ナニカがタリナイ

葉゚二🌙👤

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洗脳

悪魔の顔

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「良い子ね影。好き嫌いも無くて。梢と違って可愛いわ」

「偉いぞ影!勉強も出来て運動も出来るなんてな!」

母親と父親の声。
俺を褒める声。
そして、目を細め、俺を嫌う梢の目付き
それがあった。

「……転んじゃった」

青アザなって帰ってきたある日、
家族はみんな心配した。
梢はそこにはおらず、
このアザは絶対転んでできる怪我では無かった



『どうしてお前なんだよ!お前が生まれなければ!俺の方が優秀だったのに!どうして、どうしてどうして!!!』

兄は兄よりも出来の良い俺をとことん
殴った
蹴った
吐かせた

俺は耐えた。
この悪魔から逃げる方法を何度も探した。
小学生だった俺は既になんでもする
良い弟だった。
みんなの人気者で
母親似の綺麗な顔
そして、心優しくかっこいい父親の性格。
完璧に近い子供が産まれたのだ。
それを嫌がる兄は俺をドン底に落とすために何でもした

その度皆が泣いた
そんな中笑うやつが1人



悪魔はその度に言うんだ

「お前が死ね」

って。
お前が死ねば
お前が生まれなければ
お前が落ちれば
お前が出来損ないなら
お前が
お前が
お前が…………






ここはどこだろう。
暗くて

どうして俺はこんな暗いところに一人でいるんだろう。
俺、確か……
突き落とされたんだ。
悪魔に

俺このままだと、死ぬ?
本当に殺される?
怖かった。
殴られ、意識を失うのも
もう嫌だ





小学生の俺は退院した。
けど、また帰ればいじめられる。
この時の俺は確かに言った

「ばいばい。お兄ちゃん」



『少年(8)が、意識不明の重体で……』

それを見ていたのは他の人だった
みんなは口を揃えて言った

痣だらけの男の子が
『ばいばい。お兄ちゃん』
と言って飛び出した

と。
自動車に轢かれ、道路の真ん中で。
そして犯人は轢き逃げをした。
それは突然の出来事で
驚かない人なんて居ないだろう。

骨折もして、致命傷ではないが、マシであった


目を開けては、梢が一人でいた。
また殺される
だが、痛さで考えれなかった。
だけど、

「影、ごめんね。こんなお兄ちゃんで」

その時わかった。
兄に暴力振るわれないようにするには、
好きならなきゃ。
俺を殺さなきゃ

竜山影という存在はこの日死んだ。
そして感情が無くなった。
その日以降、皆は影が変わったと言った

殺さなきゃ。
竜山影を
好かれる為にはこうしなきゃ

「うわぁぁぁ!!!!」

気付いたら手首や身体中に傷が増えていった
精神病だった。
これは兄からの暴力により防衛行動の1つ

そうだった。
俺は、兄に愛されたかったんだ
兄が俺を愛してくれたらこんな事にはならなかった。
兄の為に完璧な弟。
いつも見るのは笑顔の兄弟。
羨ましい
俺らには出来ないものだった

だから、俺がなるしか無かった
愛してくれるように
なんでも。

だから、兄が付け上がって、親に暴言等を吐くようになった。
お前らより俺の方が影に好かれてる
ってね

なんでかわからなかった。
俺が愛おしくて
俺をあんたの物にしたくて
暴力振るう事で快感を得ていたクソ兄貴

事故で怪我は治るまで時間かかる
それまで大切にされた。
兄に

親に助けを求めることはもう出来ない。
いつ俺が悪魔に殺されるか分からないから

「俺ってなんだろう」

俺は玩具なんだろうか。
だから俺は助けを呼べるようにパソコンに向かった。

悪魔に殺される

そんな言葉を

写真も残した。痣だらけの自分を
兄にバレないよう必死に
兄にいつ見られても良いように厳重にして、データを持ち歩く様にした。
だから、絶対にバレない
バレるわけが無い。

俺は兄に愛されてから身体を沢山汚された。
気持ちも良くないのに、身体が兄を受け付けてしまった。
有り得ない。
気持ちが悪い

一人トイレで嗚咽を漏らした。
俺は兄を殺そうと決意した。

兄をこんな風にした奴も
だから俺は悪魔を殺そうと決意した。
悪魔を殺せばきっと良くなる。
俺の部屋には監視カメラも仕掛けている。
だから、首絞められたりしてもハッキリ映る
この場では抵抗をしなかった

俺はマインドコントロールを受けたかのように依存する形をとった。

あいつが死んでもまさか残るとは思わなかったけど。











◇◇◇_______________◇◇◇


「影には、精神的な病気が未だ残ってたんだよ。」

シャクヤクは医師だからこそ言えたもの。
確かに幻聴や幻覚は今でも続いてる。
薬の影響力もあるが、病気もあった。
治さずにずっと


違うと思ったから


病気だと思わなかったから



「君は、兄を間接的に殺したんでしょ?」

その言葉に影は目を見開いた。
殺した
ころした
コロシタ?

「殺してない。俺は悪魔から守ったんだよ」

殺人なんて思わない。
シャクヤクは首を横に振った

「自殺を促したのは君でしょ。」

あの遺書とは梢ので間違いは無い。
だが、影は机の上に遺書と共にひとつの紙を置いていた。
ケーキを買う日

『俺も行くから、先に行ってて』

その言葉だ。
梢は勿論影が大好きだから、行った。
もがき苦しむも、力が無くなり、最終的に現実となった。
これが
影の犯罪の一つ。
紙は勿論、すぐ片付けて悲しむ演技をした。
本当に行うなんて

『馬鹿な兄貴』

「君はこれを持ってたから、証拠は揃わず、梢は自殺扱いになった。で、荷物を気絶してる時に全て回収したからね」

鞄の中。
毎日隠していたUSB

施設にバレた。

「梢は確かに悪魔だった。けど、影はもっと悪魔だと思うよ」

「……違う」

「梢はきっと」

「……うるさい……」

皆梢の名前を出す。
全部あいつが悪い
あいつが居たから俺は狂ったのに

「いつも皆は梢ばかり!」

俺なんて
俺なんて
俺なんて

「いつもあの悪魔に殺されてばかり!」

「影、1つ聞いて良いか」

リンドウが口を開けてようやく話しかけた。

「梢はなんでこの施設に来たと思う」

リンドウの言葉に、なんでそんな質問を?という思いで目を向ける。
リンドウは

「薬物だけでここ来ると思うか。
……虐待だよ。お前を虐待したからここに来た」

「俺……を?」

更正しているはずなのだ。
スグリはそれを知っていたはずだった。
梢はもう影を虐めることは無いと









……そう思っていたのに。
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