イレンシ～壱～

case2 山の熊さん 前編

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佐武「そうですか？それなら・・・良かったんですけど。」


そして３人は宿の中へと入って行った。


旅館の中は外観とは違い、綺麗に整理されていたが、若干暗く感じた。


佐武「お越しいただいて早々に申し訳ないのですが、こちらも色々お話したいことがありますので、

お部屋に御案内させて頂きます。」


２人は佐武に促される様に部屋のある場所に向かった。


佐武「ここが今日お泊りになって頂くお部屋です。」


その部屋は和室で机等はあったがテレビ等は無く、質素なデザインとなっていたが、

泊まることに対しては特に問題は無いものだった。


佐「こちらの:部屋に入ってくつろぎになって下さい。お茶を用意しますので。」


鹿神「あ、すいません。」


佐武はそう言って来た通路を戻って行った。


鹿神「・・・いい子だね・・・佐武さん。」


竹田「・・・・・・・・・。」


鹿神「竹田君聞いてる？」


竹田「・・・へっ？な・・・何ですか？」


鹿神は部屋に入り、座布団に座って机で向かい合っている竹田に話しかけていた。


鹿神「・・・一目惚れってヤツだねぇ・・・？」


鹿神はどこか楽しそうに話した。


竹田「ちっ・・・違いますよ！べ・・・別にそんなんじゃ・・・。」


鹿神「動揺し過ぎだよ。まぁ悪い事じゃないけど。必要以上に感情が入りすぎちゃうのはいけないよ？」


竹田「え・・・何故ですか？」


鹿神「例えば依頼人に恋をしたとする。そうすれば冷静な判断はしづらくなるし、騙されるかもしれない。」


竹田「は・・・はぁ？」


鹿神「どんなに綺麗な女性であっても、依頼人としての関係を保たなければならない。」


竹田「でも、あの子はそんな事無いと思いますよ・・・？」


鹿神「まぁ、竹田君の場合は完全にあの子にホの字だからねぇ・・・。」


竹田「だから違うって言ってるじゃないですか！」