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第五章 冒険編
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・
コイツら何を言う!?死んだと思っていたアルが生きて立って目の前に居るというのにっ──
ロイドは止められたもどかしい思いを胸の中でぶつけながらアルをまた振り返った。
「少し様子がおかしい…」
レオはロイドに、見てみろと言わんばかりに顎をしゃくった。
湖をはさんで目の前に居るアル。その姿を見てロイドは何かに気付き、間を置いてはっと息を飲んだ。
ゆらりと揺れる体、自分が左腕に結んであげたブルーのリボンが風雨にそよぐ。そして、その腕とは反対側に七色に光る宝飾の付いた剣を手にしていた。
自分達を虚ろに見つめるアルの瞳がオレンジ色に輝く。揺らめく瞳、そしてアルはその瞳を細め、口端でゆっくりと微笑んだ。
「……ア、ル…?」
ロイドは微かな動揺を見せる。
手にしていたアルの剣は赤、青、緑と色を変えながら輝き続けている。その剣の先をアルは目の前に立ち竦む三人に向けた。
「──…!っ」
三人は喉に溜まった唾を飲む。
アルは剣先を向け、微笑んだまま口を動かした。
・
「我、神に選ばれ神に従う者にのみ背を貸す化身 汝ら従者に使え命を果す者か?──」
「……っ…」
声が違う──
問い掛けるその声音は、聞き慣れたアルの声とはまったく違い、男女の声を交えたように高くも低くもある。
中性的な響きは微笑みながらも無表情なアルの唇から確かに発されていた。
その声に導かれ、剣の宝飾の輝きと同調するように三人の手が強く光り出す。
その光はアルの剣先へと真っ直ぐに伸びて重なりあった。
中性的な声音は続ける。
「──使者なれどまだ使者ならず」
その言葉を受け、重なった光りが消えて行く…
アルの唇は再び開く。その声を紡ぐアルの隣で翼を持つ銀色の白馬、ティールが翼を大きくはためかせた。
「三の勇者よ 試練を受けよ 越えれば使者 没するは死へ 恐るるなら認めの印 今すぐ還すがいい」
問い掛けるアルは微笑んだままだ。
確かになった声の主。神の化身かと云われる翼を持つ聖なる獣──
三人はティールとアルを交互に見つめると互いに目を合わせた。
・
「問うだけ無駄な話だ。もう答えは決まってる…そうだろ?」
そう口にするルイスに後の二人は無言で頷く。互いの意思を確かめ合うと三人はティールに目を向けた。
馬の瞳とは思えぬ眼光が三人を射抜き見据える。
そしてティールは大きく頷く仕草を見せた。同時にアルのオレンジ色の瞳の輝きが少しずつ薄らいでいく。
「三の心一つなら 導きのもとに試練を託す──」
ティールはもう一度大きく翼をはためかせた。白銀色の馬体が空へと浮き上がる。その言葉を残すとティールは夜の雨空を駆けるように消えて行った。
「──アルッ!?」
ティールの姿が消えた途端にアルの体が地面に崩れ落ちる。
三人は急いで駆け寄り、ロイドはアルの体を膝に抱き起こした。
くたりと項垂れる頭を手の平で支え、ロイドは確かめる。雨に打たれ、冷たくはあるが確かに生きている人肌の感触がある。
頬に触れたロイドの手が溢れる喜びに震えた。
「さあ、早く皆の元に連れて帰ろう」
膝まづき、ルイスはそう口にしながらレオと共にアルの顔を覗き込む。冷たい雨から守るようにルイスは白いマントをアルに掛けるとロイドの肩を叩いた。
コイツら何を言う!?死んだと思っていたアルが生きて立って目の前に居るというのにっ──
ロイドは止められたもどかしい思いを胸の中でぶつけながらアルをまた振り返った。
「少し様子がおかしい…」
レオはロイドに、見てみろと言わんばかりに顎をしゃくった。
湖をはさんで目の前に居るアル。その姿を見てロイドは何かに気付き、間を置いてはっと息を飲んだ。
ゆらりと揺れる体、自分が左腕に結んであげたブルーのリボンが風雨にそよぐ。そして、その腕とは反対側に七色に光る宝飾の付いた剣を手にしていた。
自分達を虚ろに見つめるアルの瞳がオレンジ色に輝く。揺らめく瞳、そしてアルはその瞳を細め、口端でゆっくりと微笑んだ。
「……ア、ル…?」
ロイドは微かな動揺を見せる。
手にしていたアルの剣は赤、青、緑と色を変えながら輝き続けている。その剣の先をアルは目の前に立ち竦む三人に向けた。
「──…!っ」
三人は喉に溜まった唾を飲む。
アルは剣先を向け、微笑んだまま口を動かした。
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「我、神に選ばれ神に従う者にのみ背を貸す化身 汝ら従者に使え命を果す者か?──」
「……っ…」
声が違う──
問い掛けるその声音は、聞き慣れたアルの声とはまったく違い、男女の声を交えたように高くも低くもある。
中性的な響きは微笑みながらも無表情なアルの唇から確かに発されていた。
その声に導かれ、剣の宝飾の輝きと同調するように三人の手が強く光り出す。
その光はアルの剣先へと真っ直ぐに伸びて重なりあった。
中性的な声音は続ける。
「──使者なれどまだ使者ならず」
その言葉を受け、重なった光りが消えて行く…
アルの唇は再び開く。その声を紡ぐアルの隣で翼を持つ銀色の白馬、ティールが翼を大きくはためかせた。
「三の勇者よ 試練を受けよ 越えれば使者 没するは死へ 恐るるなら認めの印 今すぐ還すがいい」
問い掛けるアルは微笑んだままだ。
確かになった声の主。神の化身かと云われる翼を持つ聖なる獣──
三人はティールとアルを交互に見つめると互いに目を合わせた。
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「問うだけ無駄な話だ。もう答えは決まってる…そうだろ?」
そう口にするルイスに後の二人は無言で頷く。互いの意思を確かめ合うと三人はティールに目を向けた。
馬の瞳とは思えぬ眼光が三人を射抜き見据える。
そしてティールは大きく頷く仕草を見せた。同時にアルのオレンジ色の瞳の輝きが少しずつ薄らいでいく。
「三の心一つなら 導きのもとに試練を託す──」
ティールはもう一度大きく翼をはためかせた。白銀色の馬体が空へと浮き上がる。その言葉を残すとティールは夜の雨空を駆けるように消えて行った。
「──アルッ!?」
ティールの姿が消えた途端にアルの体が地面に崩れ落ちる。
三人は急いで駆け寄り、ロイドはアルの体を膝に抱き起こした。
くたりと項垂れる頭を手の平で支え、ロイドは確かめる。雨に打たれ、冷たくはあるが確かに生きている人肌の感触がある。
頬に触れたロイドの手が溢れる喜びに震えた。
「さあ、早く皆の元に連れて帰ろう」
膝まづき、ルイスはそう口にしながらレオと共にアルの顔を覗き込む。冷たい雨から守るようにルイスは白いマントをアルに掛けるとロイドの肩を叩いた。
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