなし散歩しようって大ちゃんが‥』


‥散歩?

「どこを散歩した?」

『125号線沿いの防波堤だょ‥ビリーダンスしたんだ』


‥防波堤!?さっきまで居たとこじゃないか?



ふと、思考を巡らせる晴樹の脳裏には、あの時手を繋いだバカップルがバイクに乗り立ち去って行く姿を車のサイドミラーで確認していた事を思い出させた──


貴志がしきりに見てみろ!そう言って急かしたが興味がなかった為、帰る姿をちらっとミラー越しに眺めただけだった‥‥



〔変な踊り踊ってる‥〕

〔しかし、なげぇちゅぅだなぁ‥‥〕


バカップルを観察しながら騒ぐ貴志の言葉が渦を巻いたように繰り返された──




‥ヤバイ‥‥知りたくない‥


たぶん違う!!‥





晴樹は携帯を耳に当てたまま額に手をあて塞ぎこんだ






『兄さん?‥‥あれ?


もすもす?』



急に静かになった向こう側に苗は呼びかけた


「‥苗っ!‥」



『あ、兄さん!どったの急に‥』

「お前今日、紺色のTシャツにジーンズ着てたか!?」

『‥‥』


‥頼む‥違うっつってくれ!!


晴樹は苦痛の表情で祈る様に答えを待った‥












『す‥ごいね兄さん
どんぴしゃだょ!なんっ‥』

──プッ―ッ―



「──?おょ‥‥切れちった‥‥」


‥なんだったんだろ?

苗は突然切れた受話器を見つめ首を傾げながら元に戻した







「はぁッ──‥‥クソッ!!」



車内では再び荒れ始めた晴樹の様子に貴志が呆れ果てる


「お前なぁ‥‥女と喧嘩したぐらいで何そんなにキレてんだよ!?」

苛つきながら、ため息をついては小さく罵倒を繰り返す晴樹に貴志は今度はなだめるように肩を叩き言った


「面倒くせー女なら辞めとけっ!な‥‥

よしっ今からクラブ行ってパァッとやるか?お前の奢りで!」



貴志の勝手な言い分でクラブは半分貸し切り状態‥
顔やあちこちに傷をおったデスナイツのメンバー達に脅え一般客は足早に退散していた



そして勘定はもちろん晴樹持ちである‥‥‥


周りのメンバーがおおいに盛り上がってる中、当の本人だけが、苦痛の表情を浮かべたままだった‥



「貴志‥‥」


背中合わせの隣のボックス席で女の子とイチャイチャしている貴志にあの電話のあと以来、晴樹は始めて話しかけた。


「なんだ‥タイミングいい奴だな‥こんな時に話しかけんなよ」


「悪い‥」



「なんだ、聞きたいことなら今、聞いてくれ。後からは聞く余裕ないぜ‥」


貴志はクスクス笑い囁きながら女の子の胸をまさぐり晴樹に言う



「‥‥‥海にいたバカップルって‥‥‥



どのくらいキスしてた?」



「はぁ?

なんだそりゃ!??」


晴樹の質問に女の首筋に潜り込んでいた貴志は急に顔を上げ晴樹の方を見る‥


「女の方はちょっとは嫌がってた?
‥男が無理やりとかって感じじゃなかったか?」



続けて口から出てくる晴樹の言葉に貴志は困惑した‥



‥何聞きてぇんだ、コイツ!?




そぅ、晴樹は気になっていた‥夏目が無理やりキスしたのか、それともお互い同意の上なのか…

それだけでも、状況は変わってくる‥‥



「熱烈なちゅうしてたぜ‥


嫌がってなんかいなかったけどな‥‥‥それがどうしたんだよ‥‥?」




「‥‥‥そうか‥‥

ならいい‥‥‥」


遠くを見つめ、考込む晴樹を無視して貴志は再び女といちゃつき始める




『俺、苗のこと好きだから!
あんたに苗は渡さない!』



‥なんだ‥
アイツ、もう告ったのか‥

案外、行動力あるんだな‥

この俺に喧嘩売りやがるし‥‥‥



‥嫌がらなかったってことは、告られてOKしたってことか?

―――!ッ…

嘘だろ‥苗ッ!!




晴樹の目にはもう周りが入らない──


苗を捕られる!!


その気持ちだけに疼く痛みを堪えるよう胸を押さえ顔を歪めた

そんな晴樹の気持ちに気付かず女が近寄る


「ねぇ晴樹‥‥今から二人で抜けようよ‥‥」


頭がライオンの様に膨らんだ派手なギャルは甘えた声で晴樹に絡みキスを求めた‥‥


「触るな‥殴られて口が切れてんだ‥‥‥」


晴樹はそれだけ言うと女を押しのけ店から出て行った‥



晴樹は店を出て自分の車に乗り込むと、どこかに電話をかけた。




プルル‥―


『はい?』

「あ、すいません!結城です!さっきいい忘れたことが ‥」


『ああ!晴樹クン?
今‥苗、お風呂入ってるから‥‥!?あ、ちょっと待って!!出たみたい‥』





電話の向こうでオカンが苗を呼ぶ声が響く‥



『もすもすぅ!?
さっき、いきなり電話切れたけどなんだった!?』


「え?
あ、た…たぶん電波が悪かったんだろ?」


さっきの電話の事について聞かれ晴樹は焦りながら弁明した。


『なんだ‥そっ!

んで、何?』


「‥‥あ‥と…

今から近く通るから、何か欲しいモンあるか?」



『今から?‥‥ちょっと待ってて‥』



苗はそういうと二階の部屋に向かって叫んだ。



『兄さん!陸達がアイス食べたいって!!いい?』


明日が日曜日なので家中の皆が起きていた‥‥


『わかった‥20分位で着くから』


晴樹は電話を切るとコンビニに向かった──













ジリリ〰ン

『へぃ!』

「あ、…空か?」

『陸だょ!』

「そか‥(ハハッ、なかなか当てらんねえ…)今、玄関着くから」

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