23 / 24
第二章
第十三話
しおりを挟む
そうして、あっと言う間に戦いは幕を閉じた。
大きな犬はマチルダとリラの方へやってきた。
「エリザ?? 違うな?? リラ、どういうことだ?」
(犬が喋ったことにマチルダは驚いた)
慌てふためく犬にリラは諭すように言った。
『お主、先に言うことがあろう』
「おっと!! すまねぇ。 助けてもらってありがとうな」
犬がマチルダとリラに礼を言っているとそばの草むらから子犬が一匹、大きな犬の方に走り寄ってきた。
「坊や、大丈夫だったか?」
「うん!! ママありがとう」
そう言って、子犬は大きな犬にじゃれついた。
リラは驚きの顔で訪ねた。
『お主、メス? 子供がおったのか?』
「おうよ。何故か良くオスと間違えられるがなぁ」
リラとマチルダは思った。
『『そりゃあ、その喋り方じゃあメスとは思われないよ』』と。
「所で、リラよ。そのお嬢ちゃんはどうした?エリザにそっくりじゃあないか?エリザが帰ってきたのか?」
『いや。エリザは亡くなった。この娘はマチルダというエリザの娘じゃ。詳しいことは省くが、今はわしと共におるわ』
「エリザが亡くなった? エリザに娘?われにも子がおるぐらいだから、エリザにも子供が……エリザが亡くなったのか……あやつは人が良すぎたからあのような国では生きられなかったか……」
ブツブツつぶやく大きな犬にマチルダは挨拶せねばと竜騎士の制服に合わせた挨拶を二匹に向かってする。
「はじめまして。エリザの娘のマチルダと申します。母が生前お世話になったようで……」
マチルダの挨拶の途中で二匹はマチルダを慰めるように体をこすりつけてきました。母犬が話しかける。
「硬い挨拶はなしじゃ。エリザの娘とあらば、身内と同じじゃ」
「お姉ちゃん、僕とも仲良くしてね」
そう言って、子犬はマチルダにさらにじゃれついてきた。
「坊や、やりすぎるとマチルダに嫌われるぞ」
「はい、ママ」
マチルダは子犬を抱き上げて顔を見る。子犬はつぶらな目でマチルダを見つめた。
「子犬ちゃん、よろしくね」
「お姉ちゃん、名前で読んでよ。子犬ちゃんじゃあやだよ」
そう言われたマチルダは、母犬を見た。
「この子は何というお名前ですか?」
「まだ誰とも契約しておらんから名前はないわ。マチルダのことが気に入ったようだから、契約してやってくれ」
「お姉ちゃん、早くぅ~」
『マチルダよく考えよ。名前をつけて契約するということは、一生この者たちにつきまとわれるということじゃ』
リラは諭すようにマチルダに語りかけた。
「おい!! リラ、つきまとうとはなんちゅう言い草。守護してもらえると言ってくれ、守護とな」
「守護してくださるのですか? でも、私とずっと一緒にいないといけないのですよ。いいのですか?子犬ちゃんの自由がなくなってしまうのでは?」
「お姉ちゃん大丈夫!! ずっとつきまとうわけじゃあないから。お姉ちゃんの危険を察知すれば現れるけれど、ストーカーじゃあないから、ずっとつきまとわないよ。安心してね」
そう言って子犬がニコッとすると母犬がうなずく。
「迷惑かもしれんが、この子が初めて守護したいと言いおったんだ。頼む!! 願いを叶えてやってくれ」
土下座せんばかりに頼む犬の姿にマチルダはリラに助けてを求める。リラはうなずきながら
『名前をつけて契約しても害にならんようわしが見張るから大丈夫じゃ。安心せい』
マチルダはリラにそう言われて抱っこしてるふわふわとした白い毛を持つ子犬を再び見た。
「じゃあ、あなたの名前をつけるわね。そうね……シロね」
「ありがとう、お姉ちゃん」
嬉しそうに子犬はマチルダの頬をなめた。
話がついたところで、リラは話をかえる。
『ところでだな。マチルダ、さっきのリザードマンの核を拾わねばならぬぞ』
「そうでした。リラ、ありがとうございます」
そう言ってマチルダは子犬のシロを地面へおろして、散らばって落ちてる核を拾い始めた。
子犬や母親やリラも集め始めた。
あっという間に核が集まり、マチルダの手は核でいっぱいになった。
「皆さん、ありがとうございます」
マチルダはお礼を言い、マジックバックに核を片付けた。リラが話しかける。
『フェンよ。我々はこの森で過ごさねばならぬが、お主たちはどうする?』
2匹はためらいなく告げた。
「「この森にいる間だけでも、一緒にすごしたい!!」」
その言葉にリラはちょっと嫌そう。でも、マチルダは嬉しそう。
「二人はいいのですか? 嬉しい!!」
マチルダの喜ぶ顔にリラは何も言えなくなってしまい、渋々と言う顔を見せた。
こうして、マチルダとリラとフェンとシロは森で一緒に過ごすことになり、たまに遭遇する魔物をやっつけながら、過ごしたのだった。
一夜明け、森での訓練が始まって24時間経ち、訓練生達は前日別れたところへと集合した。
マチルダはリラ以外にフェンとシロを連れ、他のものは別れた時と様子が変わらないようだった。
マチルダとハンスは互いの無事をたたえあった。ハンスはマチルダの連れている犬が気になるようだった。
「マチルダ、その子達どうしたの?」
マチルダはハンスの問いにフェンとシロを見つめて答えた。
「森で出会って、リラの知り合いらしく、頼まれて契約した感じかな?」
「契約? 竜以外に共に?」
ハンスは驚いているが、犬達から親しみを感じたのか挨拶をする。
「僕はハンスと言います。よろしく」
「「よろしく!!」」
少し遅れてやってきたハイゼはマチルダの連れてきた犬を見て驚く。
「マチルダさん、ご一緒なのは、あのフェンリルではないですか?」
ハイゼの驚きようにマチルダは驚いて、2匹に確認を求める。母のフェンは当然のように答えた。
「確かに、人間は我らをそのように呼ぶ」
「!!」
「うちの子はマチルダと契約したから、よろしく頼む」
「なかなか遭遇することのないフェンリルと契約するとは、マチルダやるな!!」
ダニエルは驚きとともに悔しそう。
他の者たちも驚きを隠せないようだった。
それぞれ無傷で核をゲットして訓練生としては上出来の結果で訓練は無事終わったのだが、フェンリルとの契約という予想外の結果をマチルダは残したのだった。
大きな犬はマチルダとリラの方へやってきた。
「エリザ?? 違うな?? リラ、どういうことだ?」
(犬が喋ったことにマチルダは驚いた)
慌てふためく犬にリラは諭すように言った。
『お主、先に言うことがあろう』
「おっと!! すまねぇ。 助けてもらってありがとうな」
犬がマチルダとリラに礼を言っているとそばの草むらから子犬が一匹、大きな犬の方に走り寄ってきた。
「坊や、大丈夫だったか?」
「うん!! ママありがとう」
そう言って、子犬は大きな犬にじゃれついた。
リラは驚きの顔で訪ねた。
『お主、メス? 子供がおったのか?』
「おうよ。何故か良くオスと間違えられるがなぁ」
リラとマチルダは思った。
『『そりゃあ、その喋り方じゃあメスとは思われないよ』』と。
「所で、リラよ。そのお嬢ちゃんはどうした?エリザにそっくりじゃあないか?エリザが帰ってきたのか?」
『いや。エリザは亡くなった。この娘はマチルダというエリザの娘じゃ。詳しいことは省くが、今はわしと共におるわ』
「エリザが亡くなった? エリザに娘?われにも子がおるぐらいだから、エリザにも子供が……エリザが亡くなったのか……あやつは人が良すぎたからあのような国では生きられなかったか……」
ブツブツつぶやく大きな犬にマチルダは挨拶せねばと竜騎士の制服に合わせた挨拶を二匹に向かってする。
「はじめまして。エリザの娘のマチルダと申します。母が生前お世話になったようで……」
マチルダの挨拶の途中で二匹はマチルダを慰めるように体をこすりつけてきました。母犬が話しかける。
「硬い挨拶はなしじゃ。エリザの娘とあらば、身内と同じじゃ」
「お姉ちゃん、僕とも仲良くしてね」
そう言って、子犬はマチルダにさらにじゃれついてきた。
「坊や、やりすぎるとマチルダに嫌われるぞ」
「はい、ママ」
マチルダは子犬を抱き上げて顔を見る。子犬はつぶらな目でマチルダを見つめた。
「子犬ちゃん、よろしくね」
「お姉ちゃん、名前で読んでよ。子犬ちゃんじゃあやだよ」
そう言われたマチルダは、母犬を見た。
「この子は何というお名前ですか?」
「まだ誰とも契約しておらんから名前はないわ。マチルダのことが気に入ったようだから、契約してやってくれ」
「お姉ちゃん、早くぅ~」
『マチルダよく考えよ。名前をつけて契約するということは、一生この者たちにつきまとわれるということじゃ』
リラは諭すようにマチルダに語りかけた。
「おい!! リラ、つきまとうとはなんちゅう言い草。守護してもらえると言ってくれ、守護とな」
「守護してくださるのですか? でも、私とずっと一緒にいないといけないのですよ。いいのですか?子犬ちゃんの自由がなくなってしまうのでは?」
「お姉ちゃん大丈夫!! ずっとつきまとうわけじゃあないから。お姉ちゃんの危険を察知すれば現れるけれど、ストーカーじゃあないから、ずっとつきまとわないよ。安心してね」
そう言って子犬がニコッとすると母犬がうなずく。
「迷惑かもしれんが、この子が初めて守護したいと言いおったんだ。頼む!! 願いを叶えてやってくれ」
土下座せんばかりに頼む犬の姿にマチルダはリラに助けてを求める。リラはうなずきながら
『名前をつけて契約しても害にならんようわしが見張るから大丈夫じゃ。安心せい』
マチルダはリラにそう言われて抱っこしてるふわふわとした白い毛を持つ子犬を再び見た。
「じゃあ、あなたの名前をつけるわね。そうね……シロね」
「ありがとう、お姉ちゃん」
嬉しそうに子犬はマチルダの頬をなめた。
話がついたところで、リラは話をかえる。
『ところでだな。マチルダ、さっきのリザードマンの核を拾わねばならぬぞ』
「そうでした。リラ、ありがとうございます」
そう言ってマチルダは子犬のシロを地面へおろして、散らばって落ちてる核を拾い始めた。
子犬や母親やリラも集め始めた。
あっという間に核が集まり、マチルダの手は核でいっぱいになった。
「皆さん、ありがとうございます」
マチルダはお礼を言い、マジックバックに核を片付けた。リラが話しかける。
『フェンよ。我々はこの森で過ごさねばならぬが、お主たちはどうする?』
2匹はためらいなく告げた。
「「この森にいる間だけでも、一緒にすごしたい!!」」
その言葉にリラはちょっと嫌そう。でも、マチルダは嬉しそう。
「二人はいいのですか? 嬉しい!!」
マチルダの喜ぶ顔にリラは何も言えなくなってしまい、渋々と言う顔を見せた。
こうして、マチルダとリラとフェンとシロは森で一緒に過ごすことになり、たまに遭遇する魔物をやっつけながら、過ごしたのだった。
一夜明け、森での訓練が始まって24時間経ち、訓練生達は前日別れたところへと集合した。
マチルダはリラ以外にフェンとシロを連れ、他のものは別れた時と様子が変わらないようだった。
マチルダとハンスは互いの無事をたたえあった。ハンスはマチルダの連れている犬が気になるようだった。
「マチルダ、その子達どうしたの?」
マチルダはハンスの問いにフェンとシロを見つめて答えた。
「森で出会って、リラの知り合いらしく、頼まれて契約した感じかな?」
「契約? 竜以外に共に?」
ハンスは驚いているが、犬達から親しみを感じたのか挨拶をする。
「僕はハンスと言います。よろしく」
「「よろしく!!」」
少し遅れてやってきたハイゼはマチルダの連れてきた犬を見て驚く。
「マチルダさん、ご一緒なのは、あのフェンリルではないですか?」
ハイゼの驚きようにマチルダは驚いて、2匹に確認を求める。母のフェンは当然のように答えた。
「確かに、人間は我らをそのように呼ぶ」
「!!」
「うちの子はマチルダと契約したから、よろしく頼む」
「なかなか遭遇することのないフェンリルと契約するとは、マチルダやるな!!」
ダニエルは驚きとともに悔しそう。
他の者たちも驚きを隠せないようだった。
それぞれ無傷で核をゲットして訓練生としては上出来の結果で訓練は無事終わったのだが、フェンリルとの契約という予想外の結果をマチルダは残したのだった。
18
お気に入りに追加
1,291
あなたにおすすめの小説
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
婚約破棄していただきます
章槻雅希
ファンタジー
貴族たちの通う王立学院の模擬夜会(授業の一環)で第二王子ザームエルは婚約破棄を宣言する。それを婚約者であるトルデリーゼは嬉々として受け入れた。10年に及ぶ一族の計画が実を結んだのだ。
『小説家になろう』・『アルファポリス』に重複投稿、自サイトにも掲載。
修道院送り
章槻雅希
ファンタジー
第二王子とその取り巻きを篭絡したヘシカ。第二王子は彼女との真実の愛のために婚約者に婚約破棄を言い渡す。結果、第二王子は王位継承権を剥奪され幽閉、取り巻きは蟄居となった。そして、ヘシカは修道院に送られることになる。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿、自サイトにも掲載。
もう、終わった話ですし
志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。
その知らせを聞いても、私には関係の無い事。
だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥
‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの
少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?
婚約破棄は結構ですけど
久保 倫
ファンタジー
「ロザリンド・メイア、お前との婚約を破棄する!」
私、ロザリンド・メイアは、クルス王太子に婚約破棄を宣告されました。
「商人の娘など、元々余の妃に相応しくないのだ!」
あーそうですね。
私だって王太子と婚約なんてしたくありませんわ。
本当は、お父様のように商売がしたいのです。
ですから婚約破棄は望むところですが、何故に婚約破棄できるのでしょう。
王太子から婚約破棄すれば、銀貨3万枚の支払いが発生します。
そんなお金、無いはずなのに。
婚約破棄?それならこの国を返して頂きます
Ruhuna
ファンタジー
大陸の西側に位置するアルティマ王国
500年の時を経てその国は元の国へと返り咲くために時が動き出すーーー
根暗公爵の娘と、笑われていたマーガレット・ウィンザーは婚約者であるナラード・アルティマから婚約破棄されたことで反撃を開始した
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる