歌を唄う死神の話

ちぇしゃ

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願い事は雪の列車と共に…。

1話

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貴方にとって、大切な物はなんですか?

人は誰でも『大切』を抱えて生きています。
だけど、私達人間は二本の腕があるだけで、だからアレもコレもと我儘を言う事が出来ないんです。
結局、一番最後に大切にできるのは、たった一つだけなんです。

欲張っていくつも抱えようとすると、きっと壊れしまうでしょうね。
何が?貴方が?それとも彼女が?それとも別の誰かが?
それとも、その全てがでしょうか?
何はともあれ、いい結果にはならないでしょう。不幸な結末しか訪れないでしょう。

この切符はどうでしょう…。
貴方はどうなのでしょう…。
どんなトラジコメディになるのでしょうね…。



彼は今にも破裂しそうな表情を浮かべていました。
やり場のない怒りからなのか、それともどうにも出来ない無力感からなのか、
凍てつく白魔に襲われた彼は、とても悲し気でした。
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