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case2 山の熊さん 前編
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しおりを挟む佐武「失礼します・・・。」
竹田がその声に気付いた時には、佐武がいつの間にか部屋の中に入っていた。
佐武「お茶をお持ちしました。」
鹿神「ありがとうございます。」
竹田「あああありがとうございます!」
鹿神「・・・竹田君、こっちに来な。」
竹田「え・・・あっ、あぁそうですね。」
竹田は鹿神の隣に行き、佐武と向かい合うように机を隔てて座った。
鹿神「さて、今回の依頼についてお聞かせ願いますか?」
佐武「はい、実は・・・ここ最近この村で人が行方不明になる事件が続いていまして。」
鹿神「行方不明・・・それを警察には?」
佐武「勿論、何度か捜索して貰ったんですが、見つかるのは毎回"ある山"で・・・しかも服だけなんです。」
鹿神「服だけが・・・?」
佐武「それに行方不明になった方々は、皆さん1人でこの村に来ていて。
そしてこの旅館のこの部屋に泊まっていました。」
鹿神「ここの宿に泊まっていたのなら、その人達が出て行く所を見なかったんですか?」
佐武「皆さん・・・いなくなるのが決まって真夜中で、この宿の女将も寝ていたと。」
鹿神「でも、それだけだとただの失踪ですよね?僕が呼ばれたのは何故です?」
佐武「・・・村の皆が噂してる事なんですけど、全員熊に・・・食べられたんじゃないかって・・・。」
鹿神「・・・熊?」
佐武「ええ、"とぐろ山"と言う大きな山がありまして、そこの主として住んでいると言われてます。
服もその山で発見されました。」
鹿神「・・・あなたがその熊を見た事は?」
佐武「・・・一度だけ。ただ見たのは幼い頃でしから記憶が曖昧で、
それにその熊は100年も生きているとの噂もあって・・・。」
鹿神「100年・・・ねぇ・・・。」
佐武「私もあまり噂は信じたく無いんですが、
これ以上被害を増やさないためにも藁にもすがる思いでして・・・。」
鹿神「・・・・・・・・・。」
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