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6章 伝説マン

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ガヤガヤとざわつく屋内。

「お前達静かにせんか!!」

元、二ノ宮の敷地にも新しい校舎と体育館が建てられ今日は再来週に行われる、学校行事の学年対抗スポーツ大会の種目決めのため、学園全校生徒がここへ集まっていた。


バレーやバスケ、サッカー水泳、等々‥

いろんな種目の中から自由に選べるのだが部活をしている生徒は部活と同じ種目を選んではいけない決まりになっていた…


生徒達は学年ごとに分かれて話し会いをし参加種目を決めていく‥


「なえちんは何にする?あたしバスケにしようかな」

「学年対抗だったら3年が勝つに決まってんじゃん!どうせ負けるんだからなんでもいいよ‥‥‥取りあえずバレーにでもしとこうかな?」


諦めがちの苗に由美が言った


「絶対負けるとは限らないじゃんっ
聞いた話しだけど3年前のスポーツ大会は1年が全種目優勝そうなめしたって!やればできるって!!」


「え~いいよぉ勝ったって人生変わる訳じゃないし…第一面倒くさい」


“なお、優勝した学年にはノート10冊と鉛筆1ダース全員に配られるからな!!”

「‥っ!由美!!
短い青春、スポーツで汗流さなくてどうするっ!!
あたし何だか燃えてきたよ!!」

遠くから聞こえた声に苗の目が見開いた。

「‥よかったね」



先生の一言で諦めがちの苗にやる気が湧いた。


選んだ種目ごと男女混合でグループを作り練習日やリーダーなどを話し合い決めてると‥‥‥


「別に勝てる訳ないんだしさぁ‥練習なんかしなくてもいいんじゃね?」


‥んっなにっ!?

苗の隣であぐらをかいて座っていた男子の言葉が苗を奮い起たせる!!


「そこの少年!!
短い青春、そんな堕落した生き方でいいと思ってるのか〰!!」


「な、なんだょ急にっ!?」

突然の苗の言動に男子は怯えた‥

そして堕落した男子の肩をガシッ!と掴み熱弁しはじめる。


「少年よ、知っているか!?なんと、過去に先輩方々に圧勝した1年生達が居ることを!・・・
ところで、君イイ肩をしてるね?」


苗は熱く語りながら少年の肩をさすった‥


「知ってるよ‥
俺の兄貴達の学年だもん…だから、無理なんだよ」


「だから、無理?!
‥なして?」

苗はキョトンとしている。


「結城先輩だよ‥‥

先輩が1年の時にほとんどの種目、掛け持ちで出て得点稼ぎまくったんだよ!

だから、今年は先輩のいる2年が確実に圧勝!!
‥おわかりですか?」

「──…そ、なの…」



「な、なるほど──
・・・いゃ!!でも負けると決まった訳じゃない!!」


苗は無理矢理にでも言い張ると、がっちりと少年の肩を抱きしめた!!

「ちょっ!?何すんだょ///」


そして今後のスケジュールを書き出したミニ黒板を指差して熱く語らう

「少年!!あそこの文字が読めるか!?」


「‥‥け…
“景品・ノート10冊‥”‥」


苗に肩を抱かれたまま、
少年は口に出して苗の指差した文字を読んだ‥


「そうだ!!なんて素晴らしい!そう思わないか!?


‥ところで少年、なんて名前?」

「夏目‥‥大介‥」

「よしっ!
んじゃ、大ちゃん!!
周りのみんなもノート10冊を手に入れらるように頑張ろう!!!
せーの! えぃえぃGO〰!」


― えっ?エイエイ、オーじゃないの!?

取りあえず苗の勢いにつられたメンバー達は掛け声の違いに戸惑いを感じながらも気合いを入れた‥


先生はその生徒達の姿に感動している‥


「あ、大ちゃん!あたし苗って言うのよろしく!!」


初対面であだ名呼びし、まともにフルネームで自己紹介も出来ないほど苗は失礼な奴だった‥‥‥




──ん!?‥なんで苗の奴、男と肩なんか組んでんだ!?

晴樹がひときわ騒がしい声のする方を見ると、苗が男と一緒に肩を組みGOーGOー! 言っている‥

夏目は無理矢理言わされていた。



そんな苗の姿を見て晴樹は何故だか苛つきを覚えていた



「‥‥樹サン…晴樹サン?…
聞いてます?
どうしたんですか?
そんな険しい顔して…」


「!‥え、あ、あぁ‥
何でもない‥聞いてたけど‥もう一回言ってくれ」


晴樹は直哉に話かけられ我に返ったが、平常心を装いつつも胸の中のモヤつきは治まらない‥



「今回も、掛け持ちでやるか聞いて欲しいって他の種目の奴らから言われてるんですけど‥‥」


「直哉‥‥言っとくけど、俺は最年長だぜ!?
老体を労ってくれよ‥
今回は1種目だけにするって伝えてくれ‥」


晴樹は直哉にそれだけ伝えると再び苗を目線で追い始める…肩はもう組んではいないが苗は夏目と楽しそうに話込んでいた‥‥



「‥‥──!?…晴樹サン?
どこ行くんですか!?」


直哉は話合いの途中で突然、その場を外す晴樹に呼びかけた。だが、晴樹にその声は届かないようだった…



「よぉ、苗っ!
この間はご馳走サン‥‥」

晴樹は苗達の間に割り込み話しかけた。

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