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どうやら話は全然進まないようです。<ガーズ視点>
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ーガーズ視点ーーーーー
「ここは......。」
「ここがアークウェルって子のいた村の跡地......ですか?」
「あのガキんちょか。」
「懐かしいですね。」
依頼をこなす為に目的地へと向かっていた俺達は何も無い荒地へと足を運んでいた。
あの謎に包まれた少年が消えてから3年と少しが経っていた。
アークウェル...それとアリルという名前の紅いスライム、彼らは異常だった。
*
あの日寝ていると物音が聞こえ、目を覚ました。
冒険者をしていれば野宿は避けられない道だ。だからこそ睡眠中も小さな物音でも目を覚ましてしまうようになった。
だがその物音の犯人はアークウェルだった。
何をしているのかと思いながらうっすらと視界に入れる。
まずディエルが果物を切っていた小さめのナイフを手に取る。
そして、アリルを静かに起こそうとするがなかなか起きず1発強めに叩いて起こす。
そのままアリルを引き連れ扉を開けて外に出る。
俺も身体を起こして後を追ってみる。外に出たアリルは何やら人目につかない路地へと入って行く。
そろそろ声を掛けようと思い俺も路地裏へと入ろうとする。
「転移魔法 ーテレポーテーションー」
何かを小さく呟いていたが、うまく聞き取ることが出来なかった。
俺は路地裏へと入る。
だがそこにアークウェルの姿は無かった。
その奥にいるかと思い進むが行き止まりで終わる。
隠れられそうなスペースを探すがどこにもいない。
そこで俺は理解する。
何か呟いていたのは長距離転移魔法の詠唱だ。
だが、それは確信ではなかった。あの魔法は5.6歳の子供に使えるはずのない魔法だ。知識的にも......魔力的にも。
あの魔法は多大なMPを消費する。
それは距離によって変わるが、ここから街の外に出ようものなら100程度のMPを消費するだろう。
この世界においてMPが200を超えている魔術師は宮廷に雇って貰って生活できるくらいだ。
今の世界には200を超えている空間魔術師は存在しないと言われているわけで、今の世界で長距離転移魔法は使われることのほとんど無い。
そんな魔法を子供が使っているはずがなかった。
そんな思考を小さな爆発音に掻き消される。
こんな時間にわざわざ街のそばに出て戦う人なんてほとんどいない。
それに夜はゴブリン・ロードと出会うことがある。普段はゴブリンの巣のような場所でこもってるらしいが、夜はなぜか自ら外に出て冒険者などを襲う。それはゴブリン・ロードが自らのレベルを上げる為だとも言われているが真相は分からない。
ーーまさか。
そう思い咄嗟に門の方へと走る。
「開けてくれ!」
門番に向かって門を開けるように頼む。
「でもこの時間は...」
「はやく!」
「ゴブリン・ロードに出会ったらすぐに逃げてくださいね。」
少しだけ開いた門を潜り音のした方へと走る。
ーードォン
2度目の爆発が起こる。
次は音だけじゃなく、爆発を目で見ることが出来た。
そこから俺の視界にあったのは、基礎魔法のファイアボールを撃たれて怯んでいるゴブリンの後ろへと一瞬で移動して首元にナイフを刺すアークウェルだった。
その姿は見た目こそは子供だが、どこか子供じゃない...大人な何かを感じた。
アークウェルについて色々な考えを巡らせる。
だがそんな思考も大きな声で掻き消される。
「グォォォオオオッッ!!」
大きな斧がアークウェルに振り下ろされる。
ぎりぎり直撃はしなかったもののかなりのダメージを負ってしまっている。
助けに行こうと思うが、武器を持ってきていないことに気付く。
武器を持っていても負ける確率の方が高いが。
どうする事もできない俺は、情けないことにアークウェルの無事を祈りながら見ることしか出来なかった。
その時は無力な自分を恨んだ。
普通の子供に勝てる相手なんかじゃない。
だが、彼らは普通じゃなかった。
アリルが攻撃と回復を、アークウェルが空間魔法でのアリルのサポートをして少しずつダメージを与えていく。
アークウェルのMPは計りきれないほどだった。
魔術の中でも特にMP消費の激しい空間魔法を乱用するなどありえない事だった。
アリル...あれも異常だ。
アリルの使う魔法はほとんどが炎魔法のレベル4程度の魔法だった。
その威力は絶大だった。
目に見えてゴブリン・ロードの動きが鈍くなっていく。
そこからの記憶はほとんど残っていない。
唖然のあまり記憶することさえも忘れてしまっていた。
気がつけばゴブリン・ロードが力尽きており、アリルが倒れ込んだアークウェルを回復魔法で回復していた。
それから俺はアークウェルたちのもとへ行き気を失っているアークウェルを担ぎ街へ戻ることにした。
まぁその後は起きるのを待って色々聞こうとしたが見事に転移魔法で逃げられたのだが......。
その件は謎に包まれたままだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ガーズ?どうした気分でも悪いか?」
「あぁすまん、少し考え事をしてた。」
「大丈夫...ですか?」
「大丈夫だ。さぁ森に入ろう。今回は森の奥に住んでいる謎の魔物の調査、出来るならば討伐だ。」
俺達パーティーは森へと足を踏み入れる。
「ここは......。」
「ここがアークウェルって子のいた村の跡地......ですか?」
「あのガキんちょか。」
「懐かしいですね。」
依頼をこなす為に目的地へと向かっていた俺達は何も無い荒地へと足を運んでいた。
あの謎に包まれた少年が消えてから3年と少しが経っていた。
アークウェル...それとアリルという名前の紅いスライム、彼らは異常だった。
*
あの日寝ていると物音が聞こえ、目を覚ました。
冒険者をしていれば野宿は避けられない道だ。だからこそ睡眠中も小さな物音でも目を覚ましてしまうようになった。
だがその物音の犯人はアークウェルだった。
何をしているのかと思いながらうっすらと視界に入れる。
まずディエルが果物を切っていた小さめのナイフを手に取る。
そして、アリルを静かに起こそうとするがなかなか起きず1発強めに叩いて起こす。
そのままアリルを引き連れ扉を開けて外に出る。
俺も身体を起こして後を追ってみる。外に出たアリルは何やら人目につかない路地へと入って行く。
そろそろ声を掛けようと思い俺も路地裏へと入ろうとする。
「転移魔法 ーテレポーテーションー」
何かを小さく呟いていたが、うまく聞き取ることが出来なかった。
俺は路地裏へと入る。
だがそこにアークウェルの姿は無かった。
その奥にいるかと思い進むが行き止まりで終わる。
隠れられそうなスペースを探すがどこにもいない。
そこで俺は理解する。
何か呟いていたのは長距離転移魔法の詠唱だ。
だが、それは確信ではなかった。あの魔法は5.6歳の子供に使えるはずのない魔法だ。知識的にも......魔力的にも。
あの魔法は多大なMPを消費する。
それは距離によって変わるが、ここから街の外に出ようものなら100程度のMPを消費するだろう。
この世界においてMPが200を超えている魔術師は宮廷に雇って貰って生活できるくらいだ。
今の世界には200を超えている空間魔術師は存在しないと言われているわけで、今の世界で長距離転移魔法は使われることのほとんど無い。
そんな魔法を子供が使っているはずがなかった。
そんな思考を小さな爆発音に掻き消される。
こんな時間にわざわざ街のそばに出て戦う人なんてほとんどいない。
それに夜はゴブリン・ロードと出会うことがある。普段はゴブリンの巣のような場所でこもってるらしいが、夜はなぜか自ら外に出て冒険者などを襲う。それはゴブリン・ロードが自らのレベルを上げる為だとも言われているが真相は分からない。
ーーまさか。
そう思い咄嗟に門の方へと走る。
「開けてくれ!」
門番に向かって門を開けるように頼む。
「でもこの時間は...」
「はやく!」
「ゴブリン・ロードに出会ったらすぐに逃げてくださいね。」
少しだけ開いた門を潜り音のした方へと走る。
ーードォン
2度目の爆発が起こる。
次は音だけじゃなく、爆発を目で見ることが出来た。
そこから俺の視界にあったのは、基礎魔法のファイアボールを撃たれて怯んでいるゴブリンの後ろへと一瞬で移動して首元にナイフを刺すアークウェルだった。
その姿は見た目こそは子供だが、どこか子供じゃない...大人な何かを感じた。
アークウェルについて色々な考えを巡らせる。
だがそんな思考も大きな声で掻き消される。
「グォォォオオオッッ!!」
大きな斧がアークウェルに振り下ろされる。
ぎりぎり直撃はしなかったもののかなりのダメージを負ってしまっている。
助けに行こうと思うが、武器を持ってきていないことに気付く。
武器を持っていても負ける確率の方が高いが。
どうする事もできない俺は、情けないことにアークウェルの無事を祈りながら見ることしか出来なかった。
その時は無力な自分を恨んだ。
普通の子供に勝てる相手なんかじゃない。
だが、彼らは普通じゃなかった。
アリルが攻撃と回復を、アークウェルが空間魔法でのアリルのサポートをして少しずつダメージを与えていく。
アークウェルのMPは計りきれないほどだった。
魔術の中でも特にMP消費の激しい空間魔法を乱用するなどありえない事だった。
アリル...あれも異常だ。
アリルの使う魔法はほとんどが炎魔法のレベル4程度の魔法だった。
その威力は絶大だった。
目に見えてゴブリン・ロードの動きが鈍くなっていく。
そこからの記憶はほとんど残っていない。
唖然のあまり記憶することさえも忘れてしまっていた。
気がつけばゴブリン・ロードが力尽きており、アリルが倒れ込んだアークウェルを回復魔法で回復していた。
それから俺はアークウェルたちのもとへ行き気を失っているアークウェルを担ぎ街へ戻ることにした。
まぁその後は起きるのを待って色々聞こうとしたが見事に転移魔法で逃げられたのだが......。
その件は謎に包まれたままだった。
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「ガーズ?どうした気分でも悪いか?」
「あぁすまん、少し考え事をしてた。」
「大丈夫...ですか?」
「大丈夫だ。さぁ森に入ろう。今回は森の奥に住んでいる謎の魔物の調査、出来るならば討伐だ。」
俺達パーティーは森へと足を踏み入れる。
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