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第三章 恋愛編

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そして、なにかを思いつく‥


「そうだ、…お前らもせっかく精鋭部隊に入れたんだ…
毎日が平和過ぎて退屈だろう…いざってぇ時に体力が続かないんじゃ意味ないからな‥‥‥」


そして鬼蓄は言った


「10周で勘弁してやる‥城の周りを警備兼ねて走ってこい♪」


「…はっ──!?」

隊員達が凌駕するなか、
鬼蓄はとても嬉しそうに笑って言った


「今回は大目にみてやるからな、俺なりの配慮だ♪

痛くないだけマシだろ…?

まあ、痛いのが好きならしてやらんこともないがな。」

隊員達は目を見開き、楽し気な鬼畜を見つめる。


「──…っ…痛いのは嫌だが‥この人、城の周りがどんだけあるか知ってるのか!?」

「知ってる筈だ‥
それを踏まえた上で言ってるはず…っ…」

「おい、どうするよ‥っ
どんなに頑張っても丸2日はかかっちまうぞ…」


「……っ…」



眉尻を釣り上げ口端を緩める鬼蓄を前に、隊員達はなす術もない。

「ん、なんだ?…早くスタートしないと明後日の朝礼に間に合わないぞ…

‥返事はどうした?」



「「…っ…イ、イエッサー!…っ…」」


「わかったら早く行けっ!」


ルイスのこの言葉に隊員達はこぞってスタートを切る!

そして48時間フルマラソンの歴史が今まさに幕を開けようとしていた……



◇◇◇



「奥様!」

「はぃ、何かしら?」


「今、洗濯屋に出してた衣類が届いたんですけど、ロイ坊っちゃんの服のポケットにこんなモノが入ってたからって預かってるんですが…」



日曜の朝、だいぶ太陽の位置も高くなったころ、グレーバン家の使用人が主に
“こんなモノ”を差し出した…


― カサッ


主は受け取った紙を眺める…


… あらやだ…この子、確か前にパイ持って家を訪ねてきた子だわ‥
可愛い子だけど、大会で準優勝したって聞いたから‥‥‥当然‥男の子よね💧


‥いつからこっちの趣味になったのかしら…っ



「…ところで、ロイはどこ行ったのかしら?あなた知ってる?」


「えぇ…確か、夕べからパラダイスに行かれてる筈です‥今日の夕方には帰ると…」




「パラダイス?💧‥」

…よかった…っ…とりあえず、女の子も好きなようね💧



母は息子の行く末を安じながら、その紙を息子の部屋にそっと置いてきていた……。













… ・・・・頭痛い・・💧



カーテンの隙間から差し込む昼の陽射しに目を細めながら、アルは二日酔いに苦しんでいた‥


― カチャ!

「アル!もう昼だぞっ
飯食わねぇのか!?」




「ティム‥水ちょうだい‥ご飯はいらない‥💧」


アルは悲痛な表情で訴えた
「わかった💧…」


ティムはそれだけいうとアルの為にポットで水を運んでくる…その横には擦り潰した黄色い粉のようなモノが紙の上に置いてあった‥


「なにこれ?」


「マークが二日酔いの薬だってくれたぞ!あと、父ちゃんが水をたくさん飲めって!頭痛いのすぐ治るからっ!!てたぞ」


「わかった💧ありがとティム…
みんなにもお礼言ってて💧んで、…もう少し寝るから」


「うん💧わかった!」




アルは薬を飲み、そう言うと再びベッドに横になった




… はぁ‥‥‥
出来るなら忘れてしまいたい‥‥‥


夕べの出来事が鮮明に思い出される‥
自分からしがみつき、濃厚なキスをしてしまった‥‥

別に濃厚なキスは今回が初めてって訳ではない‥
レオやロイドに迫られ激しいキスは何度か経験してる


ただ違うのは自分から舌を絡めてしまったということ‥‥‥💧


下半身を触られたのもショックは大きかったが‥
イッてしまった自分がもっとショックだった…💧


… あ〰もぅ、どうしようっ忘れたいっ……///


でも、体が覚えてる…

////ああ、もぅっ嫌…




アルはシーツを頭の上まですっぽりと被った💧















§ どうだ‥‥‥
我が愛しい娘アテネよ…

まだ従者は目覚めぬか?§


§ はぃ‥‥‥
大神ゼウスよ…


従者の覚醒にはまだ、時を要します‥‥‥§



§ うむ‥‥‥‥

闇王の復活が近づいておる‥‥
なんとしても止めねばならん‥他の神々も力を授けるべく準備は整えておる…


出来る限り急ぐのだ…

期は熟した…頼んだぞ‥

戦いと平和の女神アテネよ
§



§はぃ‥父神ゼウスよ…§













──────


せっかくの休日を寝て過ごしたアルは夕方になってやっと部屋から出てきた



「おぅ!大丈夫か?」


「うん、心配かけてごめん。だいぶ調子いいよ!だから、お腹空いちゃった。

夕食はあたしが作るから買い物行くけど食べたいものある?」


「俺ぁなんでもいいぜ」


「そぅ‥じゃあ、ティム達は?」



「…ぅ➰ん‥そだ。
オイラはハンバーグがいい」


「ボクもっ」


「ハンバーグ?わかった!じゃあ、ユリアもそれでいいかなぁ?」


ユリアは部屋にこもってビーズと格闘中だった…





ジョンをザドルに預け、アルはティム達と連れだって市場に買い物に出た‥



久しぶりに子供達と繋ぐ手は温かくて柔らかい…
その感触は、さっきまでうだうだと悩んでいたアルの心に一時の安らぎを与えてくれていた



「ねぇティム‥」


「ん?なんだ」


「ティムは毎日ロイドのとこに行って何してるの?」

‥ギクッ💧‥

「な、なにって💧…
そうだ、乗馬だ!乗馬習ってんだ!
オイラもう、一人で馬に乗って走れるんだぞっ!
今度、ロイ兄ちゃんが大人の馬にも乗せてくれるってさっ」


「へぇ、すごいじゃん。馬かぁ‥いいなぁ…」

‥あたしも馬に乗れたら城までの通勤も楽なのになぁ‥


「アルも今度、教えてもらえばいいじゃん!
オイラからロイ兄ちゃんに話しておくぞ」


アルは苦笑いして言った


「うーん、いいよ…
迷惑かけそうだから」

‥嫌われてるなんて言えない💧

「マークはどう?薬の研究進んでる?」



アルは、話題を変えようと今度はマークに振った


「うん。あのね、ボクの欲しかった器具を全部仕入れてくれたんだよ!
城には植物もたくさんあるし…今度ね、新しい植物も植えてくれるってさ」

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