イレンシ~壱~

ホージー

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case3 山の熊さん 後編

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鹿神「はい終わり!」


竹田「うぉっ?!」


突然目の前の映像が何かに吸い込まれるような感覚に竹田は襲われ、

少しめまいを感じた。


鹿神「途中だったんだけど・・・そこまで見れば充分だよ。」


鹿神は竹田にはめていたメガネを勢い良く外していた。


竹田「・・・何だったんですか・・・今の・・・?」


鹿神「昔与作さんが人間で・・・そして熊になった一部始終だよ。」


竹田「でも・・・それってまだ序盤じゃないんですか?」


鹿神「僕が見た情報を全部見せてたら時間がかかるからね。

だから大事な所を掻い摘んで見せるって言ったろ?」


竹田「は・・・はぁ・・・そうでしたっけ?」


鹿神「それに、多分これから少し忙しくなるからね・・・。」


竹田「え・・・何か・・・あるんですか?」


鹿神「・・・一旦旅館に戻ろう・・・、話はその後だ。」


竹田「あれ・・・そういえばく・・・まじゃなかった。・・・与作さんは?」


鹿神「あぁ・・・ちょっと頼みごとをしたんだ。」


・・・・・・・・・・・・


その後2人は一度旅館に戻って来ていた。


竹田「鹿神さん、これから・・・一体何か起こるんですか?」


鹿神「・・・これから話す事は、さっき見てもらった記憶から、

一連の事件を繋げるためのものだ。」


竹田「あの記憶から何かわかったんですか?」


鹿神「あぁ、あの時・・・熊となった与作さんがあの後どうなったのか・・・。」


あの時与作さんは、とにかく自分自身から逃れようとその場から全力で逃げ出した。


だが当の本体は追いかけてくる様子もなく、逃げ切ったかの様にも思われた。


それから数日経過し、与作さんは自分の村に戻ってみることにした。

熊となった自分が村に戻るのはどこか抵抗を感じていたが確かめたくてしょうがなかった。


そして自分の家の窓から顔を覗かせ中の様子を覗いてみると、

あの与作本体がわらじを器用に編んでいた。


あの様な見事なわらじを作られてはもう村には帰れない・・・。

そう悟った与作さんは再び森へ戻ってしまった。


・・・そして事件は起きた。


数年後のある日、突然森に巨大な岩山が出現し、与作さんはその直前に森である光景を目撃していた


与作本体の後をつけていた与作さんは、巨大な岩で出来た机のような台の上に、

2人の人間が並んで眠るように乗せられていた。


そしてその近くで、与作本体が何かをブツブツ言っている様で、

何を言っているかよく聞こえなかった為に、与作さんは何とか近付こうとし始めた時・・・。


その場所に突然、巨大な岩山が地面から現れ、現れた反動で与作さんは巻き込まれ突き飛ばされた。


そしてその後から、巨大な岩山が出現した村に妙な事が立て続けに起こり始め、

その最たるものが村人の神隠し事件。


与作さんはその行方不明になった村人達が、

あの岩山に消えていく所を何度も目撃していたのだが、

それを村の皆に伝えられる筈もなく途方にくれていた時、そこにあの霊媒師と名乗る青年が現れた。


その青年は不思議な事に与作さんの正体をすぐ理解し、不思議な力で人間の言葉を使える様にした。


心を許した与作さんは青年に、この村で起こった事の全容を話し、

青年に助けを求め・・・そしてあの言い伝えに繋がる。


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