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第三章 恋愛編

8話 溢れる想い

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「なぁ、ロイ兄ちゃん…」

「ん、どうした?」


「今日は、仕事済んだら暇か?」



ティムは今日の夕食に誘う為に馬小屋の掃除をしながら、隣で餌を準備してるロイドに話しかけた


「なんだ?時間ならあるぞ…
乗馬の練習でもするか?」


「うぅん‥‥💧

今日は…乗馬はいい‥💧」


歯切れの悪そうなティムに餌のバケツをカランッと置きながらロイドは聞き返す


「なんだ、どうした?
はっきり言えよ…」


ティムは上目使いでロイドをチラッと見た。


「──…💧

ティム、…ちょっと
こっちにおいで‥‥‥
座って話そう💧」



ロイドはそう言うと、たくさん積み重ねた干し草の上に腰を下ろした


「で‥何が言いたい?」


「兄ちゃん…久しぶりに家で飯食おうぜ!」


「──…飯っ!?‥
なんで、また…急だな?」

「いいじゃんかっ急でもっ!
時間あるって言ったじゃんかっ」


「時間はあるが‥‥」


そう言いながら表情を曇らすロイドを見てティムが聞いた


「嫌なのか?‥
なんでだ?」


「嫌って訳じゃないけど‥‥‥
ちょっと‥」


「ちょっと、なんだ?」




ティムは口隠(ごも)るロイドに追求する


「‥‥あんまり‥進んで行きたくないな‥‥ごめんな‥」


ロイドはティムの頭を撫でながら悲しそうに笑った‥


『ロイドに顔を見たくないって言われたから…』


… アルの言ってたことってほんとうなのかなっ?

「兄ちゃん…もう少ししたらアルの誕生日だぞ!?
その日も来ないのか?」


ティムの問いかけにロイドも困惑した


「行きたいのは山々だけど…」



「来ないのか? 
そんなにアルの顔見たくないのか!?
そんなにアルのこと嫌いか!?」



「な‥そんなことはっ‥」


ティムに言われてロイドは目を見張った


「だって嫌いなんだろ!?
嫌いだから顔見たくないんだろ!?
アルが言ってたぞっ!!
兄ちゃんに嫌われてるって!!」



「──…っ…そんなこと言ってないっ!

なんだよそれっ!?‥嫌いだなんて一言も言った憶えないぞっ!!
なんで、そんなっ…
俺が言うわけないだろっそんなことっ!!」



ロイドは叫ぶように口にしながら疼く胸の痛みに顔を歪め言葉を強めた


こんなに好きなのにっ………なんでっそんな‥ 

「……っ…」

「じゃ、じゃあ…
顔見たくないってのは?」



ティムはロイドの激しい剣幕に脅えながらも勇気を振り絞って追求した


「それも‥言ってないのか!?」


「‥‥っ‥‥」


「どうなんだ、兄ちゃん!?」



「………それは‥」


「…言ったんだ?」


ロイドは頭を抱え、仕方なく頷いた。


「ほんとに見たくないのかっ?なんでだ?」



「ほんとに見たくないわけじゃ‥‥
ただ、つい‥弾みで…っ」


… ほんとは会いたくて会いたくてしょうがない‥‥

でも‥今、会ってもアイツになんとも思われてない自分が惨めになるだけだ‥‥


「ほんとはさ…言っちゃダメってアルに言われてたけど……」


ティムの意味深な切り出し方に、ロイドは抱え込んでいた顔を上げてティムを見た



「アルがね…ロイ兄ちゃんを食事に誘ってきてって言ったんだよ‥」




「アル‥が?」




ティムのその言葉にロイドの悲痛な顔色が少し変わった‥‥ 



「うん‥嫌なんだって…

兄ちゃんに嫌われたままは嫌だから、自分が悪いことしたなら理由きいて謝りたいからって‥‥」



「アルが‥‥‥言ったのか?
‥‥‥ほんとに‥‥‥?」


ロイドはティムを見つめ聞き返した



ロイドの問いかけにティムは、うん。と答えて続けた


「アル‥気にしてたぞ。兄ちゃんが自分のこと何か言ってないか?って…」



「‥‥‥っ‥‥

… そんな‥‥
あいつが俺のこと気にするはずない‥だろ?‥」


ロイドはティムの言葉を信じる事が出来ない‥



… だってアイツははっきり笑いながら俺に言った‥


“人それぞれ好き嫌いがあるから‥あたしは気にしてないし♪”


「……っ…」

… もし、‥またここで真に受けてぬか喜びして勘違いだったら‥‥‥


俺は立ち直れないッ‥




「ロイ兄ちゃん?…」


黙り込んだロイドを心配するようにティムは名前を呼んだ



「ティム‥‥‥悪い‥‥

やっぱり行けない‥‥‥

ごめんな‥」



自分を気づかってくれる10才の男の子にロイドは笑って謝るしかなかった…



そんなロイドをティムは悲しそうに見つめる


「オイラ…兄ちゃんはアルのこと好きなんだって思ってた‥‥」



「──…!っ…」


ロイドはティムの言葉にうつ向くことしか出来ない。

そして、何も語らないロイドにティムは言った

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