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第四章 伝説編
13話 扉への導き
しおりを挟む「ふむ‥
神獣の説。そして子馬の筈が一夜にして成長し、額には伝承の地の紋章が浮かびあがった――
‥とな。」
「ああ‥魔可不思議なこともあるもんだ。
神の泉には不思議な石の遺跡は現れるしな‥」
ルイスは老師に先日、湖で起きた出来事と今朝の子馬の紋章の事を語っていた
そして、脇で黙っていたロイドが口を開く。
「まさか、あそこが神の泉ってとこだとはな‥」
最近、例の件から離れていたロイドもここ、数日の間に起った出来事を聞き驚いていた。
謎を解き、湖の真ん中にポツンと浮かびあがった石の遺跡‥
そこにもアル達の村の紋章があったとルイスはいう。
そして、地下への入り口の鍵を開けたのがアルの持つ村の宝剣。
「俺が思うに、もしかしたらアルの持つあの宝剣が扉を開く鍵なんじゃないかと‥」
ルイスは自分の考えを口にして老師に意見を求めた。
「うむ、‥その考え方は間違ってはおらんかもしれん‥
伝承の地の者にしか開けられない。ということは‥あの剣を持つ者にしか開けられない‥」
「ああ、しかもあの剣はアルにしか持つことが出来ない‥」
・
ルイスはアルの剣を自分の手に持つことさえできなかった事を二人に話した
それを聞いてロイドが呟く。
「なるほど‥
それで“選ばれし者”っていうことか――」
『アルは選ばれし者なんだって‥村のみんながそう言ってた。』
闘技会の時にティムが言った言葉‥
「選ばれし者‥か…。」
ロイドはポツリと繰り返し呟く。
そしてルイスが席を立ちながらその場を仕切るように言う
「―――謎解きを急ぐ必要がある、ちょっと色々と思い当たることもある。
俺も調べることがあるから今日はこの辺にしとこう。」
「ああそうだな‥
俺もその謎を考えてみるよ。
天の守護神
地の守護神 海の守護神
神の試練を受け三体を己が身に宿し従者に使えよ
試練の道は今、開かれる
§夕の刻、地に浮かぶ十字の天が指し示す。
まずはその扉を開かれよ§
‥‥か‥💧‥
ってことは先ずはその謎を解いて扉を開かなきゃ先には進めないってことだろうな‥」
「うむ。ワシも考えてみることにしよう‥なあに、あまり気を落とすでない。これでも少しづつではあるが、ちゃんと前に進んでおる。
焦ってはいい案は浮かばんからの」
・
老師の言葉に頷きながら二人は部屋を後にした‥
「じゃあなルイス!
夕べ寝てないなら今日はゆっくり休めよ!」
ねぎらいの言葉をかけ手を振り立ち去るロイドを見送ると、ルイスは自室に戻り一息ついた。
「はぁ‥」
“何を願った?‥”
「‥‥‥‥」
“お前のアルを見る目が
気になっただけだ‥”
「‥ふっ‥
誤魔化しきれてなかったか‥‥」
自室のベッドにドサリと身を投げ、両腕を枕代わりにしながら仰向けになる。
そして天井を見上げながら呟いていた。
‥自分でもわからない‥
アルに対してどういった感情を持っているのか。
ルイス自身もはっきりとはわからなった。
ただ、あの時は無意識に願ってしまったのも事実だった。
アルが触れた自分の頬を指先でなぞり、つい無意識に願ってしまった‥
アルが本当に双子だったなら──
アルがもう一人居たのなら──
口にさえ出さなかったが、ルイスは確かにほんの一瞬そんな願いを持ってしまったのだ。
「‥ふ‥
“何を願った”‥か‥」
・
ルイスは笑いをこぼし呟く
「‥ほんの一瞬、願うことも許せないっ‥てか‥
欲張りな奴だなアイツは‥」
ルイスは明かりを付けないままの暗い部屋で瞳を閉じて弱いため息を吐く
窓から差し込む月の明かりがルイスの部屋の暗がりを微かに照らす。その柔らかい射光に癒されるように、ルイスは深い眠りに落ちていった‥
『ルイス王子ー!
はぁ…っ…また行方不明になられたっ…』
『私は向こうを探して見ます!!』
『じゃあ我々はあちらをっ』
夕刻を過ぎ、だいぶ日が暮れた城の庭を大勢の警備隊や兵士達が慌ただしく駆け回る
‥フフ♪みんな早く見つけてくれないかなぁ…
城の警鐘のある高い塔に登り、自分を必死で探して回る兵士達を眺め楽しそうな笑みをこぼす‥
当時5才になったばかりのルイス王子だった。
隠れんぼの大好きな彼は毎回、巧みに小さな体をあちらこちらへと隠しては当時自分の世話役だったミラルド(現 王の側近)と城の兵士達を慌てさせ遊んでいた。
そして、沈む夕陽を眺めながらお気に入りの高い場所からの景色を眺めるのも彼の日課だった‥
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