イレンシ～壱～

case2 山の熊さん 前編

3

・・・・・・・・・・・・

ガタンッ・・・ガタンッ！


竹田「んっ・・・ん・・・ん？」


竹田は眠気の中で少し揺れを感じた。


竹田「・・・あれ・・・ここは・・・？」


気が付いて目を開けると、竹田は何故か車の中で揺られていた。


竹田「・・・何で俺・・・車なんかに？」


すると


鹿神「やっと起きた？」


竹田は声がした方へ向くと、ハンドルを握って運転している鹿神がいた。


竹田「鹿神さん！？車持ってたんですか？」


鹿神「中古だけどね。それに遠くならこっちの方が楽だから。」


竹田「・・・え？今回ってそんな遠くなんですか？」


鹿神「ああ、外見てみ。」


竹田「え・・・って、うわっ！？」


竹田の目の前には幾つもの木々が早々と通過していた。


竹田「ここ・・・山の中ですか？」


鹿神「大変だったんだよ？君を車に乗せたり、山道で迷ったり。」


竹田「それはご迷惑をおかけしました・・・って、今道に迷ってるんですか！？」


鹿神「フッ・・・遠い昔の話さ・・・。

それにあともう少しで目的地に着くよ！」


竹田「脅かさないで下さいよぉ・・・。」


鹿神「竹田君が勝手に驚いたんだろ？」


竹田「あの・・・、ところで鹿神さん？」


鹿神「何？」


竹田「依頼の電話が来た時、やけに話し終えるの早くなかったですか？」


鹿神「あぁ・・・あれは仲介役の人。」


竹田「仲介？」


鹿神:そっ、そこの仲介業者には色々な分野の相談や依頼が来る。いわゆる何でも屋のな。

それを振り分けて僕らのような所に連絡して、場所の地図も後でメールで送られてくる。

そうじゃないとこっちも仕事が中々来ないからね。」


竹田「その仲介役の人って・・・何者なんですか？」


鹿神「高校時代の先輩さ。そして僕の能力を信じてくれた数少ない人。」


竹田「へぇ・・・、そうだったんですか。」


鹿神「おっ！ようやく見えて来た。あの村がそうだよ！」


鹿神が指差した先には確かに家のような物が、小さいながら幾つか見えていた。


竹田「今日ってもしかして泊まりですか？」


鹿神「・・・そうなるかも。夜道は危険だしね？」


竹田「旅館とかあるんですか？」


鹿神「多分・・・あると思うよ。」


竹田「多分て・・・。」


そんな会話をしている内に車は目的地の村に到着した。