イレンシ～壱～

case2 山の熊さん 前編

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鹿神「さすが御神木と言われるだけあるね。存在感が他の木と違う感じがするよ！」


竹田「でも・・・、ここには手掛かりになりそうな物があるとは思えないんですけど？」


鹿神「何言ってんの？もう見つけたよ！」


竹田「え？どこですか？」


鹿神「コレだよコレ！」


鹿神が指さした先には、まるで竹の子みたいに少し顔を出している様な小さな岩があった。


竹田「岩・・・ですか？まさか、これで頭を打ちつけて・・・。」


鹿神「テレビドラマの見過ぎ。」


竹田「ですよねぇ・・・。」


鹿神「・・・信じられないかもしれないけど、失踪した人達はこの岩に取り込まれたんだ。」


竹田「岩に・・・取り込まれる？まぁ・・・普通は信じられませんよ。」


鹿神「でもコレが現実に起きている。」


竹田「この岩が・・・何なんですか？」


鹿神「この岩は・・・別名"怨霊岩"(おんりょうがん)。人間の負や悪の感情を養分として取り込み成長する岩。」


竹田「怨霊岩・・・？」


鹿神「何故この様な事をするのかはまだ分かってない、ただ同じ岩が世界各地に存在してる。」


竹田「この岩って・・・壊せないんですか？」


鹿神「破壊なんかしたら、蓄積された負の念が大量に出てきて、それはそれは恐ろしい事になるよ！」


竹田「それでも・・・、失踪した人達は何でここに来たんでしょうか？」


鹿神「・・・さあね、ただ、これは吸収する瞬間にだけ正体を現すから普段は他の岩と変わらないんだ。

つまり、人が岩に触れないと力を発揮しない。」


竹田「でも、その岩があるとすると女将さんが言っていた言い伝えは・・・？」


鹿神「それは恐らく実話だ・・・かなりの確率でね。」


竹田「でも・・・、それならこの岩は封印されたんじゃ？」


鹿神「あれは２００年前の話だ。何らかの原因で封印が弱まっているのかもしれない。

そのせいでちょっと岩が出て来てるしね。」